JPH05208968A - アスコルビン酸脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

アスコルビン酸脂肪酸エステルの製造方法

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JPH05208968A
JPH05208968A JP20960991A JP20960991A JPH05208968A JP H05208968 A JPH05208968 A JP H05208968A JP 20960991 A JP20960991 A JP 20960991A JP 20960991 A JP20960991 A JP 20960991A JP H05208968 A JPH05208968 A JP H05208968A
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acid
ascorbic acid
reaction
ester
hydrolase
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JP20960991A
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Hiroshi Miyake
博 三宅
Yoshi Goto
佳 後藤
Jiyungo Okada
淳吾 岡田
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Lion Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アスコルビン酸またはその誘導体と、炭素数
2から38の飽和若しくは不飽和の直鎖または分岐鎖の
脂肪酸および該脂肪酸と炭素数1から3の低級アルコー
ルとのエステルからなる群から選ばれる脂肪酸類の1種
または2種以上とを、有機溶媒及び加水分解酵素の存在
下で反応させる。 【効果】 酵素反応を利用して高い転化率で短時間に反
応が完結し、工業的に有利にアスコルビン酸類脂肪酸エ
ステルを合成することができる。また、使用する加水分
解酵素の基質特異性によりアスコルビン酸及びその誘導
体の特定のヒドロキシル基をエステル化することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加水分解酵素を用いて
高転化率でアスコルビン酸またはその誘導体の脂肪酸エ
ステルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】アスコ
ルビン酸の脂肪酸エステルは、一般に化学合成法で調製
される。米国特許第2350435 号明細書には最も一般的な
アスコルビン酸6−o−脂肪酸エステルの合成法が記載
されている。この方法は、多量の95%濃硫酸中に脂肪
酸と過剰のアスコルビン酸を溶解し、室温にて一晩(1
6時間)放置してアスコルビン酸高級脂肪酸エステルを
生成する事から成る。上記特許の改良法として、同様に
硫酸存在下で炭素数10以下の脂肪酸または芳香族カル
ボン酸を反応させる方法(特公昭42−20052)、脂肪酸の
モル比を過剰にする方法(特開昭53−46959)、脂肪酸短
鎖アルキルエステルを使用する方法(特開昭59−17008
5)がある。実際にこれらの方法によりアスコルビン酸
6−o−ステアリン酸エステル、アスコルビン酸6−o
−パルミチン酸エステルが工業的に製造され、食品添加
物や化粧品として利用されている。しかし、濃硫酸を使
用した場合、エステル合成反応が平衡反応であることか
ら反応の進行に伴い副生物として水が生成する為反応が
完結しない、即ち原料であるアスコルビン酸及び脂肪酸
類が残存し、精製工程が煩雑になる上に原料として非常
に高価なアスコルビン酸が十分に使用されない、着色を
抑えるため反応温度を低く設定しているので反応時間が
長い、多量の硫酸を使用するために特殊な製造設備が必
要となる、排水処理に負担が掛かるなどの問題点があ
る。他の方法として、有機溶媒存在下でアスコルビン酸
と脂肪酸ハロゲン化物を反応させる方法がある(特公昭
38−21365 、特開昭54−88261 )。しかし、ピリジン、
ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の高極
性溶媒中でアスコルビン酸と脂肪酸ハロゲン化物を反応
させた場合、反応性が非常に高くなりエステルが生成し
易くなる反面アスコルビン酸の分解のため収量が低下し
たり着色が著しく脱色が必要であるなどの問題点があ
る。
【0003】一方、リパーゼのエステル合成反応を利用
してアスコルビン酸脂肪酸エステルを合成することが試
みられている。荒川信彦らは、アスコルビン酸と脂肪酸
をリパーゼ(Rhizopus delemer由来のリパーゼ、ウシ脾
臓アセトン乾燥パウダー)の存在下で反応させアスコル
ビン酸脂肪酸エステル生成の可能性について調べている
(ビタミン、43、(3、4)、166−171(19
71)「アスコルビン酸エステルの代謝、(IV)アスコ
ルビン酸脂肪酸エステルの酵素による生成」)。本反応
条件は、生体内の環境を考慮して設定されたものであ
り、反応溶媒として水が用いられている。酵素は水に溶
解した状態で使用され、水に難溶性の脂肪酸と水に易溶
性のアスコルビン酸を反応させるために、界面活性剤と
してタウロコール酸ナトリウムを添加してエマルジョン
を形成し界面の面積を広げる事でリパーゼの反応性を高
める工夫が成されている。しかし、エステル結合に作用
する加水分解酵素は反応系に多量の水が存在する場合、
反応平衡はエステルを分解する方向に働く為合成率は極
めて低くなる。この場合、反応率は約0.00175 %と極め
て低く、工業的にアスコルビン酸脂肪酸エステルを製造
する方法としては適さない。
【0004】一方、この様なエステルの加水分解を避け
るため、水をほとんど含有しない有機溶媒中で酵素反応
によりエステル合成、エステル交換反応を実施すること
が提案されている(特開昭61−268192号公報;特開昭62
−107791号公報;J.Am.Chem.Soc.、108、5638
(1986);J.Am.Chem.Soc.、110、584(19
88))。この場合、特開昭61−268192号公報の提案で
は微生物由来のアルカリ性リパーゼを使用し、特開昭62
−107791号公報ではキャンディダ・シリンドラセ(Cand
ia cylindracea)から変異誘導されるリパーゼを使用し
ている。更に、上掲文献JACSに於いては、何れも構
造の複雑な活性エステルを用いて反応率の向上を図るこ
とが行われている。
【0005】しかしながら、これらの公知の方法は、例
えば上掲文献JACS記載の方法ではエステルへの転化
率を高めるため特別な基質を用いており、通常の脂肪酸
やその低級アルコールエステルでは十分な転化率を与え
ることが出来ない。また、特開昭61−268192号公報、特
開昭62−107791号公報では、使用する有機溶媒に対して
易溶性のアルコール類に対しては比較的高い転化率を示
しているが、糖類のように有機溶媒に対して比較的溶解
性の悪いものに対しては工業的に有利に製造できる転化
率は得られない。
【0006】また、特開昭61−268192号公報及び特開昭
61−107791号公報には、C6−C7の糖ラクトンを基質とし
て用いたエステル化反応が開示されている。アスコルビ
ン酸は2−ケトーグロン酸のエノール形のγ−ラクトン
であることから、一種の糖ラクトンとも考えられる。し
かし、これらの公報では、糖ラクトンとしてグルコノ−
δ−ラクトンの例が開示されているが、転化率は各々、
5.4%、15%と低く、反応時間も48時間を要してい
る。
【0007】更に、本出願人は、先に、有機溶媒に対し
て比較的難溶性の糖類に関して糖脂肪酸モノエステルを
選択的に製造する方法について種々提案した(特開平3-
76593 、特願平2-116327号、特願平2-116328号、特願平
−100484号)。これらの方法は、糖類と脂肪酸類とを有
機溶媒の存在下にリパーゼ等の加水分解酵素を用いて反
応させる方法であり、糖脂肪酸モノエステルを選択的に
合成し得る点で従来の他の糖脂肪酸エステルの製造法に
比較して卓越した方法である。しかしながら、これらの
方法では通常の糖類に限られた製造法である。アスコル
ビン酸及びその誘導体の様な酸性度の高い、熱、酸・ア
ルカリ・酸化剤等の薬剤、光等により容易に分解する不
安定な物質が酵素反応により効率的に高転化率で製造で
きる方法が望まれていたのである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記事情
により鑑み、アスコルビン酸類脂肪酸エステルを酵素法
により工業的に有利に製造するために鋭意検討した結
果、アスコルビン酸及びその誘導体を穏和な条件で分解
・着色することなく短時間で、しかも高い転化率で効率
的にエステル化することが出来る、加水分解酵素を用い
たアスコルビン酸類脂肪酸エステルの製造方法を完成す
るに至った。
【0009】すなわち、本発明は、アスコルビン酸また
はその誘導体と、炭素数2から38の飽和若しくは不飽
和の直鎖または分岐鎖の脂肪酸及び該脂肪酸と炭素数1
から3の低級アルコールとのエステルからなる群から選
ばれる脂肪酸類の1種または2種以上とを混合して反応
させる際、有機溶媒の存在下で加水分解酵素を作用させ
ることを特徴とするアスコルビン酸類脂肪酸エステルの
製造法を提供する。
【0010】本発明では、出発原料としてアスコルビン
酸類と脂肪酸類とを使用する。ここで、本発明に使用す
るアスコルビン酸類は、L−アスコルビン酸、D−アス
コルビン酸、デヒドロアスコルビン酸、または上記アス
コルビン酸のヒドロキシル基の1カ所ないし2カ所がメ
チル基、イソプロピリデン基、フェニル基、ニトロフェ
ニル基、フェノール基、アミノ基、グルコース,ガラク
トース,フラクトースなどのグルコシル基、硫酸基、燐
酸基、メルカプト基、ハロゲン、アセチルアミノ基、ウ
ラシル基、チミン基、アデニル基などで置換されている
アスコルビン酸誘導体が挙げられる。
【0011】ここで、本発明に使用する脂肪酸は、炭素
数2〜38、好ましくは6〜22の飽和又は不飽和で直
鎖もしくは分岐鎖脂肪酸であり、このような脂肪酸であ
れば、水酸基、カルボニル基、フェニル基等の置換基を
有するものでもよい。具体的には、脂肪酸として酢酸,
プロピオン酸,酪酸,吉草酸,イソ吉草酸,カプロン
酸,エナント酸,カプリル酸,ペラルゴン酸,カプリン
酸,ウンデカン酸,ラウリン酸,トリデカン酸,ミリス
チン酸,ペンタデカン酸,パルミトレイン酸,パルミチ
ン酸,マーガリン酸,ステアリン酸,ノナデカン酸,ア
ラキン酸,ヘネノコサン酸,ドコサン酸,トリコサン
酸,テトラコサン酸,ペンタコサン酸,ヘキサコサン
酸,ヘプタコサン酸,オクタコサン酸,ノナコサン酸,
トリアコンタン酸,ヘントリアコンタン酸,ドトリアコ
ンタン酸,テトラトリアコンタン酸,ヘキサトリアコン
タン酸,オクタトリアコンタン酸,イソステアリン酸,
オレイン酸,リノール酸,リノレン酸,エイコサン酸,
ドコサン酸,ドコセン酸,アラキドン酸,リシノレイン
酸,ジヒドロキシステアリン酸,マロン酸,マレイン
酸,コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ピメリン酸,
スペリン酸,アゼライン酸,セバシン酸,テトラデカン
ジオン酸,フェニル酢酸,ケイ皮酸,3−フェニルプロ
ピオン酸等の1種又は2種以上の混合物を使用すること
ができる。
【0012】更に、脂肪酸のエステルとしては、上記炭
素数2〜38の脂肪酸と炭素数1〜3の低級アルコー
ル、例えばメタノール,エタノール,プロパノールとの
エステルを使用するものであり、具体的にはカプロン酸
メチル,カプロン酸エチル,カプリン酸メチル,カプリ
ン酸エチル,ラウリン酸メチル,ラウリン酸エチル,ラ
ウリン酸プロピル,ミリスチン酸メチル,ミリスチン酸
エチル,ミリスチン酸プロピル,パルミチン酸メチル,
パルミチン酸エチル,パルミチン酸プロピル,ステアリ
ン酸メチル,ステアリン酸エチル,ステアリン酸プロピ
ル,オレイン酸メチル,オレイン酸エチル,オレイン酸
プロピル,リノール酸メチル,リノール酸エチル,リノ
ール酸プロピル,リノレン酸メチル,リノレン酸エチ
ル,リノレン酸プロピル,エイコサン酸メチル,アラキ
ドン酸メチル,ドコサン酸メチル,ドコセン酸メチル等
が例示される。
【0013】この場合、上記両原料の使用量は適宜選定
されるが、通常アスコルビン酸類1モルに対して脂肪酸
類0.9〜20モルが使用され、好ましくは1〜10モ
ル、更に好ましくは2〜5モルである。この場合、脂肪
酸類のモル比を上げると反応速度が増大するが、20モ
ルを越えて使用しても反応速度はそれ以上増大せず、従
って経済的見地から脂肪酸類の使用量は20モル以下と
することが好ましい。
【0014】本発明は、上記両原料を加水分解酵素を用
いて有機溶媒中で反応させるものである。ここで使用さ
れる加水分解酵素としては、豚脾臓リパーゼ,キャンデ
ッダ属由来の酵母リパーゼ,アスペルギルス属,ムコー
ル属,リゾプス属,フミコーラ属,ペニシリウム属,シ
ュードモナス属由来の菌体リパーゼ等のリパーゼ類,豚
脾臓由来のエステラーゼ,トリブシン,キモトリブシ
ン,サブチリン等のブロテアーゼなどが挙げられるが、
アスコルビン酸またはその誘導体が反応系内に存在した
場合に活性発現出来る加水分解酵素で加水分解活性がpH
1〜10、より好ましくはpH2〜9更に好ましくはpH5.
5〜8の範囲で活性発現するものが好ましい。更には、
上記pH範囲内で耐熱性を有するものが好ましい。
【0015】例えば、耐熱性加水分解酵素としては酵素
粉末50mgを0.4mlのリン酸バッファー(0.1M,pH
7)に溶解し、70℃で30分間加熱した後の残存活性
が40%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは
95%以上の耐熱性を有するものであれば種々のものを
使用でき、キャンディダ・アンタークティカ(Candidaa
ntarctica) 由来の耐熱性リパーゼ、ムコール・マイハ
イ(Mucor miehei) 由来の耐熱性リパーゼ、その他特公
表平1-501120号公報記載のリパーゼなどが好適に用いら
れる。また、耐熱性プロテアーゼとしては、バチルス・
サーモプロテオリキサス由来のもの(サーモライシン,
商標)、サームス・アクアティカスYT−G由来のもの
(アクアライシン,商標)などが用いられるが、勿論こ
れらに限られるものではない。
【0016】なお、これらの加水分解酵素は精製品でも
粗製品でもよく、更に加水分解酵素を生成する菌体(処
理菌体、休止もしくは静止菌体)の乾燥品を使用するこ
ともできる。また、上記加水分解酵素は、固定化して用
いることができるが、その固定化方法としては、担体結
合法、架橋法、包括法のうちいずれかの方法を採用して
もよい。特には、担体結合法が好適に採用できる。
【0017】この場合、固定化担体として具体的には、
活性炭,多孔性ガラス,酸性白土,漂白土,カオリナイ
ト,アルミナ,シリカゲル,ベントナイト,ヒドロキシ
アパタイト,リン酸カルシウム,金属酸化物等の無機物
質、デンプン,グルテン等の天然高分子化合物、ポリエ
チレン,ポリプロピレン,フェノールホルマリン樹脂,
アクリル樹脂,アニオン交換樹脂,カチオン交換樹脂等
の合成高分子物質などを挙げることができるが、本発明
では特に物理的形態として多孔性を有する合成高分子物
質、例えば多孔性ポリエチレン,多孔性ポリプロピレ
ン,多孔性フェノールホルマリン樹脂,多孔性アクリル
樹脂が最も好ましく用いられる。なお、本発明では、酵
素の活性発現を阻害しないものであれば上記以外の種々
の固定化担体を使用しても何ら差し支えない。
【0018】更に、固定化担体に対し固定化される加水
分解酵素量は通常固定化担体1gに対して0.1〜500
mgの蛋白質量、特に加水分解酵素が蛋白質中に2〜50
%程度含まれている蛋白質を固定化させたものが好適で
ある。本発明において上記加水分解酵素の使用量は、特
に限定されないが、上記アスコルビン酸1重量部に対し
て好ましくは0.02〜1重量部、より好ましくは0.05
〜0.8重量部、更に好ましくは0.08〜0.6重量部であ
る。
【0019】本発明では、上記アスコルビン酸またはそ
の誘導体と脂肪酸またはそのエステルとの加水分解酵素
を用いた酵素反応を有機溶媒の存在下で行う。有機溶媒
としては、第2級又は第3級アルコールが好ましく、例
えば2,4−ジメチル−3−ペンタノール,2,6−ジ
メチル−4−ヘプタノール,第3級ブチルアルコール,
第3級アミルアルコール,ジアセトンアルコール,3−
メチル−3−ペンタノール,3−エチル−3−ペンタノ
ール,3−プロピル−3−ペンタノール,2−メチル−
2−ヘキサノール,2−エチル−2−ヘキサノール等を
使用することができる。また、ベンゼン,トルエン,キ
シレン,フェノール等の芳香族炭化水素類、アセトン,
メチルエチルケトン,アセチルアセトン等のケトン類、
ジメチルエーテル,ジオキサン等のエーテル類,n−ヘ
キサン,n−オクタン,イソオクタン等の脂肪族炭化水
素類、シクロペンタン,シクロヘキサン等の脂環式炭化
水素類、ジメチルエーテル,ジエチルエーテル,ジオキ
サン等のエーテル類、四塩化炭素,クロロホルム,二塩
化メチレン等のハロゲン化炭化水素類なども好適に用い
られるほか、糖類の良溶媒であるピリジン,ジメチルホ
ルムアミド,ジメチルアセトアミド,キノリン等の含窒
素溶媒類やジメチルスルホキシド等の含硫黄溶媒類、炭
酸エチレン、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン等の
ラクトン類などを使用することもできる。なお、これら
の溶媒はその1種を単独で使用してもよく、2種以上の
混合溶媒として用いてもよい。この場合、これら有機溶
媒は実質的に水を含まないのが好ましい。
【0020】上記有機溶媒の使用量は、有機溶媒の種
類、脂肪酸又はそのエステルの炭素鎖長、反応温度等に
より左右されるが、好ましくは反応系の1〜99重量
%、好ましくは10〜80重量%である。また、実質的
に溶媒を含まない無溶媒状態での反応であってもよい。
アスコルビン酸類と脂肪酸類とを加水分解酵素を用いて
酵素反応させる際、反応条件は適宜調整し得、低温でも
反応は進行するが、反応速度を速めるため、40℃以
上、好ましくは45〜80℃の温度で反応させることが
好ましく、この温度条件で反応を行うと通常2〜10時
間という短時間で転化率90%以上において反応を完結
することができる。なお、かかる高温の反応でも耐熱性
加水分解酵素の使用により酵素失活がなく、長期間高い
生産性を維持することが可能であり、高価な触媒とされ
る酵素を使用しても工業的に有利に酵素を使用すること
ができる。
【0021】更に、本発明方法によりアスコルビン酸類
脂肪酸エステルを製造する際は、例えば基質液と加水分
解酵素を反応槽に導入し、撹拌、振盪により反応を行う
方法(回分式)、前記回分式で反応を連続的に行う方法
(連続撹拌槽式)等を採用して行うことができる。この
場合、本発明では、酵素を失活させることなく反応を実
施し得るため、長時間の連続反応や繰り返し回分反応を
支障なく行うことができるので、工業的に極めて有利で
ある。
【0022】また、本発明方法では、酵素反応により水
又は低級アルコールが副生するが、この場合、この副生
物の系中濃度が0.5重量%以下、特に0.1重量%以下と
なるように副生物を除去することが効率よく反応を進め
るために好ましい。これら副生物を除去する方法として
は、例えばゼオライト,モレキュラーシーブス,芒硝等
を反応系外及び/又は反応系内で用いて吸着除去する方
法、乾燥空気や不活性ガスを反応槽中に導入して気体中
に蒸発させて除去するか、あるいは反応槽内を減圧に
し、蒸発させて反応槽外に排出する方法等が挙げられ、
これら除去方法を前述の酵素反応装置と適宜組み合わせ
ると効率よく合成反応を行うことができる。
【0023】なお、得られた反応混合物は常法に従って
精製することができる。又、反応混合物中に含まれる未
反応脂肪酸類及び、反応に使用した有機溶媒類はこれを
分離、回収し、再使用することができる。
【0024】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、アスコルビン
酸類脂肪酸エステルを酵素反応を利用して高い転化率で
短時間に反応が完結し、工業的に有利に合成することが
できる。また、使用する加水分解酵素の基質特異性によ
りアスコルビン酸及びその誘導体の特定のヒドロキシル
基をエステル化することができる。例えば、実施例1に
示した様に加水分解酵素としてキャンディダ・アンター
クティカ由来のリパーゼを使用した場合にはアスコルビ
ン酸の6位の位置を選択的にアシル化することができ
る。
【0025】更には、使用するアスコルビン酸のヒドロ
キシル基に他の置換基が導入された場合には、他の任意
のヒドロキシル基をエステル化にすることができる。ま
た、本発明によれば、選択的にモノエステルのみを得る
ことも可能である。この様に、本製造法によれば、アス
コルビン酸とその誘導体から合成される脂肪酸エステル
は、その脂肪酸の種類とエステル化の位置まで考慮すれ
ば、非常に多くのアスコルビン酸脂肪酸エステルが工業
的に有利に製造できる。
【0026】本発明によって得られるアスコルビン酸脂
肪酸エステルは、例えばL−アスコルビン酸6−o−ス
テアリン酸エステルは、安全性が高いことが実証され、
食品添加物公定書及び化粧品原料基準書に記載されたア
スコルビン酸脂肪酸エステルであり、ビタミンC作用、
酸化防止作用を持ち、広く食品、香粧品、化粧品、医薬
品などに使用される。即ち、本発明により得られる多種
多様なアスコルビン酸脂肪酸エステルは、酸化防止作
用、ビタミン作用を有し、高い安全性を示すことから幅
広い分野での使用が可能である。具体例として、食品で
は、油脂、バター、チーズ、食肉製品、魚肉練り製品、
ピーナッツバター、小麦粉、菓子、粉乳、アイスクリー
ム、パン、ケーキ、クッキー、麺類、ちくわ、かまぼ
こ、チョコレート、ココア、チューインガム、等に、香
粧品・化粧品では、クリーム、乳液、化粧水、ファンデ
ーション、パウダー、口紅、ヘアトニック、ポマード、
ヘアーリキッド、養毛剤、育毛剤、しみ防止剤、香水、
オーデコロン、シャンプー、リンス、歯磨き等多くのト
イレタリー製品に、また、医薬、農薬、家畜・魚類・ペ
ット類等の飼料など幅広い分野で極めて有効に利用でき
る。更には、近年、ガン予防効果がある物質として注目
されているカロチノイド類の乳化安定化剤、酸化予防剤
としても有効に使用することが出来る。
【0027】以下、実施例を示して本発明を具体的に説
明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではな
い。
【0028】
【実施例】実施例1 L−アスコルビン酸10g(56.8mmol)パルミチン酸
メチル46.1g(170.4mmol)、ジアセトンアルコー
ル250ml、キャンディダ・アンタークティカ由来の中
性耐熱性リパーゼをアクリル樹脂に吸着固定化したもの
5gを500ml四つ口丸底フラスコにて60℃にて反応
した。反応系内を減圧状態とし反応により副生するメタ
ノールを除去しながら反応を継続した。一定量の反応液
を経時でサンプリングし、ピリジン、シリル化剤、内部
標準物質テトラデカンを添加し、60℃30分間加熱処
理した後、ガスクロマトグラフィーにより分析した。反
応5時間後に反応液から酵素を濾過操作により除去し反
応を停止した。その時転化率95%でアスコルビン酸パ
ルミチン酸エステルが生成していることをガスクロマト
グラフィー分析により確認した。尚、ここでいう転化率
とは原料のL−アスコルビン酸がL−アスコルビン酸パ
ルミチン酸エステルに転化した割合を示している。反応
濾液を0℃に冷却し析出した結晶を濾別した。得られた
結晶を室温でヘキサン中で懸濁し、濾別した。同様にヘ
キサンでの抽出操作を3回繰り返した。得られた白色粉
末は純度96%のアスコルビン酸パルミチン酸エステル
であることがガスクロマトグラフィー分析で確認され
た。最終収量は23.5gであった。更に、シリカゲルク
ロマトグラフィーによりガスクロマトグルフィー分析に
よる純度100%のアスコルビン酸パルミチン酸エステ
ル20.5g(収率87.1%)を得た。構造解析をするた
めに融点、元素分析、旋光度、13C−NMRを測定し
た。結果を次に示す。
【0029】融点;115〜116℃ 元素分析 C38347 計算値 C,63.70;H,9.24 実測値 C,63.48;H,9.25 旋光度 〔α〕25°D+21°(試料濃度2%,メ
タノールに溶解)13 C−NMR(400MHZ 、δppm 、アルキル部分は
省略) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ C1 C2 C3 C4 C5 C6 C=O ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ L−アスコルビン酸 170.5 118.0 152.8 74.6 68.4 62.0 L-As6-E (試薬)* 170.2 118.2 152.0 74.9 65.6 64.4 172.6 実施例1合成標品 170.2 118.2 152.0 75.0 65.6 64.4 172.6 L-As6-E (文献)** 170.2 118.2 152.1 75.1 65.7 64.5 172.5 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0030】測定条件 溶媒;ジメチルスルホキシド−
6 試料濃度;1% 測定温度;40℃ 積算回数;1000回 *L−アスコルビン酸6−o−パルミテート(東京化
成、純度;容量分析95%以上) **L−アスコルビン酸6−o−パルミテート(J.Am.O
il.Chem.Soc.,54,308(1977)) 従って、上記酵素反応により得られたアスコルビン酸パ
ルミチン酸エステルは、アスコルビン酸の6位がパルミ
チン酸によりエステル化されたL−アスコルビン酸6−
o−パルミテートである。
【0031】実施例2 L−アスコルビン酸10g(56.8mmol) 、ラウリン酸
34.1g(170.4mml)、アセチルアセトン250ml、
キャンディダ・アンタークティカ由来の中性耐熱性リパ
ーゼをアクリル樹脂に吸着固定化したもの5gを500
ml四つ口丸底フラスコにて60℃にて反応した。反応系
内を減圧状態とし反応により副生する水を除去しながら
反応を継続した。反応時間5時間で転化率96%でアス
コルビン酸ラウリン酸エステルが生成していることをガ
スクロマトグラフィー分析により確認した。その後、実
施例1と同様の操作を行ったところL−アスコルビン酸
6−o−ラウレートが18.4g(収率90.4%)得られ
た。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アスコルビン酸またはその誘導体と、炭
    素数2から38の飽和若しくは不飽和の直鎖または分岐
    鎖の脂肪酸および該脂肪酸と炭素数1から3の低級アル
    コールとのエステルからなる群から選ばれる脂肪酸類の
    1種または2種以上とを、有機溶媒及び加水分解酵素の
    存在下で反応させることを特徴とするアスコルビン酸脂
    肪酸エステルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002034593A (ja) * 2000-07-26 2002-02-05 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 光学活性α−アミノ酸の製造方法
JP4596098B2 (ja) * 2000-07-26 2010-12-08 三菱瓦斯化学株式会社 光学活性α−アミノ酸の製造方法

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