JPH0464361B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、鉄道の軌道敷設における枠形スラブ
軌道の築造方法に関する。

〔従来の技術〕

鉄道において、軌道敷設は一般に道床にバラス
トを用いる有道床軌道が用いられているが、近年
列車の高速化や通行回数の増加により道床破壊や
保線作業の労力と経費が増加し、それに対応する
ために軌道のメインテナンスフリー化を主な目的
としてスラブ軌道が開発され、既に新幹線や在来
線の諸所に用いられている。

以下にこのスラブ軌道を第４図を用いて説明す
る。図面は斜視図であり、図において、１はコン
クリート床版であり、盛土、トンネルおよび橋梁
等の表層である。

２は現場打ちによる路盤コンクリート、３は軌
道スラブであり、路盤コンクリート２にセメント
アスフアルトモルタルや合成樹脂等による充填材
４を介して一定高さに設置されている。

５はレールであり、締結装置６を用いて軌道ス
ラブ３に敷設されている。

７は上記軌道スラブ３を固定するための係止突
起である。

以上の構成によると、道床の補修が不要とな
り、しかも高い精度を保つことができる軌道とな
る。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記説明した従来技術によると、軌道スラブに
は図示する如く平板状のものと中央部を空けた枠
形のものがあり、前者は軌道スラブで列車荷重を
全面支持するために荷重の支持効率に無駄があ
り、かつ製作費が高く、しかも充填材の使用量が
多く不経済である。さらに、平面的であるために
列車やレールと車輪の接触部等からの発生音がス
ラブ面に反射して騒音が大きい等の問題が有る。
後者は充填材の外気への露出部が多くなつて、強
度、弾性および耐久性等の面で問題があるために
通常、合成樹脂の充填材を使うことになり、材料
費が過大になる問題がある。

さらに、両者共に充填材用の型枠の設置に多く
の人手と機材を必要とし、その設置が不適当な場
合には充填材が漏洩して軌道スラブの支持状態が
不均等となる問題が生ずる。

〔課題を解決する為の手段〕

本発明は、コンクリート床版またはその上に設
けた路盤コンクリート上に軌道スラブをコンクリ
ート床版に設けた係止突起によつて位置決めして
配置し、この軌道スラブ上にレールを敷設するス
ラブ軌道の築造方法において、軌道スラブを枠形
軌道スラブとし、この枠形軌道スラブのレール直
下部の個所に充填材の滲出性と通気性を有する注
入袋を装着し、この注入袋内に可撓性の充填材を
注入して枠形軌道スラブを一定高さに支持し、係
止突起と枠形軌道スラブとの間に充填材を充填さ
せてコンクリート床版と枠形軌道スラブとを一体
としたことを特徴とする。

また、注入袋の片側に可撓性の充填材の注入口
を設けて施工性を向上させると共に必要に応じて
軌道スラブと路盤コンクリートが接する面に凹凸
を介在させて填充した注入袋を安定化させたこと
を特徴とする。

〔実施例〕

以下に本発明の一実施例を図面を用いて説明す
る。

第１図は完成状態を示す斜視図、第２図は注入
袋を装着した状態の拡大斜視図であり、図におい
て、１はコンクリート床版であり、盛土、トンネ
ルおよび橋梁等の表層である。

８は路盤コンクリートであり、上面中央に溝９
が形成してある。

この路盤コンクリート８の溝９に、補強材１０
を装着した注入袋１１を敷いておく。

１２は枠形軌道スラブであり、高さ調整ジヤツ
キや鉄棒等を用いてこの枠形軌道スラブ１２の高
さと中心線の調整を行つた後、上記注入袋１１の
一方だけに設けた注入口１１ａから充填材１３を
他方の注入袋１１の端部に充満するまで注入し、
硬化後に枠形軌道スラブ１２から突出している端
部を切り取つて軌道スラブ支持材１４とする。

上記充填材１３は、注入袋１１の編目を通つて
全周から充填材１３の一部を滲出すると共に袋内
の気泡を排出しながら充填されるため、端部に排
気孔を設置したり注入袋１１の周縁にピンホール
を設ける等の必要はない。

１５は上記枠形軌道スラブ１２を位置決めする
ためにコンクリート床版１に突出させた鉄筋コン
クリート製等の係止突起であり、枠形軌道スラブ
１２の端部に設けた係止凹部を係止して位置決め
するものである。

そこで、係止突起１５の周囲、枠形軌道スラブ
１２、路盤コンクリート８およびコンクリート床
版１との〓間に漏れ止め工を施し、充填材１６を
注入、固化させてコンクリート床版１と路盤コン
クリート８および枠形軌道スラブ１２とを全一体
に固定する。

つぎに、以上の各構成材料について説明する。

路盤コンクリート８としては、コンクリート床
版１上に打設した現場打ちコンクリートまたはプ
レキヤストコンクリートを用い、枠形軌道スラブ
１２のレール直下部分を二本の帯状体で支える形
状と寸法を有するものが好ましく、無筋コンクリ
ート、鉄筋コンクリート、鉄網入りコンクリート
もしくはプレストレストコンクリート等の単一材
料または合成材料が使用でき、充分な耐荷力と耐
久性をもち、安価なものがよい。

また、路盤コンクリート８の上面に設けた凹凸
としての溝９は、必ずしも溝の必要はなく所定間
隔に突条を設けたものあるいは鉄筋の挿入でもよ
く、列車の振動や軌道スラブの滑動等によつて注
入袋１１の移動が生じないような構造であればよ
い。なお、路盤コンクリートを用いないでトンネ
ル、橋梁および盛土のコンクリート床版上に直接
枠形軌道スラブ１２を敷設する場合にはコンクリ
ート床版上にこのような溝を設けておけばよい。

枠形軌道スラブ１２としては、上記路盤コンク
リート８と同様の材料を用いることができる。ま
た、その形状は必ずしも枠形である必要はなく平
板状であつてもよい。また、枠形軌道スラブ１２
の下面には上記路盤コンクリート８の上面に設け
たと同様の凹凸を設けてもよい。

注入袋１１としては、ポリエチレン、ポリエス
テル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロ
ン、塩化ビニール、麻、綿、紙、炭素、ガラス、
鋼等の有機質系、無機質系または金属質系の材料
からなる単一材料もしくはそれらの複合材料の織
布あるいは不織布であり、上記溝に順応できる可
撓性をもち、充填材１３を一部滲出させると共に
抱き込み気泡を脱気させる機能を有し、充填材の
補強にも役立つものがよい。例えば、ポリプロピ
レン製の織布で編目状のもの等である。

また、必要に応じて挿入する注入袋１１の補強
材１０としては、第３図Ａ，Ｂ，Ｃに示す如く軌
道スラブの両端付近または全長にわたつて設ける
ものであり、鋼、ステンレス鋼、炭素、ガラス、
ポリエチレン、ナイロン、塩化ビニール、麻等の
金属質系、有機質系または無機質系の単一材料も
しくはそれらの複合材料の織布、不織布、編み物
等のマツトもしくはメツシユであり、充填材の浸
透が可能で充分な強度と耐久性があればよく、例
えば、耐アルカリ性ガラス繊維マツト、ポリエチ
レン性メツシユまたはステンレス鋼製メツシユで
ある。この補強材１０は注入袋１１にミシン等に
よつて一体に結合されている。なお、注入袋１１
自体が充分な強度と耐久性がある場合にはこの補
強材を省くことができる。

充填材１３としては、セメント系、アスフアル
ト系、樹脂系またはゴム系等の単一材料もしくは
それらの複合材料が使用でき、例えば、施工が容
易で緩衝性に富む常温混合性のセメントアスフア
ルト系モルタル、セメントラテツクス系モルタル
あるいはセメントアスフアルトラテツクス系モル
タルである。また、補強材を装着しない場合には
上記の複合モルタルとガラス、炭素、ポリプロピ
レン、ナイロン等の単一材料もしくはそれらの複
合材料の短繊維を混合して繊維補強複合モルタル
としてもよい。

突起部用の充填材１６としては、上記の充填材
１３と同様の材料が使用できるが、上記の充填材
１３に比べてさらに強度が高く、弾性に富みかつ
耐久性に優れる品質の材料のほうがよい。例え
ば、ポリウレタン系樹脂モルタル、セメントが富
むセメントアスフアルトラテツクス系モルタル等
である。

〔発明の効果〕

以上詳細に説明した本発明によると、軌道スラ
ブのレール直下部の注入袋を配置して充填材を注
入するようにしたことにより、充填材の注入に際
して型枠の施工を一切必要とせず、しかも充填材
の使用量も少なくてすむ効果を有する。注入後は
編目のため、注入袋外に一部滲出した充填材は路
盤コンクリートや軌道スラブの凹凸に埋まつて硬
化し、注入袋と両構造物との一体化を増し、軌道
全体を安定化させる。さらに、注入袋自体が充填
材の補強の役をなす効果を有すると共に充填材の
注入口が一箇所でるために施工が容易となる効果
も有する。

また、枠形軌道スラブを使用することにより、
軌道スラブの軽量化と低廉化をはかり、さらに、
枠形軌道スラブの中空部分にバラストを充填する
ことにより、騒音の低減を計ることができること
になる。

さらに、構造物の不同沈下などによつて軌道レ
ベルに狂いが生じたような場合には注入袋を取り
替えることによつて容易に補修することができる
効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す斜視図、第２
図は注入袋に充填材を注入する前の状態を示す拡
大斜視図、第３図は補強材の状態を示す注入袋の
断面図、第４図は従来例の斜視図である。 １……コンクリート床版、５……レール、８…
…路盤コンクリート、９……溝、１０……補強
材、１１……注入袋、１２……枠形軌道スラブ、
１３……充填材、１４……枠形軌道スラブ支持
材、１５……係止突起、１６……充填材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ コンクリート床版またはその上に設けた路盤
   コンクリート上に軌道スラブをコンクリート床版
   に設けた係止突起によつて位置決めして配置し、
   この軌道スラブ上にレールを敷設するスラブ軌道
   の築造方法において、 軌道スラブを枠形軌道スラブとし、この枠形軌
   道スラブのレール直下部の個所に充填材の滲出性
   と通気性を有する注入袋を装着し、 この注入袋内に可撓性の充填材を注入して枠形
   軌道スラブを一定高さに支持し、 係止突起と枠形軌道スラブとの間に充填材を充
   填させてコンクリート床版と枠形軌道スラブとを
   一体とすることを特徴とするスラブ軌道の築造方
   法。 ２ 注入袋の片側に可撓性充填材の注入口を設け
   ると共に軌道スラブと路盤コンクリートの注入袋
   と接する面に凹凸を設けたことを特徴とする請求
   項１記載のスラブ軌道の築造方法。