JPH0434453Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は拡散式ガス濃度検知管に関するもので
あり、殊に屋外や各種作業環境において各種被検
ガスの濃度を、拡散方式により一定時間内の平均
濃度として測定する拡散式ガス濃度検知管に関す
るものである。

（従来技術） 一般に、屋内や屋外での環境保全を目的として
空気中に含まれる各種ガス、例えばC0，C0₂，
N0₂，S0₂，NH₃，H₂Ｓ，CI₂，HCN等のガスの
濃度測定又は検知が行われており、このために各
種の測定器や検知管が用いられている。

この種のガス濃度検知管としては、従来、被検
ガスと接触することにより変色する試薬を含浸さ
せた多孔体を担体として透明管内に充填し、その
変色長により被検ガス濃度の判定を行なうものが
あつた。しかしながら、この型式のガス濃度検知
管はガス濃度の測定精度を向上させようとして試
薬の分布密度を高めれば結果的には通気抵抗が大
となるので、自然拡散では不十分となり、従つて
手動又は電動ポンプにより被検ガスを強制通気さ
せる必要性が生じて、作業性が低下し且つコスト
高となる欠陥があつた。この欠陥を克服するため
に、即ち被検ガス自然拡散を容易にするために
紙を担体として試薬を含浸させたガス検知管が提
案され（特開昭57−86049号公報）、又試薬を含浸
させた担体粒子の充填密度を低下させたガス検知
管も市場に出廻つているが、これらは変色部と非
変色部との境界が余り明確なものとは云えず、従
つて測定精度に関して充分に満足し得るものでは
なかつた。

（考案の目的） 本考案は従来の拡散式ガス検知管における上述
のような問題に鑑みて、被検ガスの自然拡散によ
る侵入が可能であり、読取りが容易で感度に優
れ、従つて測定精度の向上を達成し得る、拡散式
ガス検知管を提供することを目的としている。

（考案の構成） 本考案によれば、上記目的は、少なくとも一方
端部が開放可能となされている透明管の内部に、
通気性の弾性質多孔体と、被検ガスに接触するこ
とにより変色する試薬を含浸させた担体よりなる
検知剤とが上記透明管の長手方向に層をなして配
置されている、拡散式ガス濃度検知管により達成
される。

本考案による拡散式ガス濃度検知管において、
透明管内の横断面部において弾性質多孔体がその
約半分を占めており且つ検知剤が残余の部分を占
めているようになすのが一般的に有利であるが、
これら両者が透明管内横断面部において占める割
合は弾性質多孔体の通気性や種類、被検ガスの種
類等を考慮して適宣設定することができる。更
に、試薬を含浸保持する担体が粉状、粒状等であ
つて流動性を呈する場合には、その定置保持用に
通気性隔壁を配置することができるのは当然であ
り、この隔壁用素材は、慣用のもの例えば綿、オ
ープンセル型の発泡プラスチツクス等であること
ができる。

（実施例） 次に、本考案の実施の１例を図面について説明
する。

第１図に示されているように本考案によるガス
濃度検知管１０は透明ガラス製の管１２を匣体と
しており、この管１２の一端１２ａ附近には切込
み１２１が形成されている。管１２の上記端部１
２ａ及び他方端部１２ｂはそれぞれ溶封されてお
り、内部には通気性の弾性質多孔体１４と検知用
の試薬を含浸させた担体よりなる検知剤１６とが
管１２の長手方向に層をなして配置されており、
これらの弾性質多孔体１４と検知剤１６は通気性
隔壁１８ａ，１８ｂにより管１２内の所定位置に
定置保持されている。弾性質多孔体１４としては
オープンセル型のポリエチレン発泡体が使用され
ているが、その素材としてはこれに限られるもの
ではなく、充分な通気性をもたらす材料であり且
つ被検ガスと反応しない材料であれば如何なる素
材でも用いることができる。検知剤１６は被検ガ
スの種類に依存して異なり、例えば被検ガスが塩
素ガスの場合には試薬としてοートリジン（C₁₄
H₁₆N₂）を用いこれを担体としてのシリカゲルに
含浸させたものが用いられ、この場合の検知剤の
変色乃至呈色は生成する赤色ホロキノン（C₁₄
H₁₄N₂CI₂）に基因する橙色である。担体として
は上記のシリカゲル以外にも自体周知のように活
性アルミナ、珪砂等を用いることができる。通気
性隔壁１８ａ，１８ｂ用の素材としては、弾性質
多孔体１４と同様の素材や、他の慣用の素材例え
ば綿、布、吸取紙、多孔質セラミツク、ガラスウ
ール等を用いることができる。

第２図に示されるように、この実施形において
は、管１２内の横断面部の約半分を弾性質多孔体
１４が占め、検知剤１６が爾余の部分を占めてい
るが、その専有割合は弾性質多孔体１４の通気性
や種類、被検ガスの種類、検知剤の感度等のフア
クタを考慮して適宣設定することができる。

第３図に示されるように、管１２の外面にはガ
ス濃度目盛１２３が表示されている。この目盛り
１２３は標準ガスを用い検知剤１６の変色長と所
要時間との関係を調べた検量線に基くものであ
り、相乗積（PPm，Hrs）で付されている。

次に、本考案によるガス濃度検知管の使用方法
について説明する。第１〜３図に示されているよ
うに、所定の検知剤１６がセツトされたガス濃度
検知管１０の匣体である管１２の一端１２ａを切
込み１２１に沿つて折り棄てる。これにより一端
が開放状態にあるガス濃度検知管１０は被検ガス
雰囲気中に曝されることになり、被検ガスの濃度
測定が開始される。被検ガスは自然拡散的に管１
２内に侵入し通気性隔壁１８ａを経て検知剤１６
と直接的に接触し反応して検知剤１６を変色さ
せ、又通気性の弾性質多孔体１４を介して検知剤
１６と接触し反応して検知剤１６を変色させる。
従つて、検知剤１６は入口側の通気性隔壁１８ａ
に近い部分から次第に他方の通気性隔壁１８ｂに
向つて次第に変色してゆくことになる。

測定開始から１時間経過後に検知剤１６の変色
長が50の目盛線位置に達したならば、被検ガスの
平均濃度は50ppmと判定され、一方測定開始から
２時間経過後に変色長が100の目盛線位置に達し
たならば、既述のように目盛は相乗積で表示され
ているので、この場合の被検ガスの平均濃度は 100（ppm・Hrs）÷２（Hr）＝50ppm と判定される。

（考案の効果） 本考案のガス濃度検知管によれば、弾性質多孔
体と検知剤とが管内で長手方向に層をなした状態
で配置されており、上記弾性質多孔体が被検ガス
の自然的な侵入拡散を容易にしている。従つて、
検知剤自体に関してはその通気抵抗に余り留意を
払う必要性がないので、粒径の小なる担体に延い
ては粉状の担体に試薬を含浸させて検知剤とする
ことができ、その充填密度も高くなすことができ
る。このことは呈色性の比較的低い試薬を用いた
場合にも変色が明確に生起すること、即ちガス濃
度検知管として高感度なものとなし得ることを意
味しており、従つて変色長の読取りが容易であり
測定精度を向上させることができる。慣用の方法
により管に濃度目盛を付しておけば、検知剤層の
変色長の読取りにより被検ガスの平均濃度を定量
的に且つ容易に測定することができる。

尚、図示された実施例では両端が溶封され、折
切り用の切込みの形成されたガラス管が使用され
ているが、溶封及び切込み形成の代りにガス不透
過性で弾性を有するゴム製又はプラスチツクス製
キヤツプを使用することができ、これによつて製
造附帯設備の軽減をもたらすことができる。更
に、コスト的に許されるならば、管自体の素材も
ガラスに代えてガス不透過性の透明プラスチツク
スとなすことができ、これによつて落下等による
折損の可能性を排除することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案による拡散式ガス濃度検知管の一
例を示すものであつて、第１図は長手方向縦断面
図、第２図は第１図中の−線に沿い拡大尺に
て示した断面図、第３図は平面図である。 １０……拡散式ガス濃度検知管、１２……管、
１２ａ……開放可能な端部、１４……弾性質多孔
体、１６……検知剤、１８ａ，１８ｂ……通気性
隔壁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 少なくとも一方端部が開放可能となされてい
   る透明管の内部に、通気性の弾性質多孔体と、
   被検ガスに接触することにより変色する試薬を
   含浸させた担体よりなる検知剤とが上記透明管
   の長手方向に層をなして配置されていることを
   特徴とする、拡散式ガス濃度検知管。 (2) 透明管内の横断面部において弾性質多孔体が
   その約半分を占めており且つ検知剤が残余の部
   分を占めていることを特徴とする、実用新案登
   録請求の範囲第１項に記載の拡散式ガス濃度検
   知管。