JPH04333629A - 高速仮撚加工方法 - Google Patents
高速仮撚加工方法Info
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Abstract
め要約のデータは記録されません。
Description
仮撚加工法に関し、更に詳しくは短時間で均一な熱処理
を行うことができ、熱収縮率の幅広い(範囲が広い)仮
撚加工糸を得ることが可能である共に、高速仮撚(糸速
度1000m/分以上)加工時のサ−ジング現象(加撚
ゾ−ン走行糸条に極端な張力の変動が生じる現象)を制
御し、かつヒ−タ汚れがなく、しかも1000m/分以
上の仮撚加工を円滑に実施可能にする高速仮撚加工法に
関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、ポリエステル繊維の仮撚加工を行
う際には、仮撚具(スピンドル、フリクシヨンデイスク
、ベルト等)により実撚を入れた部分に熱セツト用の第
1ヒ−タが用いられているが、このヒ−タは接触式の熱
板で、溝と曲率を有したものである。また、加工速度に
よりヒ−タ長さも異なり、通常市販されている加工機の
ヒ−タ長は加工速度100m/分位のもので1m長程度
、400m/分位のもので1.5m、700m/分位の
もので2.5mに設計されており、これらヒ−タ設計で
基本的な考えはヒ−タ温度250℃以下にすることと、
熱セツト時間を少なくとも0.17秒以上にすることで
ある。 【0003】一方、近年生産性の一層の向上を図ること
を目的として、仮撚加工速度は次第に高速化される傾向
にある。この高速仮撚加工を行うために加工速度に応じ
て熱セツト性の低下を防ぐためにヒ−タ長を長くしたり
、高温にしたりするようになつてきている。 【0004】その結果、設備が巨大となり、おのずと糸
導も屈曲したものとなり、撚遡及ダウンおよび熱処理−
冷却が不充分となり、従来の加工糸の品質が維持できな
い。また、接触式加熱タイプの場合はヒ−タ長が長くな
ると、糸条の接触抵抗が増大して毛羽が発生し易くなり
、細繊度糸条の加工や高速での加工が困難になる。 【0005】更に仮撚加工中は、糸条は高速で加撚回転
しているため加熱ゾ−ンが長いと糸条走行溝から外れて
しまうことがあり、糸速度を上げていくとバル−ニング
が加撚糸条に発生し、糸切れが増加し安定な生産を維持
できなくなる。また、比較的低い糸条速度でサ−ジング
現象が起こり、高速で安定に仮撚加工するのが困難であ
る。 【0006】この対応として、高速時の加工安定性を維
持するために低速時よりも撚数を少なくし加工張力、特
に加撚張力(T1 )を高くするなどして調整をするこ
とがあるが、当然良好な加工糸物性は得られない。 【0007】一方、ヒ−タ温度を高温にする場合は糸条
の昇温カ−ブの勾配が急になり、高温、短時間の加熱に
なるため糸条の外層と内層とで温度差が生じ、染着差(
錘内、錘間差)のコントロ−ルが困難であつた。 【0008】これとは別に第1ヒ−タを非接触ヒ−タと
し、その温度を350℃以上800℃以下で加工する方
法(特公平2−60769号公報)においては、高熱収
縮率[T.Cが25〜35%の高T.C]の加撚加工糸
を得るのは有利であるが、逆に熱収縮率の低い仮撚加工
糸(一般的にT.Cが15〜25%)を得るには不利で
ある。即ちヒ−タ温度350℃未満で加工することで低
T.C加工糸が得られるが、巻込み毛羽等の原因で断糸
したとき、ヒ−タ内のガイド等に溶融ポリマ−が付着し
、それがなかなか灰にならないため著しく作業性に支障
を来たし(溶融ポリマ−が付着し清掃が困難となり、単
なる清掃のみでは十分に付着ポリマ−が取れないため、
次に糸掛けしてもすぐ断糸することになる。)、操業生
産性が低下し従来の操業生産レベルを維持できない。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の問題点を解消し、非接触ヒ−タを2分割してコン
パクト化(小型化)し、短時間で均一な熱処理を行うこ
とができ、熱収縮率の幅広い製品を得ることが可能であ
り、高速仮撚加工時のサ−ジング現象を抑制し、高速で
の仮撚加工を安定化した品質、加工性を得る、操業生産
可能な仮撚加工法を提供するものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明はポリ
エチレンテレフタレ−トからなるポリエステル繊維を仮
撚加工する際に、第1ヒ−タを糸条進行方向に上段、下
段の2つに分割した非接触ヒ−タとし、下記式を満足し
かつ第1ヒ−タの上段ヒ−タ(HA)の温度を400℃
以上800℃以下、熱処理時間を0.01秒以上0.0
4秒以下、第1ヒ−タの下段ヒ−タ(HB)の温度を3
20℃以下、熱処理時間を0.03秒以上0.08秒以
下に維持して、延伸同時仮撚加工することを特徴とする
高速仮撚加工方法である。 【0011】第1ヒ−タの上段(糸条入側)ヒ−タ長
HA=(0.2〜0.5)m 第1ヒ−タの下段(糸条出側)ヒ−タ長 HB=(0
.5〜0.8)m ここで、本発明にいう、実質的にポリエチレンテレフタ
レ−トからなるポリエステル繊維とは繰返し単位の85
%以上がポリエチレンテレフタレ−トであり、必要に応
じて少なくとも1種以上の共重合成分を共重合して成る
共重合ポリエステルでもよく、又これらポリエステルは
艶消剤、制電剤、防炎剤、滑剤等の添加剤を含んでもよ
い。 【0012】次にポリエステル繊維の仮撚加工とは、第
1ヒ−タのみで仮撚加工するワンヒ−タタイプのものと
第1、第2ヒ−タを用い、第2ヒ−タで第1ヒ−タで熱
セツトされた高巻縮糸の高トルク糸をオ−バフイ−ド下
またはアンダ−フイ−ド下で熱セツトし低巻縮性、低ト
ルク性にするツ−ヒ−タ加工のものも含むものである。 以下、本発明を図面に基いて説明する。図1は本発
明を実施するに好適な装置の概略図、図2(a),(b
),(c)ははそれぞれ図1の第1加熱装置の平面図、
部分的横断面図および上部(上段ヒ−タ)縦断面図ある
。 【0013】図において、1は第1送りロ−ラ、2は第
2送りロ−ラであり、これら第1および第2ロ−ラとの
間に第1加熱装置(第1ヒ−タ)3と撚掛装置4が設け
られており、第1ヒ−タ3と撚掛装置4の間には冷却プ
レ−ト5が設けられている。 【0014】第1ヒ−タ3は糸条進行方向に2つに分割
されており、糸条の入側の上段ヒ−タHAと、糸条の出
側にあたる下段ヒ−タHBは、図2に示すようにヒ−タ
の長手方向に適宜の間隔で設けたガイド34により、走
行糸条yがヒ−タ本体(ヒ−タブロツク)31に接触し
ないようにした非接触式ヒ−タであり、糸条入側の上段
ヒ−タHAの加熱温度は糸条の融点以上の温度にされて
いる。また、糸条出側の下段ヒ−タHBの加熱温度は通
常、糸条の融点以上の温度にされる。 【0015】第1ヒ−タ3の2つに分割した糸条入側の
上段ヒ−タHAの長さは、通常0.2〜0.5m、また
糸条出側の下段ヒ−タHBの長さは、通常0.5〜0.
8mである。これら上、下段ヒ−タは若干の間隔をあけ
て配設してもよく、また連続して配置してもよい。 【0016】本発明においては上段ヒ−タHA、下段ヒ
−タを非接触式加熱装置にし、上段ヒ−タHAの長さを
0.2〜0.5m、下段ヒ−タHBの長さを0.5〜0
.8mにすることが必要である。この配置を逆にすると
、適正化されている延伸点がずれ、糸条内部まで均一に
加熱することが困難となつて染着差が発生し易くなり、
本発明の目的を達成することができない。 【0017】なお、6は供給糸(高配向未延伸糸)のパ
ツケ−ジ、7は巻取装置である。 【0018】供給糸のパツケ−ジ6から解舒された糸条
yは第1送りロ−ラ1により引取られ、2分割の非接触
式の第1ヒ−タ3と撚掛装置4とで仮撚加工が施される
。第1ヒ−タ3を出た糸条yは冷却プレ−ト5によつて
冷却、安定化された後、第2送りロ−ラ2で延伸仮撚加
工後引取られ、次いで巻取られる。また、必要に応じて
第2送りロ−ラ2の後に第3送りロ−ラ2を設け、両者
の間に第2ヒ−タを配設して更に熱処理するようにして
もよい。 【0019】本発明の非接触ヒ−タは図2に示すように
、撚によるバル−ニングを防止するためにガイドを設け
たものが必要であり、この意味においては完全な非接触
ヒ−タを意図するものではない。 【0020】図2に示す具体例の非接触ヒ−タについて
更に詳しく説明すると、第1ヒ−タ3は上、下段ヒ−タ
HAとHBとから構成されており、両者ともシ−ズヒ−
タ(図示せず)を内設したヒ−タ本体31に2本の溝3
2,33が刻設され、該溝32,33には糸条案内用の
ガイド34が設けられている。 【0021】上段ヒ−タHAの溝はほぼ2〜10cm間
隔でガイド34が設けられ、糸条yはこのガイド34に
より図2(b),(c)に示すようにその底部に沿って
定位置を走ることになる。この場合、底部位置を一定か
つ安定して走行するようにある曲率を形成する如く配置
しておくのが好ましい。上段ヒ−タHAの温度は図2(
c)で示すようにその中央部で測定される温度が400
℃以上で800℃以下にする必要がある。 【0022】これは400℃未満では供給原糸の欠点(
巻込毛羽)などで断糸したとき、ガイド等に溶融ポリマ
−が付着し、それがなかなか灰ならず糸掛けが困難とな
り、操業生産上(再糸掛性低下)効率、歩留り低下とな
つて問題を生じる。 【0023】勿論、400℃未満でも仮撚加工はできる
が、上段ヒ−タHAが0.2〜0.5mでの巻縮が従来
の製品と同レベルにするためには、加工速度を下げざる
を得ず、高速加工のメリツトがなく前述の作業性で効率
が悪くなる点でも不利である。 【0024】この温度が400℃以上であると短時間(
2〜3分の数分)で分解して灰となり、スカムとして残
らないことに因る。しかし、800℃を越えるとヒ−タ
の耐久性、エネルギ−コストの上昇となり、かつ熱セツ
ト時間が短くなるため期待した熱セツト効果が得られな
い。 【0025】更に上段ヒ−タHAの熱処理時間を0.0
1秒以上、0.04秒以下にすることが必要である。セ
ツト時間が0.01秒未満においては巻縮率が十分上が
らなくなり、又その加工糸強度も低下するので好ましく
ない。逆に0.04秒を越える場合は染着が淡染となり
、かつ染斑が発生して目立ち易くなるので好ましくない
。 【0026】下段ヒ−タHBは上段ヒ−タHAの短時間
、高温セツトの除冷ゾ−ンとしての役目を果たし、その
温度は320℃以下にすることが必要であり、320℃
を越える場合は上述の如くガイドでの溶融ポリマ−が付
着する問題が発生するが、320℃以下では接触式ヒ−
タの約220℃に相当する。このため断糸時において、
ガイドへの付着がなく、再糸掛性も数分で可能、操業生
産性も良好である。 【0027】この場合、カイドに融着する温度ゾ−ンは
図3に示すように概略320℃を越え400℃未満の範
囲である。 【0028】下段ヒ−タHBの温度としては好ましくは
200℃以上320℃以下とするのが適当であり、糸条
の内層と外層の染着差を少なく、均一化し染斑も発生し
難いのである。 【0029】下段ヒ−タHBの熱処理時間を0.03秒
以上、0.08秒以下にすることが必要である。この時
間が0.03秒未満では強度ダウンに加えサ−ジングが
発生し易く、染着不良が生じ易い。0.08秒を越える
領域においては加工毛羽が発生し、品位に影響するので
好ましくない。 【0030】更に加工後の繊度は20〜150deにす
るのが好ましい。加工後、150deを越える場合は目
標とする糸強度及び巻縮特性を得るため加工速度ダウン
が必要となり(仮撚具の磨耗経時による寿命低下)、本
発明の目的とする高速仮撚加工によるメリツトがなくな
る懸念がある。一方、加工後、20de未満においては
高速加工によるクリ−ルからの解舒で負荷が発生し、僅
かの張力変動が未解撚発生となり易く、かつ染斑が発生
し易くなつて好ましくない。 【0031】次に加工後の繊度は20〜150deで、
平均加工速度1000m/分で安定した仮撚加工が可能
である(この場合、仮撚具はフリクシヨンデイスクでウ
レタンゴム、セラミツクコ−テングのデイスク等が適当
に選択される)。 【0032】以上の通り、セツト時間が従来概念より短
時間でよいため、ヒ−タ長が900m/分加工の従来(
接触)ヒ−タであると2.5mが使用されているが、同
速加工だと本発明は0.6〜1.8mで、より好ましく
は0.6〜0.7mで十分であり、かなり設備のコンパ
クト化が可能である。 【0033】更に従来の熱板型ヒ−タではスカム発生が
経時的に発生し、10日〜1ケ月でヒ−タを清掃を必要
としていたが、このようなヒ−タ清掃も不要となるため
休止損失も少なくなる。また仮撚ヒ−タでのスカムを考
慮することなく供給原糸の油剤においても紡糸調子の良
い油剤を選択することが可能となり、パフオ−マンスが
向上する。 【0034】 【実施例】以下、実施例により更に具体的に説明する。 【0035】ここで、巻縮率TCは加工糸が150de
になるよう綛にとり、デニ−ル当り2mgの軽荷重を掛
け沸水中で20分間処理し、その後20℃65%RHの
室で一昼夜、自然乾燥した後、デニ−ル当り200mg
の重荷重を掛け1分間放置後の長さをl0 、その後重
荷重を取り除き軽荷重に変更し、1分後のl1 を測定
し、次式で計算される。 【0036】 TC(%)=(l0 −l1 )×100/l0 【0
037】 【実施例1】複屈折率△n=0.040、伸度150%
、丸断面の130デニ−ル/36フイラメントのポリエ
ステルマルチフイラメント糸条を図1に示すような延伸
仮撚装置により、下記に示す条件で1000m/分の高
速仮撚加工を行った。 【0038】糸条入側の非接触式第1ヒ−タの上段ヒ−
タHAの長さを0.3m、設定温度を550℃、熱処理
時間を0.018秒とし、糸条出側の非接触式第1ヒ−
タの下段ヒ−タHBの長さを0.7m、設定温度を30
0℃、熱処理時間を0.042秒に維持して、ポリエス
テルフイラメント糸条を加工後の繊度が75デニ−ルに
なるように(加工DR=1.78)、1000m/分の
速度で加工した。 【0039】 【比較例1,2】図5に示すような従来技術による延伸
仮撚装置で、実施例1と同じ原糸を用いて、ヒ−タは長
さ2.5mの接触式ヒ−タを用いて220℃で熱処理し
、加工後のデニ−ルが75デニ−ルになるように700
m/分の速度(比較例1)、1000m/分の速度(比
較例2)で加工した。 【0040】これらの実施例1および比較例1,2から
得られた仮撚加工糸の諸特性を表1に示す。 【0041】 【表1】 【0042】上記表1より明らかなように、本発明と同
じ高速加工(1000m/分の比較例2)の従来技術に
おいては強度、伸度、T.Cが低くなつており、いずれ
の特性においても劣っていた。また比較例2の仮撚加工
糸は毛羽が多く、かつ操業中には糸切れが多発して長時
間の安定した加工は不可能であつた。 【0043】比較例1は従来技術で通常、市販されてい
る品質特性、仮撚装置である。 【0044】 【発明の効果】以上に説明の如く、本発明によれば加熱
装置を大幅に短くすることができ、1000m/分前後
の高速で加工する場合、従来の半分以下の長さにするこ
とが可能となり、設備を小型化できるとともに均一で十
分な熱処理を施すことができる。 【0045】更に、断糸時における再糸掛性を改善した
、操業生産可能にし、かつ巻縮T.Cのコントロ−ル巾
が広くなり汎用化が可能となる。また、加熱装置を短く
することによつて糸条の接触抵抗が少なく毛羽発生を少
なくすると共に、高速仮撚加工時のサ−ジング現象を抑
制することができ高速で安定な仮撚加工が可能となる。
。 (b) 図1の第1加熱装置の部分的横断面図である
。 (c) 図1の第1加熱装置の上部縦断面面図である
。
ラフである。
図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレ−トからなる
ポリエステル繊維を仮撚加工する際に、第1ヒ−タを糸
条進行方向に上段、下段の2つに分割した非接触ヒ−タ
とし、下記式を満足しかつ第1ヒ−タの上段ヒ−タ(H
A)の温度を400℃以上800℃以下、熱処理時間を
0.01秒以上0.04秒以下、第1ヒ−タの下段ヒ−
タ(HB)の温度を320℃以下、熱処理時間を0.0
3秒以上0.08秒以下に維持して、延伸同時仮撚加工
することを特徴とする高速仮撚加工方法。 第1ヒ−タの上段(糸条入側)ヒ−タ長 HA=(0
.2〜0.5)m 第1ヒ−タの下段(糸条出側)ヒ−タ長 HB=(0
.5〜0.8)m - 【請求項2】 加工後の繊度が20de〜150de
である請求項1記載の高速仮撚加工方法。
Priority Applications (2)
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JP2641337B2 JP2641337B2 (ja) | 1997-08-13 |
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JP (1) | JP2641337B2 (ja) |
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1991
- 1991-04-30 JP JP12441991A patent/JP2641337B2/ja not_active Expired - Lifetime
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