JPH05113079A - 複層ガラスの構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【構成】コーナージョイント２により連結したスペーサ
ー１を介して複数枚のガラスを封着した複層ガラスにお
いて、コーナージョイントに前記スペーサー中空部に封
入された乾燥剤４に連通する通気孔８を設け、乾燥剤が
この通気孔を通して複層ガラス内の空気に作用するよう
にする。 【効果】スペーサーの成形加工を容易にし、複層ガラス
の低コスト化を図るとともに、スペーサーを利用して複
層ガラス内にルーバー、ブラインドの装備を可能にす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複層ガラスの構造に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の最も一般的な複層ガラスの構造
は、図３に示すように複数枚のガラス６をスペーサー１
を介しシーラントにより封着するものである。スペーサ
ー１は、通常金属材料の板材を曲げ加工して中空部を形
成し、この中空部に乾燥剤４を封入して乾燥剤が曲げ加
工の継目の間隙を通して作用するようになっている。こ
の場合、スペーサーは押出し成形し、複層ガラス内の空
気側にプレス加工により通気孔を設けたものであっても
よい。

【０００３】このように従来のスペーサー構造では、複
層ガラス内の空気がスペーサーの曲げ加工の継目の隙間
を通し乾燥剤と接触したり、押出し材に設けたプレス加
工による通気孔より乾燥剤と接触し、複層ガラス内の空
気を乾燥空気として、保持しておくものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような従来の複層
ガラスは、次のような問題点がある。板材を曲げ加工し
たものは、製造コストは安価であるが、形状精度が押出
し材に比べ劣り複層ガラスの空気層を一定に保つことが
できない。そのため、同じ構成の複層ガラスの断熱性能
が異なったり、サッシに納めた場合、面クリアランスが
所定の数値以下となることがあり、余裕を持った溝幅の
サッシを用いなければならない等の問題が生じる。

【０００５】一方、押出し材を用いたスペーサーは、プ
レス加工できるように薄肉の中空材としているため、押
出し成形管理に十分な注意が必要となる。プレス加工に
より中空材の形状をつぶさないで通気孔を設けることに
も十分な注意が必要となる。そのため、製造コストは高
価になる。本発明は、スペーサーとコーナージョイント
の構造により、これらの欠点を解消しようとするもので
ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
を解決すべくなさせたものであり、スペーサーを介して
複数枚のガラスを封着した複層ガラスにおいて、スペー
サーとコーナージョイントの構造を以下のように改良す
ることにより、コストダウン、品質向上および機能を付
加するための部材として用いることを可能にしたもので
ある。

【０００７】本発明における複層ガラスは、スペーサー
の中空部に乾燥剤を封入してこれらスペーサーをコーナ
ージョイントで連結した構造を有し、このコーナージョ
イントに前記スペーサー内に封入された乾燥剤に連通す
る通気孔を設けて、この通気孔を通して複層ガラス内の
空気の乾燥作用が得られるようにしたものである。

【０００８】

【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図１および図２は本発明のスペーサーのコーナージョイ
ントによる連結部を示す。図において、１は押出し成形
された金属材料のスペーサーで、その中空部に乾燥剤４
が封入されている。この乾燥剤４は、スペーサー中空部
の端部に連続気泡を有し、かつ適度の柔軟性と弾性を有
する連続発泡材や連続多孔質体、あるいは適度の柔軟性
と通気性を有するガラスウール等のウール状体などの通
気性部材を装入することにより、複層ガラスの製造作業
中あるいはその後においてスペーサー中空部から流出し
ないように保持される。なお、スペーサーの材料は金属
でなくても透湿性がないものであれば良い。

【０００９】２はスペーサー１を連結するためのコーナ
ージョイントを示し、このコーナージョイント２はスペ
ーサー１との結合部に前記通気性部材３を通し乾燥剤４
と連通する通気孔８を有している。本例ではプラスチッ
クを成形してなるコーナージョイントに溝を設けてスペ
ーサーとの結合により通気孔８を形成しているが、コー
ナージョイントを中空加工して複層ガラス内と前記通気
性部材３の部分とを連通するように形成しても良い。

【００１０】スペーサー１とコーナージョイント２を連
結する方法は、便宜的にスペーサーの中空部に挿入させ
るコーナージョイント２の先端部にブチルゴムのように
透湿性が無い軟らかい材料を施し、スペーサー１の端部
にはめ込み接合する。このように接合されたスペーサー
枠を、図２に示すように複数枚のガラス６の間に配置し
てコーナー部の接合に用いた材料と同様な材料５により
封着し複層ガラスを構成する。

【００１１】なお、前記コーナージョイント２の望まし
い実施態様では複層ガラス内圧を容易に調整するための
手段９を具備している。すなわち、この調整手段９は、
複層ガラスの内圧を実際に使用する地域あるいは使用状
況における外圧に合わせて、複層ガラスに無理な応力が
かからないように調整するものである。その構造は特に
限定されないが、簡便さの点からねじ７が望ましい。ね
じ７を一時的に緩めて圧力調整した後に締めて密閉す
る。この際、シールを完全にするためにコーナージョイ
ント２とねじ７の間には、透湿性が無いブチルゴムのよ
うなものを用いる。

【００１２】前記通気孔の大きさは従来のスペーサーの
通気面積と同程度とすれば、気体の拡散速度から複層ガ
ラス性能は十分確保できる。また、乾燥剤を中空部に封
入するための通気性部材３は、コーナージョイントに設
けた通気孔と同程度の通気抵抗を有していれば良い。

【００１３】なお、図面には２枚のガラスを用いた複層
ガラスについて説明したが、３枚以上のガラスを使用し
た多層複層ガラスにも適用できる。

【００１４】

【発明の効果】本発明による複層ガラス構造により、従
来の複層ガラスの性能を低下することなく製作できる。
従来のスペーサー構造に比べ、スペーサーコストが下が
り複層ガラスの製造コストが低減できる。更に押出し材
を用いることによりスペーサー形状が自由に選択でき、
しかもこのスペーサーには従来のように複層ガラス内の
空気層部に露呈する部位に乾燥剤用の間隙または通気孔
を一切設けなくて良いので、図示を省いたがこのスペー
サーを利用して、つまり上方あるいは両サイドのスペー
サーにルーバーやブラインドなどを保持させることによ
り、複層ガラスの空気層内に挿入でき機能を付加でき
る。また、複層ガラス周囲にスペーサーを利用した枠を
設け、スペーサー自身が障子枠として成立することもで
きる。

【００１５】板材に曲げ加工を施してなる従来のスペー
サーに比べ、寸法精度が向上し、空気層厚の偏差が向上
し安定した品質の製品を供給できる。更に、コーナージ
ョイントに圧力調整手段を設けておくと、複層ガラスの
空気層の圧力を使用状況により調整できるため、空気層
厚の大きな複層ガラスの使用が可能となる。また、複層
ガラスの防音性能や断熱性能を向上させるために用いら
れているアルゴン、六弗化イオウ、ヘリウム、クリプト
ンなどのガスを注入する際に、圧力調整用のねじ穴をこ
れらガスの注入孔として用いることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る複層ガラスのスペーサーとコーナ
ージョイントの結合部の平面断面図

【図２】図１のＡ−Ａ線部の断面図

【図３】従来の複層ガラスの構成を示す部分断面図

【符号の説明】

１ スペーサー ２ コーナージョイント ３ 通気性部材 ４ 乾燥剤 ８ 通気孔

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】コーナージョイントにより連結されたスペ
   ーサーを介し複数枚のガラスを封着してなる複層ガラス
   であって、前記スペーサーはその中空部に乾燥剤が封入
   されており、かつコーナージョイントには複層ガラス内
   に開口しこのスぺーサー中空部の乾燥剤に連通する通気
   孔が設けてあり、乾燥剤がこの通気孔を通して複層ガラ
   ス内の空気に作用するように構成した複層ガラスの構
   造。
2. 【請求項２】コーナージョイントに、複層ガラス内の空
   気圧を地域や使用状況における外気圧に合わせるための
   調整手段を設けた請求項１の複層ガラスの構造。