JPH045618Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ナツトの開口が軽量気泡コンクリー
ト版の端面に向くように埋込金具が埋め込まれた
軽量気泡コンクリート版（以下ALC版と略す）
に関し、ALC版の端面である小口面でALC版を
建物躯体に取付けることのできるALC版に関す
る。本考案の目的は、埋め込まれた金具がALC
版内の籠状の補強鉄筋の位置によらず、ALC版
を建物躯体に取りつけるための最適位置に取り付
けることができ、かつ位置精度良く取付けること
が可能な構造とすることにより埋込まれた金具に
より、ALC版の建物躯体への取付強度をより高
めることのできる構造のALC版を提供すること
にある。

従来、ALC版を小口面で建物躯体へ取り付け
るためにALC版内に埋込まれた金具は、例えば
第４図Ａ，Ｂに示すように予めナツト７をアンカ
ー鉄板１０に沿わせて溶接した取付金具２を篭状
に構造された補強鉄筋の主筋部分４ａに溶接した
ものであり、これを埋設してALC版を形成した
り、または第４図Ｃ，Ｄに示すように、予め、ナ
ツト７をフランジ片に沿わせて溶接した溝形鋼１
１を篭状に構成された補強鉄筋の主筋部分４ａに
直接溶接したものを埋設してALC版を形成した
もの等であつた。これらはいずれも図中の矢印で
示したような外力Ｆに対しては強い構造であり、
直接、外力が篭状に構造された補強鉄筋の主筋部
分４ａに伝達される構造になつている。

しかし、軽量気泡コンクリート版内の補強筋
は、パネルにかかる荷重によつて、予めその鉄筋
本数や位置が個々のパネルごとに決められている
ものであり、埋込金具の建物躯体に対する最適位
置とは無関係に設定されている。その個々の最適
取り付け位置に合わせて、軽量気泡コンクリート
版内の補強筋位置を決めていては、補強鉄筋の取
りつけが困難となる。又、補強鉄筋位置に合わせ
て建物躯体にパネルを取り付ける場合、パネルの
取り付けが困難となる。従つて、第４図Ａ，Ｂ，
Ｃ，Ｄに示す従来の方法では、埋込金具の位置が
補強筋の位置による特定位置にしか取り付けるこ
とが出来ず、建物躯体に対して最適の取り付け位
置に設けることができないという欠点を有する。

また、補強鉄筋による篭状組立に制作誤差があ
ると、アンカー鉄板１０や溝形鋼１１を篭状の補
強鉄筋の主筋部分４ａに直接溶接する構造である
ために、ALC版を取付ける金具の位置精度に直
接影響を及ぼしたり、第４図Ｃ，Ｄのような例で
は、篭状の補強鉄筋の主筋部分４ａと取付金具２
がうまく接しなく溶接が不可能になることも起こ
り得る。

本考案では、ALC版内の補強位置によらず、
建物躯体に、埋込金具を取り付けることが出来る
とともに、建物躯体へのALC版面付強度を高く
することができ、ALC版内の篭状の補強鉄筋に
位置精度良く取付けられた埋込金具を内蔵した
ALC版を得ることができる。

本考案の構成を第２図Ａ，Ｂの各実施例に基づ
いて説明する。これらの図において、ALC版内
の補強鉄筋４は、主筋部分４ａとこれと直交して
溶接された補強筋部分４ｂとにより構成されてい
る。第２図Ａにおいて、埋込金具３は、埋込鋼材
６である溝形鋼のフランジ部に沿つて互いに平行
に溶着された二対、４本の短いアンカー鉄筋５を
有し、溝形鋼の軽量気泡コンクリート版の端面と
平行なウエブ部にナツト７がALC版１の小口方
向に向けて溶着してあり、その一端は小口面に向
けて開口している。このナツト７の開口部に向け
て、ALC版１の小口面から孔をあけて、第３図
に示すようにボルト８を蝶合できるようになつて
いる。この埋込金具３のアンカー鉄筋５は、第３
図にも示すようにALC版１内の上下両端側にそ
れぞれ配筋され、ほぼALC版の全幅にわたる長
さの補強筋部分４ａ，４ｂに溶接されて固定され
ている。

第２図では、埋込鋼材６を溝形鋼としたが、本
考案では少なくとも一対の平行なフランジ片を有
する鋼材、例えばＨ型鋼材であればよく、またア
ンカー鉄筋５の夫々はALC版内部の補強鉄筋４
に固定されていればよい。またナツト７は、ナツ
トの開口がALC版の端面（小口面）に向くよう
に埋込鋼材６のウエブ部に垂直に固定されていれ
ばよい。

このようにナツト７が固定されていればナツト
７が受ける外力を埋込鋼材６に均一に伝えること
ができる。

本考案では、このような埋込金具３はALC版
１の所要箇所、例えば第１図のように四隅部に設
けられて、ALC版が構成される。

本考案が奏する効果として、ALC版内の篭状
の補強鉄筋へ埋込鋼材を直接溶接するのではな
く、短いアンカー鉄筋を介して溶接されているの
で、埋込金具を位置精度良く、建物躯体の取り付
け最適位置に配置出来る効果がある。

従来の取付金具では、ALC版面内方向への位
置精度が補強鉄筋を篭状とする際の補強鉄筋位置
及びその製作誤差により直接影響を受けていた。
ところが本考案に用いられる埋込金具ならば、補
強鉄筋の主筋４ａや、それと直交する補強鉄筋４
ｂの位置によらずに取り付けられるばかりでな
く、該埋込金具の短いアンカー鉄筋を容易に変形
できるので、補強鉄筋を篭状とする際の製作誤差
をアンカー鉄筋の変形により吸収し、取付金具を
位置精度良く取付けることができる。

即ち、アンカー鉄筋は短いものであるが、その
中でも長さをある程度長くしておけば、アンカー
鉄筋の曲げ変形も大きくなるとともに、補強鉄筋
の間隔に左右されることなく、ALC版のどの位
置にでも取付けることが可能である。

このように、本考案のALC版は所望位置に精
度良く取付部（即ち、取付金具のナツト部）を有
するALC版となる。

さらに本考案の埋込金具の、取付けは、短いな
りにアンカー鉄筋が長さを有しかつ鉄筋であるた
めに、アンカー鉄筋とALC版の補強鉄筋の溶着
性は良く、溶接方法は抵抗溶接で良く、作業性に
優れるとともに、良く溶着した製品となり、取付
強度も優れているという効果も有している。

その他に、第２図Ａ，Ｂに示した例の埋込金具
を有するALC版を、第３図に示すごとく、ナツ
ト７にボルト８を螺合して躯体フレーム９に取付
けた場合、ボルト８を介してナツト７に作用する
外力は、埋込鋼材６に伝達されるが、短いアンカ
ー鉄筋５を介して上下両面にそれぞれに配した補
強筋部分４ｂ，４ｂへ伝達され、さらにALC版
全体の主筋部分４ａ，４ａやその他の補強筋部分
へと分散される。このため、ALC版に外力が加
わつた際にインサートまわりに局部破壊が発生す
るのを防止する上で非常に有効である。

【図面の簡単な説明】

第１図は埋込んだ本考案のALC版を篭状の補
強鉄筋を省略して示した全体斜視図、第２図Ａ，
およびＢは本考案で埋込まれる金具の斜視図、第
３図は埋込金具取付状態を示すALC版の部分断
面図、第４図Ａ，Ｃは従来の埋込金具２種の
ALC版への取付状態をそれぞれ示す正面図、第
４図Ｂ，Ｄは第４図Ａ，ＣのALC版内の状態を
示す斜視図である。 １……ALC版、２……取付金具、３……埋込
金具、４……補強鉄筋、４ａ……補強鉄筋の主筋
部分、４ｂ……補強鉄筋の補強筋部分、５……ア
ンカー鉄筋、６……埋込鋼材、７……ナツト、８
……ボルト、９……躯体フレーム、１０……アン
カー鉄板、１１……溝形鋼。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ナツトの開口が軽量気泡コンクリート版の端面
   に向くように埋込金具が埋設された軽量気泡コン
   クリート版において、埋込金具の一部を構成する
   埋込鋼材６は軽量気泡コンクリート版の端面に平
   行なウエブ部とウエブ部の少なくとも左右端部に
   一対の平行なフランジ片が存在し、ナツト７は前
   記埋込鋼材６のウエブ部に垂直に固着されてい
   て、各埋込鋼材６におけるウエブ部に対して垂直
   方向で、かつ互いに平行に一対ずつ各フランジ片
   にアンカー鉄筋５が溶接されておりこのように構
   成された少なくとも埋込鋼材６と短いアンカー鉄
   筋５とナツト７とから構成された埋込金具３がそ
   のアンカー鉄筋５のそれぞれを介して軽量気泡コ
   ンクリート版内部の補強鉄筋４に固着されて埋設
   されていることを特徴とする埋込金具の埋設され
   た軽量気泡コンクリート版。