JPH0510383A - 液封入防振装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐久性に優れかつ構造を簡易なものとする。 【構成】 開口を対向せしめて容器状の上側ハウジング
１、および下側ハウジング２と側板３が設けられ、上側
ハウジング１の側壁１１と側板３間にゴム弾性体３が接
合してある。仕切板５の下方はゴム膜４で密閉され、内
部は上下の液室Ａ，Ｂとしてある。仕切板５と上側ハウ
ジング１間の液室Ａ内にはコイルバネ６が設けてあり、
これは管材で構成されて、管内空間７ａの一端が液室Ａ
に開口するとともに他端は液室Ｂに開口して絞り流路と
なっている。静荷重を受けた状態でゴム弾性体は殆ど歪
みのない水平姿勢となり、初期歪みが小さいことからゴ
ム弾性体の耐久性は向上する。絞り流路がコイルバネ内
に形成されるから、簡易な構成で充分に長い流路長を確
保できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は液封入防振装置に関し、
耐久性を有する装置の構造簡素化を図ったものである。

【０００２】

【従来の技術】液封入防振装置の一般的な構造は、絞り
流路を形成した仕切板で区画された一対の液室を有し、
振動入力に伴い絞り流路に流体を流通せしめることによ
り振動減衰力を生じるものである。かかる防振装置にお
いて、振動体の静荷重をコイルバネで支持して、液室の
室壁を構成するゴム弾性体のゴム材料の選択範囲を広く
なし、高周波微振動の良好な吸収を図り（特開昭５６−
１６０２２０号公報）、あるいはゴム弾性体の耐久性を
向上せしめたものがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の液封
入防振装置の構造は仕切板内に絞り流路を形成したこと
によりそれ自体比較的複雑であり、これにコイルバネを
内設することは更に構造を複雑化してコストアップ等の
原因となる。

【０００４】本発明はかかる課題を解決するもので、コ
イルバネを内蔵しても構造を複雑化することがない液封
入防振装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の構成を説明する
と、液封入防振装置は、下方へ開放する容器状の上側ハ
ウジング１と、上方へ開放する容器状をなし、その側壁
３が上記上側ハウジング１の側壁１１と水平方向で間隔
をおいて対向する下側ハウジング２と、これらハウジン
グ１，２の全周側壁１１，３間に接合されたゴム弾性体
４と、下側ハウジング２の内空間を上下に区画するゴム
膜５と、該ゴム膜５と上記ゴム弾性体４で閉鎖された液
封入空間を上下に区画して一対の液室Ａ，Ｂを形成する
仕切板６と、仕切板６と上側ハウジング１の頂壁１２と
の間に架設されたコイルバネ７とを具備し、上記コイル
バネ７を管材により構成して、管内空間７ａの一端を上
側液室Ａに開口せしめるとともに他端を上記仕切板６を
貫通して下側液室Ｂに開口せしめて絞り流路となしたも
のである。

【０００６】

【作用】上記構成の装置において、振動体の静荷重はコ
イルバネ７により支持するから、ゴム弾性体４の初期歪
みは小さく、耐久性が向上する。コイルバネ７を管材で
構成してその内部空間７ａを絞り流路となしたから、仕
切板６内の工作により絞り流路を形成する必要はなく、
制作組付けおよび構造の簡素化が実現される。

【０００７】

【実施例】図１において、上側ハウジング１は段付きに
下方へ拡開する容器状をなしている。下側ハウジング２
は浅い容器状をなし、これの外周には筒状の側板３がか
しめ固定してある。側板３は上側ハウジング１の側壁１
１外方を間隔をおいて上方へ延び、上端開口縁は内方へ
屈曲してストッパ３１となっている。

【０００８】上記上側ハウジング１はゴム層で覆われ、
その一部がゴム弾性体４となって水平姿勢で外方へ延び
て、側板３内周に沿ってかしめ固定されたリング板４１
に接合されている。ゴム弾性体４はＥＰＤＭ等の耐熱ゴ
ム材で構成してある。上記側板３の内空間を上下に区画
して仕切板６が設けてあり、仕切板６は中心部６１が上
方へ突出している。

【０００９】仕切板６の下方にはこれに沿ってゴム膜５
が配設してあり、ゴム膜５の外周は仕切板６の下面に密
着している。しかして、ゴム弾性体４とゴム膜５により
密閉された空間内には液が封入されて、仕切板６の上方
に主液室Ａが、下方に副液室Ｂが形成されている。

【００１０】仕切板６と上側ハウジング１の頂壁１２間
にはコイルバネ７が設けてあり、該コイルバネ７は金属
管材より構成されている。コイルバネ７は下端内周が仕
切板６の中心部６１外周に接し、上端外周が頂壁１２の
段付面に接して位置決めされている。そして、コイルバ
ネ７の管内空間７ａの上端は上側液室Ａに開口し、下端
は仕切板６の通孔６２を経て副液室Ｂに開口して、絞り
流路を構成している。

【００１１】上側ハウジング１の頂壁１２には振動体た
るエンジンを固定するボルト１３が立設してあり、該頂
壁１２上には上記ボルト１３を挿通する開口を形成した
ダストカバー１４が載せてある。下側ハウジング２は中
心に設けたボルト２１により基体たる車両フレームに固
定される。

【００１２】かかる構造の防振装置において、エンジン
の静荷重はコイルバネ７により支持されるから、ゴム弾
性体４のバネ特性は広い範囲から選ぶことができ、耐熱
性に優れたゴム材を使用することにより高温雰囲気下で
の使用が可能となる。

【００１３】静荷重が印加した状態でゴム弾性体４は殆
ど変形歪みのない図示の水平姿勢となり、この状態で振
動が入力すると上側ハウジング１が相対上下動をなして
主液室Ａの容積が変化する。この容積変化に伴い、コイ
ルバネ７内に形成された絞り流路７ａを経て密封流体が
上下の液室Ａ，Ｂ間に流通し、大きな振動減衰力を発揮
して振動を速やかに低減する。

【００１４】かかる作動において、ゴム弾性体４には初
期歪みが殆ど生じていないから、振動入力による繰返し
変形に対して充分な耐久性を発揮する。また、絞り流路
７ａは螺旋形のコイルバネ７内に形成されるから、仕切
板６に複雑な工作を施すことなく充分に長い流路を確保
することができ、構造の簡素化と振動減衰性能の向上が
併せて実現される。

【００１５】過大な上下振動が入力した場合には、上側
ハウジング１の段付部が側板３のストッパ３１に当接
し、あるいは上記ハウジング１の側壁１１下端が仕切板
６面に当接して、ハウジング１の移動が規制され、ゴム
弾性体４の過度な変形が防止される。

【００１６】

【発明の効果】以上の如く、本発明の液封入防振装置に
よれば、高温環境下においても耐久性の低下を生じない
とともに、簡易な構成で良好な振動減衰力を得ることが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す装置の全体縦断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 上側ハウジング １１ 側壁 １２ 頂壁 ２ 下側ハウジング ３ 側板（側壁） ４ ゴム弾性体 ５ ゴム膜 ６ 仕切板 ６２ 通孔 ７ コイルバネ ７ａ 管内空間 Ａ，Ｂ 液室

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三宅 和俊 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑１ 番地 豊田合成株式会社内 (72)発明者 小川 元 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑１ 番地 豊田合成株式会社内 (72)発明者 松岡 主税 愛知県豊田市トヨタ町１番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 平田 雄一 愛知県名古屋市南区戸部町１−29

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 下方へ開放する容器状の上側ハウジング
   と、上方へ開放する容器状をなし、その側壁が上記上側
   ハウジングの側壁と水平方向で間隔をおいて対向する下
   側ハウジングと、これらハウジングの全周側壁間に接合
   されたゴム弾性体と、下側ハウジングの内空間を上下に
   区画するゴム膜と、該ゴム膜と上記ゴム弾性体で閉鎖さ
   れた液封入空間を上下に区画して一対の液室を形成する
   仕切板と、仕切板と上側ハウジングの頂壁との間に架設
   されたコイルバネとを具備し、上記コイルバネをパイプ
   材により構成して、パイプ内空間の一端を上側液室に開
   口せしめるとともに他端を上記仕切板を貫通して下側液
   室に開口せしめて絞り流路となしたことを特徴とする液
   封入防振装置。