JPH05176804A

JPH05176804A - 運動靴およびその製造方法

Info

Publication number: JPH05176804A
Application number: JP3347146A
Authority: JP
Inventors: Tsutomu Oyamada; 勉小山田
Original assignee: OYAMADA KK
Current assignee: OYAMADA KK
Priority date: 1991-12-27
Filing date: 1991-12-27
Publication date: 1993-07-20

Abstract

(57)【要約】【目的】縫着作業の省力化を図り、製造工程の簡略化お
よび向上等を図るとともに、ファッション性に富んだ運
動靴を提供する。【構成】運動靴の、足甲部から足首部を覆う甲被素材片
１を、一枚の単一織物にて織り上げる。また、この甲被
素材片１の表面に表される模様Ａ〜Ｅを前記織物組織に
よって表現する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、甲被に縫い当てられる
側当材等、種々の縫着工程の簡略化を図り、製造工程の
簡略化および向上等を図り得るとともに、ファッション
性に富んだ運動靴およびその製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】現在実用に供されている運動靴は、たと
えば図５に示されるように、甲被２０に対し、ファッシ
ョン性を高めるため、あるいは補強材として種々の側当
材２１ａ〜２１ｅが縫い付けられている。これらの縫い
付け作業は、複雑な曲線に沿っての縫い合わせとなるた
め、専ら職人の手によって、各側当材２１ａ〜２１ｅ毎
にミシン縫いによって縫い付けられている。また、甲被
の成形に際しても、図７に示されるように、甲の左右二
枚の甲被２４Ａ、２４Ｂとを図８のように相互に突き合
わせて縫着して接合している。従来、前記側当材の縫着
作業の簡略化を図る方法として、特開昭５９−１２５５
０１号公報においては、図６に示されるように、ビニー
ルフィルムからなる側当材２２ａ〜２２ｅの裏面側に一
液型湿気硬化型変性ウレタン系接着剤を塗布し乾燥させ
た後に、甲被２０に当てがい、上方から高周波ウエルダ
ー２３によって融着加工する方法が開示されている。

【０００３】一方、運動靴も近年、単にスポーツシュー
ズとしての機能から、さらに進んで、特に若者の間でフ
ァッションシューズとして需要も高まりつつあり、従来
のように、単一色素材の甲被に対して、単調なビニール
シート状の側当材を張り合わせるのみでは、需要者の要
求を満足し得ない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前述のように、左右甲
部の二枚の甲被を縫着するとともに、甲被に対して側当
材を縫着する作業を、専ら職人の手によって、各側当材
毎にミシン縫いしていたのでは、縫着に多大な手間と時
間を要し、製造効率の向上を図ることはできないととも
に、製造コストの縮小を図ることはできない。また、前
記特開昭５９−１２５５０１号公報に開示される方法に
よれば、側当材の縫製作業が簡略化され、製造効率の向
上を図り得るが、縫着される側当材はビニールシートに
限定されるため、ファッション性に劣り、近年の若年層
の需要に答えることはできない。

【０００５】そこで、本発明の主たる課題は、甲被同士
および甲被に縫い当てられる側当材等、種々の縫着作業
の省力化を図り、製造工程の簡略化および向上等を図る
とともに、ファッション性に富んだ運動靴の製造方法を
提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記課題は、運動靴の、
足甲部から足首部を覆う甲被素材片は、一枚の単一織物
にて織り上げられ、かつこの甲被素材片の表面に表され
る模様を前記織物組織によって表現したことで解決でき
る。前記運動靴の下敷素材片を、前記甲被素材片から延
在して一枚の単一織物にて織り上げることもでき、さら
に甲被に表現された模様の所定区画領域は、二層袋織り
によって強度・厚感を付与することができる。

【０００７】前記甲被素材片の製造に際しては、複数の
ジャガードまたはドピー織機を緯糸方向に並列して配設
し、高密度の甲被素材片を織り上げることで好適に織製
することができる。

【０００８】

【作用】本発明における、足甲部から足首部を覆う甲被
素材片は、一枚の単一織物にて織り上げられるため、従
来のように、二枚の甲被片同士を縫着する手間がなくな
るとともに、甲被表面に表される模様を前記織物組織に
よって表現するため、後の側当材等の縫着作業を実質的
に無くすことができ、製造工程の簡略化および向上を図
ることができる。また、甲被の表面に表れる模様および
色彩は、織糸の選択および織り方によって、無限の組合
せが可能であり、さらに色調もラメ調、ボカシ調、メタ
リック調と自由に選択することができ、ファッション性
に富んだ運動靴を提供することができる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳説する。図
１は、本発明に係る運動靴に用いられる甲被素材片１と
これに付帯して一体的に延在する下敷素材片２からなる
運動靴素材の平面展開図であり、前記甲被素材片１等
（下敷素材片２を含む）は、クロップ部分（切捨て部
分）を含みながら織巾Ｌをもって帯状に織製され、図示
の如く、甲被の展開形状に裁断される。使用される繊維
としては、強度の点より、ナイロン、ポリエステルなど
の合成繊維や天然繊維が好適に用いられる。さらに、異
収縮混織糸や、高収縮混織糸等の繊維を用いることによ
って厚感、立体感を表現することができる。本発明に係
る前記甲被素材片１等は、一枚の単一織物によって織り
上げられ、かつこの甲被素材片１の表面に表される模様
は、織物組織によって表現される。先ず、前記甲被素材
片１の形状について説明すると、先端の爪先部分につい
ては、Ｖ字状の切込みが形成され、図２または図３の形
状に折り曲げて、靴を組立てる際に、相互に重なるよう
に折り込まれ、爪先部分に曲面状の脹らみを出し易いよ
うになっている。また、後端側の足首部分については、
踵側縁部４ａ、４ｂとが相互に縫い合わされて縫着され
るため、所定の縫い代分を考慮した形状とされている。
また、外周縁６部については、図３の完成の状態では、
靴底８との間に折り込まれるため、所定の折込み代を考
慮した形状とされている。なお、５は足挿入のための開
口縁である。さらに、甲被素材片１の片側側縁部には、
一体的に延在して下敷素材片２が設けられており、図２
の加工組立図に示される状態では、足裏相当部分に折り
返され、下敷を構成する。

【００１０】次に、前記甲被素材片１に表現された模様
および質感について説明すると、複数色の先染め織糸、
具体的には２〜８色、好ましくは４〜６色程度の先染め
織糸を用い、織込み順番および織込み方法の変更によっ
て表面に表される色彩、質調を変更しながら、所望の模
様を形成するように織製する。本実施例の場合には、甲
被素材片１および下敷素材片２を五種の領域Ａ〜Ｆに区
画し、それぞれの領域に異なる五種の模様によって色調
および質感を表現している。前記区画領域Ａ〜Ｆの内、
特に爪先部分の区画Ａおよび甲側部の区画Ｃについて
は、二層袋織りによって、強度および厚感・立体感を付
与している。前記模様の選定・組合せについては、選択
する先染め織糸によって、無限の組合せが存在し、バラ
エティーに富んだ色彩・質調を表現することが可能とな
る。

【００１１】以上詳説した甲被素材片１等が得られたな
らば、図２に示される形状に折り曲げ加工するととも
に、通常の靴製造に従って、図３に示すように、靴底８
と接合し、さらに靴紐通し部に補強部材９を縫着し、さ
らに甲被素材片１の裏側に所定のクッション性裏地７
等、他の構成部材と接合・縫着を行い、運動靴が完成さ
れる。なお、必要に応じて、爪先部および足後部には、
プラスチック、皮革または合成皮革等の引張、摩擦等に
強い補強部材を縫着する。

【００１２】次に、前記甲被素材片１の織製方法につい
て詳述する。本発明に係る甲被素材片１は、素材自体に
一定の強度を有する必要があり、その織製に当たって
は、ジャガードまたはドピー織機によって織製される、
高密度織物が好適に用いられる。前記高密度ジャガード
またはドピー織によって織り上げられる高密度織物は、
織製幅に一定の限界があり、単体ジャガード１台のみで
は、前記甲被素材片１を一回の製織パスで織り上げるこ
とはできない。したがって、単体ジャガード機等を緯糸
方向に並列的に配置して、必要な織製幅を確保して織り
上げる。

【００１３】以下、単体のダイレクトジャガード機の機
構について、図４に基づいて詳述する。スイッチ１０
は、フロッピーディスク５からの制御信号によって制御
され、スイッチ１０をオンの状態でソレノイドコイル１
１に電気が通電される。この通電によってソレノイドコ
イル１１内に挿通されている鉄心１２が図の左方側に引
き込まれ、同時にこれと連結されている横針１３が鉄心
１２側に引き寄せられる。縦針１５はそれぞれ前記横針
１３と連結されており、横針１３の移動により傾動し、
ナイフ１４に引掛かるようになっている。前記縦針１５
の下端には、それぞれ通糸１７が連結されているととも
に、この通糸１７は目板１６により位置が整理されなが
ら挿通され、その下端に矢金１８が吊り下げられてい
る。前記矢金１８には、それぞれ経糸１９が１本ずつ挿
通されており、前記縦針１５がソレノイドコイル１１へ
の通電によって選択的にナイフ１４に引っ掛かり、ナイ
フ１４が上方に引き上げられることによって所定の経糸
１９が上方に持ち上げられて開口し、この開口したとこ
ろに緯糸が挿通されることによって任意の紋様が織り上
げられる。なお、前記機構は近年新しいディスクドライ
ブ方式について詳述したが、これに代えて、紋紙を使用
することも当然に可能である。また、模様によって区画
された一定の領域について、二層袋織りする場合には、
二段に経糸を開口しながら、上段および下段のそれぞれ
について、縦針１５による開口を行う、多段開口によっ
て紋織物を織製する。

【００１４】

【発明の効果】以上詳説のとおり、本発明によれば、甲
被同士および甲被に縫い当てられる側当材等、種々の縫
着作業の省力化を図ることができるため、製造工程の簡
略化および向上等を図り得るとともに、従来に例のない
ファッション性に富んだ運動靴を提供することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る甲被素材片等の平面展開図であ
る。

【図２】図１の甲被素材片等の折り加工状態図である。

【図３】完成された運動靴の斜視図である。

【図４】ダイレクトジャガード機の機構説明図である。

【図５】従来から使用されている運動靴の側面図であ
る。

【図６】公知の側当材貼着要領を示す図である。

【図７】従来の二パーツからなる甲被素材片の平面図で
ある。

【図８】図７の甲被素材片同士の爪先部縫着状態図であ
る。

【符号の説明】

１…甲被素材片、２…下敷素材片、７…クッション性裏
地、８…靴底、９…補強材、Ａ〜Ｆ…模様区画領域

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】運動靴の、足甲部から足首部を覆う甲被素
材片は、一枚の単一織物にて織り上げられ、かつこの甲
被素材片の表面に表される模様を前記織物組織によって
表現したことを特徴とする運動靴。
【請求項２】運動靴の下敷素材片を、前記甲被素材片か
ら延在して一枚の単一織物にて織り上げた請求項１記載
の運動靴。
【請求項３】甲被素材片に表された模様の所定区画領域
は、二層袋織りによる請求項１または２記載の運動靴。
【請求項４】少なくとも２以上のジャガードまたはドピ
ー織機を緯糸方向に並列して配設し、高密度の請求項１
記載の甲被素材片を織り上げることを特徴とする運動靴
の製造方法。