JPH0455300Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は光学的シヤツター等に利用できる光散
乱型液晶装置に関する。

（従来技術） ネマチツク液晶を用いた電気光学的表示素子の
一つとして分子の長軸方向とほぼ直交する方向に
分子双極子モーメントの方向をもつたＮ−液晶即
ち負の誘電的異方性を有するネマチツク液晶（以
下Nn−液晶という）を挾持した対向電極板間に
電界を印加した時に生ずる光散乱現象、いわゆる
動的散乱モード（DSM）を利用して表示素子が
知られている。

該表示素子はNn−液晶をその分子長軸が電極
板に対し一般的には垂直に配列させており、電圧
を印加してない時は光を散乱せず透明であるが、
電圧を印加すると動的散乱効果が生じて透過率が
低下する。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら該表示素子の透過率の低下は少な
く、それ故電圧印加時と無印加時との表示コント
ラストが低く、さらに垂直の配列は安定性低く、
生産上均一な品質を確保することが困難であり、
そのため光学シヤツター等の分野において広く採
用されていなかつた。

本考案は、このような現状に鑑み、Nn−液晶
のDSM現象及び一軸性偏光、更に平行配列の技
術を利用し、透過率の低下を非常に大きくし、電
圧印加時と無印加時との表示コントラストの高
い、光学的シヤツター等に応用し得る、実用的で
かつ品質の安定した液晶装置を提供することにあ
る。

（問題点を解決するための手段） すなわち本考案は対向する一対の透明電極板；
該電極板間に挾持してなる負の誘電的異方性を有
するネマチツク液晶；及び偏光板とからなる光散
乱型液晶装置において前記液晶分子の長軸が前記
電極板に対し平行に配列する如く予じめ電極板を
配向処理し、かつ前記偏光板を該偏光板の偏光軸
が偏光板側の透明電極板に接する液晶分子の長軸
に対し直交する如く設けたことを特徴とする光散
乱型液晶装置に関するものである。

本考案の液晶装置は電圧を印加してない時は、
光を散乱せず、透明で光を通すが電圧を印加する
と、偏光板と液晶の光散乱現象との相乗効果によ
り光を遮断するものである。すなわち本考案の液
晶装置は電圧のON←→OFFにより暗←→明を繰
り返すものでありそのコントラスト、すなわち遮
光効果が高いため光学的シヤツター等に利用でき
るものである。

以下本考案の装置を第１図により説明する。

本考案の装置は、ガラス等の透明基板１の表面
に導電性被膜よりなる電極２を有する透明電極板
の２枚を数μから数十μ好ましくは５〜30μ程度
の空〓を置いて封着材３にて封着し接合してお
り、その空〓内にNn−液晶４を封入した液晶セ
ルと透明電極板の外表面に設けた偏光板５及び装
置の駆動回路６とから構成されるものである。

本考案において電極２の表面は、Nn−液晶の
分子長軸が電極板に対し平行に配向するよう酸化
珪素等の斜方蒸着法あるいはポリビニルアセテー
ト、ポリイミド、フロン化合物、酸化珪素、酸化
チタン等の有機もしくは無機被膜を形成し該表面
をラビング処理したラビング法等により処理され
ている。

電極板間には通常知られているNn−液晶、例
えばｐ−メトキシベンジリデンブチルアニリン、
ｐ−エトキシベンジリデンブチルアニリン、４−
ｎ−アルキル、4′−ｎ−アルコキシビフエニル安
息香酸エステル、４−（４−アルキルシクロヘキ
シル）−安息香酸４−アルキルフエニルエステル、
４−アルコキシフエニル、4′−アルキルシクロヘ
キサン、４−アルキルフエニル、4′−アルキルシ
クロヘキサン、４−アルコキシフエニル、4′−ア
ルキルシクロヘキサン安息香酸エステル等あるい
はこれらの混合物が真空注入法等の手段により封
入されている。

Nn−液晶は配向処理による分子配列により、
電極板の面に平行かつ一方向に配列し、一対の電
極板間にあつては上下同一方向の平行状態もしく
は2π360°を越えない範囲で回転もしくはネジレた
状態に配列していてもよい。

透明基板１の外表面（液晶層と反対側）には偏
光板５が設けられている。

該偏光板５は、観察者側もしくはその反対側、
場合により両方に設けてもよいが、本考案におい
ては偏光板５の偏光軸が該偏光板側の透明電極板
に接する液晶の分子の長軸に対し直交する如く設
けなければならない。直交する如く設けることに
より、電圧を印加してない時は透明で光を通すが
電圧を印加すると液晶の光散乱現象と偏光板との
相乗効果により予想外にも、従来の表示素子に比
較しほぼ完全に光を遮断することを見出した。

すなわち入射する光は観察者と反対側の偏光板
により一方の偏光となり液晶層に達し該液晶層は
電圧無印加時には液晶層それ自体では偏光性能を
有していないため光を通す。電圧を印加すると
Nn−液晶であるため、電極板面に平行かつ偏光
軸とは直交する状態で電場に対し配列を強くし、
液晶層自体で偏光性能を有するようになり、この
時偏光の原理に基づき遮光を開始する。

次に電圧を高く（例えば電極板間隔10μの場
合、約10〜15V_RMS）すると、液晶分子は運動を
起し、液晶分子の光学異方性により偏光光をさら
に散乱させることになりコントラストが上昇す
る。

また偏光板を両方に設けた場合は、前記偏光−
散乱効果により減衰した光（散乱しているので全
方向に分散している）を更に偏光により一軸性の
光とするためさらに減衰し、コントラストが向上
する。

これら効果は観察者側にのみ偏光板を設けた時
も同様に発揮され、また本装置の観察者と反対側
に反射板を設けた、反射型装置として利用した場
合においても本考案の効果を損うものではない。

（考案の効果） 本考案の光散乱型液晶装置は、電圧無印加時は
光を透過し明るいが、電圧を印加するとほぼ完全
に光を遮断し両者のコントラストが高いため明視
野が必要な光学的シヤツター、例えば視力検査器
のシヤツター、ブラインド等に好適に利用出来
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の光散乱型液晶装置の一例を示
す構成図である。 １……透明基板、２……電極、３……封着材、
４……Nn−液晶、５……偏光板、６……駆動回
路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 対向する一対の透明電極板；該電極板間に挾持
   してなる負の誘電的異方性を有するネマチツク液
   晶；及び偏光板とからなる光散乱型液晶装置にお
   いて前記液晶分子の長軸が前記電極板に対し平行
   に配列する如く予じめ電極板を配向処理し、かつ
   前記偏光板を該偏光板の偏光軸が偏光板側の透明
   電極板に接する液晶分子の長軸に対し直交する如
   く設けたことを特徴とする光散乱型液晶装置。