JPH0516710Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、例えばビデオテープレコーダのよう
な記録再生装置に適用するのに最適なテープカセ
ツトであつて、特に、上ハーフと下ハーフとから
構成されたカセツト筐体と、このカセツト筐体内
に回転自在に収納された左右一対のリールと、上
記一対のリールの中央部を上方から弾性的に押圧
するために、上記上ハーフの内面に取付けた板ば
ねとをそれぞれ備えたテープカセツトに関するも
のである。

［背景技術とその問題点］ 第１図及び第２図は、この種ビデオテープレコ
ーダ用テープカセツトの従来例を示したものであ
る。

まず、カセツト筐体１は、共に合成樹脂にて一
体成形された上ハーフ２と下ハーフ３とで構成さ
れていて、上ハーフ２と下ハーフ３とは上下から
嵌合されてビス止め等にて互いに一体に結合され
ている。そしてカセツト筐体１内には、左右一対
のリール４，５がそれぞれ回転自在に収納されて
いて、これら両リール４，５に磁気テープ６が巻
装されている。なおカセツト筐体１の前面開口７
側には、回動自在の前蓋８が取付けられていて、
磁気テープ６は一対のテープガイド９，１０にて
案内されて、前蓋８の内側に沿つて前面開口７を
横断する状態に架け渡されている。また上ハーフ
２にはカセツト筐体１の内部透視用の透明窓板１
１が設けられている。

次にカセツト筐体１内で、上ハーフ２の内面と
両リール４，５の上面との間に空間部分には板ば
ね１３が収納されている。この板ばね１３はほゞ
Ｖ形状に屈曲されたものであつて、中央部１３ａ
に設けられた小孔１４を上ハーフ２の内面に一体
に成形された溶着ダボ１５に挿通し、この溶着ダ
ボ１５の下端を溶着することによつて上ハーフ２
の内面に固定されている。そしてこの板ばね１３
のＶ形状をなす一対の腕部１３ｂ，１３ｃの先端
１３b′，１３c′が、両リール４，５の上面中央部
に一体に成形された小突起１６を上方から弾性的
に押圧し、これら両リール４，５を下ハーフ３側
に押し付けている。なお板ばね１３の中央部１３
ａで溶着ダボ１５と反対側の部分は、上ハーフ２
の内面に一体に成形されたビス止め用ボス１７に
係合されてこの板ばね１３の回り止めがなされて
いる。

次にこのテープカセツトをビデオテープレコー
ダ（図示せず）に装着すると、第２図に示すよう
にビデオテープレコーダ側に設けられている一対
のリール台１９が、下ハーフ３に設けられている
一対のリール台挿入孔２１からカセツト筐体１内
に挿入される。そしてこれら両リール台１９によ
つて両リール４，５が板ばね１３の弾性に抗して
上方に押し上げられて、これら両リール４，５が
下ハーフ３の上方に所定高さに浮上されて回転可
能となるように構成されている。

ところで以上のように構成された従来のテープ
カセツトでは、ほゞＶ形状に屈曲された板ばね１
３の中央部１３ａを溶着ダボ１５にて上ハーフ２
の内面に固定しており、その溶着ダボ１５による
固定点が板ばね１３の両腕部１３ｂ，１３ｃの中
心線P₁からずれている関係で、上述のように両
リール４，５が上方に押し上げられた際に、板ば
ね１３の両腕部１３ｂ，１３ｃが斜めに捩られ易
くなつていた。このため板ばね１３の押圧力の方
向が両リール４，５の軸線方向からずれてしま
い、両リール４，５を両リール台１９上で垂直に
押圧できず、両リール４，５の回転が不安定にな
る欠陥があつた。

またこの板ばね１３は、ばね板材の打抜加工に
よつて成形されるが、従来のようにほゞＶ形状に
打抜くものは、その打抜加工時の材料の歩留りが
非常に悪く、この板ばね１３は極めてコスト高に
つく欠陥もあつた。

［考案の目的］ 本考案は、上述のような欠陥を是正することが
できるテープカセツトを提供しようとするもので
ある。

［考案の概要］ 本考案は、上ハーフと下ハーフとから構成され
たカセツト筐体と、このカセツト筐体内に回転自
在に収納された左右一対のリールと、上記一対の
リールの中央部を上方から弾性的に押圧するため
に、上記上ハーフの内面に取付けた板ばねとをそ
れぞれ備えたテープカセツトにおいて、上記一対
のリールの少なくとも回転中心を含むリールハブ
の少なくとも一部とテープ巻回量とを外部から透
視出来るように、上記一対のリールに対して共通
に上記上ハーフに透明窓部が設けられ、上記板ば
ねは、上記一対のリールにそれぞれ対応して互い
に分割された一対の帯状板から構成され、上記各
帯状板は、その一端部を上記上ハーフの内面に一
体に成形された溶着ダボにより固定されると共
に、その中間部から他端部にかけて上記上ハーフ
の内面から下方に次第に浮上るように構成され、
上記各帯状板の上記他端部は、上記透明窓部に臨
んでいて上記一対のリールのそれぞれの中央部を
上方から弾性的に押圧し、上記各帯状板の上記上
ハーフの内面から次第に浮上る中間部の左右両側
を位置規制するために、上記上ハーフの内面の上
記透明窓部から見えない箇所にこの上ハーフの内
面から下方に突出した互いに平行状の左右一対の
ガイドリブが設けられたものである。

従つて、本考案によれば、ほぼＶ字状に屈曲さ
れた共通の板ばねを用いて一対のリールを押圧さ
せるようにした従来の場合のように、一対のリー
ルが上方に押し上げられる際に一対の帯状板が斜
めに捩られることは全くないから、これらの帯状
板による一対のリールに対する押圧力は、これら
のリールのほぼ軸線方向に安定して作用し、この
ためにこれらのリレーの回転を極めて安定させる
ことができる。また、帯状板は上ハーフの内面で
横ずれを起こすことがなく、さらに、帯状板の一
端部を溶着ダボにて上ハーフの内面に固定する溶
着作業時に、帯状板の上ハーフの内面から下方に
次第に浮上る中間部が上ハーフの内面に沿つてす
べることにより、帯状板が溶着ダボを中心に回転
してしまう不都合が全く発生しないから、帯状板
の溶着作業を極めて容易に行え、しかも、上ハー
フの内面に一体に成形された互いに平行状の左右
一対のガイドリブは上ハーフの補強用リブを兼用
するので、上ハーフの強度が向上して堅牢なテー
プカセツトが得られる。また、一対のリールの少
なくとも回転中心を含むリールハブの少なくとも
一部とテープ巻回量とを外部から透視できるよう
に一対のリールに対して共通に設けられた透明窓
部には、ガイドリブは臨んでおらず、また、一対
の帯状板もその先端部が臨んでいるだけであるか
ら、テープの巻回量だけでなく、リールハブの回
転状態を通じてリールの回転状態をも確実に監視
することができ、また、透明窓部を通して見える
テープカセツトの内部構造の美観を向上させるこ
とができる。また、帯状板はシンプルな形状でか
つ小型で良いから、これらの帯状板をばね板材か
ら打抜き加工するときの歩留りが良く、このため
に板ばねの製造コストを極めて低くすることがで
きる。

〔実施例〕

以下、本考案をビデオテープレコーダ用のテー
プカセツトに適用した一実施例を図面に基づいて
説明する。なお第１図及び第２図に示した従来例
と同一構造部には同一の符号を附してその説明を
省略する。

まず第３図〜第５図に示すように、上ハーフ２
の内面と両リール４，５の上面との間に収納され
る板ばねが、互いに分割された一対の帯状板２
３，２４にて形成されている。これら両帯状板２
３，２４はステンレス板やリン青銅板のようなば
ね板材にて構成されたもので、その一端部２３
ａ，２４ａに設けられた小孔２５を上ハーフ２の
内面に一体に成形された一対の溶着ダボ２６に挿
通させ、この一対の溶着ダボ２６の下端を溶着す
ることによつて上ハーフ２の内面に固定されてい
る。そして両帯状板２３，２４は中間部２３ｃ，
２４ｃから他端部２３ｂ，２４ｂにかけて上ハー
フ２の内面から下方に次第に浮上るように構成さ
れていて、両帯状板２３，２４の他端部２３ｂ，
２４ｂが両リール４，５の上面中央部に設けられ
た小突起１６を上方から弾性的に押圧し、両リー
ル４，５を下ハーフ３側に押し付けている。

次に、両帯状板２３，２４の上ハーフ２の内面
から下方に次第に浮上る中間部２３ｃ，２４ｃの
両側には、互いに平行状の左右一対のガイドリブ
２７ａ，２７ｂ及び２８ａ，２８ｂが上ハーフ２
の内面に、この内面から下方に突出された状態で
一体に成形されている。そしてこれらガイドリブ
２７ａ，２７ｂ及び２８ａ，２８ｂによつて両帯
状板２３，２４の中間部２３ｃ，２４ｃの両側が
位置規制されている。

本考案のテープカセツトは以上のように構成さ
れている。そしてこのテープカセツトによれば、
まず、両帯状板２３，２４はばね板材を帯状に打
抜いて成形される。このため両帯状板２３，２４
は打抜き加工時の歩留りが良く、これら両帯状板
２３，２４の製造コストは極めて低いものとなつ
ている。

次に両帯状板２３，２４を上ハーフ２の内面に
固定する際には、上ハーフ２の内面に一体に成形
された一対のガイドリブ２７ａ，２７ｂ及び２８
ａ，２８ｂによつて両帯状板２３，２４の中間部
２３ｃ，２４ｃの両側が位置規制される。このた
め、両帯状板２３，２４の一端部２３ａ，２４ａ
において溶着ダボ２６の下端を溶着する際に、両
帯状板２３，２４が上ハーフ２の内面で横ずれ
（小孔２５を中心に回転してしまうこと）を起す
ことがなく、その溶着作業を極めて容易に行うこ
とができる。

次に、テープカセツトをビデオテープレコーダ
に装着すると、従来と同様にして第４図に示すよ
うに、両リール台１９によつて両リール４，５が
両帯状板２３，２４の弾性に抗して上方に押し上
げられて、これら両リール４，５が下ハーフ３の
上方に所定高さに浮上されて回転可能にされる。
この際、両溶着ダボ２６による両帯状板２３，２
４の固定点がこれら両帯状板２３，２４の中心線
P₂上に位置されている関係で、これら両帯状板
２３，２４が弾性に抗して上方に押し上げられた
際に、これら両帯状板２３，２４が斜めに捩られ
ることは全くない。従つて、両帯状板２３，２４
による押圧力の方向は、両リール４，５のほゞ軸
線方向に安定して作用し、両リール４，５を両リ
ール台１９上でほゞ垂直に安定良く押圧すること
ができ、両リール４，５の回転を極めて安定させ
ることができる。しかもこの際に、一対のガイド
リブ２７ａ，２７ｂ及び２８ａ，２８ｂによつて
両帯状板２３，２４の中間部２３ｃ，２４ｃの両
側が位置規制され、両帯状板２３，２４は位置ず
れが生じることがない。このため、両帯状板２
３，２４の溶着を一端部２３ａ，２４ａの溶着ダ
ボ２６だけで済ますことができ、両リール４，５
を押圧する部分である他端部２３ｂ，２４ｂまで
のストロークを充分大きくとることができる。従
つて両帯状板２３，２４による両リーク４，５の
押圧は、より一層確実になつている。

［応用例］ 以上本考案の一実施例について述べたが、本考
案はビデオテープレコーダ以外の各種記録再生装
置や、その他各種の情報処理装置用のテープカセ
ツトに適用可能である。

［考案の効果］ 上述のように構成された本考案によれば、板ば
ねは、一対のリールにそれぞれ対応して互いに分
割された一対の帯状板から構成され、上記各帯状
板は、その一端部を上ハーフの内面に一体に成形
された溶着ダボにて固定されると共に、その中間
部から他端部にかけて上ハーフの内面から下方に
次第に浮上るように構成され、上記各帯状板の上
記他端部は、透明窓部に臨んでいて一対のリール
のそれぞれの中央部を上方から弾性的に押圧する
ように構成されている。従つて、ほぼＶ字状に屈
曲された共通の板ばねを用いて一対のリールを押
圧させるようにした従来の場合のように、一対の
リールが上方に押し上げられる際に一対の帯状板
が斜めに捩じられることは全くないから、これら
の帯状板による一対のリールに対する押圧力は、
これらのリールのほぼ軸線方向に安定して作用
し、このためにこれらのリールの回転を極めて安
定させることができる。また、その一端部を溶着
ダボにて上ハーフの内面に固定された各帯状板の
上ハーフの内面から次第に浮上る中間部の左右両
側を位置規制するために、上ハーフの内面にこの
上ハーフの内面から下方に突出した互いに平行状
の左右一対のガイドリブが設けられている。従つ
て、帯状板は上ハーフの内面で横ずれを起こすこ
とがない。さらに、帯状板の一端部を溶着ダボに
て上ハーフの内面に固定する溶着作業時に、帯状
板の上ハーフの内面から下方に次第に浮上る中間
部が上ハーフの内面に沿つてすべることにより、
帯状板が溶着ダボを中心に回転してしまう不都合
が全く発生しないから、帯状板の溶着作業を極め
て容易に行える。しかも、上ハーフの内面に一体
に成形された互いに平行状の左右一対のガイドリ
ブは上ハーフの補強用リブを兼用するので、上ハ
ーフの強度が向上して堅牢なテープカセツトが得
られる。

また、一対のリールの少なくとも回転中心を含
むリールハブの少なくとも一部とテープ巻回量と
を外部から透視出来るように、一対のリールに対
して共通に上ハーフに透明窓部が設けられ、上記
各帯状板の他端部は、上記透明窓部に臨んでいて
一対のリールのそれぞれの中央部を上方から弾性
的に押圧し、互いに平行状の左右一対のガイドリ
ブは、上ハーフの内面の透明窓部から見えない箇
所に上ハーフの内面から下方に突出して設けられ
ている。従つて、一対のリールの少なくとも回転
中心を含むリールハブの少なくとも一部とテープ
巻回量とを外部から透視出来るように一対のリー
ルに対して共通に設けられた透明窓部には、上記
ガイドリブは臨んでおらず、また、一対の帯状板
もその先端部が臨んでいるだけであるから、テー
プの巻回量だけでなく、リールハブの回転状態を
通じてリールの回転状態をも確実に監視すること
ができ、また、透明窓部を通して見えるテープカ
セツトの内部構造の美観を向上させることができ
る。

また、板ばねは、一対のリールにそれぞれ対応
して互いに分割された一対の帯状板から構成さ
れ、上記各帯状板の他端部が一対のリールのそれ
ぞれの中央部を上方から弾性的に押圧している。
従つて、各帯状板はシンプルな形状でかつ小型で
良いから、これらの帯状板をばね板材から打抜き
加工するときの歩留りが良く、このために板ばね
の製造コストを極めて低くすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はビデオテープレコーダ用テープカセツ
トの従来例を示した一部切欠き平面図、第２図は
第１図−線での拡大断面図である。第３図〜
第５図は本考案を適用したビデオテープレコーダ
用テープカセツトの一実施例を示したものであつ
て、第３図は一部切欠き平面図、第４図は第３図
−線での拡大断面図、第５図は第４図−
線での拡大断面図である。 また、図面に用いられた符号において、１……
カセツト筐体、２……上ハーフ、３……下ハー
フ、４，５……リール、６……磁気テープ、１１
……透明窓板（透明窓部）、１６……小突起、１
９……リール台、２３，２４……帯状板、２１…
…リール台挿入孔、２３ａ，２４ａ……帯状板の
一端部、２３ｂ，２４ｂ……帯状板の他端部、２
３ｃ，２４ｃ……帯状板の中間部、２５……小
孔、２６……溶着ダボ、２７ａ，２７ｂ，２８
ａ，２８ｂ……ガイドリブ、である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 上ハーフと下ハーフとから構成されたカセツト
   筐体と、このカセツト筐体内に回転自在に収納さ
   れた左右一対のリールと、上記一対のリールの中
   央部を上方から弾性的に押圧するために、上記上
   ハーフの内面に取付けた板ばねとをそれぞれ備え
   たテープカセツトにおいて、 上記一対のリールの少なくとも回転中心を含む
   リールハブの少なくとも一部とテープ巻回量とを
   外部から透視出来るように、上記一対のリールに
   対して共通の上記上ハーフに透明窓部が設けら
   れ、 上記板ばねは、上記一対のリールにそれぞれ対
   応して互いに分割された一対の帯状板から構成さ
   れ、 上記各帯状板は、その一端部を上記上ハーフの
   内面に一体に成形された溶着ダボにより固定され
   ると共に、その中間部から他端部にかけて上記上
   ハーフの内面から下方に次第に浮上るように構成
   され、 上記各帯状板の上記他端部は、上記透明窓部に
   臨んでいて上記一対のリールのそれぞれの中央部
   を上方から弾性的に押圧し、 上記各帯状板の上記上ハーフの内面から次第に
   浮上る中間部の左右両側を位置規制するために、
   上記上ハーフの内面の上記透明窓部から見えない
   箇所にこの上ハーフの内面から下方に突出した互
   いに平行状の左右一対のガイドリブが設けられて
   いることを特徴とするテープカセツト。