JPH0443132Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、口紅等の化粧品を繰り出すことので
きる容器に関するものである。

〔従来の技術〕

口紅等の棒状化粧料を収納する容器は、一般に
内筒と、この内筒に相互回動自在かつ抜け出し不
能に組み付けられる外筒と、先端に化粧料が組み
付けられ、前記内筒内に摺動自在かつ相互回動不
能に組み付けられる受皿体と、前記した内筒の下
端部に組付け固定される把持筒とから構成されて
おり、内筒と外筒とを相互回動させることにより
受皿体を昇降前進後退動させるものであり、受皿
体の前進限では化粧料を内筒から突出させて使用
に供し、内筒内に後退させることにより収納保持
する。

内筒と外筒との相互回動は、具体的には把持筒
と外筒とを把持して達成するものであり、受皿体
に突設された螺合片が、内筒に穿設された案内縦
孔を貫通して外筒内周面に刻設された螺溝に螺合
し、内筒と外筒との相互回動によつて螺合片がガ
イドされ、受皿体の昇降前進後退動を達成するの
である。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、このような構成の容器にあつては、
各部材の構造が複雑となり、しかもそれぞれの組
付けに位置決めおよび位置合わせ等の手間がかか
る欠点があり、機械を利用した自動組付け処理の
できない問題点があつた。

すなわち、従来のこの種の容器にあつては、内
筒は把持部と一体に成形されているために、この
内筒に相互回動自在にかつ抜け出し不能に組付け
られる外筒は、内筒の上方から嵌合組付けされる
ことになり、このため内筒はこの外筒の挿入組付
けを可能とするために、その案内縦孔を上端から
縦割り溝状に成形しなければならず、かつこの内
筒の上端外周面には、外筒の内筒からの抜け出し
を阻止するための係止鍔が設けられているので、
外筒を内筒に組付けるには、この内筒上端部分を
弾性変形させなければならなかつた。

このように、内筒の上端部分は、案内縦溝のた
めに極めて変形し易く、かつ内筒への外筒の組付
け時に、内筒を弾性変形させなければならないの
で、この内筒に対する外筒の組付けを機械によつ
て自動的に達成させることが難しく、内筒の許容
される弾性変形を指先で感じとりながら行なわれ
る人手による組立て作業にたよつていた。

また、案内縦孔が内筒の上端まで成形されてい
るために、完成された容器の筒部上端にこの案内
縦孔を露出することになり、この露出した案内縦
孔が容器の外観として不快に感じる場合も多々あ
つた。

本考案は、上記した従来の問題点、欠点、不都
合を解消するべく考案された棒状化粧料繰り出し
容器に関するものであつて、各部材の組付けを容
易にすることを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の棒状化粧品繰出し容器は、内筒体１
と、外筒体５と、受皿体１０と、把持体１４とか
ら構成される。

まず、内筒体１は、直線筒形状の筒壁２の上端
外周に係止鍔３を周設すると共に、筒壁２の上端
部から下端にかけて縦長な案内縦孔４を開孔した
構成であり、外筒体５は、上記した内筒体１の下
部を除く筒壁２に、相互回動自在に外装組付けさ
れ、その周壁６の内周面には螺溝７が周設され、
この周壁６の上端には筒片８が立設されていて、
上部内周面には前記した係止鍔３に下方から係止
する段部９が形成される。

化粧料を組付け保持する受皿体１０は、内筒体
１内に昇降摺動自在に挿入され、その外周面に
は、内筒体１の案内縦孔４を貫通して外筒体５の
螺溝７に螺合する螺合片１２が突設される。

そして把持体１４は、外壁１５と内壁１６とを
有する有底二重筒体であつて、この外壁１５と内
壁１６との間に内筒体１の下部が嵌合固定され、
また外壁１５の上端部には、内筒体１に組付けら
れた外筒体５の下端面に上端面が当接し、外キヤ
ツプ２１が外装組付けされる組付筒１８が形成さ
れている。

外筒体５の上端に立設された筒片８は、係止鍔
３の高さ幅と等しい高さを有しており、もつて外
筒体５は把持体１４から起立露出した内筒体１の
全外周面を覆うことになる。

また、把持体１４の外壁１５上端に起立設され
た組付筒１８は、外壁１５の内面部分をそのまま
上方に延長設した形態で成形されており、その内
径は外筒体５の内径とほぼ等しい値となつてい
る。

このため、受皿体１０は、その螺合片１２をこ
の組付筒１８の上端面に当接させることによつ
て、その下降限が設定されると共に、螺溝７から
螺合片１２の抜け出しが阻止されるものとなつて
いる。

従つて、内筒体１は把持体１４と一体的に組合
わさつて、外筒体５と把持体１４とを相互回動さ
せることにより内筒体１と外筒体５との相互回動
が達成され、さらにこの相互回動によつて、螺合
片１２が案内縦孔４と螺溝７にガイドされて、受
皿体１０が内筒体１内を昇降摺動するのである。

また、外筒体５は、上端部が段部９と係止鍔３
との係止により、下端が把持体１４の組付筒１８
上端に当接することにより、その抜け出しが確実
に防止され、さらには、外キヤツプ２１は組付筒
１８に外装組付けされるので、非使用時に内筒体
１と外筒体５とが相互回動してしまうことはな
く、化粧料の所謂天付き現象が生じることはな
い。

〔作用〕

上述した構成にあつて、各部材を組立てるには
以下の如くして行う。

すなわち、内筒体１の上端部である係止鍔３部
分を保持し、外筒体５を内筒体１の下端から嵌込
み、受皿体１０を内筒体１に挿入して、その螺合
片１２を案内縦孔４と螺溝７に係合させ、さらに
内筒体１の下部を把持体１４の外壁１５と内壁１
６との間に嵌合固定するのである。

この場合、逆立状態に保持された内筒体１に対
して外周体５を上方から外装嵌合組付けし、次い
でこの外筒体５を組付けた内筒体１内に、内筒体
１の下端開口部、すなわち逆立した内筒体１の上
端開口部から受皿体１０をその螺合片１２を案内
縦孔４に嵌合させて外筒体５の下端面に突き当る
まで挿入組付けする。

螺合片１２が外周体５の下端面に突き当つたな
らば、この受皿体１０に軽く押圧力を作用させな
がら外筒体５を内筒体１に対して相対的に回動さ
せ、もつて螺合片１２の螺溝７への螺合を達成し
て内筒体１と外筒体５とそして受皿体１０との組
付けを達成する。

受皿体１０の螺合片１２の螺溝７への螺合が達
成されたならば、この逆立した内筒体１と外筒体
５と受皿体１０との組合わせ物に対して把持体１
４を上方から押し込み、内筒体１の下端部分を把
持体１４の外壁１５と内壁１６との間に強固に嵌
合させて容器本体の組立てが完了する。

この上記した組立て操作においては、逆立姿勢
で保持された内筒体１に対して外筒体５、受皿体
１０そして把持体１４を順に組付け、またその組
付けは単なる嵌合組付けであるので、各組付け作
業は極めて単純なものとなり、このため機械によ
る自動組付けを容易に実施することができること
になる。

また、内筒体１における案内縦孔４は、その上
端が閉鎖されているために、上昇移動した受皿体
１０は内筒体１内から抜け出すことができず、そ
れゆえ受皿体１０の上方へ抜け出しを阻止するた
めの特別な構造を内筒体１に施す必要がなく、そ
れだけ内筒体１の構造を簡単なものとすることが
できる。

さらに、案内縦孔４を形成することによつて機
械的強度の低下した状態となつている内筒体１の
下端部分は、把持体１４の外壁１５と内壁１６と
の間に強固に嵌合組付けされ、この把持体１４に
より保持されるので、容器に組立てられた状態に
おいて、この案内縦孔４の存在による機械的強度
の不足が問題となることは全くなく、また受皿体
１０に保持された化粧料の出入口である内筒体１
の上端部は係止鍔３を附設した完全なリング形状
となつているので、充分な強度を発揮することが
でき、これによつて組立てられた容器は機械的強
度の充分なものとなる。

そして、案内縦孔４が内筒体１の上端まで延び
て位置しないので、この案内縦孔４が容器本体の
上端部分で大きく露出することがなく、これによ
つて案内縦孔４の露出による容器本体の外観の体
裁の悪さをなくすことができる。

〔実施例〕

図示実施例の場合、係止鍔３は大きな高さ幅で
成形されており、この係止鍔３の直下から案内縦
孔４を成形している内筒体１の上端部の機械的強
度をできる限り大きなものとなるようにしてい
る。

このように、係止鍔３の高さの幅をできる限り
大きくして内筒体１の上端部の機械的強度を大き
くしているのは、この内筒体１を単独で取扱う際
における内筒体１の安全性を高めるためと、その
取扱いを容易にするためである。

受皿体１０は、中央に透孔を形成した底部１３
と、内筒体１の内径と等しい外径を有する短円筒
形状をした壁部１１とから構成される有底円筒形
状をしていて、螺合片１２は壁部１１の外周面の
反対側に一対突設されている。

また、この受皿体１０の内面には、棒状となつ
た化粧料の保持をより強力にかつ安定して達成で
きるようにするための突条とか凹部が設けられて
いることは云うまでもない。

把持体１４は、中央に透孔を設けた底壁１７の
上面に外壁１５と内壁１６とを同軸心状に一体に
起立設し、同軸心状に設けられた外壁１５と内壁
１６との間に形成される間隔は、内筒体１の筒壁
２の壁厚よりもやや大きく成形されているが、そ
の代り外壁１５の内周面には、この外壁１５と内
壁１６との間隔値と、筒壁２の壁厚値との差より
もわずかに大きい突出高さの縦条状の多数の組付
条２０が、ほぼ外壁１５の全高さ範囲にわたつて
設けられている。

このように、外壁１５と内壁１６との間隔を筒
壁２の壁厚を大きくし、代りに多数の組付条２０
を外壁１５の内周面に附形したのは、内筒体１の
下端部の外壁１５と内壁１６との間への嵌入組付
きを容易にすると共に、この組付きが組付条２０
の弾力により強固に保持されるようにするためで
ある。

また、外壁１５の上端から起立設された組付筒
１８は、その外径を外壁１５よりも外キヤツプ２
１の壁厚分だけ小さく設定することによつて、外
壁１５との連設基端の外周面部分に段部１９を形
成し、この段部１９によつて外キヤツプ２１の把
持体１４に対する組付き限を設定するようにして
いる。

外筒体５における筒片８は、内周面に螺溝７を
設けた周壁６よりも螺溝７の深さ幅と等しい値だ
け周壁６の内径よりも大きい内径で成形されてい
て、螺溝７の成形がより容易に達成できるように
なつている。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなごとく、本考案による
棒状化粧品の繰出し容器は、各構成部材の構造が
簡単であるので成形が容易であり、また各構成部
材の相互組付けが単なる嵌合組付けであると共
に、単一方向からの嵌合組付けで達成できるた
め、その組立て操作が極めて簡単であり、これが
ため機械を利用しての自動組立てを容易に実施す
ることができ、そして組合わさつた状態において
最も機械的強度の弱い内筒体下端部が把持体によ
り強固に保持されるので安定した形状を保つこと
ができ、さらに案内縦孔が大きく露出しないの
で、この案内縦孔による外観の劣化を大幅に軽減
させることができる等多くの優れた効果を発揮す
るものである。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案による繰り出し容器の一実施例
の組み立てた状態における全体縦断面図である。 符号の説明、１……内筒体、２……筒壁、３…
…係止鍔、４……案内縦孔、５……外筒体、６…
…周壁、７……螺溝、８……筒片、９……段部、
１０……受皿体、１２……螺合片、１４……把持
体、１６……外壁、１６……内壁、１８……組付
筒。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 直線円筒形状の筒壁２の上端外周に係止鍔３を
   周設すると共に、前記筒壁２の上端部から下端に
   かけて縦長な案内縦孔４を開孔した内筒体１と、
   該内筒体１の下部を除く前記筒壁２に相互回動自
   在に外装組付けされる周壁６の内周面に螺溝７を
   刻設すると共に、前記周壁６の上端に前記係止鍔
   ３に下方から係止する段部９を形成して筒片８を
   立設した外筒体５と、前記内筒体１内に昇降摺動
   自在に挿入され、外周面に前記案内縦孔４を貫通
   して前記螺溝７に螺合する螺合片１２を突設した
   化粧料を組付け保持する受皿体１０と、外壁１５
   と内壁１６との間に前記内筒体１の下部が嵌合固
   定される有底二重筒体の前記外壁１５上端部に、
   前記内筒体１に組付けられた外筒体５の下端面に
   上端面が当接し、外キヤツプ２１が外装組付けさ
   れる組付筒１８を形成した把持体１４とから成る
   棒状化粧料繰り出し容器。