JPH0514624U - プロペラシヤフト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スプライン噛合面への再給油作業が不要であ
り、またスプライン噛合面にさびやよごれを発生しない
ようにするプロペラシャフトを得るにある。 【構成】 雄形スプライン軸部１にこの雄形スプライン
軸部に対して同軸状の内部孔３を設け、この内部孔内に
ピストン素子６を摺動自在に配置し、内部孔３の軸線方
向の雄形スプライン軸部の先端側とは反対側の端部を小
通気孔５を介して大気と連通させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、雌形スプライン軸部と、この雌形スプライン軸部に対して相対回転 不能かつ軸線方向に摺動可能にスプライン挿入嵌合する雄形スプライン軸部とよ りなるプロペラシャフトに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来のこのようなプロペラシャフトにおいては、図４に示したように、雄形ス プライン軸部１が背圧を受けることなく、外側の雌形スプライン軸部８のスプラ イン軸孔９内に進入することができるよう、スプライン軸孔９の軸線方向の雌形 スプライン軸部８の先端側とは反対側の端部を小通気孔15を介して大気と連通す る。またこの雌形スプライン軸部８の外部に潤滑グリース注入用のニップル16を 設け、このニップル16から雌形スプラインに設けた給油孔17を介して雄形スプラ インとのスプライン噛合面に潤滑グリースを供給していた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、従来のこのようなプロペラシャフトにおいては、スプライン軸孔の軸 線方向の雌形スプライン軸部の先端側とは反対側の端部を小通気孔を介して大気 と連通しているため、この小通気孔から潤滑グリースが徐々に漏れ、長時間の使 用後に油切れを起こし、グリース再充填作業が必要となる。またスプライン噛合 面がスプライン軸孔及び小通気孔を介して直接外気に連通しているため、水やほ こりが進入し、さびやよごれを生ずる恐れがある。

【０００４】 従って、本考案の目的は、スプライン噛合面への再給油作業が不要であり、ま たスプライン噛合面にさびやよごれを発生しないようにするプロペラシャフトを 得るにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】 この目的を達成するため、本考案プロペラシャフトは、雄形スプライン軸部に この雄形スプライン軸部に対して同軸状の内部孔を設け、この内部孔内にピスト ン素子を摺動自在に配置し、前記内部孔の軸線方向の雄形スプライン軸部の先端 側とは反対側の端部を小通気孔を介して大気と連通したことを特徴とする。

【０００６】

【作用】

本考案のこの構成によれば、ピストン素子は、内部孔の軸線方向の雄形スプラ イン軸部の先端側とは反対側の端部が小通気孔を介して大気と連通しているため 、スプライン軸部相互の抜差摺動時の内圧変化を内部孔内での移動により吸収す る。従って、スプライン軸部相互は抵抗なく抜差摺動することができる。

【０００７】 更に、本考案によれば、雄形スプラインの内部孔に配置したピストン素子は、 雌形スプライン軸部のスプライン軸孔を、直接大気に連通させることなく、大気 から遮断する。

【０００８】

【実施例】

次に、図面につき本考案の好適な実施例を説明する。

【０００９】 図１は、本考案プロペラシャフトの第１実施例の線図的縦断面を示し、この実 施例においては、雄形スプライン軸部１に、先端部1aから二股ヨーク２の内部底 面まで貫通する内部孔３を設ける。二股ヨーク２の内部底面には、閉鎖キャップ ４を設け、この閉鎖キャップ４に小通気孔５を設ける。内部孔３には、細長いコ ップ状のピストン素子６を配置し、雄形スプライン軸部の先端に近接する側の端 部にフランジ6aを設ける。内部孔３の雄形スプライン軸部の先端部1aの内面には オイルシール７を設ける。

【００１０】 雌形スプライン軸部８のスプライン軸孔９の奥端部9aには通気孔を設けず、ス プライン軸孔９のスプライン内面にグリースを塗布するか、又はスプライン軸孔 ９の内部に潤滑油を充填しておく。この後、ピストン素子６を装着した雄形スプ ライン軸部１をスプライン軸孔９に挿入嵌合し、雌形スプライン軸部８の先端部 においてスプライン軸孔９をオイルシール10によりシールする。

【００１１】 雄形スプライン軸部１がスプライン軸孔９の奥端部9aに向かって前進するとき 、雄形スプライン軸部１の先端部1aとスプライン軸孔９の奥端部9aとの間の閉塞 空間11に存在する空気は圧縮されて圧力が高くなろうとするが、雄形スプライン 軸部１の内部孔３の大気連通空間12の空気が小通気孔５を経て排気され、ピスト ン素子６が雄形スプライン軸部１の内部孔３内に後退することにより、閉塞空間 11内の圧力が一定に維持され、雄形スプライン軸部１は、抵抗なくスプライン軸 孔９の奥端部9aに向かって前進することができる。

【００１２】 また、雄形スプライン軸部１がスプライン軸孔９の奥端部9aから離れる方向に 後退するとき、雄形スプライン軸部１の内部孔３の大気連通空間11に小通気孔５ を経て空気が吸入され、ピストン素子６が雄形スプライン軸部１の内部孔３から 突出移動することにより、閉塞空間12内の圧力は一定に維持され、雄形スプライ ン軸部１は、抵抗なくスプライン軸孔９の奥端部9aから離れる方向に後退するこ とができる。

【００１３】 雄形スプライン軸部１の先端部1aとスプライン軸孔９の奥端部9aとの間の閉塞 空間11は、ピストン素子６により大気連通空間12から遮断されているため、スプ ライン噛合面の潤滑グリース又は潤滑油は小通気孔５から漏れることはなく、従 来のプロペラシャフトのように、潤滑油の再充填作業は不要となり、メインテナ ンスフリーとなり、スプライン噛合面のさび、よごれの発生はなくなる。

【００１４】 図２は、本考案プロペラシャフトの第２の実施例の線図的縦断面を示し、この 実施例においては、コップ状ピストン素子６及びオイルシール７を設けるの代わ りに鼓形のオイルシールピストン60を設け、このオイルシールピストン60が内部 孔３から抜け出るのを防止するストップリング13を内部孔３の両端の近傍に設け た点が異なるだけでその他は第１の実施例と同一である。

【００１５】 図３は、本考案プロペラシャフトの第３の実施例の線図的縦断面を示し、この 実施例においては、雄形スプライン軸部１に設ける内部孔３を貫通孔とはせず、 スプラインの歯が先端に向かって形成されるスプライン部の近傍まで形成した盲 孔とし、この盲内部孔３の奥端の近傍から雄形スプライン軸部１に半径方向にス プラインの谷部に貫通する半径方向孔14を周方向に互いに等間隔離して複数個設 けた点が異なるだけで、他の点は図２の第２の実施例と同一である。

【００１６】 図３の第３の実施例の場合、雄形スプライン軸部１と雌形スプライン軸部８の スプライン噛合面における僅かなクリアランスが潤滑油経路を形成し、スプライ ン軸部相互の抜き差し摺動による吸引及び押し出しにより潤滑油がスプライン噛 合面を流動して潤滑を行い、潤滑が効率よく行われる。

【００１７】

【考案の効果】

以上説明したように、スプライン摺動時における内圧変化を吸収し、内圧を一 定に保つことにより、摺動抵抗を軽減し、シールの安定化、潤滑油保持特性を向 上し、スプライン噛合面への再給油作業が不要であり、またスプライン噛合面に さびやよごれを発生しないメインテナンスフリーの構造が得られるという効果が 得られる。

【００１８】 更に、潤滑油経路をスプライン噛合面とする実施例の場合、潤滑効率が極めて 良好となり、歯面への油切れを無くし、焼き付けを完全に防止することができる という効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるプロペラシャフトの第１の実施例
の一部切除して断面を示す側面図である。

【図２】本考案によるプロペラシャフトの第２の実施例
の一部切除して断面を示す側面図である。

【図３】本考案によるプロペラシャフトの第３の実施例
の一部切除して断面を示す側面図である。

【図４】従来のプロペラシャフトの線図的説明図であ
る。

【符号の説明】

１ 雄形スプライン軸部 ２ 二股ヨーク ３ 内部孔 ４ 閉鎖キャップ ５ 小通気孔 6,60 ピストン素子 6a フランジ 7,10 オイルシール ８ 雌形スプライン軸部 ９ スプライン軸孔 9a 奥端部 11 閉塞空間 12 大気連通空間 13 ストップリング 14 半径方向孔

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】雌形スプライン軸部と、この雌形スプライ
   ン軸部に対して相対回転不能かつ軸線方向に摺動可能に
   スプライン挿入嵌合する雄形スプライン軸部とよりなる
   プロペラシャフトにおいて、前記雄形スプライン軸部に
   この雄形スプライン軸部に対して同軸状の内部孔を設
   け、この内部孔内にピストン素子を摺動自在に配置し、 前記内部孔の軸線方向の雄形スプライン軸部の先端側と
   は反対側の端部を小通気孔を介して大気と連通したこと
   を特徴とするプロペラシャフト。