JPH04347047A - ベルト駆動式無段変速機 - Google Patents

ベルト駆動式無段変速機

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JPH04347047A
JPH04347047A JP11613791A JP11613791A JPH04347047A JP H04347047 A JPH04347047 A JP H04347047A JP 11613791 A JP11613791 A JP 11613791A JP 11613791 A JP11613791 A JP 11613791A JP H04347047 A JPH04347047 A JP H04347047A
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driven
torque
shaft
drive shaft
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Kazuhiro Yamada
一浩 山田
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば自動車用動力
伝達装置として用いられるベルト駆動式無段変速機に関
し、特に、ベルトとプーリとの間に生じる移動滑りを検
出して、プーリの押し付け力を正確に制御できるように
したものである。
【0002】
【従来の技術】従来のベルト駆動式無段変速機として、
本出願人が先に提案した特願平1−264791号明細
書に記載されたものがある。この従来のベルト駆動式無
段変速機は、駆動軸及び従動軸の回転数及びトルクを検
出するとともに、それら検出値に基づいて駆動軸及び従
動軸の回転数比とトルク比とを求め、そして、それら回
転数比とトルク比との差の絶対値が設定値よりも大きい
場合には、Vベルトと駆動プーリ又は従動プーリとの間
に滑りが発生しているものと判断する構成であるので、
変速動作を行う時に従動プーリ側に応答遅れが生じた場
合でも、この応答遅れの影響を受けることなく、Vベル
トの滑りを検出することができた。
【0003】また、上記明細書に記載された別のベルト
駆動式無段変速機は、駆動軸及び従動軸の回転数及びト
ルクを検出するとともに、それら検出値に基づいて駆動
軸側の駆動力及び従動軸側の駆動力を求め、そして、そ
れら駆動力の差の絶対値が設定値よりも大きい場合には
、Vベルトと駆動プーリ又は従動プーリとの間に滑りが
発生しているものと判断する構成であるので、同様に、
変速動作を行う時に従動プーリ側に応答遅れが生じた場
合でも、この応答遅れの影響を受けることなく、Vベル
トの滑りを検出することができた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のベルト駆動式無段変速機にあっては、回転数比とト
ルク比との差、若しくは、駆動軸駆動力と従動軸駆動力
との差に基づいて、Vベルトとプーリとの間の滑りを検
出する構成であるから、確かに、応答遅れの影響を除去
することはできるが、検出された滑りからベルトの弾性
変形に起因する弾性滑りの成分を除去することはできな
かった。
【0005】即ち、例えばPush型の伝動ベルトの場
合、トルクは主にベルトを構成する各ブロック同士の押
力によって伝動され、駆動プーリ及び従動プーリ間に巻
き掛けられたベルトの二つの直線部の内、押力が作用す
るのは、駆動プーリから従動プーリに向かう側であり、
その押力が作用する直線部では、この押力によって、ブ
ロックがベルト長手方向に縮み、押力が作用しない方の
直線部では、そのような弾性変形は生じない。
【0006】従って、駆動プーリにおいては、ブロック
に押力が作用しない状態でベルトが巻き込まれ、押力が
作用した縮んだ状態でベルトが送り出されることになる
ので、ブロックの速度は、駆動プーリの円周速度よりも
小さくなる。また、従動プーリ側では、駆動プーリ側と
は逆に作用するから、ブロックの速度は、従動プーリの
円周速度よりも大きくなる。
【0007】これがベルトのクリープ(creep)現
象であって、弾性変形による滑りと考えられる。今、押
力が作用する側の縮をδとすると、ベルトの弾性滑り率
γは、       γ=δ/L              
                         
     ……(1)となる。なお、Lはベルトの初期
周長である。
【0008】そして、ブロックの弾性係数をk、ブロッ
クに作用する押力をF、駆動軸のトルクをT1 、駆動
プーリ側のベルトの巻き付き半径をR1 とすれば、δ
は、      δ=F/k         ≒(T1 /R1 )/k     
                         
  ……(2)となる。
【0009】従って、これら(1)式及び(2)式から
、ベルトの弾性滑り率γは、       γ=T1 /(R1 kL)      
                         
 ……(3)となる。つまり、弾性滑りが生じていると
、従動軸の回転数N2 は弾性滑り率γの分だけ低下し
てN2 (1−γ)となり、回転数比IN (=N1 
/N2 :N1 は駆動軸の回転数)は、N1 /{N
2 (1−γ)}となるから、結局、回転数比IN と
トルク比IT (=T2 /T1:T2 は従動軸のト
ルク)との差は、ブロックとプーリとの間に移動滑りが
生じていなくても、駆動軸のトルクT1 及び巻き付き
半径R1 によって変化してしまうのである。
【0010】また、Pull型の伝動ベルトの場合は、
トルクは主に駆動プーリ及び従動プーリ間に巻き掛けら
れたベルトの二つの直線部の張力の差で伝達され、より
大きな張力が作用するのは、従動プーリから駆動プーリ
に向かう側である。従って、駆動プーリ側においては、
ベルトは伸びた状態で巻き付き、ゆるんだ状態で送り出
されるから、ベルトの速度は、駆動プーリの円周速度よ
りも小さくなる。
【0011】同様に考えれば、従動側プーリにおいては
、ベルトの速度は、従動プーリの円周速度よりも大きく
なる。このため、上述したPush型の伝動ベルトと同
様に、弾性滑りが発生し、この弾性滑りの分だけ従動軸
の回転数N2が低下するから、回転数比IN とトルク
比IT との差は、ベルトとプーリとの間に移動滑りが
生じていなくても、駆動軸のトルクT1 及び巻き付き
半径R1 によって変化してしまうことになる。
【0012】このようなことから、何れの型式の伝動ベ
ルトにおいても、下記のような不具合が生じてしまう。 即ち、減速時(IT >1)及び増速時(IT <1)
を比較した場合、駆動軸のトルクT1 を等しいとすれ
ば、減速時の方が、駆動プーリの巻き付き半径R1 が
小さくなり、弾性滑り率γが大きくなる。
【0013】従って、減速時においてベルトの移動滑り
を誤判断することなく検出するためには、滑りが発生し
ていると判断するための設定値を大きくする必要がある
が、設定値を大きくすると、弾性滑り率γが小さくなる
増速時における滑りの検出が遅れてしまい、適切な対処
が行えなくなる。逆に、設定値を小さくすると、減速時
における誤判断の可能性が高くなる。
【0014】なお、駆動軸駆動力N1 T1 と、従動
軸駆動力N2 T2 との差に基づいて滑りを検出する
場合であっても、   N1 T1 −N2 T2 =N2 T1 (N1
 T1 /N2 T1 −N2 T2 /N2 T1 
)                    =N2 
T1 (IN −IT )であることから、回転数比I
N とトルク比IT との差に基づいて滑りを検出する
場合と同様の不具合が生じる。
【0015】この発明は、このような従来の技術が有す
る未解決の課題に着目してなされたものであって、移動
滑りのみを検出することにより、プーリの押し付け力を
正確に制御することができるベルト駆動式無段変速機を
提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、その基本構成図である図1
に示すように、駆動軸に設けられたV溝間隔可変の駆動
プーリと、従動軸に設けられたV溝間隔可変の従動プー
リと、前記駆動プーリ及び従動プーリ間に巻き掛けられ
たVベルトと、前記駆動プーリ及び従動プーリのV溝間
隔を互いに逆方向に変化させるV溝間隔調整機構と、を
備えたベルト駆動式無段変速機において、前記駆動軸の
回転数を検出する駆動軸回転数検出手段と、前記従動軸
の回転数を検出する従動軸回転数検出手段と、前記駆動
軸のトルクを検出する駆動軸トルク検出手段と、前記従
動軸のトルクを検出する従動軸トルク検出手段と、前記
駆動軸回転数検出手段及び従動軸回転数検出手段の検出
値に基づいて前記駆動軸及び従動軸の回転数比を演算す
る回転数比演算手段と、前記駆動軸トルク検出手段及び
前記従動軸トルク検出手段の検出値に基づいて前記駆動
軸及び従動軸のトルク比を演算するトルク比演算手段と
、前記駆動プーリ側の前記Vベルトの巻き付き半径を検
出する巻き付き半径検出手段と、前記駆動軸トルク検出
手段及び巻き付き半径検出手段の検出値に基づいて前記
Vベルトの弾性滑り率を演算する弾性滑り率演算手段と
、前記回転数比演算手段が演算した回転数比,前記トル
ク比演算手段が演算したトルク比及び前記弾性滑り率演
算手段が演算した弾性滑り率に基づいて前記Vベルトの
移動滑りを検出する移動滑り検出手段と、この移動滑り
検出手段が前記Vベルトの移動滑りを検出したときに、
前記従動プーリの押し付け力が増大するように前記V溝
間隔調整機構を制御する移動滑り制御手段と、を備えた
【0017】また、請求項2記載の発明は、その基本構
成図である図2に示すように、駆動軸に設けられたV溝
間隔可変の駆動プーリと、従動軸に設けられたV溝間隔
可変の従動プーリと、前記駆動プーリ及び従動プーリ間
に巻き掛けられたVベルトと、前記駆動プーリ及び従動
プーリのV溝間隔を互いに逆方向に変化させるV溝間隔
調整機構と、を備えたベルト駆動式無段変速機において
、前記駆動軸の回転数を検出する駆動軸回転数検出手段
と、前記従動軸の回転数を検出する従動軸回転数検出手
段と、前記駆動軸のトルクを検出する駆動軸トルク検出
手段と、前記従動軸のトルクを検出する従動軸トルク検
出手段と、前記駆動軸回転数検出手段及び駆動軸トルク
検出手段の検出値に基づいて駆動軸駆動力を演算する駆
動軸駆動力演算手段と、前記従動軸回転数検出手段及び
従動軸トルク検出手段の検出値に基づいて従動軸駆動力
を演算する従動軸駆動力演算手段と、前記駆動プーリ側
の前記Vベルトの巻き付き半径を検出する巻き付き半径
検出手段と、前記駆動軸トルク検出手段及び巻き付き半
径検出手段の検出値に基づいて前記Vベルトの弾性滑り
率を演算する弾性滑り率演算手段と、前記駆動軸駆動力
演算手段が演算した駆動軸駆動力,前記従動軸駆動力演
算手段が演算した従動軸駆動力及び前記弾性滑り率演算
手段が演算した弾性滑り率に基づいて前記Vベルトの移
動滑りを検出する移動滑り検出手段と、この移動滑り検
出手段が前記Vベルトの移動滑りを検出したときに、前
記従動プーリの押し付け力が増大するように前記V溝間
隔調整機構を制御する移動滑り制御手段と、を備えた。
【0018】そして、請求項3記載の発明は、上記請求
項1又は請求項2記載の発明において、巻き付き半径検
出手段は、駆動軸及び従動軸間の距離,Vベルトの周長
及びベルト駆動式無段変速機の変速比に基づいて、駆動
プーリ側の前記Vベルトの巻き付き半径を演算する。
【0019】
【作用】請求項1記載のベルト駆動式無段変速機にあっ
ては、回転数比演算手段によって、駆動軸回転数検出手
段が検出した駆動軸の回転数N1 と、従動軸回転数検
出手段が検出した従動軸の回転数N2 とに基づいて、
回転数比IN (=N1 /N2 )が演算され、トル
ク比演算手段によって、駆動軸トルク検出手段が検出し
た駆動軸のトルクT1 と、従動軸トルク検出手段が検
出した従動軸のトルクT2 とに基づいて、トルク比I
T (=T2 /T1 )が演算され、弾性滑り率演算
手段によって、駆動軸のトルクT1 と、巻き付き半径
検出手段が検出した駆動プーリ側のVベルトの巻き付き
半径R1 とに基づいて、弾性滑り率γが演算される。
【0020】そして、移動滑り検出手段において、それ
ら回転数比IN ,トルク比IT 及び弾性滑り率γに
基づいて、Vベルトと駆動プーリ,従動プーリとの間に
生じている移動滑りが検出されるが、ここで、変速時の
応答遅れは回転数比IN 及びトルク比IT の両方に
含まれているから、両者を比較することにより除去可能
であるし、また、Vベルトに生じている弾性滑りは弾性
滑り率γから判るので、誤判断の可能性は低く、移動滑
りは正確に検出され、これに応じて移動滑り制御手段が
V溝間隔調整機構を制御するから、動力伝達効率は確実
に向上する。
【0021】また、請求項2記載のベルト駆動式無段変
速機にあっては、駆動軸駆動力演算手段において、駆動
軸の回転力N1 及びトルクT1 に基づいて、駆動軸
の駆動力N1 T1 が演算され、従動軸駆動力演算手
段において、従動軸の回転力N2 及びトルクT値に基
づいて、従動軸の駆動力N2 T2 が演算され、弾性
滑り率演算手段において、弾性滑り率γが演算される。
【0022】そして、移動滑り検出手段において、それ
ら駆動軸の駆動力N1 T1 ,従動軸の駆動力N2 
T2 及び弾性滑り率γに基づいて、Vベルトと駆動プ
ーリ,従動プーリとの間に生じている移動滑りが検出さ
れるが、駆動力N1 T1 及びN2 T2 の比較は
上述したように回転数比IN 及びトルク比IT の比
較と実質的に同じであるため、上記請求項1記載の発明
と同様の作用が得られる。
【0023】さらに、請求項3記載のベルト駆動式無段
変速機にあっては、駆動プーリ側のVベルトの巻き付き
半径が、演算によって求められる。ちなみに、その巻き
付き半径R1 は、駆動軸及び従動軸の軸間距離をa、
Vベルトの初期周長をL、このベルト駆動式無段変速機
の変速比をiとすれば、下記の(4)式から求めること
ができる。
【0024】   R1 ={{a2π2(1+i)2−4a(1−i
)2(2a−L)}1/2−πa(1+i)}/{2(
1−i)2 }                  
                         
                 ……(4)
【00
25】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図3はこの発明の一実施例を示す骨組図である
。図中、10はエンジンであり、その出力軸10aにト
ルクコンバータ12が連結されている。このトルクコン
バータ12は、ポンプインペラー12a、タービンラン
ナー12b及びステータ12cを有しており、ポンプイ
ンペラー12aとタービンランナー12bとを連結又は
切離し可能なロックアップクラッチ12dを有している
。そして、トルクコンバータ12のタービンランナー1
2bにVベルト式無段変速機13の駆動軸14が連結さ
れている。
【0026】Vベルト式無段変速機13は、駆動軸14
に設けられた駆動プーリ16と、駆動軸14と平行に配
設された従動軸28に設けられた従動プーリ26と、こ
れらプーリ16及び26間を連結するVベルト24とで
構成されている。駆動プーリ16は、駆動軸14に固着
された固定円錐部材18と、駆動軸14に、固定円錐部
材18に対向配置されてV字状プーリ溝を形成すると共
に駆動プーリシリンダ室20に作用する油圧によって駆
動軸14の軸方向に移動可能な可動円錐部材22とから
構成されている。
【0027】従動プーリ26は、従動軸28に固着され
た固定円錐部材30と、従動軸28に、固定円錐部材3
0に対向配置されてV字状プーリ溝を形成すると共に従
動プーリシリンダ室32に作用する油圧によって従動軸
28の軸方向に移動可能な可動円錐部材34とから構成
されている。なお、Vベルト式無段変速機13の最大減
速比は、後述の前進用駆動軸側歯車38と前進用出力軸
側歯車48との間の減速比より小さく設定してある。
【0028】一方、駆動軸14の外周には、中空軸36
が回転可能に支持されており、この中空軸36にはこれ
と一体に回転するように前進用駆動軸側歯車38と後退
用駆動軸側歯車40とが所定間隔を保って設けられ、こ
れら前進用駆動軸側歯車38と後退用駆動軸側歯車40
とが機械式切換クラッチである同期噛み合い機構42に
よって選択的に中空軸36に連結される。そして、入力
軸14と中空軸36とは第1油圧クラッチ44によって
連結状態及び非連結状態に制御される。
【0029】また、従動軸28には、前進用従動軸側歯
車46が回転自在に配設され、この前進用従動軸側歯車
46と従動軸28とが油圧クラッチ48によって連結状
態及び非連結状態に制御される。さらに、駆動軸14と
平行に出力軸50が配設され、この出力軸50にワンウ
ェイクラッチ52を介して前進用出力軸側歯車54が配
設されていると共に、後退用出力軸側歯車56が固着さ
れている。ここで、前進用出力軸側歯車54は、中空軸
36に配設された前進用駆動軸側歯車38及び従動軸2
8に配設された前進用従動軸側歯車46に噛合され、後
退用出力軸側歯車56は後退用アイドラ歯車58を介し
て中空軸36に配設された後退用駆動軸側歯車40に連
結されている。なお、図3においては、表示の都合上、
駆動軸14と出力軸50とが上下方向に平行に図示され
ているが、実際には出力軸50は、駆動軸14の位置か
ら紙面と直交する方向に離隔した位置において駆動軸1
4及び従動軸28と平行に配設され、その前進用出力軸
側歯車54と前進用従動軸側歯車46とが噛合されてい
る。そして、出力軸50が図示しないが減速歯車を介し
て終減速装置に連結されている。
【0030】また、前述した駆動プーリ16及び従動プ
ーリ26のシリンダ室20及び32に供給される作動油
は、変速用指令弁60によって制御される。この変速用
指令弁60は、中央部に入力ポート60aを形成し、そ
の両側に所定間隔を保って入出力ポート60b及び60
cを形成すると共にその外側に戻りポート60dを形成
した円筒状の弁ハウジング60eと、この弁ハウジング
60e内に摺動可能に配設されたスプール60fとで構
成されるスプール弁形に構成され、その入力ポート60
aが油圧ポンプ(図示せず)に接続され、入出力ポート
60bが前述した従動プーリ26のシリンダ室32に接
続され、入出力ポート60cが前述した駆動プーリ16
のシリンダ室20に接続され、戻りポート60dがタン
ク(図示せず)に接続されている。
【0031】そして、スプール60fが駆動機構62に
よって摺動制御される。この駆動機構62は、一端が駆
動プーリ16の可動円錐部材22の円錐面に係合し、他
端が螺軸64に螺合するナット66に枢着されたレバー
68と、螺軸64を減速歯車70を介して回転駆動する
ステップモータ72とで構成され、レバー68の中央部
が連結部材74を介して変速指令弁60のスプール60
fに連結されている。なお、76はレバー68の一端を
可動円錐部材22の円錐面側に付勢するスプリングであ
る。
【0032】ここで、変速指令弁60及び駆動機構62
でV溝間隔調整機構が構成されている。さらに、駆動軸
14のトルクコンバータ12のタービンランナー12b
と固定円錐部材18との間に、回転数を検出する駆動軸
回転数検出手段としての駆動軸側回転数センサ80と、
トルクを検出する駆動軸トルク検出手段としての駆動軸
側トルクセンサ82とが配設され、従動軸28にも同様
に、従動軸回転数検出手段としての従動軸側回転数セン
サ84及び従動軸トルク検出手段としての従動軸側トル
クセンサ86が配設され、さらにスロットル開度を検出
する例えばポテンショメータでなるスロットル開度セン
サ88が設けられている。ここで、回転数センサ80及
び84としては、図示しないが例えばアンチスキッド制
御装置の車輪速センサ等に使用する外周縁に多数の歯部
を形成したロータとこれに対向して固定配置された永久
磁石と検出コイルとを有し、永久磁石で発生する磁束の
ロータの歯による変化を検出コイルで検出し、この検出
コイルから軸の回転数に比例した正弦波電圧が出力され
る。
【0033】また、トルクセンサ82及び86としては
、例えば特開昭63−312551号公報に開示されて
いるように、駆動軸14及び従動軸28に形状磁気異方
性を有するトルク検出面を形成し、このトルク検出面に
対向して検出コイルを装着した構成を有し、検出コイル
を含んで交流ブリッジ回路を構成することにより、トル
クによる形状磁気異方性のトルク検出面のインダクタン
ス変化を検出してトルクに応じたトルク検出信号を出力
する。
【0034】そして、前記回転数センサ80及び84と
、トルクセンサ82及び86と、スロットル開度センサ
88とが、図4に示すように、コントローラ90に接続
され、このコントローラ90から出力される変速用指令
信号によって駆動機構82のステップモータ72が正逆
転駆動される。ここで、コントローラ90は、図4に示
すように、A/D変換機能及びD/A変換機能を有する
インタフェース回路92、演算処理装置94及び記憶装
置96を少なくとも有するマイクロコンピュータ98と
、回転数センサ80及び84の回転数検出信号が入力さ
れ、これらを電圧値に変換して回転数検出値N1 及び
N2 を出力する周波数−電圧変換100及び102と
、インタフェース回路92から出力されるダウンシフト
指令及びアップシフト指令が入力されるモータ駆動回路
104とを備えている。
【0035】ここで、演算処理装置94は、例えば周波
数−電圧変換回路102から出力される従動軸側回転数
検出値N1 に基づいて車速Vを算出すると共に、スロ
ットル開度センサ88のスロットル開度検出値Sを読込
み、これら車速V及びスロットル開度検出値Sに基づい
て予め記憶装置96に記憶されたシフトスケジュールを
表すマップを参照して走行状態に応じた目標変速比IA
 を決定し、次いで回転数センサ80及び84の回転数
検出信号に応じたパルス信号を読込んで駆動プーリ16
及び従動プーリ26の回転数N1 及びN2 を算出し
、これらに基づいて実際の変速比を表す回転数変速比I
N (=N1 /N2 )を算出し、次いでトルクセン
サ82及び86のトルク検出値に基づいてトルク変速比
IT (=T2 /T1 )を算出し、このトルク変速
比IT に基づき上記(4)式に従って駆動プーリ16
側のVベルト24の巻き付き半径R1 を算出し、この
巻き付き半径R1 ,駆動軸トルクT1 ,Vベルト2
4を構成するブロックの長手方向の弾性定数k及びVベ
ルト24の初期長さLに基づき上記(3)式に従って弾
性滑り率γを算出し、その弾性滑り率γに基づいて弾性
滑りによる回転数比IN の変化分である弾性滑り補正
値F(=IN γ)を算出する。
【0036】そして、回転変速比IN を弾性滑り補正
値Fで補正した値(IN −F)と、トルク変速比IT
 との差値の絶対値が予め設定した測定誤差に対応する
設定値D以上であるか否かを判定し、|IN −F−I
T |≧DであるときにはVベルト24と駆動プーリ1
6及び/又は従動プーリ26との間に滑りを生じている
ものと判断して、ダウンシフト指令を出力し、|IN 
−F−IT |<Dであるときには、Vベルト24に滑
りを生じていないものと判断して目標変速比IAと実変
速比を表す回転数変速比IT とを比較して所定のヒス
テリシスをもって通常のアップシフト指令又はダウンシ
フト指令を出力して駆動機構62のステップモータ74
を制御することにより、Vベルト式無段変速機13の変
速比を制御する。
【0037】記憶装置96は、前記演算処理装置94の
処理に必要なプログラムを記憶していると共に、車速と
スロットル開度とに基づくシフトスケジュールを表すマ
ップを記憶しており、さらに演算処理装置94の演算過
程で必要なデータを逐次記憶する。次に、上記実施例の
動作を演算処理装置94の処理手順を示す図5を伴って
説明する。
【0038】イグニッションスイッチがオン状態となる
と、コントローラ90に電源が投入され、これによって
演算処理装置94で図5の処理が実行される。すなわち
、ステップ001で周波数−電圧変換回路102から出
力される従動軸28の回転数に応じた従動軸回転数検出
値N2 を読込み、次いでステップ002に移行して従
動軸回転数検出値N2 と動力伝達系の所定の減速比、
タイヤ径等とに基づいて車速Vを算出する。
【0039】次いで、ステップ003に移行して、スロ
ットル開度センサ88のスロットル開度検出値Sを読込
み、次いでステップ004に移行して前記ステップ00
3で算出した車速Vとスロットル開度検出値Sとをもと
に記憶装置96に予め記憶されたマップを参照して走行
状態に応じた目標変速比IA を算出してからステップ
005に移行する。
【0040】このステップ005では、周波数−電圧変
換回路100から出力される駆動軸14の回転数に応じ
た駆動軸回転数検出値N1 を読込み、次いでステップ
006に移行して駆動軸回転数検出値N1 と従動軸回
転数検出値N2 とに基づいて回転数比IN (=N1
 /N2 )を算出する。次いで、ステップ007に移
行して、トルクセンサ84及び86のトルク検出値T1
 及びT2 を読込み、次いでステップ008に移行し
て、トルク検出値T1 及びT2 に基づいて変速比を
表すトルク比IT (=T2 /T1 )を算出する。
【0041】トルク比IT が算出されたら、ステップ
009に移行して、駆動プーリ16側のVベルト24の
巻き付き半径R1 を算出する。ここで、巻き付き半径
R1 は、Vベルト24の初期周長L,駆動軸14及び
従動軸28の軸間距離a,従動プーリ26側のVベルト
24の巻き付き半径R2 に応じて変化する値であるが
、初期周長L及び距離aは定数であるし、巻き付き半径
R1 及びR2 の比は実際の変速比を表すトルク比I
T に等しいから、結局、この巻き付き半径R1は、ト
ルク比IT に基づき、上記(4)式に従って算出する
ことができる。
【0042】そして、ステップ009で巻き付き半径R
1 が算出されたら、ステップ010に移行し、上記(
3)式に基づいて、弾性滑り率γを演算し、次いで、ス
テップ011に移行し、弾性滑りによる回転数比IN 
の変化分である弾性滑り補正値F(=IN ×γ)を演
算する。次いで、ステップ012に移行して、回転数比
IN を弾性滑り補正値Fで補正した値(IN −F)
と、トルク比IT との差値の絶対値|IN −F−I
T |を算出し、次いでステップ013に移行して差値
の絶対値|IN −F−IT |が予め設定した測定誤
差分を表す設定値D以上であるか否かを判定する。この
判定は、Vベルト24と駆動プーリ16及び従動プーリ
26の何れかとの間に移動滑りを生じているか否かを判
定するものであり、|IN −F−IT |≧Dである
ときには、Vベルト24に移動滑りが生じているものと
判断してステップ014に移行し、ステップモータ74
を逆転させてダウンシフトさせるダウンシフト指令をイ
ンタフェース回路92を介してモータ駆動回路104に
出力し、次いでステップ015に移行して滑り発生監視
カウンタをインクリメントし、次いでステップ016に
移行して滑り発生監視カウンタのカウント値CT が予
め設定した設定値CS 以上であるか否かを判定し、C
T <CS であるときには前記ステップ001に戻り
、CT ≧CS であるときには、Vベルト式変速機1
3が異常状態であると判断してステップ017に移行し
て警報ランプ106を点灯させてからステップ001に
戻る。
【0043】一方、ステップ013の判定結果が|IN
 −F−IT |<Dであるときには、Vベルト24に
移動滑りが発生していないものと判断してステップ01
8に移行し、滑り発生監視カウンタをクリアし、次いで
ステップ019に移行して、目標変速比IA にヒステ
リシス補正定数Cを加算した値(IA +C)が実際の
変速比を表すトルク比IT未満であるか否かを判定する
。この判定は、変速態様がアップシフトであるか否かを
判定するものであり、IA +C<IT であるときに
は、ステップ020に移行してアップシフト指令をイン
タフェース回路92を介してモータ駆動回路104に出
力し、IA +C≧IT であるときにはステップ02
1に移行する。
【0044】このステップ021では、目標変速比IA
 からヒステリシス補正定数Cを減算した値(IA −
C)がトルク比IT 以上であるか否かを判定する。こ
の判定は、変速態様がダウンシフトであるか否かを判定
するものであり、IA −C≧IT であるときには、
ステップ022に移行してダウンシフト指令をインタフ
ェース回路92を介してモータ駆動回路104に出力し
、IA −C<IT であるときには目標変速比IA 
と実際の変速比とがヒステリシス補正定数Cで決定され
る不感帯幅内であると判断してそのままステップ001
に戻る。
【0045】この図5の処理において、ステップ005
及び006の処理が回転数比演算手段に対応し、ステッ
プ007及び008の処理がトルク比演算手段に対応し
、ステップ009の処理が巻き付き半径検出手段に対応
し、ステップ010の処理が弾性滑り率演算手段に対応
し、ステップ011〜013の処理が移動滑り検出手段
に対応し、ステップ014の処理が移動滑り制御手段に
対応している。
【0046】したがって、今、車両が停止しており、イ
グニッションスイッチもオフ状態であるものとすると、
この状態イグニッションスイッチをオン状態とするエン
ジン10が始動すると共にコントローラ90に電源が投
入されることにより、演算処理装置94で図5の処理が
実行開始される。この停止状態から車両を発進させると
きには、発進時には比較的大きな駆動力を必要とするた
め、同期噛み合い機構42をF位置にすると共に、油圧
クラッチ44を締結し、油圧クラッチ48を解放する。
【0047】この状態では、エンジン10の出力軸10
aの回転力はトルクコンバータ12を介して駆動軸14
に伝達され、さらに駆動軸14から締結状態の油圧クラ
ッチ44を介して中空軸36に伝達される。中空軸36
の回転力は前進用駆動軸側歯車38及びこれに噛合する
前進用出力軸側歯車54、さらにワンウェイクラッチ5
2を介して出力軸50に伝達され、この出力軸50の駆
動力が減速歯車、終減速装置を介して車輪に伝達される
。このような回転力伝達系では、Vベルト式無段変速機
13を通しての回転力の伝達は行われておらず、回転力
は歯車機構を介して伝達されることになり、前輪用駆動
軸側歯車38と前進用出力軸側歯車54との間の減速比
によって回転力が増大されており、これにより大きな駆
動力を得ることができる。
【0048】その後、車両が比較的駆動力が小さくてよ
い運転条件となると、油圧クラッチ44の締結状態とし
たまま、油圧クラッチ48を締結状態とする。これよっ
てVベルト式無段変速機13を介して回転力の伝達が行
われることになる。すなわち、駆動軸14の回転力は、
駆動プーリ16、Vベルト24及び従動プーリ26を介
して従動軸28に伝達され、さらに締結状態である油圧
クラッチ48を介して前輪用従動軸側歯車46に伝達さ
れる。前進用従動軸側歯車46は前進用出力軸側歯車5
4と噛合しているため、回転力が出力軸50に伝達され
、さらに上述の場合と同様に車輪に伝達される。この場
合、前進用駆動軸側歯車54が、駆動軸14及びこれと
一体に回転している中空軸36よりも高速で回転するこ
とになるとワンウェイクラッチ52は空転状態となる。 このため、油圧クラッチ44は締結状態を継続すること
ができる。
【0049】一方、Vベルト式無段変速機13のコント
ローラ90では、イグニッションスイッチがオン状態と
なったときから図5の処理を実行しているので、車両が
発進状態となったときに、そのときの車速Vとスロット
ル開度検出値Sとに基づいて目標変速比IA が算出さ
れ、実際の変速比に対応する回転数比IT が目標変速
比IA にヒステリシス補正定数Cを加減算した値の範
囲内にあるときには現在の変速位置を維持し、IA +
C<IN となったときには、ステップ020に移行し
てモータ駆動回路104にアップシフト指令USを出力
する。
【0050】このようにモータ駆動回路104にアップ
シフト指令USが出力されると、ステップモータ72が
正転駆動され、これに応じて螺軸64に螺合するナット
66が右動し、レバー68をてこにして連結部材74を
介して変速指令弁60のスプール60fが右動する。し
たがって、油圧ポンプ(図示せず)から供給される作動
油が入出力ポート60cを通じて駆動プーリ16のシリ
ンダ室20に供給されることになるので、可動円錐部材
22が左動して、これと固定円錐部材22とで形成する
Vベルト溝の間隔を狭める。これによって、Vベルト2
4が両円錐部材18及び22の外周縁側に移動する。
【0051】他方、従動プーリ26側では、そのシリン
ダ室32が入出力ポート60b及び戻りポート60dを
介してタンク(図示せず)に接続されるので、Vベルト
24に対する押付力が少なくなり、Vベルト24が円錐
部材30及び34の内周側に移動して、Vベルト式無段
変速機13の変速比が大きくなるアップシフトが行われ
る。このように、駆動プーリ16の可動円錐部材22が
左動することにより、レバー68がナット66の枢着点
を中心として反時計方向に回動し、これによって連結部
材74を介してスプール60fが左動し、そのランドに
よって入出力ポート60cが閉塞されると、シリンダ室
20に対する作動油の供給が遮断されて、変速動作が停
止される。
【0052】逆に、演算処理装置94からダウンシフト
指令DSがモータ駆動回路104に入力されると、これ
によってステップモータ72が逆転され、これに応じて
ナット66が左動することにより、スプール60fも左
動し、入出力ポート60bを通じて従動プーリ26のシ
リンダ室32に作動油が供給されて可動円錐部材34が
左動してVベルト24を外周側に押上げ、駆動プーリ1
6側ではシリンダ室20がタンクに接続されることによ
り、Vベルト24の内周側への移動を許容することによ
り、Vベルト式無段変速機13の変速比が小さくなるダ
ウンシフトが行われる。
【0053】ところで、車輪側の負荷が大きくなってV
ベルト24と駆動プーリ16及び/又は従動プーリ26
との間に移動滑りが発生すると、駆動プーリ16の回転
数N1 及びトルクT1 の変動は少ないが、従動プー
リ26の回転数N2 及びトルクT2 は共に減少する
ことになる。このため、図5の処理におけるステップ0
06で算出した回転数比IN が大きくなると共に、ス
テップ008で算出したトルク比IT が小さくなる。
【0054】また、Vベルト24には、移動滑りととも
に、弾性滑りも発生しており、その弾性滑りの分だけ従
動軸28の回転数N2 は低下している。つまり、回転
数N2 の低下分を考慮した回転数N20(=N2 /
(1−γ))を用いれば、トルク比IT は、IT =
N1 /N20と表すことができる。そして、     |IN −F−IT |=|IN −γIN 
−IT |                    
  =|(1−γ)IN −IT |        
              =|N1 /(N2 /
(1−γ))−N1 /N20|であるから、ステップ
012で算出される値は、弾性滑りの影響は受けず、移
動滑りのみの影響を受けて変化することになる。
【0055】従って、ステップ013で算出する|IN
 −F−IT |が設定値Dより大きくなれば、Vベル
ト24に移動滑りが生じたものと判断でき、この場合は
、ステップ014に移行してダウンシフト指令DSがモ
ータ駆動回路104に出力される。このため、Vベルト
式無段変速機13が前述したように変速比が小さくなる
ように制御される結果、Vベルト24を介して駆動プー
リ16及び従動プーリ26間で伝達される駆動力が大き
くなり、Vベルト24と駆動プーリ16及び/又は従動
プーリ26との間の移動滑りを解消することができる。
【0056】このようにして、Vベルト24の移動滑り
が解消されると、次の処理時にステップ013からステ
ップ018に移行して滑り発生監視カウンタがクリアさ
れるので、このカウンタのカウント値CT が設定値C
S を越えることはなく、警報ランプは消灯状態を維持
する。しかしながら、Vベルト24に移動滑りが発生し
てダウンシフト指令による変速比の低下によってもVベ
ルト24の移動滑りが継続する場合には、滑り発生監視
カウンタがカウントアップしてそのカウント値CT が
設定値CS 以上となったときにステップ016からス
テップ017に移行して警報ランプ106を点灯するこ
とにより、Vベルト式無段変速機13に異常が発生した
ことを運転者に警告する。
【0057】また、演算処理装置94からダウンシフト
指令DS又はアップシフト指令USがモータ駆動回路1
04に出力されて、Vベルト式無段変速機13がダウン
シフト又はアップシフトされるときに、油圧制御系の応
答遅れによって従動軸28の応答が遅れたときには、回
転数比IN とトルク比ITの双方に従動軸28側の回
転数検出値N2 及びトルク検出値T2 が含まれてお
り、これら回転数比IN とトルク比ITとの差値に基
づいてVベルト24の移動滑り状態を判断するので、変
速時の応答遅れの影響を除去することができ、Vベルト
24の移動滑りを正確に検出することができる。
【0058】しかも、弾性滑り率γに基づいて弾性滑り
補正値Fを演算し、この弾性滑り補正値Fで回転数比I
N を補正しているので、移動滑りに無関係にステップ
012の演算結果が変動することはなく、このため、ス
テップ013において移動滑りが発生しているか否かを
判断する際に使用する設定値Dを、弾性滑りを考慮して
無意味に大きくしたり小さくしたりする必要がなく、移
動滑りの検出が遅れたり、誤判断の可能性が高くなるよ
うな不具合がない。
【0059】ここで、弾性滑り率γを具体的な数値に基
づいて求めてみる。すなわち、弾性定数k=1.0×1
04 (kgf/m)、駆動軸トルクT1 =15(k
gf・m)、トルク比IT =2.3、初期周長L=7
00(mm)、距離a=160(mm)とすると、巻き
付き半径R1 ≒35.4(mm)となり、上記(3)
式から、γ=15(kgf・m)/(35.4×10−
3(m)×1.0×104 (kgf/m)×700×
10−3(m))=6.1(%) となる。
【0060】つまり、この例であれば、回転数N2 に
は、約6%程度の弾性滑りの成分が含まれていることに
なるから、この成分を取り除かないと、その分、移動滑
りの判断が遅れる可能性若しくは誤判断される可能性が
高くなることになる。次に、この発明の第2実施例を図
6を伴って説明する。この第2実施例は、Vベルトの滑
りの判断基準として駆動軸及び従動軸の回転数比IN 
及びトルク比IT を比較する場合に代えて、駆動軸及
び従動軸の駆動力を比較することにより、Vベルトの滑
りを検出するようにしたものである。
【0061】なお、上記第1実施例と同様の処理には、
同じ符号を付し、その重複する説明は省略する。すなわ
ち、図6に示すように、ステップ004の処理を終えた
ら、ステップ025に移行して駆動軸回転数検出値N1
 及びトルク検出値T1 を読込み、次いでステップ0
26で両者を乗算することによって駆動軸駆動力(N1
 ×T1 )を算出し、次いでステップ027で従動軸
トルク検出値T2 を読込み、次いでステップ028で
ステップ001で読込んだ従動軸回転数検出値N2 と
従動軸トルク検出値T2 を乗算して従動軸駆動力(N
2 ×T2 )を算出した後に、ステップ008に移行
する。
【0062】ステップ008〜010については、上記
第1実施例と同様の処理を行い、ステップ031に移行
し、弾性滑りによる駆動軸駆動力の変化分である弾性滑
り補正値G(=T1 N1 γ)を算出する。そして、
ステップ032に移行し、駆動軸駆動力N1 T1 か
ら弾性滑り補正値Gを差し引いた値(N1 T1 −G
)と、従動軸駆動力N2 T2 との差値の絶対値|N
1 T1 −G−N2 T2 |を算出し、次いでステ
ップ033でその差値の絶対値|N1 T1 −G−N
2 T2 |が予め設定した設定値E以上であるか否か
を判定し、|N1 T1 −G−N2 T2 |≧Eで
あるときには前記ステップステップ014に移行し、|
N1 T1 −G−N2 T2 |<Eであるときには
前記ステップ018に移行する。
【0063】この図6の処理において、ステップ025
及び026の処理が駆動軸駆動力演算手段に対応し、ス
テップ027及び028の処理が従動軸駆動力演算手段
に対応し、ステップ031〜033の処理が移動滑り検
出手段に対応している。この第2実施例によると、Vベ
ルト24の移動滑りを、駆動軸駆動力N1 T1 を弾
性滑り補正値Gで補正した値(N1 T1 −G)と、
従動軸駆動力N2 T2 との差値の絶対値|N1 T
1 −G−N2 T2 |に基づいて判断しているが、
この絶対値は、|N1 T1 −G−N2 T2 | =N2 T1 |N1 /N2 −γN1 /N2 −
T2 /T1 |=N2 T1 |IN −IN γ−
IT |=N2 T1 |IN −F−IT |となる
ことから、上記第1実施例のステップ013で使用した
絶対値にN2T1 を乗じた値と等しいので、結局、こ
の第2実施例であっても、前述した第1実施例と同様の
作用効果を得ることができる。
【0064】そして、上記各実施例では、トルク比IT
 に基づいて巻き付き半径R1 を算出しているため、
この巻き付き半径R1 を検出するために別途センサ等
を設ける必要がないという利点がある。しかし、この巻
き付き半径R1 は、例えば、駆動プーリ16側のVベ
ルト24の径方向の巻き付き位置を検出するセンサ或い
は可動円錐部材22の軸方向位置を検出するセンサ等を
設ければ、そのセンサの検出値から演算することも可能
である。
【0065】また、上記実施例では、弾性滑り率γに基
づいて、回転数比IN 又は回転軸駆動力N1 T1 
を補正するようにしているが、これに限定されるもので
はなく、例えば、弾性滑り率γに基づいて、設定値D,
Eの値を変化させる構成としてもよい。なお、上記各実
施例においては、エンジン横置き型のFF車用として変
速機を構成した場合について説明したが、これに限定さ
れるものではなく、出力軸50をエンジン10側とは反
対側に突出させることにより、エンジン縦置き型のFR
車用の変速機とすることができ、その他任意の形式の変
速機とすることができる。
【0066】また、上記各実施例においては、駆動プー
リ16及び従動プーリ26の可動円錐部材22及び34
を油圧によって移動させる場合について説明したが、こ
れに限らず直接モータ駆動される螺軸とこれに螺合する
ナット等で構成される直線駆動機構で移動させるように
してもよい。さらに、回転センサ80,82としては、
磁束変化を検出する場合に限らず、光学的又は磁気的な
ロータリエンコーダ、或いはタコジェネレータ等の回転
センサを適用し得る。
【0067】同様に、トルクセンサ84,86としても
、磁歪効果を利用するものに限らず、ストレインゲージ
等を使用したトルクセンサを適用することができる。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、Vベルトと駆動プーリ及び/又は従動プー
リとの間の移動滑りを、駆動プーリ及び従動プーリの回
転数比,トルク比並びに弾性滑り率に基づいて検出する
ようにしているので、変速動作を行うときに従動プーリ
側に応答遅れが生じた場合でも、この応答遅れの影響を
受けることがないし、弾性滑りの影響が除去された値に
基づいて移動滑りが検出されるから、判断遅れや誤判断
の可能性が小さくなって、正確にVベルトの移動滑りを
検出することができ、しかもVベルトの移動滑りを検出
したときに従動プーリの押付力を増大させてダウンシフ
トさせて、移動滑りを解消するようにしているので、動
力伝達効率を向上させることができると共に、Vベルト
及びプーリ間の移動滑りによる摩耗や破損を確実に防止
することができるという効果が得られる。
【0069】また、請求項2記載の発明によれば、Vベ
ルトと駆動プーリ及び/又は従動プーリとの間の移動滑
りを、駆動軸駆動力,従動軸駆動力及び弾性滑り率に基
づいて検出するようにしているので、結果として上記請
求項1記載のVベルト式無段変速機と等しいVベルトの
移動滑り判定を行うことができ、請求項1記載の発明と
同様の効果が得られる。
【0070】そして、請求項3記載の発明によれば、既
に検出されている変速比に基づいて駆動プーリ側のVベ
ルトの巻き付き半径を演算して求めるため、別途センサ
等を設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明の基本構成を示すブロック
図である。
【図2】請求項2記載の発明の基本構成を示すブロック
図である。
【図3】本発明の第1実施例の構成を示す骨組図である
【図4】第1実施例のコントローラの一例を示すブロッ
ク図である。
【図5】第1実施例のコントローラで実行される処理を
示すフローチャートである。
【図6】第2実施例のコントローラで実行される処理を
示すフローチャートである。
【符号の説明】
13          Vベルト式無段変速機14 
         駆動軸 16          駆動プーリ 24          Vベルト 26          従動プーリ 28          従動軸 60          変速指令弁 62          駆動機構 72          ステップモータ80,82 
   回転数センサ 84,86    トルクセンサ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  駆動軸に設けられたV溝間隔可変の駆
    動プーリと、従動軸に設けられたV溝間隔可変の従動プ
    ーリと、前記駆動プーリ及び従動プーリ間に巻き掛けら
    れたVベルトと、前記駆動プーリ及び従動プーリのV溝
    間隔を互いに逆方向に変化させるV溝間隔調整機構と、
    を備えたベルト駆動式無段変速機において、前記駆動軸
    の回転数を検出する駆動軸回転数検出手段と、前記従動
    軸の回転数を検出する従動軸回転数検出手段と、前記駆
    動軸のトルクを検出する駆動軸トルク検出手段と、前記
    従動軸のトルクを検出する従動軸トルク検出手段と、前
    記駆動軸回転数検出手段及び従動軸回転数検出手段の検
    出値に基づいて前記駆動軸及び従動軸の回転数比を演算
    する回転数比演算手段と、前記駆動軸トルク検出手段及
    び前記従動軸トルク検出手段の検出値に基づいて前記駆
    動軸及び従動軸のトルク比を演算するトルク比演算手段
    と、前記駆動プーリ側の前記Vベルトの巻き付き半径を
    検出する巻き付き半径検出手段と、前記駆動軸トルク検
    出手段及び巻き付き半径検出手段の検出値に基づいて前
    記Vベルトの弾性滑り率を演算する弾性滑り率演算手段
    と、前記回転数比演算手段が演算した回転数比,前記ト
    ルク比演算手段が演算したトルク比及び前記弾性滑り率
    演算手段が演算した弾性滑り率に基づいて前記Vベルト
    の移動滑りを検出する移動滑り検出手段と、この移動滑
    り検出手段が前記Vベルトの移動滑りを検出したときに
    、前記従動プーリの押し付け力が増大するように前記V
    溝間隔調整機構を制御する移動滑り制御手段と、を備え
    たことを特徴とするベルト駆動式無段変速機。
  2. 【請求項2】  駆動軸に設けられたV溝間隔可変の駆
    動プーリと、従動軸に設けられたV溝間隔可変の従動プ
    ーリと、前記駆動プーリ及び従動プーリ間に巻き掛けら
    れたVベルトと、前記駆動プーリ及び従動プーリのV溝
    間隔を互いに逆方向に変化させるV溝間隔調整機構と、
    を備えたベルト駆動式無段変速機において、前記駆動軸
    の回転数を検出する駆動軸回転数検出手段と、前記従動
    軸の回転数を検出する従動軸回転数検出手段と、前記駆
    動軸のトルクを検出する駆動軸トルク検出手段と、前記
    従動軸のトルクを検出する従動軸トルク検出手段と、前
    記駆動軸回転数検出手段及び駆動軸トルク検出手段の検
    出値に基づいて駆動軸駆動力を演算する駆動軸駆動力演
    算手段と、前記従動軸回転数検出手段及び従動軸トルク
    検出手段の検出値に基づいて従動軸駆動力を演算する従
    動軸駆動力演算手段と、前記駆動プーリ側の前記Vベル
    トの巻き付き半径を検出する巻き付き半径検出手段と、
    前記駆動軸トルク検出手段及び巻き付き半径検出手段の
    検出値に基づいて前記Vベルトの弾性滑り率を演算する
    弾性滑り率演算手段と、前記駆動軸駆動力演算手段が演
    算した駆動軸駆動力,前記従動軸駆動力演算手段が演算
    した従動軸駆動力及び前記弾性滑り率演算手段が演算し
    た弾性滑り率に基づいて前記Vベルトの移動滑りを検出
    する移動滑り検出手段と、この移動滑り検出手段が前記
    Vベルトの移動滑りを検出したときに、前記従動プーリ
    の押し付け力が増大するように前記V溝間隔調整機構を
    制御する移動滑り制御手段と、を備えたことを特徴とす
    るベルト駆動式無段変速機。
  3. 【請求項3】  巻き付き半径検出手段は、駆動軸及び
    従動軸間の距離,Vベルトの周長及びベルト駆動式無段
    変速機の変速比に基づいて、駆動プーリ側の前記Vベル
    トの巻き付き半径を演算する請求項1又は請求項2記載
    のベルト駆動式無段変速機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007529697A (ja) * 2004-03-16 2007-10-25 ロベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミト ベシュレンクテル ハフツング 無段変速機用の制御方法
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