JPH043196B2 - - Google Patents

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JPH043196B2
JPH043196B2 JP1032584A JP3258489A JPH043196B2 JP H043196 B2 JPH043196 B2 JP H043196B2 JP 1032584 A JP1032584 A JP 1032584A JP 3258489 A JP3258489 A JP 3258489A JP H043196 B2 JPH043196 B2 JP H043196B2
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gsh
pbr322
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coli
glutathione
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、グルタチオン生合成酵素の遺伝子を
エツシエリヒア・コリー(E・Coli)系ベクター
に組込んだ組換えプラスミドによるグルタチオン
の改良された製造法に関する。グルタチオンは、
グルタミン酸、システイン、グリシンよりなるト
リベプチドであり広汎な肝疾患の治療薬として、
また試薬として頻用される重要な化合物である。
従来、かかるグルタチオンは、有機合成あるいは
微生物(特に酵母)菌体から抽出する方法で製造
されているが、前者は、反応工程の長さとその複
雑さにおいて、また後者は煩雑な操作と菌体内低
含量のために必ずしも有利な方法とは言えず、よ
り効率の優れた生産方法の開発が望まれている。
かかる現状に鑑み、本発明者らは、生化学的手法
と遺伝子組換え技術を組み合せることにより、大
腸菌を形質転換してグルタチオン合成活性を与
え、この大腸菌を培養することにより、グルタチ
オンを高い生産性で製造することに成功した。グ
ルタチオン(以下GSHと略称する)は、アデノ
シン−5′−三リン酸(以下ATPと略称する)を
反応に要する2種の酵素γ−グルタミル−L−シ
ステイン合成酵素(以下GSH−と略称する)
とグルタチオン合成酵素(以下GSH−と略称
する)によつて触媒され、グルタミン酸、システ
インおよびグリシンより生合成される。すでに、
本発明者らは遺伝子組み換えによつて、第一の酵
素GSH−活性か増強された大腸菌を育種し、
この菌株がGSH生産菌株として優れていること
を明らかにした(特願昭56−120546(特開昭58−
20188号))。本発明者らは、更に本菌株の改良に
ついて鋭意研究の結果、GSH生合成に関与する
第二の酵素GSH−の遺伝子(以下gsh−と略
称する)のクローニングに成功し、GSH−活
性の増強された大腸菌株を取得した。本発明は、
このGSH−活性の増強された組換えプラスミ
ド又はGSH−、GSH−の両酵素活性が増強
された組換えプラスミドを用いるグルタチオンの
酵素的生産法に関する。 以下、本発明をGSH−遺伝子のクローニン
グおよびGSH−,両酵素活性を増強する遺
伝子のクローニング、更にそれ等によるグルタチ
オンの製造法の順に説明する。なお本発明で使用
するベクターは、E.Coli系のコピー数が比較的多
いベクタープラスミド、あるいはフアージ等であ
れば特に限定されるものでないが、pBR322およ
びpBR325のプラスミドを使用した場合について
説明する。 GSH−遺伝子のクローニング 本発明において、GSH−遺伝子gshをクロ
ーニングするために適用される方法は、まず宿主
大腸菌としてエツシエリヒア・コリーB(E.coli
B(ATCC23226))株を使用し、これよりアグリ
カルチユラル アンド バイオロジカル ケミス
トリー(Agric.Biol.Chem.).45(g)2131(1981)の
方法に従い変異誘導したGSH−欠損株C912の
復帰変異株RC912を得た後、通常の方法、例えば
フエノール法〔バイオケミカ エト、バイオフイ
ジクアクタ(Biochim.Biophys.Acta)、72,619
−629(1963)〕によつて染色体DNAを抽出し、適
当な制限酵素、例えばHindで染色体DNAを断
片化する。他方、染色体DNAの断片化に用いた
のと同じ制限酵素で、ベクターpBR322を切断
し、更にサイエンス(Science).196,1313−
1319(1977)の方法に準じてアルカリフオスフア
ターゼで処理する。 こうして得られるpBR322処理物を先に調整し
た染色体DNA処理物と混合した後、75℃、5分
間の処理でアニーリングし、T4DNAリガーゼで
組み換え体DNAを調製する。この過程において、
使用すに制限酵素の種類に制限はない。またアル
カリフオスフアターゼ処理は必須としない。こう
して調製した組み換え体DNAの中より目的とす
るGSH−の遺伝子gsh選択するため、全組み
換え体DNAを、E.coliBより変異誘導したGSH
−活性欠損株C1001のカルシウムイオン処理に
よつて(モレキユラージエネラルジエネテイクス
(Molec.gen.Genet.)、124,1−10(1973))コン
ビテント化した菌体に導入する。かくして得られ
るDNA導入株中より、目的の遺伝子gsh−を
持つ株を選択するため、テトラメチルチウラムダ
イサルフアイド(以下TMTDと略称する)80μ
g/mlおよびアンビシリン(以下Amと略称す
る)5μg/ml又はテトラサイクリン(以下Tcと
略す)5μg/mlを含む最小寒天培地〔KH2PO4
0.3%,K2HPO4 0.7%,MgSO4・7H2O 0.01%、
(NH42SO4 0.1%、グルコース0.5%、寒天1.5
%〕(以下DM培地と略称する。)に塗布し、37℃
で10〜40時間培養する。かくして生じる大きなコ
ロニーを選択することによつて、目的の遺伝子
gshを持つ株を容易に取得できる。この株の持
つ組み換え体DNAをpBR322−gshと称する。
この組み換え体DNAを保持する菌株を、L−培
地〔酵母エキス0.5%、グルコース0.1%、
NaCl0.5%、ペプトン1.0%(PH7.2)〕にて対数増
殖期後期まで生育させた後、150μg/mlとなる
ようにクロラムエニコール(以下Cmと略称す
る)を添加して、16時間培養を続け菌体内の組み
換え体DNAの量を増大させる。この菌体を集菌
後、常法通り(ニユークレイツク アシツド リ
サーチ(Nucleic Acid Res.)、7,1513−1517
(1979))密度勾配遠心によつてpBR322−gsh
を大量に調製する。かくして得られた、組み換え
体DNA:pBR322−gsの分子量は4.2メガダル
トン(Md)であり、その構造はpBR322のHimd
部位に1.6MdのRC912株由来の染色体DNA断
片が導入されたものである(第1図イ)。またPst
でRC912の染色体DNAを処理することによつ
て、第1図ロのような組み換え体も得られる。こ
の組換え体DNA:pBR322−gshをE.coli由来
の種々の変異株、例えばRC912、C600に導入す
ることによつて、GSH−活性が特異性に増強
された菌株を得ることができる。 GSH−,両酵素活性増強遺伝子のクローニ
ング 次の、GSH−およびGSH−の両活性を同
時に増強した菌株の造成は、以下の2通りの方法
で行なうことができる。第一の方法は、E.coli由
来の変異株にpBR322−gshとpBR322−gsh
を共存させる方法である。ここで用いられる
pBR322−gshは、特願昭56−120546に記載し
たとおり、RC912由来の染色体DNAを制限酵素
Pstで処理して取得される組み換え体DNA:
pBR322−gsh(分子量4.7Mdで2.1Mdに相当す
るRC912染色体DNA断片を、pBR322のPstの
部位に挿入した構造を有する(第2図参照))が
用いられる。 2種の組み換え体DNAは、先述した方法でコ
ンビテント化したE.coli由来の変異株に導入され
るが、その導入の順序は問わず、場合によつて
は、pBR322−gshとpBR322−gshを混合し
て同時に導入してもよい。これらハイブリドプラ
スミド導入株の選択は前述したTMTDに対する
耐性、あるいはアンビシリン(以下Amと略称す
る)およびテトラサイクリン(以下Tcと略称す
る)に対する感受性を指標にして行なうことがで
きる。例えばE.coliBより変異誘導された株C912
(GSH−活性欠損株)にpBR322−gshの導入
された株の選択は、Tcを20μm/ml含むL−培地
に生育する菌として容易に行なえる。またC912
株にpBR322−gsh(第1図イのプラスミド)
を導入した株は、Amを20μg/mlを含むL−培
地に生育する菌として選択できる。L−培地の代
りに先述したDM培地を用いる場合には、10〜
20μg/mlのTMTDに耐性の菌として選択するこ
とが可能である。またpBR322−gsh,pBR322
−gshの両方を導入した株は、Amを20μg/ml
およびTcを20μg/ml含むL−培地に生育する菌
として容易に選択できる。 かくして同一菌体内に2種の組換え体DNA:
pBR322−gshとpBR322−gshと合わせ持ち、
GSH−およびGSH−活性が同時に増強され
た菌株を得ることができる。 GSH−とGSH−の両活性を高める第2の
方法は、GSH−ととGSH−の両遺伝子を同
一のベクターに連結して、E.coli由来の株に導入
する方法である。その方法としては、先ず
pBR322−gshをPstで処理して遊離する
RC912由来のDNA断片を単離する。この断片の
単離には、pBR322−gshのPst処理物をアガ
ロースゲル電気泳動にかけて分離後、ゲルより抽
出することによつて容易に行なえるメソド イン
エンテイモロジー(Methods in
Enzymology)、68,176−182(1979)参照」。単
離されたDNA断片をPstで処理したpBR322−
gsh(第1図イのプラスミド)と混合する。こ
の混合物をT4DNAリガーゼで処理後カルシウム
処理でコンビテント化したE.coli由来の株、例え
ばC912株に導入する。目的とするgshとgsh
の遺伝子を含む組み換え体DNA、(これを
pBR322−gsh・と称する)を保持する菌株
の選択は、形質転換走査後のC912株を
TMTD10μg/mlを含むDM−寒天培地に生育可
能な菌体として容易に行なえる(第3図参照)。
かくしてベクターpBR322上に、GSH−,
GSH−の両遺伝子gshとgshを持つ組み換
え体DNA:pBR322−gsh・が得られ、この
組み換え体DNAをE.coli由来の株に導入するこ
とにより、GSH−,GSH−活性を同時に増
強せしめた菌株を取得できる。GSH−とGSH
−活性を同時に増強するもう一つの方法として
は、ベクターpBR322の代りにpBR325を使うこ
ともできる。pBR325上にGSH−,GSH−
の2つの遺伝子gshとgshを組み込む方法は、
基本低には上述したpBR322の場合とは同じであ
る。その手順は第4図に示すように、pBR322−
gshよりPst処理でgshを含むDNA断片を
取り出す。また同様にpBR322−gshをHind
処理してgshを含むDNA断片をとり出す。こ
の2種のDNA断片を、pBR325のPst部位およ
びHimd部位に挿入し、pBR325上にgshをも
つ組み換え体DNA:pBR325−gsh・を調製
する。この場合pBR325はCm耐性の遺伝子を持
つているので、形質転換株の選択が非常に容易と
なる。pBR325−gsh・をE.coli由来の種々の
菌株に導入することによつてGSH−とGSH−
の活性が同時に増強された、菌体を得ることが
できる。 グルタチオンの製造法 かくして得られるGSH−,GSH−および
GSH−の活性が増強された大腸菌を用いる
GSHの生産は、以下のように行なうことができ
る。GSH−あるいはGSH−とGSH−の両
活性が増強された菌株を、炭素源、窒素源、無機
塩などを含む栄養培地、あるいは最少培地(DM
培地など)に接触し振蘯培養する。酸素源として
は、クルコース、フラクトース、グリセロール、
シユークロースなど、また窒素源としては、塩化
アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニ
ウム、(尿素)などの無機態窒素の他、酵母エキ
ス、ペプトン、肉エキスなどの有機体窒素を使用
できる。また微量金属元素として、塩化マグネシ
ウム、塩化マンガンなどの添加も効果的である。
用いる炭素源の濃度は0.1〜5%、好適には0.5
%、窒素源の濃度は0.05〜5%、好適には0.5%、
また微量金属元素は、0.005%程度添加するのが
好ましい。培養温度は20〜40℃、好適には37℃、
また培養PHは6〜8、好適には7が好ましい。か
くして培養終了液より菌体を集めて、一度0.85%
の生理的食塩水で洗浄液、水懸濁液として、これ
を100℃の沸とう水中で1〜10分、好適には1分
処理することにより大腸菌菌体内のGSHを抽出
できる。また、上記培養後の菌体を集菌した後、
該菌体を以下に述べるような処理をし、これをグ
ルタミン酸、システイン、グリシン、マグネシウ
ムイオン、ATP、そして好ましくは適当なATP
再生系存在下に反応せしめることにより、GSH
を製造することができる。このような菌体処理物
としては、菌体の有機溶媒処理物、界面活性剤処
理物、菌体の音波破砕物、音波処理後に遠心で得
られる無細胞抽出液、あるいは適当な担体に固定
した菌体、あるいは酵素が挙げられる。この場
合、利用できる有機溶媒としては、アセトン、ト
ルエン、エーテルなど、界面活性剤としては、ト
リトン×100、ドデシル硫酸、セチニトリメチル
アンモニウムプロミドなどが利用される。また、
菌体あるいは酵素の固定化にはポリアクリルアミ
ドゲル、カラギーナンゲル、アルギン酸ゲル、光
硬化樹脂などの他のDEAE−セルロース、DEAE
−セフアデツクス等も担体として用いることがで
きる。またかかる反応に利用されるATP再生系
としては、大腸菌のもつアセテートキナーゼ反
応、カルバメートキナーゼ反応あるいは微生物の
解糖系が好適である。GSH生成反応は酵素含有
物を10〜100mMのクルタミン酸(好適には
80mM)、5〜40mMのシステイン(好適には
20mM)、5〜50mMのグリシン(好適には
20m)、1〜30mMのマグネシウムイオン(好適
には10mM)、1〜20mMのATP(好適には
10mM)を含む反応液で、20℃〜40℃(好適には
37℃)また反応PHは6〜9(好適には7.5)で数時
間接触させることによつて行える。本反応系にお
いて、アセテートキナーゼ反応をATP再生系と
して用いる場合には、アセチルリン酸5〜40mM
(好適には20mM)を添加すればよい。大腸菌は
強いアセテートキナーゼ活性をもつているので、
アセテートキナーゼ源を添加する必要はない。 上記に様にして、抽出あるいは反応液中に生成
したGSHは、通常のイオン交換樹脂のカラムで
容易に単離される。まず抽出液あるいは反応液の
PHを硫酸で3.0に合わせた後、これをカチオン交
換樹脂、例えばダイアイオンPK−228H+に導通
し、0.5Mの水酸化アンモニウムで溶出する、溶
出液のPHを硫酸で4.5に合わせた後、アニオン交
換樹脂、例えばデオライトA2(CH3COO-型)に
導通する。吸着したGSHを0.5M硫酸で溶出後、
エタノールを50%になるように添加することによ
つて結晶GSHを単離取得できる。 以下実施例をあげて本発明を具体的に説明す
る。なお、pBR322−gsh,pBR322−gshお
よびpBR322−gshの両方、pBR322−gsh,
およびpBR325−gsh,の各々をRC912に
移入した株は、工業技術院微生物工業技術研究所
に各々受託番号 微工研条寄第336号(FERM
BP−336、微工研菌寄第6731号(FERM P−
6731)より移管)、微工研菌寄第6732号(FERM
P−6732)同第3733号(FERM P−6733)およ
び微工研条寄第337号(FERM BP−337、微工
研菌寄第6734号(FERM P−6734)より移管)
として寄託された。 実施例 1 (pBR322−gshの調製およびそれを保持す
る菌株) エツシエリビア・コリーB(E.coli B
(ATCC23226))より変異誘導された変異株
RC912をL−培地で対数増殖期まで生育させた後
集菌し、生理的食塩水(0.85%)で1回洗浄す
る。かくして得られる菌体1g(湿重量)よりフ
エノール法〔Biochm,Biophys,Acta,72
619−629(1963)〕で染色体DNAを抽出し、約1.6
mgのDNAを得た。この染色体DNA1μgをHind
で37℃、30分間処理して断片化し、別にHind
で2時間処理後、Ullrichらの方法(Science
196,1313−1319(1977)でアルカリフオスフアタ
ーゼ処理した1μgのベクタープラスミドpBR322
と混合し、T4DNAリガーゼで10℃16時間処理
し、組み換え体DNAを調製する。目的の組み換
え体DNA:pBR322:gshを選択するため得ら
れた全組み換え体をE.coli Bより変異誘導され
たGSH−欠損株C1001のコンビテントな菌体に
導入し、pBR322−gshをもつ菌株を選択する
ため、TMTD80μg/mlを含むDM培地に塗布す
る。37℃で40時間培養後、生じた大きなコロニー
を釣菌することによつてGSH−の遺伝子gsh
を持つ組み換え体DNA:pBR322−Gshを含む
菌株を得た。該菌体よりpBR322−gshを密度
勾配遠心により大量調製した。得られた組み換え
体DNAの制限構造は第1図イの通りであつた。 分子量は4.2MdでベクターpBR322のHind部
位に1.6MdのRC912由来のDNA断片が組み込ま
れている。本実施例においてHindの代りにPst
を用いることによつて同様な組み換え体DNA
を得ることができる「第1図ロ」。この場合の組
み換え体DNAの分子量は8.0MdでpBR322のPst
部位にRC912由来の5.4Mdに相当するDNA断
片が組み込まれている。かくして得られた
pBR322−gsh(第1図イ))をE.coli B由来の
種々の変異株に導入した。異変株への導入は、先
術のカルシウム処理法〔Molec.gen.Genet.,124
1−10(1973)〕によつて菌体をコンビテント化し
て行ない、形質転換株の選択は20μg/mlのアン
ビシリンを含むL−培地、又は10μg/ml〜80μ
g/mlのTMTDを含むDM培地で、各薬剤の耐
性株として行なうことが出来る。かくして得られ
る形質転換株のもつGSH−およびGSH−活
性を表1に示した。なお、各酵素活性は、DM培
地で対数増殖期の菌体より調製した菌体抽出液を
用いて行なつた。また酵素活性はジヤーナル オ
ブ ジエネラル マイクロバイオロジー(J.Gen.
Microbiol)128.1047〜1052(1982)に記載の測
定法に従つた。 【表】 実施例 2 実施例1の表1記載の菌株を500mlのDM培地
に接種し、37℃で3時間振盪培養する。かくして
得られる対数増殖期の菌体を集め、0.85%の生理
的食塩水で1回洗浄する。この菌体を再度水に懸
濁し50ml/mlの溶液とする。この懸濁液0.5mlを
100℃で1分間加熱し、菌体中のグルタチオンを
抽出する。かくして得られたグルタチオン量は表
2に示す通りであつた。 【表】 定量法:アナリテイカル バイオケミストリー
(Anal.Biochem.)27,502−522(1969) 実施例 3 (pBR322−gshおよびpBR322−gshを合
せ持つ菌株) 実施例1の表1記載の菌株C912/pBR322−
gsh.C1001/pBR322−gshおよびRC912/
pBR322−gshを各々カルシウムイオン処理で
コンビテント化した後、組み換え体DNA:
pBR322−gshを導入、同一菌株中にpBR322−
gshとpBR322−gshの両者を保持する形質転
換株を造成した。これら形質転換株のGSH−,
GSH−活性および菌体内のグルタチオン含量
は表3に示す通りであつた。 【表】 実施例 4 (pBR322−gsh,の調製およびそれを保
持する菌株) pBR322−gsh50μgをPstで処理した後、
アガロースゲル電気泳動によつて生じたDNA断
片を分離する。小断片を含むゲルを切り出し、こ
れを透析チユーブに入れて再び電気泳動にかけ、
ゲル中に存在するDNA断片をゲル外へ出す。か
くして約5μgのgshを含むDNA断片を得た。 次に、pBR322−gsh1μgをPstで処理した
後、上記調製したgshを含むDNA断片1μgを
加え、T4DNAリガーゼで処理する。かくして
pBR322上に、gshとgshの両遺伝子を合せ持
つ組み換え体DNA:pBR322−gsh・が得ら
れる。このpBR322−gsh・をE.coli由来の菌
株にカルシウム処理で導入する。形質転換株は
20μg/mlのTMTDを含むDM培地上に生育する
大コロニーを釣菌することによつて容易に選択で
きる。かくして得られる性質転換株のもつGSH
−,GSH−活性およびGSH含量は下表の通
りであつた。 【表】 実施例 5 (pBR325−gsh・の調製およびそれを保
持する菌株) pBR322−gsh50μgをPstで処理し、実施
例4と同様にgshを含むDNA断片4μgを取得
した。他方ベクターpBR325をPstで処理し、
この1μgにgshを含むDNA断片1μgを加えて
T4DNAリガーゼで処理する。目的とする組み換
えDNA:pBR325−gshを取得するためリガー
ゼ処理物でC912株を形質転換し、pBR325−gsh
を保持する菌株を20μg/mlのTMTDと5μ
g/mlのテトラサイクリンを含むDM培地上に生
育するコロニーとして取得した。次いでこの菌株
より密度勾配遠心でpBR325−gshを大量調製
する。この組み換え体DNA:pBR325−gshに
gshに組み込ませるため、まずpBR322−gsh
(50μg)をHinddで処理し、実施例4同様に、
その断片を電気泳動で分離し、gshを含む
DNA断片約7μgを得た。このDNA断片1μgを
Hindで処理したpBR325−gsh1μgと混合
し、T4DNAリガーゼで処理する。かくして、
pBR325上にgshとgshの両遺伝子を合せ持つ
組み換え体DNA:pBR325−gsh・をin
vitroで合成できる。これをE.coli B由来の種々
の株にカルシウム処理法で導入する。形質転換株
の選択は、80μg/mlのTMTDと2μg/mlのク
ロランフエニコールを含むDM培地で大コロニー
を釣菌することによつて行なうことができる。か
くして造成したpBR325−gsh・を含む菌株
のもつGSH−,GSH−活性およびGSH含量
は下表の通りであつた。 【表】 実施例 6 実施例2表2記載の株RC912/pBR322−gsh
、実施例3表3記載の株RC912/pBR322−
gsh,−gsh、実施例4表4記載の株RC912/
pBR322−gsh・、および実施例5表5記載
の株RC912/pBR325−gsh・を実施例2と
同様に、DM培地にて培養する。対数増殖期の菌
体を集菌後、0.85%の生理的食塩水で1回洗浄
後、5mMトリス塩酸緩衝液PH7.5)に懸濁し、
90KHzで5分間破砕し、破砕物を15.000r.p.m,30
分遠心する。かくして得られる菌体抽出液を
20mML−グルタミン酸、20mML−システイン、
20mMグリシン、10mM塩化マグネシウム、
10mM ATP、10mMアセチルリン酸、50mMト
リス−塩酸緩衝液(PH7.0)を含む反応液中で37
℃ 2時間インキユベートする。かくして反応液
中に生成したグルタチオンは下表の通りであつ
た。 【表】 実施例 7 実施例5の表5に記載の株RC912/pBR325−
gsh・をペプトン1.0%、酵母エキス1.0%、
肉エキス0.5%、グリコース1.0%、硫酸マグネシ
ウム、7水和物0.01%、リン酸1カリウム0.5%、
クロラムフエニコール20μg/mlを含む培地(PH
7.0)1000mlに接種し、30℃で20時間通気振とう
培養する。菌体を集菌後、生理食塩水で一度洗浄
した後、生菌体28g(湿重量)を30%塩化カリウ
ム溶液15mlに懸濁し、これに33.5%アクリルアミ
ドモノマー13ml、20%N,N′−メチレンビスア
クリルアミド2ml、5.0%β−ジメチルアミノプ
ロピオニトリル5mlおよび6.5%過硫酸カリウム
6mlを加え、20℃でゲルが生成されるまで放置す
る。ついでこの固定化した菌を1辺2mmの立方体
に成型し、生理食塩水にて洗浄することにより固
定化エツシエリヒア・コリーRC912/pBR325−
gsh・80gを得る。プラスミドを含有しない
RC912株についても同様の方法で固定化菌体を調
整した。 調整した固定化菌体2.5gを80mML−グルタミ
ン酸、20mML−システイン、20mMグリシン、
25mM塩化マグネシウム、20mM ATP、20mM
アセチルリン酸、25mMリン酸カリウム緩衝液
(PH7.0)を含む反応液5ml中で37℃で振とう反応
させ、経時的に生成したグルタチオンを定量した
結果、下表の通りであつた(転換率はL−システ
インからの転換率を示す)。 【表】 実施例 8 実施例5の表5に記載の株RC912/pBR325−
gsh・及びRC912株を実施例7と同じ培地で
培養する。菌体を集菌後(湿重量10g)、生理食
塩水で一度洗浄した後、生理食塩水10mlに懸濁
し、37℃に加温する。これに3.1%のカラギ−ナ
ン水溶液(37℃)20mlを加えて混合し、この混合
液を2%塩化カリウム水溶液中にノズルから滴下
させ直径約3mmの球状ゲルを調整する。この固定
化菌体2.5gを実施例7と同じ反応液5ml中で37
℃にて振とう反応させ、経時的に生成したグルタ
チオンを定量した結果、表8の如くであつた(転
換率はL−システインからの転換率を示す。)。又
4時間反応後固定化菌体を濾別し、同じ反応液で
繰返し反応した場合の反応4時間目のグルタチオ
ン生成量を定量した結果を表9に示す。なお反応
液中のATPおよびアセチルリン酸の濃度を種々
変化させてもほぼ同様の結果が得られた。 【表】 【表】 【図面の簡単な説明】 【表】 【表】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 大腸菌の染色体DNAをHindで処理して得
    られる下記(i)で示される制限酵素地図を有する
    1.6Mdの遺伝子断片に含まれるグルタチオン合成
    酵素の遺伝子(gsh) 及び大腸菌の染色体DNAをPstで処理して得ら
    れる下記(ii)で示される制限酵素地図を有する
    2.1Mdの遺伝子断片に含まれるγ−グルタミル−
    L−システイン合成酵素の遺伝子(gsh) の両遺伝子またはgshの遺伝子のみを組み込ん
    だ組換えプラスミドを有する大腸菌を培養し、培
    養物からグルタチオンをを採取するか、該大腸菌
    の菌体処理物をグルタミン酸、システイン、グリ
    シン、アデノシン−5′−三リン酸およびマグネシ
    ウムイオンと接触せしめてグルタチオンを生成さ
    せることを特徴とするグルタチオンの製造法。 2 反応系にアデノシン−5′−三リン酸の再生系
    を共役させることを特徴とする特許請求の範囲第
    1項記載の製造法。 3 アデノシン−5′−三リン酸の再生系がアセテ
    ートキナーゼ反応、カルバメートキナーゼ反応あ
    るいはバクテリア、酵母の解糖反応系であること
    を特徴とする特許請求の範囲第1または第2項記
    載の製造法。 4 菌体処理物が大腸菌の無細胞抽出液、細胞懸
    濁液又は固定化された菌体、酵素であることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の製造法。 5 ゲル状体に固定化することを特徴とする特許
    請求の範囲第4項記載の製造法。 6 ゲル状担体がポリアクリルアミドゲルである
    特許請求の範囲第5項記載の製造法。
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