JPH05169622A - オフセット印刷方法及びその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】安価で、取扱いの容易な種々の印刷要求に対応
することができるようにしたことを主要な特徴とする。 【構成】インキＰを盛付けた平板状の刷版１１に、平板
状に支持されたインキシート４２を押圧して、インキシ
ート４２に刷版のインキを移し、次に、このインキシー
ト４２をワーク２１に押圧して、ワーク２１に印刷パタ
ーンを印刷する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えばプリント配線基
板あるいは画像表示装置等の部品の高精度印刷に適した
オフセット印刷方法及びその装置に係り、詳しくはイン
キの転送手段に改良を施したオフセット印刷方法及びそ
の装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の高精度印刷には、例えば
オフセット輪転機やオフセット校正機等が多用されてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のオフセット輪転機やオフセット校正機では、
シート状の刷版を版胴に巻き付けて固定する際の刷版の
変形や、刷版からワークの表面にインキを転送するブラ
ンケットの変形、あるいはブランケットとワークとの相
対位置の変動などにより、印刷される画線の位置精度の
不良や画線の歪などが発生し易いばかりでなく、高価格
で、取扱いが繁雑で、機械容積が大きいなどの不具合に
より、高精度の印刷や小ロットの被印刷物への対応が容
易に行なえないという問題があった。

【０００４】本発明は、上記の事情のもとになされたも
ので、その目的とするところは、高精度印刷等の種々の
印刷要求に対応することができるようにした安価で、取
扱いの容易なオフセット印刷方法及びその装置を提供す
ることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、本発明は、版台上に載置され、かつ凹版、凸版
または平版よりなる印刷パターンが形成された平板状の
刷版の表面にインキを塗布し盛付ける工程と、この刷版
の表面に平板状に支持されたインキシートを接近させる
工程と、このインキシートの背面を押圧し、かつ該イン
キシートの表面と前記刷版の表面とを接触させて、該イ
ンキシートの表面にインキを転写させる工程と、このイ
ンキシートをワークプレートに載置されたワークの表面
に移動し接近させる工程と、このワークの表面に接近し
たインキシートの背面を押圧し、かつ該インキシートの
表面と前記ワークの表面とを接触させて、該インキシー
トの表面のインキを転写させる工程とを具備したことを
特徴とするオフセット印刷方法にある。

【０００６】また、本発明は、版台と、この版台上に載
置され、かつ凹版、凸版または平版よりなる印刷パター
ンが形成された平板状の刷版と、この刷版の表面にイン
キを塗布し盛付けるインキ盛付け手段と、このインキ盛
付け手段にてインキが盛付けられた刷版の表面及びワー
クプレートに載置されたワークの表面に対し平板状に支
持されたインキシートをそれぞれ相対的に接近させるイ
ンキシート接近手段と、このインキシートの背面を押圧
し、かつ該インキシートの表面と前記刷版及びワークの
表面とをそれぞれ接触させて、該インキシートの表面に
インキを転写させるとともに、該インキシートの表面の
インキをワークに転写させる加圧手段とを具備してなる
オフセット印刷装置にある。

【０００７】この場合、前記インキシートに複数のアラ
イメントマークを設け、これらアライメントマークの位
置を、前記インキシートと刷版、またはワークに接近さ
せた状態で検出して、該アライメントマークに合わせて
刷版及びワークの位置を修正するように構成することが
好ましい。

【０００８】

【作用】すなわち、本発明は、インキを盛付けた平板状
の刷版に、平板状に支持されたインキシートを押圧し
て、インキシートに刷版のインキを移し、次に、このイ
ンキシートをワークに押圧して、ワークに印刷パターン
を印刷するようになっているために、刷版からインキシ
ートへの転写時と、インキシートからワークへの印刷時
におけるインキシートの変形がほぼ等しくなり、これに
よって、ワークへの高精度な印刷が可能になる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照しなが
ら詳細に説明すると、図１は本発明に係るオフセット印
刷装置の全体構成を概略的に示すもので、図中１は基台
である。

【００１０】この基台１上には、第１の給排気系路２を
介して水平面内でＸ−Ｙ２方向及び回転角度調整可能な
第１の移動テーブル３と、この第１の移動テーブル３に
対して後述するキャリヤの移動方向に隣接させて設けら
れかつ第２の給排気系路４を介して水平面内でＸ−Ｙ２
方向及び回転角度調整可能な第２の移動テーブル５とが
配置されている。

【００１１】前記第１の移動テーブル３上には、版台１
０が固定され、この版台１０上には、平板状の刷版１１
が載置されているとともに、この刷版１１の表面１１ａ
には、例えば凹版、凸版または平版などを利用して所定
の画線を印刷するための印刷パターンが構成されてい
る。一方、前記第２の移動テーブル５上には、ワークプ
レート２０が固定されているとともに、このワークプレ
ート２０上には、ワーク２１が載置されている。

【００１２】また、図中３０は前記第１の移動テーブル
３の上方に配置したインキ装置で、このインキ装置３０
は、内部にインキ供給手段としてのインキフィーダ３１
を有する

【００１３】このインキフィーダ３１は、インキＰが収
容されたインキ収容部としてのインキポット３２と、こ
のインキポット３２からインキＰを取り出す元ロール３
３からなり、この元ロール３３には、フィードロール３
４が接離自在に設けられている。

【００１４】このフィードロール３４は、前記元ロール
３３から取り出されたインキＰを複数の練りロール３
５、３６、３７に付着させるようになっているととも
に、これら練りロール３５、３６、３７により練り上げ
られたインキＰを、前記インキ装置３０の下部に臨ませ
た付けロール３８に付着させてなる構成を有する。

【００１５】すなわち、前記インキ装置３０は、前記第
１の移動テーブル３の版台１０上に載置された刷版１１
の表面１１ａ上を平行移動Ａさせることにより、刷版１
１の表面１１ａに付けロール３８を介してインキＰを塗
布し均一な厚さで盛付けるようになっているものであ
る。さらに、図中４０は前記第１の移動テーブル３の版
台１０上に載置された刷版１１の表面１１ａ上に対応位
置させたキャリアである。

【００１６】このキャリア４０は、前記第２の移動テー
ブル５のワークプレート２０上に載置されたワーク２１
側に向け平行移動可能になっているとともに、図２に示
すように、矩形の枠４１と、この枠４１の下面に平板状
に支持されたインキシート４２とで構成されている。

【００１７】このインキシート４２は、通常、インキの
付着し易い厚さ１００μm 程度の合成樹脂シートで作成
されるが、印刷される画線の位置精度及び寸法精度が要
求される場合には、図３に示すように、厚さ１００μm
程度の合成樹脂層４３と、厚さ５０μm 程度の合成樹脂
に比して剛性の高いステンレスメッシュまたは多孔金属
シート層４４とで形成することにより、枠４１に対する
位置の安定性が維持されるようになっている。

【００１８】また、図中５０及び６０は前記第１及び第
２の移動テーブル３及び５の上方にそれぞれ設置した第
１及び第２の加圧装置で、これら加圧装置５０、６０は
ゴムローラ５１、６１を有している。

【００１９】次に、上記した本発明に係るオフセット印
刷装置によるワークへの印刷工程を説明すると、まず、
インキ装置３０を図１に示す待機位置から矢印Ａ方向に
移動させて、第１の移動テーブル３の版台１０上に載置
された刷版１１の表面１１ａにインキＰを塗布し均一な
厚さに盛付ける。

【００２０】この刷版１１の表面１１ａへのインキＰの
盛付け後、インキ装置３０を元の待機位置に戻すと同時
に、第１の移動テーブル３の版台１０上に載置された刷
版１１上にキャリヤ４０を接近させる。

【００２１】そして、刷版１１の表面１１ａとキャリヤ
４０の枠４１に支持されたインキシート４２の表面４２
ａとの距離が、０．５〜０．８mm程度に接近した時点
で、第１の加圧装置５０のゴムローラ５１を図１の矢印
Ｂに示す方向に下降させ、このゴムローラ５１にてイン
キシート４２の背面４２ｂを押圧し、インキシート４２
の表面と刷版１１の表面１１ａとを接触させる。

【００２２】この状態で、ゴムローラ５１を図１の矢印
Ｃに示す方向に移動させ、刷版１１の表面１１ａに塗布
されたインキＰをインキシート４２の表面４２ａに転写
させる。

【００２３】そして、ゴムローラ５１を上昇させて元の
待機位置に戻した後、キャリヤ４０を第２の移動テーブ
ル５のワークプレート２０上に載置されているワーク２
１に対応する位置に移動させ、インキシート４２の表面
４２ａとワーク２１の表面との距離が、０．５〜０．８
mm程度に接近した時点で、第２の加圧装置６０のゴムロ
ーラ６１を図１の矢印Ｄに示す方向に下降させ、このゴ
ムローラ６１にてインキシート４２の背面を押圧し、イ
ンキシート４２の表面４２ａとワーク２１の表面２１ａ
とを接触させる。

【００２４】この状態で、ゴムローラ６１を図１の矢印
Ｅに示す方向に移動させ、インキシート４２の表面４２
ａのインキＰをワーク２１の表面に転写させることによ
り、所定の画線をワーク２１の表面２１ａに印刷してな
るものである。

【００２５】このとき、インキシート４２は、図３に示
すように、厚さ１００μm 程度の合成樹脂層４２Ａと、
厚さ５０μm 程度の合成樹脂に比して剛性の高いステン
レスメッシュまたは多孔金属シート層４２Ｂとで形成さ
れ、ステンレスメッシュまたは多孔金属シート層４２Ｂ
は、ゴムローラ５１、６１の押圧力に対して異常な変形
や残留歪等を生じることがないために、ワーク２１の表
面２１ａには、高精度な画線が印刷される。

【００２６】ところで、このような印刷工程において、
気温、稼働時間あるいは休止時間等の影響で刷版１１か
らインキシート４２へのインキの転写機構や、ワーク２
１への印刷機構に変形が発生すると、刷版１１とインキ
シート４２、インキシート４２とワーク２１との水平方
向の相対位置が変化し、インキが付着するインキシート
４２の表面の位置が変化したり、ワーク２１に印刷され
る画線の位置が変化したりする。

【００２７】次に、インキシート４２に対して、刷版１
１を位置決めする動作を図４から図６に基づいて説明す
ると、図４に示すように、インキシート４２の背面４２
ｂには、２個の十字形のアライメントマーク４５、４６
を設けられている。

【００２８】そして、このような十字形マーク等の画像
の位置を検出する一般的な装置としては、図５に示すよ
うに、複数個のイメージセンサ７０、７１、７２、７３
を有するセンサヘッド７４が利用され、このセンサヘッ
ド７４は、矢印７５方向に移動可能になっている。

【００２９】また、基台１にはマーク台７６、７７が固
定されていて、このマーク台７６、７７上にそれぞれ設
けた基準マーク７８、７９をイメージセンサ７０、７３
にて検出し、この基準マーク７８、７９を基準にして固
定されるとともに、インキシート４２のアライメントマ
ーク４５、４６は、イメージセンサ７１、７２にて検出
されるようになっている。

【００３０】このような画像の位置検出装置を用いて、
インキシート４２に対し刷版１１を位置決めするには、
図６に示すように、刷版１１の上側に位置するキャリヤ
４０を移動させ、キャリヤ４０が無い状態でマーク台７
６、７７上の基準マーク７８、７９を基準にして、イメ
ージセンサ７１、７２にて検出される刷版１１のアライ
メントマーク８０、８１の位置と、図５に示すように、
イメージセンサ７１、７２にて検出されるインキシート
４２のアライメントマーク４５、４６の位置との差が所
定の値であれば、移動テーブル３の位置の調整は行なわ
れないが、この差が所定の値よりも大きいと、移動テー
ブル３は図示しないアクチュエータにて図６に示す矢印
Ｘ、Ｙ、θの方向に移動して位置決めが行なわれる。

【００３１】一方、インキシート４２に対するワーク２
１の場合においても、前記したセンサヘッド７４を利用
し、移動テーブル５を移動させることにより位置決めが
行なわれる。

【００３２】ところで、ワーク２１の表面に画線を印刷
した後、インキシート４２はワーク２１より離れるが、
インキシート４２の表面４２ａには、インキの薄膜の一
部が付着しており、この付着インキによる模様、つま
り、残像が形成されるために、次回の印刷において、イ
ンキシート４２と刷版１１との位置合わせを正確に行な
わないと、この残像と、新しく刷版１１より転写される
インキが正確に重ならない。

【００３３】これによって、インキシート４２の表面４
２ａには。肥大した模様が形成され、別のワーク２１に
は、前回のワーク２１とは異なった画線が印刷されるこ
とになる。

【００３４】このため、ワーク２１とインキシート４２
との接触は一度であるが、刷版１１とインキシート４２
とは接触を繰り返すことから、インキシート４２と刷版
１１との位置合わせを厳格に行ない、高精度の画線を印
刷できるようにしている。

【００３５】また、印刷される画線が高精度で細緻なも
のである場合、あるいは重ね刷りや多色印刷が必要な場
合には、図７及び図８に示すようなキャリヤ１００が用
いられる。

【００３６】このキャリヤ１００は、枠１０１に張設さ
れるインキシート１０２を、厚さが１００μm 程度の合
成樹脂層１０３と、厚さが２００〜５００μm 程度の金
属のバックアップシート１０４と、ステンレスメッシュ
または多孔金属シートで作られたサポートシート１０５
等で形成して、枠１０１に１．５kg/cm の張力で直交す
る２方向に張設されている。

【００３７】これによって、前記インキシート１０２を
形成するバックアップシート１０４の剛性は高く、合成
樹脂層１０３の表面に付着するインキは、確実に印刷さ
れる画線の形状を保持するために、ワーク２１の表面２
１ａに高精度で細緻な画線を印刷することが可能にな
る。

【００３８】しかして、上記の構成によれば、例えば図
２に示すキャリヤ４０を用い、比較的小型の配線板で印
刷された画線の最大寸法が８０mmの場合、±２０μm 程
度の位置精度が得られた。

【００３９】また、図７に示すキャリヤ１００を用い、
印刷された画線の最大寸法が８０ｍｍの場合には、±５
μｍ 程度、１５０mmの場合には、±７μm 程度の位置
精度が得られた。

【００４０】さらに、特に外形寸法が５００mmを超える
大型のワーク２１の場合や、使用されるインキの粘着力
が大きい場合には、第１または第２の加圧装置５０、６
０のゴムローラ５１、６１の移動に合わせて、その移動
方向にキャリヤ４０を揺動させることにより、インキシ
ート４２を刷版１１の表面１１ａまたはワーク２１から
容易に引き離すことが可能である。

【００４１】なお、上記した実施例においては、刷版１
１とワーク２１を支持する基台１を固定し、図１に示す
ように、インキシート４２をキャリヤ４０によって左右
または上下に移動させることにより、インキシート４２
を刷版１１とワーク２１に交互に接近させるようにした
が、基台１側を移動させるようにしても良いことは云う
までもなく、この場合、加圧装置５０、６０はいずれか
一方のみで良い。

【００４２】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は、インキを盛付けた平板状の刷版に、平板状に支持さ
れたインキシートを押圧して、インキシートに刷版のイ
ンキを移し、次に、このインキシートをワークに押圧し
て、ワークに印刷パターンを印刷するようになっている
ことから、刷版からインキシートへの転写時と、インキ
シートからワークへの印刷時におけるインキシートの変
形がほぼ等しくなるために、従前のようなオフセット輪
転機やオフセット校正機などにおけるブランケットの変
形及び刷版の変形等の致命的な欠陥を防止でき、しか
も、簡略でかつ安価な構造を有し、取扱い容易で、ワー
クへの高精度な印刷を行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るオフセット印刷装置の一実施例を
示す概略的説明図。

【図２】キャリヤの一例を示す表面を上側にした斜視
図。

【図３】図２のＡ−Ａ線に沿う要部断面図。

【図４】キャリヤ裏面へのアライメントマークの形成状
態を示す斜視図。

【図５】アライメント装置の要部斜視図。

【図６】刷版及び移動テーブルの斜視図。

【図７】キャリヤの他の例を示す表面を上側にした斜視
図。

【図８】図７のＢ−Ｂ線に沿う要部断面図。

【符号の説明】

１０…版台、１１…刷版、１１ａ…表面、２０…ワーク
プレート、２１…ワーク、２１ａ…表面、３０…インキ
装置、４０…キャリヤ、４１…枠、４２…インキシー
ト、４５，４６，８０，８１…アライメントマーク、５
０，６０…加圧装置、７０，７１，７２，７３…イメー
ジセンサ、７８，７９…基準マーク、Ｐ…インキ。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】版台上に載置され、かつ凹版、凸版または
   平版よりなる印刷パターンが形成された平板状の刷版の
   表面にインキを塗布し盛付ける工程と、 この刷版の表面に平板状に支持されたインキシートを接
   近させる工程と、 このインキシートの背面を押圧し、かつ該インキシート
   の表面と前記刷版の表面とを接触させて、該インキシー
   トの表面にインキを転写させる工程と、 このインキシートをワークプレートに載置されたワーク
   の表面に移動し接近させる工程と、 このワークの表面に接近したインキシートの背面を押圧
   し、かつ該インキシートの表面と前記ワークの表面とを
   接触させて、該インキシートの表面のインキを転写させ
   る工程とを具備したことを特徴とするオフセット印刷方
   法。
2. 【請求項２】版台と、 この版台上に載置され、かつ凹版、凸版または平版より
   なる印刷パターンが形成された平板状の刷版と、 この刷版の表面にインキを塗布し盛付けるインキ盛付け
   手段と、 このインキ盛付け手段にてインキが盛付けられた刷版の
   表面及びワークプレートに載置されたワークの表面に対
   し平板状に支持されたインキシートをそれぞれ相対的に
   接近させるインキシート接近手段と、 このインキシートの背面を押圧し、かつ該インキシート
   の表面と前記刷版及びワークの表面とをそれぞれ接触さ
   せて、該インキシートの表面にインキを転写させるとと
   もに、該インキシートの表面のインキをワークに転写さ
   せる加圧手段とを具備したことを特徴とするオフセット
   印刷装置。
3. 【請求項３】インキシートが、合成樹脂シートと、ステ
   ンレスメッシュまたは多孔金属シート層とで形成された
   シート、あるいは合成樹脂層、金属のバックアップシー
   ト層、並びにステンレスメッシュまたは多孔金属シート
   層とで形成されたシートのいずれかであることを特徴と
   する請求項２記載のオフセット印刷装置。
4. 【請求項４】インキシートに複数のアライメントマーク
   を設け、これらアライメントマークの位置を、前記イン
   キシートと刷版、またはワークに接近させた状態で検出
   して、該アライメントマークに合わせて刷版及びワーク
   の位置を修正するように構成したことを特徴とする請求
   項２または３記載のオフセット印刷装置。