JPH05103828A - 水酸アパタイト膜をコーテイングした生体インプラント部材 - Google Patents

水酸アパタイト膜をコーテイングした生体インプラント部材

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JPH05103828A
JPH05103828A JP3266020A JP26602091A JPH05103828A JP H05103828 A JPH05103828 A JP H05103828A JP 3266020 A JP3266020 A JP 3266020A JP 26602091 A JP26602091 A JP 26602091A JP H05103828 A JPH05103828 A JP H05103828A
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Masaki Ogawa
雅樹 小川
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NIPPON SHERWOOD KK
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    • A61L27/28Materials for coating prostheses
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    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
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    • A61F2310/00Prostheses classified in A61F2/28 or A61F2/30 - A61F2/44 being constructed from or coated with a particular material
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生体組織に対して適合性に優れ、強度が十分
に確保されかつ設計自由度の大きい水酸アパタイト膜を
コーティングした生体インプラント部材を提供する。 【構成】 インプラント部材11が無機充填剤を10〜
80重量%、好ましくは40〜70重量%含有するエラ
ストマーの成形体で、このエラストマー表面の一部が実
質的に飽和乃至過飽和濃度の水酸アパタイト成分水溶液
から析出させた水酸アパタイトでコートされている部分
を有するもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は疾病や災害などにより、
生体外部からカテーテル等を使って生命維持及び治療の
為の薬液を投与する際に体内と体外を結ぶ連結部に位置
する部材、あるいは生体内部に完全に埋設し、体内深部
に薬液を注入する際の注入ポートとなる生体インプラン
ト部材、さらには、骨等の硬組織の欠損部分を代替補修
する生体インプラント部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、インプラント部材に関する研究開
発には、目を見張るものがあり、人工臓器はもとより整
形用部材、人工歯根等にあたらしい素材が開発されてい
る。この中で水酸アパタイトは生体活性が高く、骨と一
体化する特異的な素材であることが知られており、注目
を集めている。従って、この素材を使ったインプラント
材料に関する発明も多く発表されており、特開平3−1
86272号公報ではアルミナ、ジルコニア等のセラミ
ック材料、純チタン、チタン合金に水酸アパタイトのリ
ン酸カリシウム系材料をコーティングし、骨にインプラ
ントする部材が開示されている。
【0003】また、特公平2−13580号公報では水
酸アパタイト焼結体からなる生体用端子を生体内情報を
外部に取り出す際の体内と体外を結ぶ部分に使用する技
術が開示されている。実公平3−19884号公報で
は、生物の骨から作製した水酸アパタイトの生体用端子
に関する技術も開示されている。
【0004】特開平3−32676号公報では、水酸ア
パタイトの強度が低く実用化の妨げになっている点を改
良すべく、ジルコニアあるいは、アルミナと水酸アパタ
イトとの複合体に関する技術が開示されている。
【0005】また、水酸アパタイトの製法に関しても特
公平2−13580号公報では、焼結法が開示されてお
り、金属インプラントへのプラズマスプレー法に関して
は、特公昭58−50737号公報に、セラミック芯材
へのプラズマ溶射法に関しては、特公昭59−4691
1号公報、特開昭62−34559号公報、特開昭62
−57548号公報、特開昭63−46165号公報等
に開示がある。
【0006】スパッタリング法に関しては、特開昭58
−109049号公報に開示があり、フレーム溶射法に
関しては、日本セラミックス協会1988第一回秋期シ
ンポジウム講演予稿集P.P401〜402に開示があ
る。ガラスフリットによる焼付け法に関しては、第9回
バイオマテリアル学会大会予稿集(1987,P6)に
開示がある。
【0007】さらに電気泳動法に関しては、日本セラミ
ックス協会1988P.417〜418に開示がある。
【0008】そして、イオンの種類、濃度を人の血漿と
同じ組成にした人工体液から水酸アパタイトを析出させ
る方法に関しては、特公昭62−10939号公報、特
公平1−54290号公報、特開平2−155515号
公報に開示がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来から、生体インプ
ラント部材、特に水酸アパタイト膜をコーティングした
生体インプラント部材及びその製造方法に関しては上記
のように多くの技術が開示されているものの、まだ下記
のA〜Fに示すような多くの問題点がある。
【0010】(A)プラズマ溶射法は、複雑で高価な装
置を必要とすること、緻密な膜を作り難いこと、原料の
水酸アパタイトがいったん高温で溶融されるので生体内
のアパタイトと異なる種類のアパタイト膜が形成される
こと等が挙げられる。
【0011】(B)スパッタリング法は、複雑で高価な
装置を必要とすること、原料の水酸アパタイトがいった
ん高温で溶融されるので生体内のアパタイトと異なる種
類のアパタイト膜が形成されること等が挙げられる。
【0012】(C)焼結法やガラスフリット法は、85
0℃あるいは、それ以上の温度で熱処理する必要が有る
ため耐熱性の高い基材にしかできないこと、原料の水酸
アパタイトが一旦高温で処理されるので生体内のアパタ
イトと異なる種類のアパタイト膜が形成される。また、
焼結体で端子を作った場合は水酸アパタイトの強度が低
いので構造・形状に大きな制約があった。
【0013】(D)電気泳動法は、基材自身を電極とし
て用いるため、良導性の金属基材にしか適用できないこ
と、また、原料に焼結アパタイトを用いるため、やはり
生体内のアパタイトとは異なるアパタイトの膜が形成さ
れる。
【0014】(E)人工体液から析出させる方法は、生
成した水酸アパタイトと良好に接着する基盤がCaO/
SiO2 系ガラス以外に見つかっていないという問題が
ある。 (F)上記のようないくつかの問題点を解決する方策と
して、従来より、有機高分子に生体とほぼ同じ組成の水
酸アパタイトをコーティングすれば、画期的なインプラ
ント部材が作れることが分かっていたが、水酸アパタイ
トと有機高分子は十分な接着強度が得られないという問
題が解決されていなかったので、この試みは実現できて
いなかった。
【0015】本発明は上記のような問題点特にF項の問
題を解決するために本発明者が鋭意研究を重ねた結果得
られたもので、生体に対して適合性に優れ、十分な強度
が確保でき、さらに設計上の自由度の大きい水酸アパタ
イト膜で表面の一部をコーティングした生体インプラン
ト部材を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に係る水酸アパタ
イトをコーティングした生体インプラント部材は無機充
填剤を10〜80重量%、好ましくは、40〜70重量
%含有するエラストマーの成形体からなり、このエラス
トマー表面が実質的に飽和乃至過飽和濃度の水酸アパタ
イト成分水溶液中から析出する水酸アパタイトをコート
したものである。なお、ここで、水酸アパタイトの膜は
3〜100μmの膜厚とするのがよい。また、無機充填
剤は硫酸バリウム、硫酸鉛、炭酸バリウム、炭酸カルシ
ウム、二酸化珪素、タングステン酸ビスマス、主成分を
CaOとSiO2 とするガラス粉末、又はこれらの少く
とも1つを主成分とする混合物が使用できる。さらに、
エラストマーは塩化ビニル、アイオノマー、ポリエステ
ルエラストマー、ポリウレタン、水添SBSブロックコ
ポリマー、塩化ビニル・エチレン共重合体、シリコーン
ゴムから選ばれるエラストマーであることが好ましい。
【0017】
【作用】本発明において、無機充填剤は10〜80重量
%、好ましくは、40〜70重量%であるが、これは、
10重量%未満では、該エラストマーを実質的に飽和乃
至過飽和濃度の水酸アパタイト成分水溶液に浸漬しても
水酸アパタイトの層が殆ど形成されないからであり、8
0重量%を越えると射出成型、押し出し成型が困難にな
ると同時に強度も著しく低下するからである。40〜7
0重量%が特に好ましいが、これは、40重量%未満で
は、水酸アパタイトの析出速度が遅いので表面をグライ
ンドする等して表面に無機充填剤を出してやる必要があ
るが、40重量%以上では、その必要がないからであ
る。70重量%を越えると成型作業性が低下するので7
0重量%が好ましい。
【0018】無機充填剤としては、硫酸バリウム、硫酸
鉛、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素、タン
グステン酸ビスマス、主成分をCaOとSiO2 とする
ガラス粉末、又はこれらの少くとも1つを主成分とする
混合物が好ましいが、これはこれらの無機充填剤を使っ
た場合、水酸アパタイトの析出速度が速いからでらあ
る。
【0019】エラストマーとしては、塩化ビニル、アイ
オノマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、
水添SBSブロックコポリマー、塩化ビニル・エチレン
共重合体、シリコーンゴムから選ばれるエラストマーで
あることが好ましいが、これは、上記エラストマーが生
体インプラント部材を構成させる際に安全性の観点から
実績のある材料であると同時に生成した水酸アパタイト
が比較的強く接着するからである。特に好ましいのがア
イオノマーであり、水酸アパタイトと強力に接着する
が、その他のエラストマーでは、無機充填剤の量が多く
ならないと実用レベルの強接着力が得られない場合があ
る。この強接着力は無機充填剤の混練条件によっても大
きく変わる。
【0020】実質的に飽和乃至過飽和濃度の成分水溶液
とは、特開平2−25515号公報に開示のある水溶液
のことである。
【0021】水酸アパタイトの膜の厚さは、3〜100
μmが好ましい。3μm未満では、生体内に埋設されて
いる間に侵食されて消失してしまう可能性があるからで
ある。100μmを越えると温度、湿度に対する基材と
水酸アパタイトとの膨張率の差による歪みが大きくな
り、結果として水酸アパタイト層にヒビが入り易くな
り、そのヒビを核として剥離し易くなる為である。ま
た、水酸アパタイト層を形成させるまでの時間が長くな
るため製造コストが上昇し、このように膜を厚くする工
業的意味が無いからである。
【0022】また、主成分をCaOとSiO2 とするガ
ラス粉末とは、酸化物に換算してCaO及びSiO2 を CaO ……20〜60mol% SiO2 ……40〜80mol% の範囲で含有し、CaOとSiO2 の合計が70mol
%以上であるガラスからなり、粒径が100〜600μ
mの範囲にある粒子が80%以上ある粉末のことをい
う。主成分をCaOとSiO2 とするガラスの組成に関
する開示は、特開平2−25515号公報にある。
【0023】
【実施例】実質的に飽和乃至過飽和濃度の水酸アパタイ
ト製粉水溶液は下記のような組成で作製し、塩酸の量を
コントロールして36.5℃でのpHの値を7.4に調
節した。
【0024】 <水溶液1リットル中の成分及び組成> 水溶液A NaCl 11.994g NaHCO3 0.525g KCl 0.336g K2 HPO4 ・3H2 O 0.342g MgCl2 ・6H2 O 0.458g CaCl2 0.417g Na2 SO4 0.107g 1NHCl 約68ml トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 8.086g そして、本発明による生体インプラント部材を、スキン
ボタンと通称されているインプラント部材の形状を示す
図1と、このインプラント部材の表面の一部に水酸アパ
タイト膜をコーティングする図2の模式工程図とを用い
て説明する。図1及び図2において、11は本発明によ
るインプラント部材で、その構成は実施例の試料の説明
において順次記述する。また、1は上アダプタ、2は上
アダプタ1のフランジ部分3に接続され、通孔8bを介
して通孔8,8aを接続する下アダプタである。また、
4は容器であり、6は前述の水溶液Aを示している。
【0025】すなわち本発明によるインプラント部材1
1は、その基材として無機充填剤を10〜80重量%、
好ましくは40〜70重量%含有するエラストマーで構
成し、このエラストマーの一部を、図2に示すように実
質的に飽和乃至過飽和濃度の水酸アパタイト水溶液Aに
浸漬けして、水酸アパタイトの膜(図2の基材の斜線部
分)を形成したものである。この手順で作製条件を変え
て試料を2個作製し、1個は破壊試験に使用し、他の一
個は生体適合性の評価サンプルとして使用した。評価項
目は以下A〜C項目である。
【0026】A、無機充填剤/有機高分子層、水酸アパ
タイト層の膜厚さ測定 上記インプラント材料11のフランジ部分3を一部カッ
トし、傷んでないコーティング部分に刃物で傷をいれ、
走査型電子顕微鏡を使い、サンプルを電子照射方向に対
して50度傾けて切口の水酸アパタイト層の厚さを測定
した、傾斜させた分を計算で補正して以下に示す表に一
覧表を作製した。
【0027】B、基材と水酸アパタイト層の接着強度 上記インプラント材料11のフランジ部分3を一部カッ
トし、傷んでないコーティング部分にセロハンテープ
(粘着テープ)を貼り、これをピールしてその際に水酸
アパタイト層が剥離するか否かで評価した。
【0028】C、生体適合性 破壊試験に使わなかった上記インプラント部材を使って
図3のようなインプラントデバイスを作製した。これを
エチレンオキシドガスで滅菌した後、成犬の胸部に図4
のように埋設留置した。。1日後、3日後、一週間後、
2週間後、3週間後1ケ月後の状態を観察し、生体適合
性を評価した。この生体適合性を感度よく評価するため
にインプラントデバイスは、一部が体外に、一部が体内
にあるように埋設した。このようにして埋設して、皮膚
表面との界面の状況によって評価した。なお、図3,4
において、インプラント部材11の通孔8からは上部チ
ューブ12が、通孔8aからは固定系14によって固定
された下部チューブ13が接続される。上部チューブ1
2の先端はルアーアダプタ17及びインターミッテント
インフュージョンプラグ18が取りつけられ固定具19
で固定されている。一方、インプラント部材11のフラ
ンジ部分3を含む下アダプタ2は、図5にみれるよう
に、皮下すなわち生体内に埋設されるが、下部チューブ
13の先端はコネクタ15を介して留置カテーテル16
に接続され、生体内の所要器官(図示せず)に延設され
ている。
【0029】以下、評価実験に供したいくつかの実施例
を選択し、対応する比較例と対照しつつ、評価結果をも
とに説明する。
【0030】実施例1:実施例1では本発明のインプラ
ント部材が有機高分子に水酸アパタイトを実用上全く問
題の無い程度に強く接着できると共に優れた生体適合性
を示すことを示す。
【0031】エラストマーとしてアイオノマー[三井ポ
リケミカル社製ハイミラン1562]を選びこの粉末に
硫酸バリウム[堺化学工業(株)製硫酸バリウムB−
1]を硫酸バリウムが60重量%になるように混練りし
た。この原料を使って図1の形状のインプラント部材1
1を射出成型した。これをエタノールで洗浄・乾燥させ
た後、図2に示すように水溶液A6[過飽和濃度の水酸
アパタイト成分水溶液]中に63.5℃で10日間浸漬
した。10日後インプラント部材11を取り出し、蒸溜
水でよく洗浄した後、60℃で乾燥させる。上記手順で
2個のサンプルを作製し、1個は破壊試験に使用し、他
の1個は成犬に埋設して生体との適合性を評価した。
【0032】比較例1としては、硫酸バリウムを混練り
していないアイオノマー[三井ポリケミカル社製ハイミ
ラン1562]を使い、あと、実施例1と同様の操作を
行った。評価結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】なお、実施例1について1ケ月後に水酸ア
パタイト層を走査型電子顕微鏡を使って観察したが、軟
組織との癒着は観察されなかったが、、水酸アパタイト
層そのものには、何等変化がなかった。
【0035】また、ダウングロースは生体適合性が良く
ないと、皮膚とインプラント部材の界面で皮膚が下に落
ち込んでいく現象である。ダウングロースがない程生体
適合性が良いと判断される。また、生体適合性が良いと
外部からの菌に対する生体組織の抵抗力が落ちないので
感染もし難いと考えられる。
【0036】以上を総合すると、本発明のインプラント
部材に於て消毒を中止しても感染が発生しなかったこと
は、画期的な結果と言える。
【0037】実施例2〜5:実施例2〜5では、無機充
填剤の量が10〜80重量%、好ましくは40〜70重
量%に限定されることを示す。エラストマー、無機充填
剤は実施例1と同じでそれぞれアイオノマー[三井ポリ
ケミカル社製ハイミラン1562]、硫酸バリウム[堺
化学工業(株)製硫酸バリウムB−11]を使用した。
【0038】その他は実施例1と同様な操作を行って水
酸アパタイトをコーティングした。評価の結果を表2に
示す。
【0039】
【表2】
【0040】表2の結果から、無機充填剤が10重量%
未満では膜厚も小さく、接着強度が弱いこと、80重量
%以上では射出成型性に難点があって、使用できないこ
とがわかる。
【0041】実施例6〜11:本実施例では、水溶液A
に浸漬する時間のみを変化させ、その他の条件に関して
は、実施例1と同じにした。この方法によって水酸アパ
タイトの膜厚を変化させた。評価の結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】表3の実施例6のサンプルについて3週間
後に表面を観察したところ、水酸アパタイト層が消失し
ていた。
【0044】また、実施例11のサンプルについて1ケ
月後に評価を観察したところ、部分的に水酸アパタイト
層が消失している所があった。
【0045】以上の結果から、本発明中、水酸アパタイ
ト層の厚さは好ましくは、3〜100μm、さらに好ま
しくは、10〜60μmであることが分かる。
【0046】実施例12〜18:実施例12〜18で
は、各種有機高分子と無機充填剤の組み合せで本発明の
生体インプラント部材が作製できることを示す。評価の
結果は表4に示す各実施例とも十分に使用できるもので
あることが示されている。
【0047】
【表4】
【0048】なお、本発明に使用したガラスAは次のよ
うにして作製した。
【0049】 <ガラス原料の配合量> <ガラスAの組成> mol% CaCO3 ……28.431g CaO ……49.87 MgO …… 2.289g SiO2 ……35.46 β−Ca2 2 7 …14.517g P2 5 …… 7.153 CaF2 …… 0.249g MgO …… 7.111 SiO2 ……17.015g CaF2 …… 0.399 すなわち、ガラスAは上記の原料の配合物を乳鉢を使っ
て微粉末化し、均一に混合した後、白金ルツボに入れて
1450℃で2時間溶融した。これを鉄板に流して急冷
した後、ボールミルを使って粉砕したものである。
【0050】なお、本実施例での用いたエラストマー
は、下記に示す商標品を用いている。 ・ポリウレタン:EG65Dサーメディックス社製 ・塩化ビニルA:理研ビニル工業製ポリ塩化ビニルSR
3090 ・シリコーン :信越化学工業製2液タイプシリコーン
ゴム ・水添SBS :三菱油化製ラバロンMJ4300 ・ポリエステルエラストマー:東レ・ディユポン(株)
製ハイトレル4057 ・塩ビ・エチレン共重合体 :積水化学工業エスメデイ
カ9142EF 実施例23 実施例23では、半径8mm、高さ15mmの円筒状の
インプラント用部材11を実施例1と同じ材料で押し出
し成型した。
【0051】この生体インプラント部材を水溶液Aに1
0日間浸漬して厚さ16μmの水酸アパタイト層を形成
させた。エチレンオキシドガスで滅菌した後、家兎の大
腿骨中に埋め込み、10週間後摘出し、インプラント部
材11と生体骨組織との接着状態をチエックした、生体
組織インプラント部材11の水酸アパタイト層と完全に
癒着していたので、インプラント部材として十分に使用
できるものであることが分った。
【0052】以上、いくつかの実施例を挙げて、本発明
による生体インプラント部材について説明した。これま
で、水酸アパタイトが優れた生体で適合性を示すことは
良く知られているが、強度が低いため、焼結体のままで
のインプラント部材としての使用は、大きな力を負担し
ない部分に限られてきた。これを改良するために金属基
材、あるいは、セラミックスにコーティングする方法が
開発されたが、基材のものの価格が高かったり、成型加
工性が良くなかったりで汎用のインプラント部材までに
はなっていない。
【0053】本来は、加工成型性が他の材料に対比して
格段に優れ、価格も比較的低い有機高分子材料にコーテ
ィングするのが理想的であるが、水酸アパタイトとの接
着強度が低く、これまで実現していなかった。
【0054】これらのことを考え合わせると、本実施例
は有機高分子のうちでも基材にエラストマーを用いるこ
とにより十分に実用可能な生体インプラント部材が達成
されたことを示したものということができる。
【0055】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、無機充填
剤を10〜80重量%、好ましくは40〜70重量%の
エラストマーからなる成型体のエラストマーの表面が実
質的に飽和乃至過飽和濃度の水酸アパタイト成分水溶液
から析出する水酸アパタイトの膜でコートされている部
分を有する生体インプラント部材を発現したので、生体
に対する適合性に優れ、強度を十分に確保し、かつ設計
自由度の大きい生体インプラント部材が達成され、特に
医療分野への大きな寄与が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の生体インプラント部材の形
状説明図である。
【図2】本発明による水酸アパタイト膜のコーティング
工程を示す模式図である。
【図3】本発明による生体インプラント部材を用いて形
成したインプラントデバイスの構成説明図である。
【図4】図3の生体インプラント部材を埋設した有様を
示す説明図である。
【符号の説明】
1 上アダプタ 2 下アダプタ 3 フランジ部分 4 容器 5 水溶液A 8,8a,8b 通孔 11 インプラント部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B05D 1/18 8616−4D

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機充填剤を10〜80重量%、好まし
    くは40〜70重量%含有するエラストマーの成形体か
    らなり、このエラストマー表面が実質的に飽和乃至過飽
    和濃度の水酸アパタイト成分水溶液中から析出する水酸
    アパタイトでコートされている部分を有することを特徴
    とする水酸アパタイト膜をコーティングした生体インプ
    ラント部材。
  2. 【請求項2】 水酸アパタイトの膜厚が3〜100μm
    であることを特徴とする請求項1記載の生体インプラン
    ト部材。
  3. 【請求項3】 無機充填材が硫酸バリウム、硫酸鉛、炭
    酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素、タングステ
    ン酸ビスマス、主成分をCaOとSiO2 とするガラス
    粉末又はこれらを主成分とする混合物であることを特徴
    とする請求項1記載の生体インプラント部材。
  4. 【請求項4】 エラストマーが塩化ビニル、アイオノマ
    ー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、水添S
    BSブロックコポリマー、塩化ビニル・エチレン共重合
    体、シリコーンゴムから選ばれるエラストマーであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の生体インプラント部材。
JP3266020A 1991-10-15 1991-10-15 水酸アパタイト膜をコーテイングした生体インプラント部材 Withdrawn JPH05103828A (ja)

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