JPH0517624U - 液晶表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】高分子分散液晶層の光学特性を均一にし、表示
むらのない良好な表示を得る。 【構成】透明基板１，２の電極形成面上に、透明電極
３，４がある部分と透明電極がない部分との光透過率を
ほぼ等しくするための透明絶縁膜からなる透過率補償層
７，８を設けることにより、高分子分散液晶層６の高分
子のポリマー化に際してこの高分子のモノマーに照射さ
れる光のエネルギーを均一にし、高分子を均一にポリマ
ー化させて高分子分散液晶層の光学特性を均一にする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は高分子分散液晶を用いた液晶表示装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

高分子分散液晶を用いた液晶表示装置は、主に電子腕時計や電卓等の小型電子 機器の表示装置として利用されている。

【０００３】 この液晶表示装置は、図２に示すように、透明電極３，４を形成した一対の透 明基板１，２をその電極形成面を互いに対向させて配置し、この一対の基板１， ２間に高分子分散液晶層６を設けたもので、上記一対の基板１，２は枠状のシー ル材５を介して接合されており、高分子分散液晶層６は上記シール材５で囲まれ た領域にその全域にわたって設けられている。 上記高分子分散液晶層６は、図３にその一部分を拡大して示したように、透明 な高分子６ａとネマティック液晶６ｂとを混在させたものである。

【０００４】 この高分子分散液晶層６は、一対の基板１，２間のシール材５で囲まれた領域 に、光硬化性の高分子のモノマーと液晶とを混合した溶液を真空注入法によって 注入し、この後、一方の基板の外面側から光（紫外線）を照射することにより、 上記高分子のモノマーを光重合させてポリマー化する方法で形成されたもので、 液晶６ｂは、網状にポリマー化した高分子６ａの間に閉じ込められている。 ている。

【０００５】 この液晶表示装置は、両基板１，２の電極３，４間に電界を印加して表示駆動 されるもので、高分子分散液晶層６中の液晶６ｂの分子は、電界が印加されてい ない状態では様々な方向を向いており、この状態では、高分子分散液晶層６を透 過する光が液晶６ｂによる光散乱作用および液晶６ｂと高分子６ａとの界面での 光散乱作用によって散乱される。また、上記電極３，４間に液晶のしきい値電圧 以上の電界を印加すると、液晶６ｂの分子が基板１，２面に対して垂直になるよ うに一様に配列し、透過光が光散乱作用をほとんど受けずに高分子分散液晶層６ を透過する。

【０００６】 なお、この液晶表示装置は、一般に、その裏面に着色した反射板（図示せず） を配置して使用されており、この液晶表示装置をその表面側から観察すると、電 界が印加されない部分は透過光の散乱により白濁して見え、電界印加部分には着 色反射板の色が見える。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来の高分子分散液晶を用いた液晶表示装置は、その高分子分 散液晶層６の光学特性が均一でなく、そのため表示むらが発生するという問題を もっていた。

【０００８】 これは、上記液晶表示装置の製造において、基板１，２間に高分子のモノマー と液晶との混合溶液を注入した後、基板外面側からの光照射により高分子のモノ マーを光重合させてポリマー化する際のポリマーの生成状態にばらつきあるため である。

【０００９】 すなわち、例えば上記高分子のポリマー化を図２において上側の基板１側から 光を照射して行なう場合、この基板１の光透過率は、透明電極３がある部分（以 下電極部という）と透明電極３がない部分（以下非電極部という）とで異なるた め、基板１の外面側から高分子のモノマーに照射される光のエネルギーが、上記 電極部と非電極部とで異なり、そのため、ポリマーの生成状態にばらつきが生じ て、高分子分散液晶層６の光学特性が不均一になってしまう。

【００１０】 本考案の目的は、高分子分散液晶を用いた液晶表示装置として、上記高分子分 散液晶層の光学特性を均一にし、表示むらのない良好な表示を得ることができる ものを提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

本考案は、透明電極を形成した一対の透明基板をその電極形成面を互いに対向 させて配置し、この一対の基板間に高分子分散液晶層を設けた液晶表示装置にお いて、少なくとも一方の基板の電極形成面上に、前記透明電極がある部分と前記 透明電極がない部分との光透過率をほぼ等しくするための透明絶縁膜からなる透 過率補償層を設けたことを特徴とするものである。

【００１２】

【作用】

すなわち、本考案の液晶表示装置は、少なくとも一方の基板の電極形成面上に 、透明電極がある部分と透明電極がない部分との光透過率をほぼ等しくするため の透過率補償層を設けておくことにより、高分子分散液晶層の高分子のポリマー 化を、上記透過率補償層を設けた基板の外面側から光を照射して行なうようにし たものであり、この液晶表示装置によれば、高分子のモノマーに照射される光の エネルギーが均一になるため、上記高分子を均一にポリマー化させて、高分子分 散液晶層の光学特性を均一にすることができる。

【００１３】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図１を参照して説明する。なお、図１において、図 ２に示した従来の液晶表示装置と対応するものについては、図に同符号を付して その説明を省略する。

【００１４】 この実施例の液晶表示装置は、一対の透明基板１，２の電極形成面にそれぞれ 、透明電極３，４がある部分（以下電極部という）と透明電極がない部分（以下 非電極部という）との光透過率をほぼ等しくするための透過率補償層７，８を設 けたものであり、この透過率補償層７，８は、透明電極３，４とほぼ同じ光透過 率の透明絶縁膜で形成されている。

【００１５】 この透過率補償層７，８は、基板１，２の電極形成面にそのほぼ全面にわたっ て形成されており、またこの透過率補償層７，８は、その全体にわたって表面が 平坦な平坦化層とされている。

【００１６】 この液晶表示装置は、透明電極３を形成しその上に上記透過率補償層７を形成 した透明基板１と、透明電極４を形成しその上に上記透過率補償層８を形成した 透明基板１とをシール材５を介して接合し、この両基板１，２間のシール材５で 囲まれた領域に、光硬化性の高分子のモノマーと液晶とを混合した溶液を真空注 入法によって注入した後、いずれか一方の基板の外面側から光（紫外線）を照射 することにより、上記高分子のモノマーを光重合させてポリマー化することによ り、高分子と液晶とが混在した高分子分散液晶層６を形成する方法で製造される 。

【００１７】 そして、この実施例の液晶表示素子では、上記のように、基板１，２の電極形 成面に、上記電極部と非電極部との光透過率をほぼ等しくするための透過率補償 層７，８を設けているため、いずれか一方の基板の外面側から光を照射して上記 高分子分散液晶層６の高分子をポリマー化する際に、高分子のモノマーに、その 全域にわたって均一なエネルギーの光を照射することができる。

【００１８】 したがって、上記液晶表示素子によれば、上記高分子を均一にポリマー化させ て、高分子分散液晶層６の光学特性を均一にすることができるから、表示むらの ない良好な表示を得ることができる。

【００１９】 しかも、上記実施例では、上記透過率補償層７，８を両方の基板１，２に設け るとともに、この透過率補償層７，８を、その全体にわたって表面が平坦な平坦 化層としているため、上記高分子分散液晶層６の層厚がその全域にわたって均一 であり、このように高分子分散液晶層６の層厚が均一であり、しかも上記のよう に高分子のモノマーに照射される光のエネルギーが均一であれば、上記高分子を さらに均一にポリマー化させることができる。

【００２０】 また、従来の液晶表示装置では、高分子分散液晶層６の層厚が不均一であった ため、電界を印加していない状態での光散乱による白濁度が不均一であり、これ も表示むらの原因となっていたが、上記実施例の液晶表示装置では、上記のよう に高分子分散液晶層６の層厚が均一であるため、電界を印加していない状態での 白濁度も均一になる。

【００２１】 なお、上記実施例では、両方の基板１，２にそれぞれ透過率補償層７，８を設 けているが、この透過率補償層は一方の基板だけに設けてもよく、その場合は、 高分子分散液晶層６の高分子のポリマー化を、透過率補償層を設けた基板側から 光を照射して行なえばよい。

【００２２】

【考案の効果】

本考案の液晶表示装置は、少なくとも一方の基板の電極形成面上に、透明電極 がある部分と透明電極がない部分との光透過率をほぼ等しくするための透明絶縁 膜からなる透過率補償層を設けたものであるから、高分子分散液晶層の高分子の ポリマー化に際して、この高分子のモノマーにその全域にわたって均一なエネル ギーの光を照射することができ、したがって、上記高分子を均一にポリマー化さ せて高分子分散液晶層の光学特性を均一にし、表示むらのない良好な表示を得る ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す液晶表示装置の断面
図。

【図２】従来の液晶表示装置の断面図。

【図３】高分子分散液晶層の一部分の拡大断面図。

【符号の説明】

１，２…透明基板、３，４…透明電極、６…高分子分散
液晶層、７，８…透過率補償層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 透明電極を形成した一対の透明基板をそ
   の電極形成面を互いに対向させて配置し、この一対の基
   板間に高分子分散液晶層を設けた液晶表示装置におい
   て、少なくとも一方の基板の電極形成面上に、前記透明
   電極がある部分と前記透明電極がない部分との光透過率
   をほぼ等しくするための透明絶縁膜からなる透過率補償
   層を設けたことを特徴とする液晶表示装置。