JPH05174763A - 空間電荷中和装置 - Google Patents
空間電荷中和装置Info
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- JPH05174763A JPH05174763A JP3353777A JP35377791A JPH05174763A JP H05174763 A JPH05174763 A JP H05174763A JP 3353777 A JP3353777 A JP 3353777A JP 35377791 A JP35377791 A JP 35377791A JP H05174763 A JPH05174763 A JP H05174763A
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- Japan
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- ion
- ion beam
- ions
- secondary electrons
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 大電流イオンビ−ムを発生するイオン源に於
いて正イオン同士のク−ロン斥力によるビ−ムの横方向
への拡散を防ぐこと。 【構成】 イオンビ−ムの一部を引き出し二次電子放出
板に当て、二次電子を飛び出させ、これによってイオン
ビ−ムの正電荷を中和させ、イオンビ−ムの拡散を防
ぐ。
いて正イオン同士のク−ロン斥力によるビ−ムの横方向
への拡散を防ぐこと。 【構成】 イオンビ−ムの一部を引き出し二次電子放出
板に当て、二次電子を飛び出させ、これによってイオン
ビ−ムの正電荷を中和させ、イオンビ−ムの拡散を防
ぐ。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、イオン注入装置、イ
オンビ−ムエッチング装置、イオン蒸着装置などイオン
ビ−ムを必要とする装置のイオン源の部分の改良に関す
る。イオン源は、真空に引くことのできるチャンバに原
料ガスを導入し、ア−ク放電、高周波放電、マイクロ波
放電などにより原料ガスをプラズマに励起し、引出し電
極系のイオン通し穴からイオンをビ−ムとして取り出す
ようにしたものである。イオン源の内部では、イオンと
電子とが均衡したプラズマであって、全体として電気的
中性を保っている。また、チャンバの外壁には多くの磁
石が設置されカスプ磁場をチャンバの内部に形成して、
プラズマをチャンバの中央部に閉じ込める。引出し電極
からイオンがビ−ムとして引き出されると、これは正イ
オンのみであり、電子が存在しない。このため電気的に
中性でない。正イオンの間のク−ロン斥力が直接に作用
しあうことになる。電子の雲によってク−ロン斥力がシ
−ルドされるという事はない。
オンビ−ムエッチング装置、イオン蒸着装置などイオン
ビ−ムを必要とする装置のイオン源の部分の改良に関す
る。イオン源は、真空に引くことのできるチャンバに原
料ガスを導入し、ア−ク放電、高周波放電、マイクロ波
放電などにより原料ガスをプラズマに励起し、引出し電
極系のイオン通し穴からイオンをビ−ムとして取り出す
ようにしたものである。イオン源の内部では、イオンと
電子とが均衡したプラズマであって、全体として電気的
中性を保っている。また、チャンバの外壁には多くの磁
石が設置されカスプ磁場をチャンバの内部に形成して、
プラズマをチャンバの中央部に閉じ込める。引出し電極
からイオンがビ−ムとして引き出されると、これは正イ
オンのみであり、電子が存在しない。このため電気的に
中性でない。正イオンの間のク−ロン斥力が直接に作用
しあうことになる。電子の雲によってク−ロン斥力がシ
−ルドされるという事はない。
【0002】
【従来の技術】従来このような事はあまり問題にされな
かったようである。それにはいくつかの理由があろう。
イオンビ−ム電流が小さい場合は、イオン間の距離が大
きいのであまり問題ではない。従来はビ−ム電流の小さ
いものが多かった。しかし、イオン処理能力の増強のた
めビ−ム電流の大きいものが望まれるようになってきて
いる。また、イオンビ−ムとせずに同じ真空チャンバ内
で、被処理物にイオンを照射しようとする場合も問題は
ない。真空チャンバ内にはイオンの正電荷を中和できる
電子が多量に存在するからである。イオンビ−ムとする
場合であっても、引出し電極系と、被処理物との間にな
にも存在しなければ、被処理物にイオンが衝突する事に
よって発生する二次電子がイオンの正電荷を中和するこ
とができる。この場合は、イオンビ−ムが拡がってもか
まわないので、イオン間のク−ロン斥力による拡がりの
問題は生じない。図2は従来例に係るイオン源の概略図
である。真空チャンバ1の内部にはカソ−ドフィラメン
ト2があり、ガス導入口3から導入されたガスを電離す
る。カソ−ドフィラメント2にはフィラメント電源4が
電力を供給し、カソ−ドフィラメント2とチャンバ1の
間にはア−ク電源5が直流電圧を印加する。カソ−ドフ
ィラメント2が加熱され熱電子を生ずる。熱電子は電界
によって加速されガス分子に当たってこれを電離するの
である。チャンバ1の外壁には永久磁石6があってカス
プ磁場を形成してプラズマを閉じ込める。チャンバの内
壁に沿ってTa板よりなる輻射シ−ルドを設ける事もあ
るがここでは図示しない。チャンバ1の出口には、加速
電極(正電極)7、減速電極(負電極)8、接地電極9
の組み合わせになる引出し電極系10が設けられる。こ
れらには、イオンを引き出すためのひとつ或は複数のイ
オン通し穴、11、12、13が穿孔されている。引出
し電極を通ったあと、リミッタ14を通り、質量分析器
15に入ってここで質量分析される。
かったようである。それにはいくつかの理由があろう。
イオンビ−ム電流が小さい場合は、イオン間の距離が大
きいのであまり問題ではない。従来はビ−ム電流の小さ
いものが多かった。しかし、イオン処理能力の増強のた
めビ−ム電流の大きいものが望まれるようになってきて
いる。また、イオンビ−ムとせずに同じ真空チャンバ内
で、被処理物にイオンを照射しようとする場合も問題は
ない。真空チャンバ内にはイオンの正電荷を中和できる
電子が多量に存在するからである。イオンビ−ムとする
場合であっても、引出し電極系と、被処理物との間にな
にも存在しなければ、被処理物にイオンが衝突する事に
よって発生する二次電子がイオンの正電荷を中和するこ
とができる。この場合は、イオンビ−ムが拡がってもか
まわないので、イオン間のク−ロン斥力による拡がりの
問題は生じない。図2は従来例に係るイオン源の概略図
である。真空チャンバ1の内部にはカソ−ドフィラメン
ト2があり、ガス導入口3から導入されたガスを電離す
る。カソ−ドフィラメント2にはフィラメント電源4が
電力を供給し、カソ−ドフィラメント2とチャンバ1の
間にはア−ク電源5が直流電圧を印加する。カソ−ドフ
ィラメント2が加熱され熱電子を生ずる。熱電子は電界
によって加速されガス分子に当たってこれを電離するの
である。チャンバ1の外壁には永久磁石6があってカス
プ磁場を形成してプラズマを閉じ込める。チャンバの内
壁に沿ってTa板よりなる輻射シ−ルドを設ける事もあ
るがここでは図示しない。チャンバ1の出口には、加速
電極(正電極)7、減速電極(負電極)8、接地電極9
の組み合わせになる引出し電極系10が設けられる。こ
れらには、イオンを引き出すためのひとつ或は複数のイ
オン通し穴、11、12、13が穿孔されている。引出
し電極を通ったあと、リミッタ14を通り、質量分析器
15に入ってここで質量分析される。
【0003】従来は正イオン間のク−ロン斥力があまり
問題にされていなかったのである。しかし、イオンビ−
ムの密度が高くなると、ク−ロン斥力は重大な問題を生
ずる。イオン相互の静電界の作用を問題にしたものとし
て、空間電荷制限電流というものが知られている。これ
は進行方向の運動に関する考案であって本質的に一次元
の取り扱いである。進行方向と直角の方向へのク−ロン
斥力の作用はこれまであまり問題にされていなかったよ
うである。それにはそれなりの理由があり、これについ
ても説明した。イオンビ−ム電流が大きくなるとともに
正イオン間のク−ロン斥力による横方向への拡散が問題
になってくる。
問題にされていなかったのである。しかし、イオンビ−
ムの密度が高くなると、ク−ロン斥力は重大な問題を生
ずる。イオン相互の静電界の作用を問題にしたものとし
て、空間電荷制限電流というものが知られている。これ
は進行方向の運動に関する考案であって本質的に一次元
の取り扱いである。進行方向と直角の方向へのク−ロン
斥力の作用はこれまであまり問題にされていなかったよ
うである。それにはそれなりの理由があり、これについ
ても説明した。イオンビ−ム電流が大きくなるとともに
正イオン間のク−ロン斥力による横方向への拡散が問題
になってくる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】イオン引出し電極系と
被処理物の間になにもなければ、二次電子(被処理物表
面で生じる)がイオンビ−ムを中和することもある。し
かし、単純に全てのイオンビ−ムを被処理物に当てるの
ではなく、特定の種類のイオンビ−ムを加速して当てる
必要がある。この場合、引出し電極と被処理物との間に
質量分析器と加速管とを設けることになる。このような
ものがあると、被処理物から二次電子が戻ってくるとい
う事はあり得ない。質量分析器の存在はもうひとつ新た
な問題を生ずる。質量分析器の入口に於いてイオンビ−
ムが拡がっていてはならないという事である。磁界、電
界の作用でイオンビ−ムを選択するものであるから、入
口でのイオンビ−ムに拡がりがあると、精確な質量分析
ができない。このような難点を解決するためには、イオ
ンビ−ム電流が大きい場合であってもイオンの正電荷を
中和できるようにすればよい。本発明は高密度の正イオ
ンを電子によって中和するようにした装置を提供する。
被処理物の間になにもなければ、二次電子(被処理物表
面で生じる)がイオンビ−ムを中和することもある。し
かし、単純に全てのイオンビ−ムを被処理物に当てるの
ではなく、特定の種類のイオンビ−ムを加速して当てる
必要がある。この場合、引出し電極と被処理物との間に
質量分析器と加速管とを設けることになる。このような
ものがあると、被処理物から二次電子が戻ってくるとい
う事はあり得ない。質量分析器の存在はもうひとつ新た
な問題を生ずる。質量分析器の入口に於いてイオンビ−
ムが拡がっていてはならないという事である。磁界、電
界の作用でイオンビ−ムを選択するものであるから、入
口でのイオンビ−ムに拡がりがあると、精確な質量分析
ができない。このような難点を解決するためには、イオ
ンビ−ム電流が大きい場合であってもイオンの正電荷を
中和できるようにすればよい。本発明は高密度の正イオ
ンを電子によって中和するようにした装置を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の装置は、引出し
電極系に主イオンビ−ムの通し穴の他に副イオン通し穴
を穿ち、副イオン通し穴の前方に二次電子放出板を設け
たものである。イオンビ−ムは副イオン通し穴を通って
二次電子放出板に当たり、二次電子を放出する。この二
次電子が主たるイオンビ−ムに混合されるので、電気的
に正イオンビ−ムを中和することができる。つまり引出
し電極を出た後も電気的中性を保ちうるのである。こう
するとイオンのク−ロン斥力、ク−ロンポテンシャルは
高速の電子によって遮蔽されてしまうから、イオン間斥
力が消えてしまう。横方向への拡散の問題も解決され
る。二次電子放出板は通常の金属板であってよい。C
u、Al、Au、W、Mo、Cr、Fe・・・など任意
である。スパッタ率の高いものが望ましい。しかし金属
でなくても二次電子を出すものは存在するから、誘電体
などを用いることもできる。1個のイオンが衝突したと
きに発生する二次電子の個数は材料にもよるし、イオン
の運動エネルギ−、イオンの種類にも依存する。また、
板に対するイオンの入射角にもよる。二次電子は、イオ
ンひとつ当たり1〜10個程度出るようにする。イオン
の種類やエネルギ−は、イオンビ−ムの条件によって決
まるので自由に選べるパラメ−タではない。そこで二次
電子放出板の傾角を変えることによって、二次電子の発
生量を加減することができる。
電極系に主イオンビ−ムの通し穴の他に副イオン通し穴
を穿ち、副イオン通し穴の前方に二次電子放出板を設け
たものである。イオンビ−ムは副イオン通し穴を通って
二次電子放出板に当たり、二次電子を放出する。この二
次電子が主たるイオンビ−ムに混合されるので、電気的
に正イオンビ−ムを中和することができる。つまり引出
し電極を出た後も電気的中性を保ちうるのである。こう
するとイオンのク−ロン斥力、ク−ロンポテンシャルは
高速の電子によって遮蔽されてしまうから、イオン間斥
力が消えてしまう。横方向への拡散の問題も解決され
る。二次電子放出板は通常の金属板であってよい。C
u、Al、Au、W、Mo、Cr、Fe・・・など任意
である。スパッタ率の高いものが望ましい。しかし金属
でなくても二次電子を出すものは存在するから、誘電体
などを用いることもできる。1個のイオンが衝突したと
きに発生する二次電子の個数は材料にもよるし、イオン
の運動エネルギ−、イオンの種類にも依存する。また、
板に対するイオンの入射角にもよる。二次電子は、イオ
ンひとつ当たり1〜10個程度出るようにする。イオン
の種類やエネルギ−は、イオンビ−ムの条件によって決
まるので自由に選べるパラメ−タではない。そこで二次
電子放出板の傾角を変えることによって、二次電子の発
生量を加減することができる。
【0006】
【作用】イオン源チャンバの中のイオンの一部は、引出
し電極の副イオン通し穴を通ってチャンバの外へ出て、
さらに二次電子放出板に当たる。イオンのエネルギ−に
よって板面から二次電子が発生する。また、イオン自体
は散乱される。X線が出ることもある。二次電子放出板
は接地レベルに対して−100V〜−500V程度負に
バイアスしておくとよい。電子がバイアスによって押し
出されるので主イオンビ−ムと混合しやすくなる。主イ
オンビ−ムに電子が混ざるのでこれを電気的に中和する
事ができる。電子のエネルギ−は小さいけれども質量が
小さいので速度は大きい。イオンの速度よりずっと大き
いから、イオンのク−ロン引力によって引っぱられて、
イオンに接近し、ク−ロン力を遮蔽してしまう。する
と、イオン同士の斥力が消えてしまい、横方向には拡が
らなくなる。もしもこの前方に質量分析器がある場合、
電子とイオンは分離してしまう。しかし、電子はイオン
間のク−ロン斥力を質量分析器に入るまでの間だけ遮蔽
できるからそれでよいのである。
し電極の副イオン通し穴を通ってチャンバの外へ出て、
さらに二次電子放出板に当たる。イオンのエネルギ−に
よって板面から二次電子が発生する。また、イオン自体
は散乱される。X線が出ることもある。二次電子放出板
は接地レベルに対して−100V〜−500V程度負に
バイアスしておくとよい。電子がバイアスによって押し
出されるので主イオンビ−ムと混合しやすくなる。主イ
オンビ−ムに電子が混ざるのでこれを電気的に中和する
事ができる。電子のエネルギ−は小さいけれども質量が
小さいので速度は大きい。イオンの速度よりずっと大き
いから、イオンのク−ロン引力によって引っぱられて、
イオンに接近し、ク−ロン力を遮蔽してしまう。する
と、イオン同士の斥力が消えてしまい、横方向には拡が
らなくなる。もしもこの前方に質量分析器がある場合、
電子とイオンは分離してしまう。しかし、電子はイオン
間のク−ロン斥力を質量分析器に入るまでの間だけ遮蔽
できるからそれでよいのである。
【0007】
【実施例】図1は本発明の実施例を示す。これは図2の
ものとほぼ同じであるが、引出し電極系に副イオン通し
穴を穿ちその前方に二次電子放出板を設けたものであ
る。真空チャンバ1は真空に引くことのできる空間であ
るが、内部にカソ−ドフィラメント2が設けられる。ガ
ス導入口3からイオン化すべき原料ガスを導入するよう
になっている。カソ−ドフィラメント2はフィラメント
電源4によって給電され発熱する。チャンバ1とカソ−
ドフィラメント2の間には、ア−ク電源5によって静電
圧が印加されている。カソ−ドフィラメント2から熱電
子が放出され、これが加速され、ガス分子に衝突するの
で、ガス分子がイオン化する。このようにして、電子密
度、イオン密度が増加しア−ク放電が起こる。ガスはプ
ラズマとなる。チャンバ1の外壁には多くの永久磁石6
があって、チャンバ内部にカスプ磁場を形成し、プラズ
マを閉じ込めている。チャンバ1の出口には、加速電極
(正電極)7、減速電極(負電極)8、接地電極9より
なる引出し電極系10が設けられる。これら電極板、
7、8、9はイオンビ−ムを引き出す主イオン通し穴1
1、12、13が穿孔されている。主イオン通し穴1
1、12、13を通ったイオンビ−ムは、リミッタ14
の穴を通り質量分析器15に入る。ここで質量分析され
て、加速され、被処理物(図示せず)に照射される。こ
こでは質量分析器15を通すのでこの孔は各ひとつであ
るが、質量分析器を通さない場合は主イオン通し穴は複
数個あることもある。各電極板7、8、9には主イオン
通し穴の他に副イオン通し穴17、18、19が穿孔さ
れている。これもいくつあってもよいが、ビ−ムの進行
方向に並んでいることが必要である。副イオン通し穴1
7、18、19の前方には二次電子放出板16が斜めに
設置される。この傾角は一定であってもよいが、可変と
することもできる。
ものとほぼ同じであるが、引出し電極系に副イオン通し
穴を穿ちその前方に二次電子放出板を設けたものであ
る。真空チャンバ1は真空に引くことのできる空間であ
るが、内部にカソ−ドフィラメント2が設けられる。ガ
ス導入口3からイオン化すべき原料ガスを導入するよう
になっている。カソ−ドフィラメント2はフィラメント
電源4によって給電され発熱する。チャンバ1とカソ−
ドフィラメント2の間には、ア−ク電源5によって静電
圧が印加されている。カソ−ドフィラメント2から熱電
子が放出され、これが加速され、ガス分子に衝突するの
で、ガス分子がイオン化する。このようにして、電子密
度、イオン密度が増加しア−ク放電が起こる。ガスはプ
ラズマとなる。チャンバ1の外壁には多くの永久磁石6
があって、チャンバ内部にカスプ磁場を形成し、プラズ
マを閉じ込めている。チャンバ1の出口には、加速電極
(正電極)7、減速電極(負電極)8、接地電極9より
なる引出し電極系10が設けられる。これら電極板、
7、8、9はイオンビ−ムを引き出す主イオン通し穴1
1、12、13が穿孔されている。主イオン通し穴1
1、12、13を通ったイオンビ−ムは、リミッタ14
の穴を通り質量分析器15に入る。ここで質量分析され
て、加速され、被処理物(図示せず)に照射される。こ
こでは質量分析器15を通すのでこの孔は各ひとつであ
るが、質量分析器を通さない場合は主イオン通し穴は複
数個あることもある。各電極板7、8、9には主イオン
通し穴の他に副イオン通し穴17、18、19が穿孔さ
れている。これもいくつあってもよいが、ビ−ムの進行
方向に並んでいることが必要である。副イオン通し穴1
7、18、19の前方には二次電子放出板16が斜めに
設置される。この傾角は一定であってもよいが、可変と
することもできる。
【0008】加速電極7には数kV〜数十kVの加速電
圧を印加し、減速電極8には−0.5〜−3kV程度の
負電圧を印加する。接地電極9は0Vとする。こうする
と、正イオンは加速電極7の通し穴11、17を通り抜
けて外部に出てくる。通し穴11を通り、加速電極7と
接地電極9との電位差によって加速されたイオンビ−ム
は、リミッタ14、質量分析器15へと進む。通し穴1
7を通り、加速電極7と接地電極9との間で加速された
イオンビ−ムは二次電子放出板16に衝突し、二次電
子、X線などを叩き出す。二次電子はイオンのエネルギ
−より当然小さいエネルギ−を持つし、複数個の電子が
発生した場合は、エネルギ−は分割されるので小さくな
る。しかし質量が小さいので、なおかなりの速度を持
ち、主流をなすイオンビ−ムの方へク−ロン力によって
引き寄せられ、これのク−ロン力を遮蔽することができ
る。電気的に中和するには、二次電子を放出するための
イオンビ−ムの量I2 と、主イオンビ−ムの量I1 と、
ひとつのイオンによって放出される二次電子の個数nの
間に、 I1 +I2 =nI2 (1) の関係がなくてはならない。nはイオンビ−ムの加速電
圧、二次電子放出板の材料、イオンビ−ムの入射角に依
存する。nを変えるにはこれらのいずれを変えてもよい
のであるが、二次電子放出板は自由に変えるというわけ
にはゆかない。加速電圧は被処理物の物性、照射の目
的、イオンの種類によって決まるので、やはり自由変数
ではない。そこで、二次電子放出板の傾角だけが自由に
変えうるパラメ−タとなりうる。もしもnを変えたいと
いう場合は、二次電子放出板16の傾角を変える機構を
作り、これを操作するようにすればよい。次に正イオン
ビ−ムがどれだけ発散するのかということを考察する。
正イオンビ−ムは主イオン通し穴11、12、13を通
過する。これの半径をrとすると、イオンビ−ムは半径
rの円筒ビ−ムになる。イオン密度をNとすると、ビ−
ムの最外周での電場の大きさはガウスの定理divD=
ρから、これを円筒の積分に適用して、 2πrε0 E=πr2 Nq (2) となる。ε0 は真空の誘電率、Eは最外周での外向き電
場、qはイオンの電荷である。Eqの力をイオンが受け
るので、半径方向に向かう加速度αはEq/mである。
圧を印加し、減速電極8には−0.5〜−3kV程度の
負電圧を印加する。接地電極9は0Vとする。こうする
と、正イオンは加速電極7の通し穴11、17を通り抜
けて外部に出てくる。通し穴11を通り、加速電極7と
接地電極9との電位差によって加速されたイオンビ−ム
は、リミッタ14、質量分析器15へと進む。通し穴1
7を通り、加速電極7と接地電極9との間で加速された
イオンビ−ムは二次電子放出板16に衝突し、二次電
子、X線などを叩き出す。二次電子はイオンのエネルギ
−より当然小さいエネルギ−を持つし、複数個の電子が
発生した場合は、エネルギ−は分割されるので小さくな
る。しかし質量が小さいので、なおかなりの速度を持
ち、主流をなすイオンビ−ムの方へク−ロン力によって
引き寄せられ、これのク−ロン力を遮蔽することができ
る。電気的に中和するには、二次電子を放出するための
イオンビ−ムの量I2 と、主イオンビ−ムの量I1 と、
ひとつのイオンによって放出される二次電子の個数nの
間に、 I1 +I2 =nI2 (1) の関係がなくてはならない。nはイオンビ−ムの加速電
圧、二次電子放出板の材料、イオンビ−ムの入射角に依
存する。nを変えるにはこれらのいずれを変えてもよい
のであるが、二次電子放出板は自由に変えるというわけ
にはゆかない。加速電圧は被処理物の物性、照射の目
的、イオンの種類によって決まるので、やはり自由変数
ではない。そこで、二次電子放出板の傾角だけが自由に
変えうるパラメ−タとなりうる。もしもnを変えたいと
いう場合は、二次電子放出板16の傾角を変える機構を
作り、これを操作するようにすればよい。次に正イオン
ビ−ムがどれだけ発散するのかということを考察する。
正イオンビ−ムは主イオン通し穴11、12、13を通
過する。これの半径をrとすると、イオンビ−ムは半径
rの円筒ビ−ムになる。イオン密度をNとすると、ビ−
ムの最外周での電場の大きさはガウスの定理divD=
ρから、これを円筒の積分に適用して、 2πrε0 E=πr2 Nq (2) となる。ε0 は真空の誘電率、Eは最外周での外向き電
場、qはイオンの電荷である。Eqの力をイオンが受け
るので、半径方向に向かう加速度αはEq/mである。
【0009】通し穴13を出た後、質量分析器に入るま
での走行時間tは、通し穴から質量分析器までの距離l
をイオンの速度vで割ったもので t=l/v (3) となり、t時間に於けるイオンの側方への偏奇をsとす
ると、 s=αt2 /2=rNq2 l2 /(4mε0 v2 ) (4) となるが、イオン電流をIとすると I=πr2 Nqv (5) である。加速電圧をVとすると、 v=(2qV/m)1/2 (6) であり、結局偏奇sは s=l2 m1/2 I/(8・21/2 πq1/2 ε0 rV3/2 ) (7) という事になる。sは加速電圧Vが小さく、イオン通し
穴半径rが小さく、イオン電流Iが大きく、飛程lが大
きいほど大きいということが分かる。イオンの質量数を
Mとすると、原子質量単位Maを用いてm=MMaと書
ける。MKS単位系を用いて、 s=3.22×105 l2 IM1/2 /(rV3/2 ) (8) と書ける。例えば、l=100mm=0.1m、r=5
0mm=0.05m、V=10kV=104 V、M=3
5、I=100mA=0.1Aと仮定すると、 s=0.038m (9) となる。電流Iが大きく、飛程lが長いと、イオンの横
方向の偏奇sは無視できない大きさになる。本発明は二
次電子によって正イオン同士のク−ロン力を遮蔽し反発
力を消減させるから、イオンビ−ムの拡散を防ぐことが
できる。さらに二次電子放出板16に負電圧のバイアス
を印加すると、電子は2つの二次電子放出板16の中間
位置に閉じ込められる。つまり主イオンビ−ムの経路の
中心に於いて電子密度が高いという事になる。すると正
イオンに対して、経路の中心に向かうポテンシャルが発
生する。このため正イオンが収束するということにな
る。また、イオン電流が大きくなると二次電子の発生量
が多くなるので、電荷を中和する作用も自動的に大きく
なる。
での走行時間tは、通し穴から質量分析器までの距離l
をイオンの速度vで割ったもので t=l/v (3) となり、t時間に於けるイオンの側方への偏奇をsとす
ると、 s=αt2 /2=rNq2 l2 /(4mε0 v2 ) (4) となるが、イオン電流をIとすると I=πr2 Nqv (5) である。加速電圧をVとすると、 v=(2qV/m)1/2 (6) であり、結局偏奇sは s=l2 m1/2 I/(8・21/2 πq1/2 ε0 rV3/2 ) (7) という事になる。sは加速電圧Vが小さく、イオン通し
穴半径rが小さく、イオン電流Iが大きく、飛程lが大
きいほど大きいということが分かる。イオンの質量数を
Mとすると、原子質量単位Maを用いてm=MMaと書
ける。MKS単位系を用いて、 s=3.22×105 l2 IM1/2 /(rV3/2 ) (8) と書ける。例えば、l=100mm=0.1m、r=5
0mm=0.05m、V=10kV=104 V、M=3
5、I=100mA=0.1Aと仮定すると、 s=0.038m (9) となる。電流Iが大きく、飛程lが長いと、イオンの横
方向の偏奇sは無視できない大きさになる。本発明は二
次電子によって正イオン同士のク−ロン力を遮蔽し反発
力を消減させるから、イオンビ−ムの拡散を防ぐことが
できる。さらに二次電子放出板16に負電圧のバイアス
を印加すると、電子は2つの二次電子放出板16の中間
位置に閉じ込められる。つまり主イオンビ−ムの経路の
中心に於いて電子密度が高いという事になる。すると正
イオンに対して、経路の中心に向かうポテンシャルが発
生する。このため正イオンが収束するということにな
る。また、イオン電流が大きくなると二次電子の発生量
が多くなるので、電荷を中和する作用も自動的に大きく
なる。
【0010】
【発明の効果】高密度のイオンビ−ムを発生するイオン
源に於いて、イオンの一部を用いて二次電子を発生さ
せ、この二次電子によって正イオンの電荷を中和させる
ようにしているから、本発明によれば、ビ−ム拡がりの
少ない高密度イオンビ−ムを生ずることができる。質量
分析器に入れる場合、質量分析の誤差が少なくなる。
源に於いて、イオンの一部を用いて二次電子を発生さ
せ、この二次電子によって正イオンの電荷を中和させる
ようにしているから、本発明によれば、ビ−ム拡がりの
少ない高密度イオンビ−ムを生ずることができる。質量
分析器に入れる場合、質量分析の誤差が少なくなる。
【図1】本発明の実施例にかかるイオン源の概略断面
図。
図。
【図2】従来例にかかるイオン源の概略断面図。
1 チャンバ 2 カソ−ドフィラメント 3 ガス導入口 4 フィラメント電源 5 ア−ク電源 6 永久磁石 7 加速電極 8 減速電極 9 接地電極 10 引出し電極系 11、12、13 イオン通し穴 14 リミッタ 15 質量分析器 16 二次電子放出板 17、18、19 副イオン通し穴
Claims (1)
- 【請求項1】 真空チャンバの中へガスを導入し放電に
よってプラズマに励起し、引出し電極系に電圧を印加す
る事により引出し電極系のイオン通し穴からイオンビ−
ムを引き出すようにしたイオンビ−ム発生装置におい
て、引出し電極系に主イオン通し穴の他に副イオン通し
穴を穿孔し、副イオン通し穴の前方には二次電子放出板
を斜めに取り付け副イオン通し穴から出たイオンが二次
電子放出板に衝突して二次電子を発生するようにしてあ
り、ここで発生した二次電子が主イオン通し穴を通った
イオンビ−ムと混合されイオンの正電荷を中和するよう
にした事を特徴とする空間電荷中和装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3353777A JPH05174763A (ja) | 1991-12-18 | 1991-12-18 | 空間電荷中和装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3353777A JPH05174763A (ja) | 1991-12-18 | 1991-12-18 | 空間電荷中和装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05174763A true JPH05174763A (ja) | 1993-07-13 |
Family
ID=18433151
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3353777A Pending JPH05174763A (ja) | 1991-12-18 | 1991-12-18 | 空間電荷中和装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05174763A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020514957A (ja) * | 2016-12-16 | 2020-05-21 | リライアンス プレシジョン リミテッド | 荷電粒子ビームを使用した積層造形に関する改善 |
-
1991
- 1991-12-18 JP JP3353777A patent/JPH05174763A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020514957A (ja) * | 2016-12-16 | 2020-05-21 | リライアンス プレシジョン リミテッド | 荷電粒子ビームを使用した積層造形に関する改善 |
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