JPH0442433Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は建造物の外壁工事等に用いられるゴ
ンドラ等の吊り下げ装置に関する。

〔従来技術およびその問題点〕

一般に建造物のタイルの貼り替え、あるいは塗
装の塗り替え等の外壁工事を行なう場合は、屋上
からゴンドラを吊り下げて作業することが多い。

従来、この種のゴンドラを吊り下げるための装
置としては、建造物の下方で作業を行なう場合に
第５図に示すように、滑車１が取り付けられた滑
車支持部材２を建造物３のパラペツトＰの角Ａ点
に固定し、ワイヤーロープ固定機４ａからワイヤ
ーロープ４を滑車１に掛け、ゴンドラ５を吊り下
げる装置がある。

一般に、ゴンドラ５を吊り下げる場合、この装
置のようにゴンドラ５を建造物のパラペツトＰよ
り直接吊り下げると、ゴンドラ５の自重による水
平分力により、ゴンドラ５は建造物の外壁６に押
しつけられる。この押しつけ力によつて、ゴンド
ラ５は外壁６との摩擦力で作業中に動揺しない利
点を生ずる。しかしながらこの場合、ゴンドラ５
をロープ巻上機４ｂによつて上昇させるときに
は、ゴンドラ５を外壁６から離れるように、手で
ゴンドラ５を押し離す必要があり、さらに、屋上
に近くなるにつれて、前述した水平分力が非常に
大きくなつてくるため、人力ではゴンドラ５を押
し離すことが不可能となり、最終的にゴンドラ５
を建造物の屋上まで上昇させることができなくな
るという不都合が生じる。

そこで、上記のごとき不都合を避けるため、作
業を行なう場合には、第６図に示すＬ字状の杆体
７をパラペツトＰに装置し、杆体７のアームの先
端部材Ｂ点および杆体７の支柱部上端Ｃ点にロー
プ４を掛けてゴンドラ５を吊り下げる装置を用い
る。しかしながら、この装置でゴンドラ５を建造
物の下方に吊り下げて作業を行なおうとする場合
は、ゴンドラ５は、建造物３の最上部まで上昇さ
せることができるが、ゴンドラ５は外壁６から離
れていて動揺するため作業しづらく、作業員に対
しての危険性も起きてくるという欠点がある。

この考案は、上記の事情に鑑みてなされたもの
で、工事を行なう外壁の高さに関わらずゴンドラ
等を常に安定な状態で吊り下げることができるゴ
ンドラ等の吊り下げ装置を提供することを目的と
する。

〔実施例〕

第１図ないし第３図はこの考案の一実施例を示
す図である。第４図は吊り下げ装置を建造物の屋
上に配置した状態を示す図である。

これらの図中８はＬ字状の突梁本体である。こ
の突梁本体８は、先端部に滑車９が取り付けられ
た四角柱状の支柱部８ａと、この支柱部８ａの基
端から該支柱部８ａの長さ方向に直交する方向に
突出した断面四角形の梁状のアーム部８ｂとから
一体的に構成されている。突梁本体８の基端部側
面の片側には、支持部材１０が溶接手段により固
着されている。この支持部材１０には、前記アー
ム部８ｂ方向と平行に孔１１が開けられている。
この孔１１には、先端部外周に雄ねじ部が形成さ
れたねじ棒１２が、その軸線を中心に回動自在に
挿入されており、このねじ棒１２の後端部にはハ
ンドル１３が取り付けられている。また前記ねじ
棒１２には、このねじ棒１２がその長さ方向に移
動することを防ぐため、円板状のねじ棒固定部材
１４が支持部材１０を挟んで取り付けられてい
る。

一方、前記突梁本体８のアーム部８ｂには、内
周部がこのアーム部８ｂの断面形状に係合するよ
うに成形された四角筒状のスライド部材１５が、
該アーム部８ｂの長さ方向に摺動自在に装着され
ている。このスライド部材１５の一側面には、前
記ねじ棒１２と同軸な雌ねじ孔１６を有する雌ね
じ部材１７が取り付けられており、他側面には滑
車１８が取り付けられている。そして前記雌ねじ
部材１７の雌ねじ孔１６には、前記ねじ棒１２が
螺着されている。

そして、上記突梁本体８でアーム８ｂの底面の
部分および支持部材１０の底面には、断面がＬ字
状の板体である固定板１９が取り付けられてい
る。

上記の構成からなる装置でゴンドラ５を吊り下
げるには、第４図に示すように、まず、前記アー
ム部８ｂが建造物３の外壁６よりも外側に水平か
つ外壁６に対して垂直に突出するように、また支
柱部８ａが鉛直上向きになるように、突梁本体８
をパラペツトＰ上に載置して固定板１９により固
定する。そして建造物の下方にゴンドラ５を吊り
下げる場合には、ハンドル１３によりねじ棒１２
を回動させスライド部材１５を固定板１９に突き
当たるまで移動させることにより、滑車１８をパ
ラペツトＰの角Ａ点近傍に移動させる。この滑車
１８からロープ４で吊り下げられたゴンドラ５
は、建造物３の外壁６に密着されるため動揺する
ことがない。

次に、建造物上方に向かつて作業を続けていく
場合は、ロープ巻取り機４ｂでロープを巻取りゴ
ンドラ５を上昇させていくわけであるが、上昇さ
せるに従いロープ４がゴンドラ５を建造物３の外
壁６側に引張る力が増大するため、ゴンドラ５を
外壁６に押しつける力が増大していく。この押し
つけ力を緩和させるため、ハンドル１３によりね
じ棒１２を回動させスライド部材１５をアーム部
８ｂの先端方向に移動させ滑車１８をＢ点に移動
させる。このように、ゴンドラ５を上昇させてい
くに従い滑車１８の位置をアーム８ｂの先端方向
に漸次移動させることができるため、押しつけ力
を過度に増大させることなくゴンドラ５を建造物
３の上方まで外壁６に密着させつつ上昇させるこ
とができる。

また、スライド部材１５をアーム８ｂの先端部
に移動させ、滑車１８をＣ点に位置させることに
よりゴンドラ５はパラペツトＰの最上端まで上昇
させることができ、作業員の乗降・機材や荷物の
搬出・搬入ができる。

さらに前記構成の吊り下げ装置では、ゴンドラ
５等の荷重による負荷を受ける突梁本体８が、建
造物３の外壁６より水平に突出するように配設さ
れるアーム部８ｂと、このアーム部８ｂの基端か
ら鉛直上向きに延びるように配設されることとな
る支柱部８ａとから成り、これらアーム部８ｂに
装着されたスライド部材１５と支柱部８ａの上端
部とに滑車１８と滑車９とが取り付けられて、ゴ
ンドラ５を吊り下げるロープ４が巻回されてい
る。そしてこれにより、突梁本体８が受ける前記
負荷がアーム部８ｂにかかる負荷と支柱部８ａに
かかる負荷とに分散されるため、前記負荷が突梁
本体８の一点に集中するのを避けることが可能と
なり、該負荷による支柱部８ａやアーム部８ｂの
撓みや座屈を防いで装置の耐用性の向上を図るこ
とができる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、この考案のゴンドラ等の
吊り下げ装置によれば、工事を行なう建造物の外
壁の高さに応じてロープを吊り下げる支点となる
滑車の位置を自在に移動させることにより、高さ
に関係なく建造物の外壁に密着させる方法で、常
にゴンドラ等を動揺させることなく吊り下げるこ
とができる。

また、このゴンドラ等を昇降させる際には、前
記滑車が取り付けられたスライド部材をアーム部
の先端に移動することによつて、ゴンドラ等の建
造物外壁への押しつけ力が過度に増大することが
避けられ、円滑な昇降を行うことができる。

さらに、ゴンドラ等の荷重による負荷を受ける
突梁本体をＬ字状として、支柱部とアーム部のそ
れぞれに滑車を設けることによつて前記負荷を分
散させることができるため、耐用性の高い吊り下
げ装置を提供することができるという利点が得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の側面図、第２図
はこの平面図、第３図は第２図のＡ・Ａ断面図、
第４図はこの装置を建造物の屋上に設置し、ゴン
ドラを吊り下げた状態を示す図、第５図、第６図
は従来の吊り下げ装置の一例を示す図である。 ５……ゴンドラ、８……Ｌ字状突梁、８ａ……
Ｌ字状突梁の支柱部、８ｂ……Ｌ字状突梁のアー
ム部、９……滑車、１０……支持部材、１１……
孔、１２……ねじ棒、１５……スライド部材、１
６……雌ねじ孔、１８……滑車。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 建造物の屋上に固定されゴンドラ等を吊り下げ
   る装置であつて、 前記建造物の外壁より水平に突出するように配
   設される梁状のアーム部と、このアーム部の基端
   から上向きに延びるように配設されて先端部に滑
   車が取り付けられた支柱部とからなるＬ字状の突
   梁本体と、 前記アーム部に平行に配設され、軸線を中心に
   回動可能、かつ該軸線方向には移動を拘束された
   状態で前記突梁本体に支持されたねじ棒と、 このねじ棒が螺着される雌ねじ孔を有する雌ね
   じ部材と滑車とが取り付けられ、前記軸線方向に
   沿つて摺動自在に前記アーム部に装着されたスラ
   イド部材とを具備してなるゴンドラ等の吊り下げ
   装置。