JPH0471781A - エンジンバルブへの盛金材料の肉盛溶接方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えばエンジンバルブの弁フェース部等に、
硬質かつ高耐摩耗性を有する盛金材料を肉盛溶接する方
法に関する。

〔従来の技術〕

エンジンバルブの弁フェース部は、高負荷、高サイクル
の繰返し荷重を受けるため、母材単体の強度では著しく
摩耗する。そのため、弁フェース部に、硬質かつ高耐摩
耗性の盛金材料、例えばステライト等の合金粉末を肉盛
溶接して、耐摩耗性を高めるようにしている。

このような肉盛溶接は、通常、第４図に示すようなプラ
ズマ溶接装置を用いて行なわれる。

すなわち、はぼ３０°傾斜させた回転台（１）上に、エ
ンジンバルブ（２）の傘部（２ａ）を載置して、一定方
向に回転させつつ、弁フェース部（２ｂ）の直上に臨ま
せたトーチ（３）の先端よりプラズマアーク（４）を発
生させ、かつ同時に、トーチ（３）の先端のノズルより
、粉末状のステライト（５）を供給し、アーク熱により
ステライト（５）と弁フェース部（２ｂ）の表層とを溶
融させながら、傘部（２ａ）を１周させると、弁フェー
ス部（２ｂ）に形成された環状凹溝（２ｃ）の全面に肉
盛り（６）が施される。

〔発明が解決しようとする課題〕

最近の自動車用エンジンは、過給器を装着したり、多弁
機構を採用するなど、高速、高回転、高負荷及び高出力
化の傾向にあり、かつ排気ガス清浄化の観点から、弁フ
ェース部等に潤滑効果のある物質（例えば四エチル鉛等
）を含まない燃料が使用される傾向にある。

また、ディーゼルエンジンにおいては、使用される燃料
の点から、優れた耐食性、耐酸化性が要求される。

このようなエンジンに用いられるエンジンバルブやバル
ブシートには、高温強度や高温耐食性などの優れた高温
特性、並びに高い耐摩耗性が要求されるが、上記ステラ
イト単体の盛金材料を、エンジンバルブの弁フェース部
やバルブシートのシート部に肉盛溶接したのみでは、要
求される十分な高温特性や耐摩耗性等を得ることが難し
い。

そこで本願出願人は、上記ステライトに代わる高耐摩耗
性を有する盛金材料として、Ｃｏ基合金からなるステラ
イト粉末をベースとし、これに高比重かつ高融点の炭化
物系の粉末を添加した複合盛金材料と、同じ＜Ｃｏ基合
金からなるトリバロイ（デュポン社の登録商標）粉末を
ベースとし、これに同じく炭化物系の粉末を添加した複
合盛金材料とを開発し、それらを平成２年５月３０日に
出願している。（特願平２−１３８４４８号、特願平２
−１３８４４９号）。

上記両複合盛金材料は、炭化物系の粉末の添加割合が増
加するにしたがって、ベース材中における析出炭化物の
占める割合が増大して、肉盛部の硬度は比例的に高まる
特性を有しているが、次のような問題を生じることがあ
る。

すなわち、上記した複合盛金材料を、上述のステライト
単体と同様に、単にワークを１回転させて１度に所要量
肉盛溶接すると、前者のステライトをベースとしたもの
においては、ステライトよりも高比重でかつ融点の高い
炭化物系の粉末が、未溶融又は半溶融状態のまま母材と
の境界部に沈降して集積し、耐摩耗性の最も必要な弁フ
ェースの表層部に、炭化物による析出硬化層が形成され
ないことがある。

またトリバロイをベースとした後者のものは、トリバロ
イ自身が比較的高い融点を有するとともに、炭化物系の
粉末の融点がそれ以上に高いため、炭化物系の粉末の添
加割合が増えるにしたがって、肉盛り時における湯流れ
性が悪くなり、ピンホールや未溶着等の内部欠陥が発生
したり、冷却収縮時おいて肉盛部に割れが生じたりする
など、組織が不安定となる場合がある。

本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、その目的
とするところは、炭化物系の粉末が母材との境界部に沈
降するのを防止するとともに、盛金材料の溶着性、湯流
れ性を向上させ、もって肉盛部の表層の硬度を高めて、
耐摩耗性に優れる弁フェース部等が形成されるようにし
た、エンジンバルブ等への盛金材料の肉盛溶接方法を提
供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的は、エンジンバルブの弁フェース部等に形成さ
れた環状凹溝に、母材と異なる盛金材料を肉盛溶接する
に際し、前記環状凹溝に盛金材料を予定の肉盛厚さより
も小さい所定の厚さに肉盛溶接したのち、その上面に、
くり返し肉盛溶接を施すことにより、予定の厚さの肉盛
部を形成することにより達成することができる。

より具体的には、エンジンバルブ等を一定方向に回転さ
せつつ、第１層目において、適宜の肉盛溶接装置におけ
るトーチに盛金材料を供給して。

環状凹溝に第１層目の肉盛溶接を施したのち、第２層目
において、前記第１層目の上面に第２層目の肉盛溶接を
施してもよく、又は、エンジンバルブ等を一定方向に回
転させつつ、少なくとも２つのトーチを備える肉盛溶接
装置における一方のトーチに盛金材料を供給して、環状
凹溝に第１層目の肉盛溶接を施しつつ、肉盛溶接装置お
ける他方のトーチにより、前記第１層目の上面に第２層
目の肉盛溶接を施すようにしてもよい。

〔作用〕

盛金材料を複数に分けて肉盛溶接するので、盛金材料中
に含まれる高比重かつ高融点の粉末、例えば炭化物系の
粉末が母材との境界部に沈降するのが防止される。

また１回当たりの盛金材料の供給量が減るので、盛金材
料の溶融性、湯流れ性が向上し、母材との溶着性が高ま
る。

〔実施例〕

以下１本発明の実施例を、図面に基づいて説明する。

なお、第４図に示す従来例と同様の部材には。

同じ符号を付して説明する。

第１図（Ａ）及び（Ｂ）は、請求項（１）及び（２）記
載の発明の溶接要領を略示するものである。

まず第１図（Ａ）示すように、弁フェース部（２ｂ）に
環状凹溝（２ｃ）が形成されたエンジンバルブ（２）の
傘部（２ａ）を、前述した従来例と同様のプラズマ溶接
装置の回転台（１）に載置して、平面視反時計方向に回
転させつつ、弁フェース部（２ｂ）の直上に臨ませたト
ーチ（３）の先端より、不活性シールドガスとともにプ
ラズマアーク（４）を発生させ、かつ同時に粉末状の盛
金材料（８）、すなわち、例えばステライトのベース材
に、炭化物系の粉末である炭化クロム（ｃｒ３ｃｚ）か
炭化ニオブ（ＮｂＣ）等を適量添加した複合盛金材料、
又は、トリバロイのベース材に、同じく炭化クロム（ｃ
ｒ３ｃｚ）か炭化ニオブ（ＮｂＣ）等を適量添加した複
合盛金材料を供給し、エンジンバルブ（２）が１周する
間に、肉盛部の厚さが予定の肉盛厚さのほぼ半分となる
ように、環状凹溝（２ｃ）の全面に第１層目の肉盛り（
９）を施す。

ついで、第１図ＣＢ）に示すように、エンジンバルブ（
２）の第２周目において、引き続きトーチ（３）より発
生させたプラズマアーク（４）及びアーク（４）に向け
て供給された盛金材料（８）により、第１層目における
肉盛り（９）の上面に、第２層目の肉盛り（１０）を施
し、所定の肉盛厚さとする。

このような連続２周盛りを施すと、弁フェース部（２ｂ
）には、第２図に示すように、第１層目の肉盛り（９）
と第２周目の肉盛り（１０）との２層からなる肉盛部が
形成され、かつ第２層目の肉盛り（１０）を施す際にお
いて、盛金材料（８）中の炭化クロムや炭化ニオブ等の
高比重かつ融点の高い粉末が、母材との境界部、すなわ
ち環状凹溝（２ｃ）付近に沈降するのが防止されるので
、弁フェース部（２ｂ）の表層部に、炭化物が効果的に
祈呂して、その硬度を著しく高めうる。

また、盛′金材料（８）を二分して、１周当たりの供給
量を減らしたことにより、盛金材料（８）の溶融性及び
湯流れ性は高まり、従って、盛金材料（８）に、融点の
高いトリバロイをベースとした複合盛金材料を用いた際
でも、母材への溶着性が損なわれる恐れはなく、ピンホ
ール等の内部欠陥や冷却収縮時における割れ等が防止さ
れる。

しかも、第２層口の肉盛り（１０）時において、第１層
目の肉盛り（９）部の表層が加熱再溶融されるので、熱
ひずみや残留応力の発生するのが防止されるとともに、
徐冷効果により、冷却収縮時において肉盛部が割れるな
ど、不良品の発生率が極めて少なくなる。

次に、請求項（１）及び（３）記載の発明の溶接要領を
、第３図に基いて説明する。

この発明は、はぼ水平をなす回転台（１）上に、エンジ
ンバルブ（２）を垂直に載置し、その両側に互いにほぼ
１８０°位置を異ならせて設けた、第１層目肉盛り用の
トーチ（１１）と、第２層目肉盛り用のトーチ（］２）
との２トーチにより、肉盛溶接を行なうものである。

すなわち、まず前述した発明と同様に、回転台（１）に
よりエンジンバルブ（２）を反時計方向に回転させつつ
、トーチ（１１）の先端よりプラズマアーク（１３）を
発生させると同時に、前述したと同様の盛金材料（８）
を供給して、環状凹溝（２Ｃ）に、予定肉盛厚さのほぼ
半分となるように、第１層目の肉盛り（９）を施す。

ついで、エンジンバルブ（２）が約半回転して、第１層
目の肉盛り（９）部の先端が、トーチ（１２）の直下ま
で移動したとき、トーチ（１２）の先端よりプラズマア
ーク（１４）を発生させると同時に、盛金材料（８）を
供給して、順次回転してくる第１層目の肉盛り（９）の
上面に、第２層目の肉盛り（１０）を施し、所定の肉盛
厚さとする。

ついで、エンジンバルブ（２）が１回転して、環状凹溝
（２Ｃ）の全面に第１層目の肉盛り（９）が施されたと
同時に、トーチ（１１）よりのプラズマアーク（１３）
と盛金材料（８）の供給を停止し、かつ、さらにエンジ
ンバルブ（２）が半回転して、第１層目の肉盛り（９）
の上面の全面に第２層目の肉盛り（１０）が施されたと
同時に、トーチ（１２）よりのプラズマアーク（１４）
と盛金材料（８）の供給を停止させる。

この２ト一チ式の発明によっても、前述した発明と同様
の作用効果を奏することができる。

本発明の方法は、上記実施例に限定されるものではなく
、種々の態様をとりうる。

例えば、請求項（２）記載の発明においては、１周当た
りの盛金材料（８）のトーチ（３）への供給量を適数に
分割してワークを複数回回転させることにより、また請
求項（３）記載の発明においては、トーチ（１１）又は
（１２）に再度盛金材料（８）を供給するか、又はトー
チの数を増加することにより、それぞれ２層以上にくり
返し肉盛溶接することができる。

２ト一チ式の場合において、トーチ（１１）と（１２）
の位置を、互いに１８０°異ならせて配置しであるが、
その位置は適宜である。

本発明の方法は、上記炭化クロム（Ｃｒ３Ｇ、）や炭化
ニオブ（ＮｂＣ）を添加した盛金材料の外、ステライト
又はトリバロイをベース材とし、これにＷ　Ｃ、Ｔ　ｉ
　Ｃ、Ｔ　ａ　Ｃなどの炭化物、ＴｉＮ、ＴａＮなどの
窒化物及びＡＱ２０．、ＺｒＯ２などの酸化物等を添加
した複合盛金材料を用いた際にも効果的である。

本発明の実施に用いる溶接装置は、上記プラズマ溶接装
置以外に、酸素−アセチレンガスやその他の溶接手段で
もよい。

本発明は、バルブシートのシート部に肉盛溶接する際に
も適用しうる。

〔発明の効果〕

本発明によれば、盛金材料中に含まれる高比重かつ高融
点の粉末が、肉盛部の表層に分布されるので、弁フェー
ス部の表層の硬度及び耐摩耗性を著しく高めろる。

また、盛金材料の溶融性、湯流れ性が向上して。

母材との溶着性が高まるので、ピンホール等の内部欠陥
や冷却収縮時の割れなどの発生するのが防止され、均一
でかつ品質の高い肉盛部が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図（Ａ）及び（Ｂ）は、請求項（１）及び（２）記
載の本発明の方法の一実施例を示し、（Ａ）は第１層目
の肉盛溶接中、（Ｂ）は第２層目の肉盛溶接中の概略説
明図、 第２図は、第１図（Ｂ）における■−■線に沿う要部の
拡大縦断側面図、 第３図は、請求項（１）及び（３）記載の本発明の方法
の一実施例を示す概略説明図、 第４図は、従来の肉盛溶接方法を示す概略説明図である
。 （１）回転台 （２ａ）傘部 （２ｃ）環状凹溝 （４）プラズマアーク （９）（１０）肉盛り （１３）　（１４）プラズマアーク （２）エンジンバルブ （２ｂ）弁フェース部 （３）トーチ （８）盛金材料 （１１）（１２）　ｌ−−チ （Ｂ） 第２図 Ｃ 第３図

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. （１）エンジンバルブの弁フェース部等に形成された環
   状凹溝に、母材と異なる盛金材料を肉盛溶接するに際し
   、前記環状凹溝に盛金材料を予定の肉盛厚さよりも小さ
   い所定の厚さに肉盛溶接したのち、その上面に、くり返
   し肉盛溶接を施すことにより、予定の厚さの肉盛部を形
   成することを特徴とするエンジンバルブ等への盛金材料
   の肉盛溶接方法。
2. （２）エンジンバルブ等を一定方向に回転させつつ、第
   １周目において、適宜の肉盛溶接装置におけるトーチに
   盛金材料を供給して、環状凹溝に第１層目の肉盛溶接を
   施したのち、第２周目において、前記第１層目の上面に
   第２層目の肉盛溶接を施すことを特徴とする請求項（１
   ）記載のエンジンバルブ等への盛金材料の肉盛溶接方法
   。
3. （３）エンジンバルブ等を一定方向に回転させつつ、少
   なくとも２つのトーチを備える肉盛溶接装置における一
   方のトーチに盛金材料を供給して、環状凹溝に第１層目
   の肉盛溶接を施しつつ、肉盛溶接装置おける他方のトー
   チにより、前記第１層目の上面に第２層目の肉盛溶接を
   施すことを特徴とする請求項（１）記載のエンジンバル
   ブ等への盛金材料の肉盛溶接方法。