JPH04370518A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

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JPH04370518A
JPH04370518A JP17189191A JP17189191A JPH04370518A JP H04370518 A JPH04370518 A JP H04370518A JP 17189191 A JP17189191 A JP 17189191A JP 17189191 A JP17189191 A JP 17189191A JP H04370518 A JPH04370518 A JP H04370518A
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magnetic
magnetic layer
layer
θmin
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JP17189191A
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English (en)
Inventor
Masato Funahashi
舟橋 真人
Naoto Abe
直人 阿部
Jiyunichi Nakamigawa
順一 中三川
Koji Sasazawa
笹沢 幸司
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、真空蒸着法により非磁
性基体上に強磁性金属薄膜を磁性層として形成してなる
、いわゆる強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体の改良に関
し、特に高S/Nの広帯域信号記録および高密度記録に
適した強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は高密度記録が強く指向さ
れ続けている。高密度記録の達成のためには、再生出力
を大きくすること、ノイズを低減させること、或いは両
者を達成していわゆるC/N(再生出力Cとノイズの比
)を高くすることが必要である。これらを達成するため
の新たな材料として金属薄膜型媒体の開発が進められて
いる。金属磁性薄膜の作成方法としては、高分子フィル
ム等の基体上に強磁性金属をスパッタリング法、イオン
プレーティング法、電子ビーム蒸着法などの真空中で薄
膜を形成する真空成膜方法がおもに研究されている。 これらの中で電子ビーム蒸着法による磁気テープ媒体の
一部は8ミリビデオシステム用の磁気テープ、いわゆる
「Hi−8ME」として実用に供され始めている。しか
しながら近年、更なる高記録密度、高S/N達成への要
望は極めて高く金属薄膜型磁気記録媒体に於いても、そ
の特性改良研究が進められてきている。
【0003】これまでの金属薄膜型の記録媒体の特性改
良方法としては、Co−Niを採用した電子ビーム蒸着
法によるものでは、■  磁性膜粒子構造の改良、例え
ば真空蒸着時の酸素導入による保磁力の増大とノイズの
低減、耐蝕性の向上させる技術(例えば、特公昭57−
23931号公報、特開昭58−32234号公報に開
示されている。)、■  強磁性金属蒸気流を非磁性基
体上に斜めに導入して成膜する斜方入射蒸着法により、
磁気特性を改良する方法(例えば、特公昭41−148
12号公報、特公昭56−52377号公報に開示され
ている。)、■  複数層の蒸着膜を多層構造化するこ
とによるノイズの低減および磁性膜の磁気特性改良によ
る記録再生特性を改善させる方法(非磁性中間層を設け
ることも含む)(例えば、特公昭57−3133号公報
に開示されている。)、■  斜方入射蒸着による膜を
多層構造化して、磁性粒子の成長方向を制御することに
より、記録再生特性の方向依存性をなくす技術(例えば
、特開昭54−141608号公報、特開昭57−32
23号公報に開示されている。)等の試みがなされてき
た。
【0004】これらの試みの中でも、特に強磁性薄膜中
に酸素を導入する方法及び斜方入射蒸着法は磁気特性を
高め電磁変換特性の優れた高密度記録用の磁気記録媒体
の作成技術として注目されている。
【0005】しかしながら、これらの技術は、高密度記
録信号や高転送レート信号を高密度に記録するために、
広い記録信号の周波数領域にわたって、その再生出力や
C/N比を向上させるような磁気記録媒体を得るには充
分でなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この様な従
来の状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は
広い記録周波数領域、即ち、長波長から短波長にわたっ
て、高い再生出力を得るための強磁性金属薄膜型の多層
磁気記録媒体において更にS/Nが向上する記録媒体と
その製造方法を提供することを目的としている。特にノ
イズを低減させることによって高いC/Nを得ることを
目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、非磁性
基体上に強磁性金属薄膜よりなる磁性層を有する磁気記
録媒体において、該強磁性金属薄膜は下層磁性層および
上層磁性層とからなり、かつ上層磁性層の角型比が0.
5〜0.65であることを特徴とする磁気記録媒体、お
よび非磁性基体上に真空成膜法により強磁性金属薄膜よ
りなる下層磁性層を形成した後、該非磁性基体を円筒状
キャンの表面に這わせながら搬送させ強磁性体蒸気流の
前記非磁性基体に対する最小入射角をθmin 、最大
入射角をθmax とすれば該θmin の近傍及び(
θmin +10)度乃至{(θmin +θmax 
)÷2−10}度の範囲にある中間入射角(θmed 
)の位置より酸化性ガスを前記強磁性体蒸気流に導入し
つつθmax からθmin 方向に搬送される該非磁
性基体上に斜方入射蒸着することにより上層磁性層を成
膜することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法により
達成できる。
【0008】本発明の特徴は、少なくとも2層の磁性層
、即ち上層磁性層と下層磁性層を有する強磁性金属薄膜
からなる多層強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の上層磁性
層の角型比を特定の値の範囲に規定したことおよび該角
型比を達成するために上層磁性層を形成するための真空
成膜法における斜方入射蒸着に際し、酸化性ガスの導入
位置を上述の通りθmin 近傍及びθmed に規定
したことにある。
【0009】ここで、酸化性ガスはθmin 近傍およ
びθmed の位置から導入されるが、ここでいうθm
in 近傍の位置とは、該強磁性体蒸気流がθmin 
を形成する入射線と該酸化性ガスが衝突するよう設けら
れた位置を、θmed の位置とは、該強磁性体蒸気流
がθmed を形成する入射線と該酸化性ガスが衝突す
るよう設けられた位置をそれぞれ意味する。
【0010】該角型比を0.5〜0.65に規定したこ
とにより、上層磁性層の構成強磁性金属の微粒子化がで
き、これによりS/Nの向上ができたものである。この
ような角型比を有する上層磁性層が形成される機構の詳
細は不明であるが、およそ次のように考えられる。
【0011】非磁性基体に強磁性薄膜を直接成膜した場
合、表面が高温に晒されることによりポリエチレンフタ
レートのような高分子フィルムの表面から発生する低分
子量成分、水分等の気体成分により強磁性結晶粒子の初
期の成長に対し何等かのゆらぎを誘発しこの成長が乱さ
れるが、本発明のように上層磁性層の下部に下層磁性層
または非磁性中間層が設けられているとこれを防止でき
ること、およびこの上層磁性層形成時の酸化性ガス導入
を上記の如く規定することにより前記と同様に強磁性結
晶粒子の初期成長の乱れを最小限に抑えることができる
ことによると考えられる。
【0012】このような、上層磁性層を有する磁気記録
媒体を製造するための具体的方法は特に制限はないが、
上記のようにその成膜後期に酸素の導入量を多くするこ
とにより製造できる。具体的には、上述の通り上層磁性
層を形成する蒸着時の酸化性ガスの導入口を強磁性体蒸
気流の入射角度が最小である位置、即ちθmin の近
傍及びθmin と該蒸気流の入射角度が最大となる位
置、即ちθmax との中間の位置、即ち、(θmin
 +10)度乃至{(θmin +θmax )÷2}
度にて定義されるθmed に設けて該強磁性体蒸気流
に酸化性ガスを導入する斜法入射蒸着法が挙げられ、こ
れにより前述の角型比となるように調整できる。
【0013】本発明の磁気記録媒体における上層磁性層
の角型比の測定は、VSM振動試料型磁束計によりおこ
なうことができる。本発明の磁気記録媒体は、少なくと
も上層磁性層および下層磁性層を有しておればよく、任
意の非磁性層を含むことができる。また、これら、各層
の積層順位の組合せも任意である。また、該各層は、本
発明の範囲を逸脱しない範囲で各層を複層構成にするこ
とができる。この場合、各層の材質、組成、結晶構造、
厚み、作製方法については何等制限するものではない。
【0014】本発明においては、特に上層磁性層と下層
磁性層との間に非磁性中間層があり、且つ前記上層磁性
層の厚さをd、前記非磁性中間層の厚さをtとしたとき
比(t/d)を0.3以下に調整した磁気記録媒体が特
に好ましい。なぜなら、t/d=0.3以下に制御する
ことにより、記録のための周波数信号の波長が短い領域
(短波長領域λ=0.1〜0.5μm)と同じくその波
長が長い領域(長波長領域λ=2〜10μm)の再生出
力レベルを高く維持しつつ、該周波数信号の波長が中位
の領域(中波長領域λ=0.5〜2μm)の再生出力レ
ベルの向上を計ることができる。即ち、t/dが大きい
と非磁性中間層の厚みを十分に大きく、かつ上層磁性層
厚を薄くできるため短波長側の出力に優れる特性が顕著
になってくるためと考えられ、一方、t/dが小さい場
合は、中間層の厚みを小さくすると上層磁性層の厚みは
相対的に大きくなり、厚い磁性膜の挙動に近くなり長波
長の出力は向上するものの短波長での出力は減磁界の影
響によって低下する傾向があるためと考えられる。しか
しながら、t/dを限定することにより最適な非磁性中
間層および上層磁性層の各厚みが規定され、中波長領域
の出力の向上も含めて全波長領域で出力が向上できると
考えられる。
【0015】本発明による磁気記録媒体の具体例として
は、図1、2の構成が例示できる。図1の例では、非磁
性基体1上に強磁性金属薄膜よりなる磁性層を有する磁
気記録媒体において、該強磁性金属薄膜の磁性層は下層
磁性層2および上層磁性層3とからなり、t/dが0.
3以下になるように該非磁性基体1上に下層磁性層2、
厚みがtである非磁性中間層4および厚みがdである上
層磁性層をこの順に積層して形成したことを特徴とする
磁気記録媒体であって、特に上層磁性層の角型比を0.
5〜0.65とするものである。
【0016】あるいは、図2の例に示すように、非磁性
基体1上に強磁性金属薄膜よりなる磁性層を有する磁気
記録媒体において、該強磁性金属薄として下層磁性層2
および上層磁性層3をこの順に積層して形成したことを
特徴とする磁気記録媒体であって、特に上層磁性層の角
型比を0.5〜0.65とするものである。
【0017】強磁性金属薄膜の形成手段としては、気相
メッキ法、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーテ
ィング法、CVD法等が例示される。本発明の目的を更
に効果的に達成するためには、上層磁性層の形成手段と
して斜方入射蒸着法が好ましく、これにより形成される
斜方柱状粒子からなる強磁性金属薄膜がよい。
【0018】この斜方柱状粒子とは、具体的に構造の特
徴を述べれば、微結晶の集合体である柱状粒子が斜めに
折り重なって配列しているもの等が挙げられる。斜方入
射蒸着の具体的方法としては、移動する基体に対して蒸
発源からそれらの金属の蒸発原子を上述のようにθma
x からθmed 、そしてθmin へと連続的に変
化させながらかつθmed 位置およびθmin 近傍
から酸化性ガスを導入しながら基体上に蒸着させること
により酸化物を含む粒子形態の膜を形成するもので、基
体を円筒状のキャンに沿わせて搬送する場合は、蒸着さ
れた強磁性金属薄膜は湾曲した柱状の強磁性金属結晶よ
りなる。
【0019】本発明の製造方法において、該θmax 
の範囲としては、70〜90度、好ましくは85〜90
度が、該θmin の範囲としては、30〜60度、好
ましくは40〜50度が挙げられ、従って、θmed 
の範囲としては、40〜70度、好ましくは50〜65
度の範囲が挙げられる。
【0020】該酸化性ガスは、任意の非酸化性ガス、例
えば、不活性ガスを含むことができる。酸化性ガスとし
ては、酸素の他、オゾン等が使用できる。また、不活性
ガスとしては、窒素、アルゴン等が使用できる。
【0021】特に、強磁性体蒸気流の該θmed およ
び該θmin 近傍の位置に酸化性ガス導入口を設けて
該強磁性体蒸気流に酸化性ガスを導入することにより、
前記上層磁性層内の酸素の分布を基体に近い方よりも表
面に近い方を多くなるようにすることが出来るので好ま
しい。該θmin 近傍とは、θmin をも包含する
意味である。
【0022】ここで、該θmed における強磁性体蒸
気流に対する酸素導入量は、装置の大きさにより異なり
一概に決められない。これら酸化性ガスを導入して得た
膜では特に、磁気特性に優れ、再生出力やノズルに優れ
ると共に、磁気テープとした場合の耐久性の向上ができ
る。
【0023】一方、上層磁性層以外の下層磁性層あるい
は非磁性中間層等の形成方法は、真空成膜法によるもの
が好ましく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、
イオンプレーティング法、CVD法等が挙げられる。
【0024】本発明にける非磁性基体への成膜の層構成
は、真空槽内で連続して行うことが好ましく、また、連
続した非磁性基体上に高速で成膜可能な方法が望ましい
。前記上層磁性層と非磁性基体との間の非磁性中間層を
蒸着法で成膜する場合には、基本的に強磁性金属薄膜を
作製するための真空蒸着装置が使用できる。即ち、蒸着
させる金属材料を例えばCu、Pt、Ti、Al、Cr
、Biなどの非磁性金属材料を用いること、或いはこれ
らの金属材料の蒸発を酸素含有ガスを導入しつつ行うこ
となどによって作製できる。或いは、本発明の実施にあ
たっては非磁性中間層等の非磁性層は実質的に非磁性で
あればよいので、磁性金属材料を使用する場合には、蒸
着時に酸素含有ガスを導入しつつ行うことによって非磁
性酸化物として作製することができる。非磁性中間層を
構成する好ましい金属単体としては、Cu、Ti、Au
及びAl等が、好ましい金属酸化物としては、Co、N
i、Si及びTi等の酸化物が挙げられる。
【0025】図3に本発明の製造に使用しうる真空蒸着
装置例の概略を示す。この装置は図示しない真空ポンプ
によって所定の真空度に設定される。例えば、酸素ガス
を導入して磁性膜を形成する時は圧力を1×10−3T
orr以下にする。また、例えば非磁性中間層を金属酸
化物で形成する時は1×10−3Torr以上にする。 真空槽11の内部に、100KeV程度の電子ビーム加
熱等の加熱手段17によって加熱される蒸発源12と送
り出しロール13、冷却用の円筒状キャン14と巻取り
リール15及び蒸発原子のθminを規制するための遮
蔽板16、θmin 近傍に設置された酸素等ガスのガ
ス導入口18、θmed に設置された酸素等ガスのガ
ス導入口19などが配置されている。本装置を用いて通
常の斜方入射蒸着によって磁性膜が作製される。巻出し
ロール13より供給される非磁性基体1を上記キャン1
4に沿わせて連続的に走行させながら、上記蒸発源12
からの蒸発原子を上記基体に被着させ、この蒸発原子の
連続膜を磁性層または非磁性層として形成する。
【0026】従って、上記の真空蒸着法のみを使用して
本発明を製造する場合には同一装置にて複数回繰り返し
蒸着することによって図1もしくは図2に示すような構
造の磁気記録媒体を得ることができる。この場合、蒸発
源12の金属種は交換してもしなくともよい。
【0027】本発明では特に非磁性中間層を設ける場合
には、上層磁性層の厚みdと非磁性中間層の厚みtとの
関係が重要である。即ち、t/dが0.3以上になると
、記録波長の短い領域では再生出力が向上するが、記録
波長の長い領域では再生出力の向上の程度が小さく、本
方法のメリットは小さくなる。上層磁性層の厚みは特に
規定するものではないが、上記の特性の磁性薄膜を得る
ためには厚みが300Å以上が現実的に可能であり、こ
れ以上の薄い膜では磁気特性を確保する事が実質的には
困難である。また上層磁性層の厚みが1200Å以上と
なると短波長領域の出力が低下するので、本発明の目的
を達成することはできなくなる。従って本発明を実施す
るための上層磁性層の厚みは300〜1200Åが好ま
しい。下層磁性層の厚みは特に規制するものではない。
【0028】また、本発明において、上層磁性層の角型
比は、0.5〜0.65、好ましくは、0.53〜0.
64、抗磁力は、800エルステッド(Oe)以上、好
ましくは、650Oe以上であり、最大磁束密度Bmは
3500ガウス以上、好ましくは4000ガウス以上で
ある。
【0029】また、本発明において、下層磁性層の角型
比は、0.65以上、好ましくは、0.7以上、抗磁力
は、800エルステッド(Oe)以上、好ましくは、9
00Oe以上であり、最大磁束密度Bmは3500ガウ
ス以上、好ましくは4000ガウス以上である。
【0030】本発明に使用される強磁性金属薄膜の材料
としては、特にFe、Co、Ni等の金属、或いはこれ
らの合金、或いはこれらの金属にCu、Pt、Crなど
が添加された合金が望ましい。
【0031】本発明に使用される非磁性基体としては、
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、ポリ
エチレンナフタレートフィルム(PEN)、ポリアラミ
ドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム
などのベースが使用される。それらの厚みは磁気テープ
用途としては数ミクロンから十数ミクロンのものが主と
して用いられる。これらの材料、その厚みなどは磁気記
録媒体システムに適合するものを選択するべき事項であ
り、本発明を規定するものではない。これらベースの表
面には、山状突起やしわ状突起などの突起を一種以上設
けてもよい。これらを設けることによって磁性層表面に
微小突起を形成して磁気記録媒体としての耐久性を向上
させることができる。上記山状あるいは粒状突起は、高
分子フィルム成膜時に有機粒子あるいは無機粒子を内添
したり、フィルム表面に有機粒子あるいは無機粒子を塗
布するなどによって得られる。しわ状突起は例えば樹脂
の希薄溶液を塗布・乾燥することによって形成すること
ができる。これらの高さ、分布、密度などは適宜選択す
れば良いが、突起の高さは30〜200Å、密度は1×
104 〜3×107 個/mm2程度のものが好まし
い。
【0032】真空成膜の際の発熱によって、非磁性層基
体上から多くの成分の脱ガスがある。本発明では上層磁
性層を形成する前に他の層を非磁性基体上に形成してお
くので、上層磁性層の成膜には、この脱ガスは影響を受
けない。従って、前記のように非磁性基体上に該塗布層
を形成した場合には本発明の磁気記録媒体は特に有利で
ある。
【0033】本発明の上層磁性層の最外表面は、磁性膜
の耐食性や耐久性などを向上させるための保護膜や潤滑
剤或いは両者を設けることができる。保護膜としては、
酸化物の薄膜、窒化物の薄膜及びカーボン系の薄膜等が
挙げられる。潤滑剤としては、各種脂肪酸、そのエステ
ル、パーフルオロポリエーテル等が挙げられ、通常、2
〜40mg/m2 、好ましくは、3〜20mg/m2
 の範囲でそのままもしくは有機溶剤等にて希釈して塗
布される。
【0034】磁性層の表面形状は特に規定されないが、
10〜500Åの高さの突起を有している場合、特に走
行性・耐久性に優れる。
【0035】磁気記録媒体の形状は、テープ、シート、
カード、ディスク等いずれでもよいが、特に好ましいの
はテープ状、ディスク状である。本発明の磁気記録媒体
の走行耐久性を更に高めるため磁性層がある面とは反対
側の面に非磁性粒子と結合剤樹脂からなるバック層を設
けることができる。
【0036】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に具体的に説
明する。ここに示す成分、割合、操作順序等は本発明の
精神から逸脱しない範囲において変更しうるものである
ことは本業界に携わるものにとっては容易に理解される
ことである。
【0037】従って、本発明は下記の実施例に制限され
るべきではない。図3に示す装置を用いた実施例につい
て説明する。非磁性基体1として強磁性金属薄膜が被着
される側の表面に高さが約200Å、密度1.2×10
7 個/mm2 のSiO2 の微粒子よりなる微小突
起が設けられている厚さ9.5μmのポリエチレンテレ
フタレートフィルムを使用した。
【0038】先ずは下層磁性層を形成するために該非磁
性基体1を搬送しつつ、蒸発源9としてCo80%、N
i20%の組成の合金を用い、電子ビーム加熱すること
によって蒸発させ、該基体に下層磁性層を被着させた。 この時真空槽に酸素ガスを導入し、その量を磁性層の飽
和磁化が約4600ガウス、厚みは約1000Å程度に
なる様に調整すると共に抗磁力が約1000Oe前後と
なるように遮蔽板の位置も併せて調整した。
【0039】非磁性中間層を形成する場合には下層磁性
層が形成された基体を搬送しつつ、蒸発源としてCuを
用い、電子ビーム加熱により厚さ100〜350Åの範
囲で所望の膜厚のものを形成した。
【0040】更に、下層磁性層もしくは下層磁性層の上
にCu非磁性中間層が設けられた基体を搬送しつつ上層
磁性層を形成するために下層磁性層と同様にして上層磁
性層の磁性膜を形成した。上層磁性層の磁気特性は酸素
の導入口、即ち、θmin (38度)に設置されたガ
ス導入口18、θmed (52度)に設置されたガス
導入口19、比較のためθmax (90度)に設置さ
れたガス導入口20の位置、および酸素の導入量を変え
ることによって、その磁気特性を調整した。
【0041】以上の手順によって、下層磁性層の上に、
もしくはさらに非磁性中間層を設けた基体の上に、磁気
特性の異なる上層の磁性膜と組合せた幾つかの磁気テー
プサンプル#実施例1〜9及び比較にためのサンプル#
比較例1〜3(比較例3は単層である。)を作製した。 これらを表1に示した。これらのテープサンプルの磁性
層表面に潤滑剤を塗布すると共に磁性層と反対側の基体
面にバック層を設けた後、8ミリビデオの所定の規格に
適合するように所定の幅にスリットしカセットに組み込
んだ。
【0042】また、実施例4〜7と同一の条件で、下層
磁性層及び非磁性中間層を形成する。その非磁性中間層
の上に、上層磁性層を以下の条件を変えた以外は実施例
1〜9と同一条件で形成した。即ち、θmin =38
°、θmax =90°として、θmed の角度を表
2に記載のように変化させた。
【0043】得られた磁気記録媒体の磁気特性及び記録
再生特性は、他の実施例及び比較例と同一条件で評価し
た。電磁変換特性の測定は8ミリビデオデッキを使用し
、最大出力レベルとして、周波数が8MHzの単波長信
号について、最適記録電流にて記録し、その時の再生レ
ベルおよびノイズとして5MHzでのノイズレベルをス
ペクトラムアナライザを使用して測定し、表1、2に示
す結果を得た。表1、2は比較例3の出力レベルおよび
ノイズレベルをそれぞれ測定値の基準(0dB)として
しめした。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】表1および2の結果に示される様に、上層
磁性層を形成するときの酸素導入位置を調整することに
よって、その角型比(SQ)を低めになるようにするこ
とによって、特にノイズの低減を図る事ができ、この結
果C/Nとして優れた特性の磁気テープが得られること
が分かった。また、表2に示したようにθmed がθ
min と近いと、再生出力の低下を招き、θmax 
に近いと磁気特性の劣化を招くと共に、ノイズの低減効
果が小さくなる。
【0047】従って、θmed の位置は、最適な角度
に設定すべきであり、その角度は、(θmin +10
)度乃至{(θmin +θmax )÷2}度の範囲
にあることが望ましいことが判った。
【0048】また、上層磁性層の下に非磁性中間層を設
けることによって再生出力が向上するために、特に優れ
た効果が現れている。比較例2の様に酸素の導入方法を
従来の様にした場合には、出力は向上するが、同時にノ
イズも増加してC/Nの向上は僅かであることと比較す
ると、本発明は優れた媒体を提供できるものである。ノ
イズが低減し、C/Nが向上出来た原因としては、酸素
の導入方法によって蒸着中に形成される結晶粒子の成長
が乱されるとともに、微粒子が形成されているためと思
われる。従来、磁性膜の角型比が小さいことは、再生出
力の低下を招くので高記録密度材料としては好ましくな
いとされてきた。しかしながら、磁性膜を重層構成とし
て、その上層磁性層が薄く、かつ記録される信号波長の
短い場合には上層磁性層の角型比の影響は少なく、むし
ろ角型比が低下する程度の微結晶を形成したほうがノイ
ズの低減効果が大きく、結果として優れた磁気記録媒体
になることが分かった。これは磁性膜を2層構成として
下層磁性層には角型比の大きな磁性膜とすることによっ
て長波長領域の出力を低下させることがなく、上層磁性
層によって短波長領域のC/Nを向上しているためと推
定される。特に上層磁性層と下層磁性層の間に非磁性中
間層を設ける場合には、その効果が顕著に現れてくる。 しかし、この非磁性中間層厚tをあまり厚くする、即ち
上層磁性層厚みをdとした時にt/dを概ね0.3以上
とすると、短波長の出力の低下はあまりないものの、長
波長の出力の低下を招くようになり、磁気記録媒体とし
ては好ましく無くなってくる。従って、非磁性中間層の
厚さは上層磁性層厚みの0.3以下にすることが望まし
い。
【0049】蒸着による上層磁性層の形成時におけるθ
med 領域からの酸素の導入量が多過ぎると、角型比
が著しく低下すると共に、Bmも低下し、再生出力の低
下が著しく、特性向上には寄与しない。角型比が約0.
5以下になると特に顕著に低下するので、0.5以上と
することが好ましい。一方、従来の様な酸素の導入方法
では、優れた角型比を持つ磁性膜が得られるが、ノイズ
も増加している。酸素の導入をθmed から行うこと
によって角型比の調整ができるが、角形比が約0.65
以上ではノイズの増加もあり、C/Nの改良効果は少な
い。従って、上層磁性層の角型比は0.5以上0.65
以下の範囲でノイズの低減効果が特に発揮される。
【0050】このように、2層構成の磁性膜とすると共
に、短波長が記録される上層の磁性膜の角型比を0.5
以上0.65以下の範囲とすることによって、特に短波
長領域でのC/Nを向上させることができる。特に2層
構成の磁性膜の中間に非磁性中間層を設けることによっ
て、短波長領域での出力、C/Nのより優れた磁気記録
媒体が得られることが明らかになった。即ち、この技術
は優れた磁気記録媒体を提供できるものである。
【0051】以上、本発明の実施例として、図3に示す
装置を使用した場合について説明したが、2キャン、或
いは3キャンを持つ蒸着装置を用いて一度に3層を構成
することによって本発明を実施することも可能である。 また、非磁性中間層として、Cuを用いた例で示したが
、非磁性中間層に用いる材料としては、非磁性に近い特
性であることを必須とする他は膜を形成できる材料であ
れば本発明の実施が可能である。
【0052】
【発明の効果】本発明による磁気記録媒体は、複数の磁
性膜からなる強磁性金属薄膜型であって、上層磁性層の
角型比を酸素導入法をθmed およびθmin に限
定した斜方入射蒸着法により0.5以上0.65以下の
範囲に限定したために、短波長領域において高い出力と
低いノイズを得ることができ、C/N比を飛躍的に向上
させることができる。またこれにより、ハイビジョン用
等のビデオテープを安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の断面の一例を模式的に
示す図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の断面の一例を模式的に
示す図である。
【図3】本発明の磁気記録媒体を製造するために用いる
真空蒸着装置の具体例を説明するための図である。
【符号の説明】
1  非磁性基体 2  下層磁性層 3  上層磁性層 4  非磁性中間層 11  真空槽 12  蒸発源 13  巻出しロール 14  円筒状キャン 15  巻取りロール 16  遮蔽板 17  加熱手段 18  ガス導入口 19  ガス導入口 20  ガス導入口

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  非磁性基体上に強磁性金属薄膜よりな
    る磁性層を有する磁気記録媒体において、該強磁性金属
    薄膜は下層磁性層および上層磁性層とからなり、かつ上
    層磁性層の角型比が0.5〜0.65であることを特徴
    とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】  前記上層磁性層と下層磁性層との間に
    非磁性中間層があり、且つ前記上層磁性層の厚さをd、
    前記非磁性中間層の厚さをtとしたとき比(t/d)が
    0.3以下である請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】  前記非磁性中間層は金属もしくは金属
    酸化物であることを特徴とする請求項2記載の磁気記録
    媒体。
  4. 【請求項4】  強磁性体の蒸気流中に酸素を導入する
    斜方入射蒸着法により前記上層磁性層を成膜した請求項
    1もしくは請求項2記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】  非磁性基体上に真空成膜法により強磁
    性金属薄膜よりなる下層磁性層を形成した後、該非磁性
    基体を円筒状キャンの表面に這わせながら搬送させ強磁
    性体蒸気流の前記非磁性基体に対する最小入射角をθm
    in 、最大入射角をθmax とすれば該θmin 
    の近傍及び(θmin +10)度乃至{(θmin 
    +θmax )÷2}度の範囲にある中間入射角(θm
    ed )の位置より酸化性ガスを前記強磁性体蒸気流に
    導入しつつθmax からθmin 方向に搬送される
    該非磁性基体上に斜方入射蒸着することにより上層磁性
    層を成膜することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法
  6. 【請求項6】  非磁性基体上に真空成膜法により強磁
    性金属薄膜よりなる下層磁性層を形成した後、該下層磁
    性層上に非磁性中間層を形成し、次いで該非磁性基体を
    円筒状キャンの表面に這わせながら搬送させ強磁性体蒸
    気流の前記非磁性基体に対する最小入射角をθmin 
    、最大入射角をθmax とすれば該θmin の近傍
    及び(θmin +10)度乃至{(θmin +θm
    ax )÷2}度の範囲にある中間入射角(θmed 
    )の位置より酸化性ガスを前記強磁性体蒸気流に導入し
    つつθmax からθmin 方向に搬送される該非磁
    性基体上に斜方入射蒸着することにより前記非磁性中間
    層上に上層磁性層を成膜することを特徴とする磁気記録
    媒体の製造方法。
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