JPH04337099A - 耐衝撃密着性に優れた高耐食性表面処理鋼板 - Google Patents

耐衝撃密着性に優れた高耐食性表面処理鋼板

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JPH04337099A
JPH04337099A JP13828491A JP13828491A JPH04337099A JP H04337099 A JPH04337099 A JP H04337099A JP 13828491 A JP13828491 A JP 13828491A JP 13828491 A JP13828491 A JP 13828491A JP H04337099 A JPH04337099 A JP H04337099A
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JP
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layer
content
plating
alloy
steel sheet
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Application number
JP13828491A
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English (en)
Inventor
Masahito Fujita
藤田 優人
Nobukazu Suzuki
鈴木 信和
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、メッキ皮膜の耐衝撃
密着性,加工密着性及び耐食性が共に優れ、例えば自動
車鋼板等に適用して優れた性能を発揮する高耐食性表面
処理鋼板に関するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】近年、自動車用鋼板の耐食性(
耐孔あき腐食性,耐外面錆性)に対する要求は年を追っ
て高度化してきており、従来から用いられてきた“単な
る冷延鋼板”に代わって“亜鉛メッキ鋼板”や“亜鉛系
合金メッキ鋼板”を使用する傾向が一般化しつつある。
【0003】ところが、冬季の道路凍結を防止するため
に岩塩散布が実施される地域等の如き腐食性物質と接触
しがちな環境下では、上述のようなメッキ鋼板を用いた
場合でもそのメッキ付着量を過分にしないと十分な耐食
性を得られないことが指摘されていた。しかし、メッキ
付着量を多くするとプレス加工時のメッキ層の粉状剥離
(パウダリング)及び片状剥離(フレ−キング)が生じ
やすくなるため、プレス作業性が著しく阻害されるとい
う問題があった。
【0004】そこで、このような問題に対処すべく、メ
ッキ鋼板にクロメ−ト処理と防錆塗装とを施した金属有
機複層被覆鋼板が案出されている。もっとも、その初期
過程での提案は特公昭45−24230号公報にみられ
るような ”ジンクリッチ系塗装を施した防錆鋼板” 
に関するものであり、耐食性向上レベルが未だ十分では
ない上、塗膜中に含まれるZn末がプレス加工時に剥離
するという問題があって耐パウダリング性も所望レベル
にまで改善させ得るものではなかった。
【0005】そのため、これに次いで亜鉛系メッキ鋼板
上にクロメ−ト皮膜と有機複合シリケ−ト皮膜の2層を
施して成る複層被覆鋼板が提案された (特開昭57−
108212号, 特開昭58−224174号, 特
開昭60−174879号等)。しかし、これらの複層
被覆鋼板は塗膜中にZn末のような金属粉末を含まない
ために耐パウダリング性は大幅に改善されるものの、や
はり現在の自動車用鋼板に要求されている耐食性のレベ
ルに達してはいなかった。
【0006】このようなことから、最近ではクロメ−ト
皮膜や有機皮膜の特性改善に関する研究は勿論、これに
加えて最下層の亜鉛系メッキ鋼板自体の更なる特性改善
に向けた検討が種々の観点からなされるようになってき
た。そして、その結果として、例えばNi含有率が9〜
20%(以降、 成分割合を表わす%は重量%とする)
のNi−Zn(γ層)合金メッキ上にクロメ−ト処理層
と導電性塗料層を複層させた表面処理鋼板(特開昭58
−210192号), γ相Ni−Zn合金メッキ層上
にFe含有率が10〜40%のFe−Zn合金メッキ層
とクロメ−ト処理層と導電性顔料層とを複層させた表面
処理鋼板(特開昭58−210190号),Ni含有量
が1〜3%のNi−Zn合金メッキ層上にクロメ−ト処
理層と高分子被覆層とを複層させた表面処理鋼板(特開
昭61−84381号)がそれぞれ提案されている。
【0007】更に、例えば特開昭63−203778号
等として、ZnもしくはZn合金メッキ中にSi, A
l等の酸化物,炭化物,窒化物等の5μm以下の微粒子
を分散させることによりメッキ皮膜自体の特性改善を図
ると共に、そのメッキ面上にクロメ−ト処理層と有機塗
膜を形成した表面処理鋼板も提案されている。
【0008】確かに、これらの技術により一段と優れた
耐食性を発揮する鋼板が確保されるようになったが、前
記各提案の技術によって改善される“耐食性”とは“耐
孔あき性”を主体とするものであり、本発明者等の検討
によると、前記各表面処理鋼板も“耐外面錆性”につい
ては自動車用鋼板として必ずしも十分な性能を有してい
ないことが明らかになった。ここで、「耐外面錆性」と
は、自動車外装外面側の塗膜が石ハネ,傷ツキ等によっ
て損傷を受けた場合に生じる“塗膜のフクレ等の生じに
くさ”を示す性能であることは言うまでもない。
【0009】勿論、耐外面錆性に照準を合わせたメッキ
鋼板についての提案も種々提案されているが、その場合
でも耐外面錆性と耐孔あき性の両性能、並びにこれらに
加えてプレス加工性をも十分に満足する表面処理鋼板は
未だ見出されていないのが現状であった。
【0010】このようなことから、本発明が目的とした
のは、十分な“耐孔あき性”を示すことは勿論のこと、
石ハネ等によるメッキ剥離への抵抗性(耐低温チッピン
グ性:耐衝撃密着性)を含む“耐外面錆性”にも優れ、
更に“プレス加工性”も良好であって、自動車用鋼板等
としても十分に満足できる高耐食性表面処理鋼板を実現
することであった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成すべく数多くの実験を繰り返しながら重ねられた本発
明者等の研究結果に基づいて完成されたものであり、「
図1に示す如く、 鋼板の少なくとも片面にA) クラ
ック幅が0.01〜 0.5μm、 クラック密度がク
ラック面積分率で10〜60%の方向性を持たない“微
小クラック”が存在するZn−Ni系合金メッキ薄下地
層,B) Ni含有率が13重量%以下であるZn−N
i系合金のメッキ層:10〜50g/m2 , C) Ni含有率が10〜40重量%のZn−Ni系合
金のメッキ層: 0.5〜20g/m2 , D) クロメ−ト処理層:Cr量で30〜300mg/
m2 ,E) 保護樹脂皮膜層: 0.2〜 2.0μ
m,の複層をこの順序で備えしめて、 耐衝撃密着性を
も含む耐外面錆性,耐孔あき性及びプレス加工性が共に
優れる表面処理鋼板を実現した点」に大きな特徴を有し
、また「図2に示す如く、 鋼板の少なくとも片面に、
クラック幅が0.01〜 0.5μm、クラック密度が
クラック面積分率で10〜60%の方向性を持たない“
微小クラック”が存在するZn−Ni系合金メッキ薄下
地層を有すると共に、該鋼板の一方の面に a) Ni含有率が13重量%以下であるZn−Ni系
合金のメッキ層:10〜50g/m2 , b) Ni含有率が10〜40重量%のZn−Ni系合
金のメッキ層: 0.5〜20g/m2 ,の複層をこ
の順序で備えしめ、かつその後の十分な塗装処理を意図
する一方の面を除いた他方の面に イ) Ni含有率が13重量%以下であるZn−Ni系
合金のメッキ層:10〜50g/m2 , ロ) Ni含有率が10〜40重量%のZn−Ni系合
金のメッキ層: 0.5〜20g/m2 , ハ) クロメ−ト処理層:Cr量で30〜300mg/
m2 ,ニ) 保護樹脂皮膜層: 0.2〜 2.0μ
m,の複層をこの順序で備えしめて、 耐衝撃密着性を
も含む耐外面錆性,耐孔あき性及びプレス加工性が共に
優れる表面処理鋼板を実現した点」にも特徴を有してい
る。
【0012】ここで、前記「Zn−Ni系合金(微小ク
ラックが存在する薄下地層を構成するもの,Ni含有率
13%以下のメッキ層を構成するもの,及びNi含有率
10〜40%のメッキ層を構成するものの3者共)」と
は、Zn−Ni合金は勿論、これに周知の耐食性改善元
素たるCoを0.3 %以下の範囲で含むものをも意味
しており、更に「Ni含有量が13%以下のZn−Ni
系合金」には実質的にNi含有量が0であるところのZ
n金属も含まれるものとする。
【0013】また、前記「クロメ−ト処理層」は、公知
の電解クロメ−ト処理,塗布型クロメ−ト処理或いは浸
漬型クロメ−ト処理の何れで形成されたものでも差し支
えない。
【0014】そして、前記「保護樹脂皮膜層」の樹脂組
成としては、エポキシ樹脂,ポリエステル樹脂,メラミ
ン樹脂,ビニル樹脂,スチレン樹脂,アクリル樹脂,ポ
リウレタン樹脂,フタル酸樹脂等の単独又は変成したも
のにBaCrO4 等の防錆顔料,Fe2O3 等の着
色顔料或いはSiO2 等の顔料を必要により含ませた
公知のもの等が適用される。
【0015】ところで、本発明に係わる高耐食性表面処
理鋼板は次のようにして製造することができる。即ち、
図3に示したように、まず脱脂,酸洗した鋼板の少なく
とも片面にZn−Ni合金(好ましくはNi含有率13
%以下のZn−Ni合金)メッキを 0.1〜5g/m
2 の極薄で施し、次に例えばZn−Ni系合金メッキ
液等の酸液中に無電解浸漬するか、又は電解液中で陽極
電解するかしてメッキ皮膜のZnを優先的に溶解するこ
とにより、極薄メッキ皮膜に方向性を持たない微小クラ
ックを発生させ、Ni含有量の比較的高いメッキ下地処
理層とする。次いで、通常のZn−Ni系合金メッキ鋼
板の製造時と同様の電解処理操作によって第1層及び第
2層の電気メッキを施し、更に常法通りのクロメ−ト処
理と保護樹脂皮膜の塗布を実施する。
【0016】続いて、本発明の高耐食性表面処理鋼板に
おいてメッキ層の成分組成或いはメッキ目付量等を前記
の如くに数値限定した理由を、その作用と共に詳述する
【作用】(a) Zn−Ni系合金メッキ下地層Zn−
Ni系合金メッキ薄下地層は、メッキの密着性を向上さ
せてメッキ皮膜の耐衝撃密着性,加工密着性を改善する
ために施される。この薄下地層の微小クラックは、アン
カ−効果(投錨効果)を通じてメッキの密着性改善に極
めて重要な役割を担うが、該微小クラックの幅が0.0
1μm未満ではその上にZn−Ni系合金の上層メッキ
を施した場合でもクラックの内部にまでメッキがなされ
ず良好なメッキ密着性を得ることができない。一方、微
小クラックの幅が 0.5μmを超える場合には下地層
としての前記効果が得られず、メッキ密着性の改善は望
めない。従って、下地層の微小クラックの幅は0.01
〜 0.5μmと定めた。
【0017】なお、微小クラック幅の調整は、初期薄メ
ッキ後にこれを酸液(メッキ液等)に浸漬する時間又は
酸液中で陽極電解処理する時間を調整することによって
容易に行うことができる。
【0018】図4は、下地層に存在する微小クラックの
幅とその上に施したZn−Ni系合金2層メッキの耐衝
撃密着性との関係を示したグラフであるが、この図4か
らも、前記微小クラックの幅が0.01μm未満であっ
ても 0.5μmを超えても耐衝撃密着性が急激に低下
することが分かる。
【0019】また、下地層における微小クラックの存在
密度もメッキ密着性改善に大きな影響を与えるが、該密
度が面積分率で10%未満では下地層上に施されるZn
−Ni系合金メッキがクラックの間にまで入り込む面積
が小さいため十分なアンカ−効果が得られず、所望の耐
衝撃密着性改善効果が得られない。一方、微小クラック
の密度が面積分率で60%を超える場合にもやはり下地
処理効果が得られなくなって、密着性の改善に何ら寄与
しなくなってしまう。従って、微小クラックの密度は1
0〜60%と定めた。
【0020】この微小クラック密度も、初期薄メッキ後
にこれを酸液(メッキ液等)に浸漬する時間又は酸液中
で陽極電解処理する時間が長くなるに従い高くなるため
、該密度を10〜60%に管理するには、前記初期メッ
キ皮膜の酸液浸漬時や酸液中での陽極電解処理時におけ
る溶解量の調整を行えば良い。
【0021】図5は、下地層に存在する微小クラックの
密度とその上に施したZn−Ni系合金2層メッキの耐
衝撃密着性との関係を示したグラフであるが、この図5
からも、前記微小クラックの密度がクラックの面積分率
で10%を下回っても60%を上回っても耐衝撃密着性
が急激に低下することが分かる。
【0022】なお、より優れたメッキ密着性を確保する
ためには、前記初期メッキの溶解時間等の処理条件を調
整することによって上記微小クラックの長さを10μm
以下に規制するのが好ましい(但し、 クラックは枝分
かれしているのが一般的であるので、 ここで言う“ク
ラック長さ”とは“クラック分岐点間のクラックに沿っ
た長さ”を意味する)。
【0023】更に、下地層の微小クラックの幅と密度は
“無通電浸漬によるZnの溶解量”、言い換えれば“無
通電浸漬後の皮膜のNi含有率”と密接な関係があるた
め、直接的にクラックの状況をコントロ−ルしなくても
、薄下地層のNi含有率をコントロ−ルすることで結果
的に耐衝撃密着性を改善することができる。
【0024】そして、この薄下地層のNi含有率は“そ
の直上のメッキ層のNi含有率”にも関係してメッキ密
着性に影響を及ぼすため、より優れた密着性確保の観点
からは該“下地層のNi含有率”を“その直上のメッキ
層のNi含有率”の 1.2〜5倍とするのが好ましい
と言える。
【0025】ところで、図4及び図5における「耐衝撃
密着性」は次のようにして評価したものである。即ち、
まずASTM  D−3170−74に規定される耐衝
撃密着性試験に準じ、150mm×100mmの鋼板試
験片に自動車用3コ−ト仕上げ(ト−タル膜厚:100
μm)を施したものについて−20℃の低温でグラベロ
チッピングテストを行い、その結果を 4…良好でメッキ剥離なし, 3…メッキ剥離面積率が 0.2%未満,2…メッキ剥
離面積率が 0.2%以上1%未満,1…メッキ剥離面
積率が1%以上 なる評価基準に照らして評価した。
【0026】(b) 下層(第1層)のメッキ層本発明
に係わる複層表面処理鋼板の第1層には、十分な耐外面
錆性や耐孔あき性を確保すべく“Ni含有率13%以下
のZn−Ni合金メッキ(純Znメッキを含む)”又は
これに 0.3%以下のCoを含有させた合金メッキが
適用されるが、該Zn−Ni系合金のNi含有率が13
%を超えると耐外面錆性に劣るようになり、腐食の進行
に伴って生じるNi残渣の局部電池作用により母材たる
鋼板の腐食が促進される結果となる。
【0027】また、上記第1層Zn−Ni系合金メッキ
の目付量が10g/m2 未満では耐外面錆性や耐孔あ
き性の改善効果が十分でなく、一方、目付量が50g/
m2 を超えるとコスト上昇に見合うだけの向上効果が
確保できなくなる。従って、第1層Zn−Ni系合金メ
ッキの目付量は10〜50g/m2 と限定した。
【0028】(c) 上層(第2層)のメッキ層本発明
に係わる複層表面処理鋼板では、所望の耐孔あき性やプ
レス摺動性を確保するため“Ni含有率が10〜40%
のZn−Ni合金メッキ”又はこれに 0.3%以下の
Coを含有させた合金メッキが第2層として適用される
。この場合、第2層たるZn−Ni系合金のNi含有率
が10%未満であるとプレス摺動性が劣化し、樹脂被膜
のない時には鋼板の割れやゴ−リングの問題が発生する
上、十分な耐孔あき性を確保することもできなくなる。 一方、該Ni含有率が40%を超えた場合には、耐外面
錆に劣るようになり、腐食の進行に伴い母材たる鋼板の
腐食が促進される結果となる上、耐孔あき性にもそれ以
上の改善が見られなくなる。
【0029】また、上記第2層Zn−Ni系合金メッキ
の目付量が 0.5g/m2 未満の場合にも十分な耐
孔あき性及びプレス摺動性を確保できず、一方、目付量
が20g/m2 を超えるとコスト上昇に見合うだけの
向上効果が確保できなくなることから、第2層Zn−N
i系合金メッキの目付量は 0.5〜20g/m2 と
限定した。
【0030】(d) クロメ−ト処理層クロメ−ト処理
層の形成量がCr量を基準として 30mg/m2 未
満では所望の耐孔あき性を確保できず、一方、該形成量
がCr量で300mg/m2 を超えると電着塗装性及
びスポット溶接性を劣化させるようになることから、ク
ロメ−ト処理層の形成量はCr量で30〜300mg/
m2 と限定した。
【0031】(e) 保護樹脂皮膜層 前述の如く、保護皮膜用の樹脂塗料としては、エポキシ
樹脂,ポリエステル樹脂,メラミン樹脂,ビニル樹脂,
スチレン樹脂,アクリル樹脂, ポリウレタン樹脂,フ
タル酸樹脂等の単独又は変成したものにBaCrO4 
等の防錆顔料 , Fe2O3 等の着色顔料或いはS
iO2 等の顔料を必要により含ませた公知のもの等が
適用されるが、この保護樹脂皮膜層の厚みが 0.2μ
m未満であると十分な耐孔あき性が確保できず、一方、
該厚みが 2.0μmを超えると電着塗装性やスポット
溶接性の劣化を招くことから、保護樹脂皮膜層の厚みは
 0.2〜 2.0μmと限定した。
【0032】続いて、本発明の効果を実施例によって更
に具体的に説明する。
【実施例】板厚:0.8mmの鋼板を準備し、これを図
3で示した工程の通りに処理して複層表面処理鋼板を得
た。 即ち、まず鋼板のアルカリ脱脂と酸洗を行った後、表1
に示す硫酸浴を用いて初期メッキを施し、引き続いて初
期メッキに使用したのと同様のメッキ液に無通電浸漬し
て所定幅のクラックが所定密度で存在する下地処理層を
形成した。
【0033】
【0034】続いて、同様メッキ液を用いて所定厚のZ
n−Ni系合金メッキ(第1層メッキ)を施し、更にメ
ッキ液中のZn2+とNi2+の濃度をコントロ−ルす
ることによって所定Ni含有率, 所定厚の第2層Zn
−Ni系合金メッキを施した。なお、メッキ皮膜中Ni
含有率の調整はZn2+とNi2+の濃度をコントロ−
ルして電気メッキすることにより、またメッキ目付量の
調整は電気量をコントロ−ルすることにより行った。
【0035】次に、得られたメッキ鋼板を水洗し乾燥し
てから、塗布型クロメ−ト処理液を塗布し、焼付乾燥し
た。なお、クロメ−ト処理液の塗布時には、ロ−ルコ−
タのピックアップロ−ル及びアプリケ−タロ−ルの周速
比とタッチ圧力を変化させ、かつクロメ−ト処理液濃度
も変化させてクロメ−ト処理層の形成量(Cr付着量)
を調整した。
【0036】次いで、クロメ−ト処理後の鋼板面に保護
樹脂皮膜を形成させるため、ロ−ルコ−タ−法にてクリ
ヤ−塗料を塗布した。なお、保護樹脂皮膜の膜厚管理は
、樹脂中溶剤量の調整やアプリケ−タ−ロ−ル及びピッ
クアップロ−ルの周速比等の調節によって行った。
【0037】そして、このようにして製造された複層表
面処理鋼板につき、耐衝撃密着性,耐外面錆性,耐孔あ
き性,プレス摺動性,電着塗装性及びスポット溶接性の
調査を実施した。これらの結果を表2〜表4に示すと共
に、それをグラフに整理して図6乃至図18に表わした
。 なお、図6乃至図18のうち、図6〜図10は耐孔あき
性を、図11〜図13は耐外面錆性を、図14は電着塗
装性を、図15〜図16はプレス摺動性を、そして図1
7〜図18はスポット溶接性をそれぞれ比較したもので
あり、図中のアルファベット)は表4の供試材(比較例
)の種別記号に対応する。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】ここで、前記各調査は次の要領で実施した
。 耐外面錆性の評価手順 (A) 塗装板試験片の作成。 リン酸亜鉛処理{PBL−3020(日本パ−カライジ
ング社商品名)}→カチオン電着塗装{U−600(日
本ペイント社商品名):20μm}→中・上塗り:それ
ぞれメラミンアルキッド樹脂35μm。 (B) 塗装板試験片に第19図の如きクロスカットを
入れる。 (C) 屋外暴露テスト(週に2回の5%NaCl散布
を行いながら1年間実施)。 (D) 塗膜のフクレ幅(第19図で示すクロスカット
からの片側最大クリ−プ幅)を測定して耐外面錆性を評
価。
【0042】耐孔あき性の評価 アルカリ脱脂後の無塗装板試験片の裏面とエッジ部をポ
リエステルテ−プでシ−ルして下記サイクルの“孔あき
腐食促進試験(1サイクル:24hr)”を施し、20
0サイクル後における腐食部の最大侵食深さをポイント
マイクロメ−タ−で測定して評価。 塩水噴霧(6hr)→乾燥 (50℃で2hr)→湿潤
(95%,50℃で16hr)。
【0043】プレス摺動性の評価 メッキ面と工具面との摺動性調査には、図20に示すよ
うなバウデン試験を改良した ”改良バウデン試験法”
 によりメッキ面の摩擦係数を求める方法を採用し、そ
れによって摺動特性を評価した。
【0044】電着塗装性評価 例え自動車のトランクリッドやボンネット等の如き機器
類の内側であっても、その開放時には塗装仕上り性が人
目について製品の評価にもつながることから、内側面と
して使用される場合が多い本発明表面処理鋼板の複層面
についても電着塗装性が要求される。従って、その電着
塗装の仕上がり具合を目視観察し、5段階(◎…優,○
…良,△…可,×…劣,××…不可)に評価した。
【0045】スポット溶接性評価 スポット溶接性の試験は、CF型電極(Cu−Cr合金
製)を用い、加圧力:200kg−f, スクイズ時間
:20サイクル,通電時間:10サイクル,保持時間:
15サイクル及び溶接電流:11kAで、1点/1秒で
1分間に20打点のピッチなる条件で連続打点性のテス
トを行い、ナゲット径が4√t(=3.6mm ,但し
tは板厚で0.8mm)以下の時点をもって連続打点の
寿命とした。
【0046】耐衝撃密着性評価 70mm×150mmの試験片に自動車用3コ−ト(ト
−タル膜厚100μm)を施した後、−20℃の低温で
グラベロメ−タを用いてASTMのD−3170−74
に規定するチッピングテストを行い、その時のメッキ剥
離面積率でもって下記基準に従い評価した。 4…メッキ剥離なし, 3…メッキ剥離面積率が 0.2%未満,2…メッキ剥
離面積率が 0.2%以上1%未満,1…メッキ剥離面
積率が1%以上。
【0047】前記表2〜表4、及び図6乃至図18に示
される結果からも明らかな如く、本発明に係る表面処理
鋼板は何れの特性調査においても優れた成績を示してお
り、最近の自動車用防錆鋼板に対する厳しい要求をも十
分に満足するのに対して、本発明で規定する条件を満た
さない比較鋼板は十分な特性を有しないことが分かる。
【0048】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれば
、耐孔あき性や耐外面錆性等の耐食性は勿論のこと、プ
レス加工性,スポット溶接性,電着塗装性並びに耐衝撃
密着性等の諸特性が共に優れた表面処理鋼板を提供する
ことができ、自動車用或いは家電製品用等の防錆鋼板に
適用してその性能を更に向上させることが可能となるな
ど、産業上極めて有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる表面処理鋼板例の概略構成図で
ある。
【図2】本発明に係わる表面処理鋼板の別例に関する概
略構成図である。
【図3】本発明に係わる表面処理鋼板製造工程例の概要
説明図である。
【図4】下地層に存在する微小クラックの幅とその上に
施したZn−Ni系合金2層メッキの耐衝撃密着性との
関係を示したグラフである。
【図5】下地層に存在する微小クラックの密度とその上
に施したZn−Ni系合金2層メッキの耐衝撃密着性と
の関係を示したグラフである。
【図6】実施例での試験結果を整理して対比したグラフ
である。
【図7】実施例での試験結果を整理して対比したグラフ
である。
【図8】実施例での試験結果を整理して対比したグラフ
である。
【図9】実施例での試験結果を整理して対比したグラフ
である。
【図10】実施例での試験結果を整理して対比したグラ
フである。
【図11】実施例での試験結果を整理して対比したグラ
フである。
【図12】実施例での試験結果を整理して対比したグラ
フである。
【図13】実施例での試験結果を整理して対比したグラ
フである。
【図14】実施例での試験結果を整理して対比したグラ
フである。
【図15】実施例での試験結果を整理して対比したグラ
フである。
【図16】実施例での試験結果を整理して対比したグラ
フである。
【図17】実施例での試験結果を整理して対比したグラ
フである。
【図18】実施例での試験結果を整理して対比したグラ
フである。
【図19】耐外面錆性の評価手法の説明図である。
【図20】改良型バウデン試験法の概要説明図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  鋼板の少なくとも片面にA) クラッ
    ク幅が0.01〜 0.5μm、クラック密度がクラッ
    ク面積分率で10〜60%の方向性を持たない“微小ク
    ラック”が存在するZn−Ni系合金メッキ薄下地層,
    B) Ni含有率が13重量%以下であるZn−Ni系
    合金のメッキ層:10〜50g/m2 , C) Ni含有率が10〜40重量%のZn−Ni系合
    金のメッキ層: 0.5〜20g/m2 , D) クロメ−ト処理層:Cr量で30〜300mg/
    m2 ,E) 保護樹脂皮膜層: 0.2〜 2.0μ
    m,の複層をこの順序で備えて成ることを特徴とする耐
    衝撃密着性に優れた高耐食性表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】  鋼板の少なくとも片面に、クラック幅
    が0.01〜 0.5μm、クラック密度がクラック面
    積分率で10〜60%の方向性を持たない“微小クラッ
    ク”が存在するZn−Ni系合金メッキ薄下地層を有す
    ると共に、該鋼板の一方の面に a) Ni含有率が13重量%以下であるZn−Ni系
    合金のメッキ層:10〜50g/m2 , b) Ni含有率が10〜40重量%のZn−Ni系合
    金のメッキ層: 0.5〜20g/m2 ,の複層をこ
    の順序で備え、かつ他方の面に イ) Ni含有率が13重量%以下であるZn−Ni系
    合金のメッキ層:10〜50g/m2 , ロ) Ni含有率が10〜40重量%のZn−Ni系合
    金のメッキ層: 0.5〜20g/m2 , ハ) クロメ−ト処理層:Cr量で30〜300mg/
    m2 ,ニ) 保護樹脂皮膜層: 0.2〜 2.0μ
    m,の複層をこの順序で備えて成ることを特徴とする、
    耐衝撃密着性に優れた高耐食性表面処理鋼板。
  3. 【請求項3】  “Zn−Ni系合金メッキ薄下地層の
    Ni含有率”が“その直上のメッキ層のNi含有率”の
     1.2〜5倍である、請求項1又は2に記載の耐衝撃
    密着性に優れた高耐食性表面処理鋼板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996017979A1 (fr) * 1994-12-08 1996-06-13 Sumitomo Metal Industries, Ltd. Tole d'acier traitee en surface pour reservoirs de carburants
WO1997046733A1 (fr) * 1996-06-06 1997-12-11 Sumitomo Metal Industries, Ltd. Tole d'acier ayant subi un traitement de surface et presentant une excellente resistance a la corrosion apres usinage

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