JPH047105Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （考案の利用分野） 本考案は、筒状の函容器内に食品類等の包装品
を共に封函した包装体に関するものである。

（考案の背景） 以下包装品が食品類である場合を例にして説明
すると、一般に、流通過程においての食品類の成
分変化の防止（変質の防止）は重要なものであ
り、近年このような目的に対応して提供されてい
る食品類の保存技術の進歩はめざましいところが
ある。

前記の保存食品類に影響を及ぼす外的因子とし
ては、光、酸素、温度、湿度、微生物、酵素等々
があるが、前記酸素は、食品の酸化によつて栄養
価の低下、風味や色調を変化させたりする他、油
脂類の酸化の場合には食中毒の危険さえ考慮され
る問題となる。

そこで従来より食品類の包装体については、そ
の包装体中における酸素の除去を行なうように、
真空包装する、あるいは不活性ガス（通常窒素ガ
ス）を封入する等の手段が用いられる他、近時に
おいては品質保持剤（通常ガス透過性袋内にこれ
を充填した脱酸素用包体を用いるので、以下品質
保持剤を含めて脱酸素用包体という場合がある）
を前記包装体中に共に入れることも行なわれてい
る。

しかし前記のような酸素除去のための技術のう
ち、脱酸素用包体を食品と共に封函する場合に
は、封函する食品類の種類によつてかかる脱酸素
用包体中の品質保持剤の食品中への混入防止を十
分配慮する必要がある。これは、前記脱酸素用包
体は脱酸素剤が通常紙製のガス透過性の袋に充填
されて用いられるものであるから、食品と共に包
装されて流通等される際に前記脱酸素用包体が破
れて脱酸素剤が食品中に混入する虞れがあるあら
である。

このような問題は、包装食品が固形粒状物等で
ある場合に特に顕著となる。

（考案の目的） 本考案は、以上の観点からなされたものであ
り、その目的は、例えば食品類等の包装品と共に
封函されて、包装体中の雰囲気を好適状態にする
（例えば脱酸素剤によりガス状酸素を除去する）
ための品質保持剤が、前記包装品中へ混入するこ
とがないように隔離され、しかもその包装体中へ
の前記品質保持剤の組込み作業性も良好とした包
装体を提供するところにある。

（考案の概要） 而して、かかる目的の実現のためになされた本
考案よりなる品質保持剤を共に封函した包装体の
特徴は、充填内容物を外部から封止するように底
蓋および天蓋が閉塞された筒状の包装用容器本
体：該容器本体の前記底蓋または天蓋に漏斗状の
周端縁が接しかつ漏斗状の尖端を前記容器本体の
内方に向けた姿勢で嵌合配置されて、該容器本体
内部を該漏斗の内側と外側の空間に分ける隔膜プ
レート：前記隔膜プレートの外側空間に充填され
た食品類：前記隔膜プレートの内側空間内に挿入
された品質保持剤包体：とを備え、前記隔膜プレ
ートは、内、外に隔離した両側の空間の間でのガ
ス流通を許容する構成としたところにある。

前記構成において、容器本体は、錫めつき鉄板
やアルミ板等の金属製板材の他、厚紙製、プラス
チツク製あるいはこれらの組合わせである所謂ラ
ミネート製等のいずれであつてもよく、これを筒
状としてその底蓋および天蓋をカシメ等により一
体化した周知の例えば食品包装用函体をそのまま
用いることができ、特に所謂プルトツプ型の天蓋
開放方式の包装用函体が好ましく用いられる。

この容器本体に充填される包装品は、例えば食
品類としては、一般的には穀類（米、麦、とうも
ろこし、はと麦等）、穀類の加工物（アルフアー
化した粒、フレーク、粉）、粉乳、ナツツ類、ク
ツキー、ポテトチツプ、かつお節、乾燥した野
菜、果物、肉類、香辛料等を例示することができ
るが、特にこれらに限定されるものではない。

食品類以外の包装品としては、粒状、粉状等の
ビタミンあるいはその他の医薬品、さらには精密
機械部品等の高度の防錆が要求される機械部品等
であつてもよい。

隔膜プレートによつて、容器本体内の食品類等
の包装品とは隔離されて挿入配置される品質保持
剤は、その包体のもつガス透過性の性質によつ
て、外部から拡散により該袋内部に入るガスを内
部に充填されている例えば脱酸素剤が酸化反応に
より固定する。あるいは包体内部の品質保持剤の
発散する有効成分（例えばCO₂，C₂H₅OH，
BHT）が外部に拡散して包装品に対し作用する
方式の通常市販されているものをそのまま用いる
ことができる。

前記品質保持剤としては、例えば前記脱酸素剤
の他、シリカゲル等の乾燥剤、活性炭素の脱臭剤
等々を例示することができる。

前記構成における隔膜プレートは、容器本体の
底蓋または天蓋のいずれかに接して、該容器本体
内の包装品充填空間と品質保持剤包体の挿入配置
空間とに区画隔離するものであるが、品質保持剤
包体の挿入配置空間が押し潰されることがないよ
うにするため、ならびに充填包装品との隔離性を
確保する上から、前記した漏斗状の形状に形成し
た隔膜プレートが好ましく用いられる。漏斗状の
形状はその軸線方向からの圧潰力に対しての圧潰
強度上有効であることによる。

また前記隔膜プレートは、特に、例えばプラス
チツク製、厚紙製等の腰のある円形シートの一部
に半径線状の切込みを入れ、該切込みの両側部分
を重ねることで漏斗状に形成したものが好ましく
利用される。これは、かかる円形シートを漏斗状
に形成させる場合には、該漏斗状の隔膜プレート
に生ずる復元力によつて、漏斗状の隔膜プレート
の周縁が、容器本体の内壁に密に接する作用が得
られるからである。特に前記した通常の食品類包
装用の函体においては、底蓋あるいは天蓋の一体
化に際して、該底蓋（あるいは天蓋）に接する筒
状内壁に周溝が形成されることとなるのが普通で
あることから、この周溝に前記隔膜プレートの周
縁が嵌入して、区画隔離性の確保が容易となり、
また隔膜プレート組付けの作業性が容易となる利
点が得られるからである。この隔膜プレートは、
孔あけ加工等によつて前記内、外両側間でのガス
流通を許容するものとして形成される。

（考案の実施例） 以下本考案を図面に示すアルフア米を包装品と
した場合を例にして説明する。

第１図および第２図において、１は容器本体で
あり、胴部２、底蓋３、天蓋４とからなつてい
て、内部に後記する隔膜プレート１０および脱酸
素用包体１９が挿入配置されている他は、従来の
天蓋４にプルトツプ用タブ９が組付けられた公知
の食品類包装用容器と同じ構成をなしている。２
０は本例食品類として前記本体容器１内に充填さ
れたアルフアー米を示している。

第３図は、前記第１図に示した容器本体１内の
隔膜プレート１０の詳細および組込み手順を説明
するためのものである。

前記において、隔膜プレート１０は、穿設加工
されたエア流通用孔（通気孔）１２を有する比較
的腰のあるプラスチツク等の素材からなる円形の
シート（自然状態において平板状）からなり、そ
の一部に円形の中心から外周に至る半径線として
１本の切込み線１３を入れ、この切込み線１３の
両側を第３図ハの如く重ね合せて該隔膜プレート
を漏斗状に形成する（重ね合せ部を１５とする）。
この漏斗状に形成された隔膜プレート１０を、第
３図ヘに示す如く容器本体の天蓋４の内側に組込
みすることで、該隔膜プレート１０の容器本体内
への設置は完了する。この際、前記した公知の食
品類包装用容器は、天蓋４の容器本体の胴部への
一体化において上巻締部６の近傍に容器内方に対
し周状に突出したガードビード７が形成され、こ
れによつてこのガードビード７と天蓋４の間に周
状の凹所８が形成されることとなるため、該周状
凹所８に前記漏斗状の隔膜プレート１０の外周縁
を嵌入させれば、この漏斗状隔膜プレート１０の
平板状態への復元力にて、抜けが確実に防止され
た組付け状態が得られることとなる。

第４図は、以上の構成をなす容器を用いて食品
類包装体を作成する場合の作成手順一例を示した
図であり、脱酸素用包体１９および隔膜プレート
１０の挿入組付けを除き公知の作成手順と同じで
ある。すなわち、あらかじめ天蓋４を一体化した
倒立状態の胴部２に対し、脱酸素用包体１９を落
とし込み、次いで隔膜プレート１０を前記第３図
で説明したように挿入組付けし、この後、食品類
の充填、底蓋３の込付け一体化更に反転して例え
ばポリエチ蓋２１の組付けを行なう公知の手順に
て前記作成が完了する。

以上によれば、得られた食品類包装体は、隔膜
プレート１０によつて充填食品類２０とは隔離さ
れた状態の脱酸素用包体１９が該包装体中に共に
封入され、しかも隔膜プレート１０により、該脱
酸素用包体１９が充填食品類２０と接触すること
がないため脱酸素用包体の破損の虞れはなく、し
たがつて食品類中への品質保持剤の混入を生ずる
こともないという効果が得られる。また前記脱酸
素用包体１９、隔膜プレート１０の組込みの作業
も容易であり、組込み後の隔膜プレート１０の抜
けも生ずることがないため、その実用上の効果は
極めて大である。

また以上の例においては、隔膜プレートによつ
て食品類とは隔離された空間を、調理済み具ある
いは調味液等を詰めた小袋の挿入空間として利用
することも可能である。

第５図〜第１２図は、それぞれ本考案に用いら
れる隔膜プレートの他の例を示したものであり、
これらの例においても前記例のものと同様の効果
を得ることができる。

また第１３図および第１４図に示した例は、隔
膜プレートの外周縁に、周方向に離間して多数の
短尺径方向周縁切込み１６を切込みして、該隔膜
プレートを漏斗状にした時に立ち上る周縁立ち上
がり舌片１７を設けた場合のものを示している。

（考案の効果） 以上述べたように、本考案よりなる食品類等の
包装体によれば、包装体中に該食品類等の包装品
と共に封函された品質保持剤が、充填包装品の周
囲雰囲気を例えばガス状酸素の除去等によつて好
適に実現し、しかも前記食品類等の包装品にこの
品質保持剤が混入することがないように確実に隔
離され、さらに容器本体中への隔膜プレートある
いは前記品質保持剤の組込み作業性も良好な包装
体を提供することが出来るためその実用上の効果
は極めて大なるものがある。

【図面の簡単な説明】

図面第１図は本考案よりなる食品類包装体の一
部断面を含む正面図、第２図は第１図の隔膜プレ
ート部分から上方を視た図、第３図イ〜ヘは隔膜
プレートの形成および容器本体への組込み手順を
説明するための図、第４図イ〜トは容器本体に対
しての脱酸素用包体、隔膜プレート、食品類、の
充填、および該容器本体の底蓋の閉塞の手順を説
明するための図、第５図イ，ロ，ハ〜第１２図
イ，ロ，ハはそれぞれ隔膜プレートの他の例を示
した図であり、各図のイは隔膜プレートの自然状
態の一部平面図、各図のロは漏斗状に形成した隔
膜プレートの平面図、各図のハは漏斗状に形成し
た隔膜プレートの側面図である。第１３図イ〜ニ
および第１４図イ〜ニは、隔膜プレートの更に他
の例を示す図であり、各図のイは隔膜プレートの
自然状態の平面図、各図のロは同自然状態の側面
図、各図のハは漏斗状に形成した隔膜プレートの
平面図、各図のニは漏斗状に形成した隔膜プレー
トの側面図である。 １……容器本体、２……胴部、３……底蓋、４
……天蓋、５……下巻締部、６……上巻締部、７
……ガードビード、８……周状凹所、９……プル
トツプ用タブ、１０……隔膜プレート、１２……
エア流通用孔（通気孔）、１３……切込み線、１
４……周縁、１５……重ね合せ部、１６……周縁
切込み、１７……周縁立ち上がり舌片、１９……
脱酸素用包体、２０……アルフアー米、２１……
ポリエチ蓋。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 充填内容物を外部から封止するように底蓋お
   よび天蓋が閉塞された筒状の包装用容器本体：
   該容器本体の前記底蓋または天蓋に漏斗状の周
   端縁が接しかつ漏斗状の尖端を前記容器本体の
   内方に向けた姿勢で嵌合配置されて、該容器本
   体内部を該漏斗の内側と外側の空間に分ける隔
   膜プレート：前記隔膜プレートの外側空間に充
   填された食品類：前記隔膜プレートの内側空間
   内に挿入された品質保持剤包体：とを備え、前
   記隔膜プレートは、内、外に隔離した両側の空
   間の間でのガス流通を許容するものであること
   を特徴とする品質保持剤を共に封函した包装
   体。 (2) 天蓋がプルトツプ型の開放用の蓋であつて、
   前記隔膜プレートはこの天蓋に漏斗状の周縁が
   接し、底蓋は、食品類の充填後に組付けカシメ
   されたものであることを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の品質保持剤を共に封
   函した包装体。