JPH0431952Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、多目的ホールにおいて、観覧席とフ
ロアとに兼用しうるようにした移動観覧席に関す
るものである。

（従来の技術） 多目的ホールにおいて、フロアの有効利用を図
るために、利用する人数や、利用目的に合わせ
て、観覧席を移動させ、その数を増減させて、フ
ロア全体、あるいはその一部のみを使用しうるよ
うにしたものは公知である。

この種の観覧席としては、前下がりの階段状に
並列して設けた椅子を折り畳んだ後、これらの椅
子を支持する段床を、後位の段床の下側に順次入
れ子式に収容するようにしたものが知られてい
る。

（考案が解決しようとする問題点） 上述したような入れ子式の椅子は、最終的に
は、壁ぎわへ折り畳まれて収容されるが、最終的
に折り畳まれた観覧席、及びこれらを出入させる
ための移動装置に相当する床面積は利用できず、
その分、フロアスペースが小さくなつてしまう。

そのため、椅子を昇降式のフロアの下面に取付
け、椅子の収容時には、フロア全体を利用できる
ようにすることが考えられる。

しかし、椅子を昇降式フロアの下面に取付ける
に際しては、設置スペースが小さくて済むこと、
施工が容易であり、費用が掛からないこと、補修
点検が簡単であること等が要求される。そのた
め、これらの条件を満たすような移動観覧席が望
まれている。

（問題点を解決するための手段） 本考案による平行移動機構を備える移動観覧席
は、上面に開口を有する中空横長箱状の段床と、
該段床内に昇降自在に設けられた基台と、Ｘ形に
交差し、中央部同士を水平軸で枢支した前後１対
の支持アームの上端部で、前記基台を平行に昇降
させうるようにして支承する平行移動機構と、該
平行移動機構における前記支持アームを前記水平
軸まわりに回動させる回動手段と、前記基台上に
載置され、使用時には段床上に突出し、かつ不使
用時には段床内に沈下しうる観覧席とを備えるこ
とにより、上記の要望に応えうるものである。

（実施例） 以下、本考案の第１実施例を、第１図及び第２
図に基いて説明する。

(1)は、横長の中空箱状をなす段床で、前後方向
及び左右方向に多数並置され、その上面でフロア
を形成するようになつている。

各段床１は、図示を省略した昇降手段に支承さ
れ、例えば後方を高段とする階段状に配置しうる
ようになつている。

段床１の上面後部には、横長矩形状の開口２が
設けられ、この開口２の前後縁には、下方を向く
ガイド板１ａ，１ａが設けられている。

前記開口２の後縁上側には、横長矩形状の蓋板
３の下縁が枢着され、開口２を開閉自在に覆つて
いる。

開口２を除く段床１の上面には、床板４が設け
られ、前記蓋板３を閉じたとき、これと同一面と
なつて、フロア面を形成するようになつている。

５は、前記開口２より若干小寸の平面視横長矩
形枠状をなす基台で、後方を向く前部溝材５ａ
と、前方を向く後部溝材５ｂと、これら両溝材５
ａ，５ｂを連結する前後方向の複数の連結杆５ｃ
と、四隅より垂下された摺動杆５ｄとからなつて
おり、基台５の上面開口部は、カバープレート６
で閉塞されている。

７は、上記基台５と対向して段床１の底面上に
設けられたガイド部材、すなわち台枠で、前後幅
は基台５と同寸で、かつ左右幅は基台５より短寸
の平面視矩形枠状をなし、後方を向く前部溝材７
ａと前方を向く後部溝材７ｂを、複数の連結杆７
ｃをもつて連結して形成されている。

８は平行移動機構で、正面視がＸ形となるよう
に交差させて重ねた２本の支持アーム９，９を、
前後に１対配設し、かつ支持アーム９，９の中央
交差部を、前後方向に貫通する共通の水平軸１０
をもつて枢着することにより、各支持アーム９の
上下端部９ａ，９ｂを、左右方向に拡開自在とし
たものである。

前後に対向する支持アーム９の上下各端部９
ａ，９ｂへ貫通した、上下左右計４本の支軸１１
の支持アーム９から突出する外端部には、車輪１
２が枢着されている。

上方の車輪１２，１２は、基台５の前部溝材５
ａ及び後部溝材５ｂ内に、それぞれ転動自在に嵌
合され、下方の車輪１２，１２は、台枠７の前部
溝材７ａ及び後部溝材７ｂに、それぞれ転動自在
に嵌合されている。かくして、基台５は、支持ア
ーム９，９の起倒によつて、軽快に上下に平行移
動しうる。

１３は、上下方向を向くねじ杆で、その下端部
は、前記台枠７の前部溝材７ａの中央部に設けた
軸受１４に枢支され、かつ中間部は、前記水平軸
１０に枢着したブラケツト１５と一体をなす固定
ナツト１６に螺合されている。この固定ナツト１
６とねじ杆１３とにより、平行移動機構８を作動
させる回動手段１７が形成されている。

ねじ杆１３の上端面には、係合溝１３ａが切設
され、カバープレート６に設けら開閉蓋６ａを開
けて、ハンドル（図示略）の下端部を係合溝１３
ａに係合させると、手動により、ねじ杆１３を回
動させうるようになつている。

１８は、左右に並ぶ６つの椅子２０からなる観
覧席で、前記基台５の上面に取付けられている。

この観覧席１８は、基台５に取付けた左右方向
の水平杆１９ａ、及びこの水平杆１９ａに等間隔
に立設された複数の垂直杆１９ｂからなるフレー
ム１９を備え、隣合う垂直杆１９ｂの間に、背板
２０ａと座板２０ｂとからなる椅子２０が、前方
へ折り畳み自在として設けられている。このよう
な前方折り畳み自在の観覧席１８は、一般的なも
のであるから、その説明は省略する。

ハンドル（図示略）により、ねじ杆１３を正転
させると、水平軸１０は上昇し、支持アーム９，
９は閉じる方向に動き、基台５は上昇する。

基台５の上昇位置において、第２図に想像線で
示すように、椅子２０の背板２０ａ及び座板２０
ｂを開いて、これを使用することができる。

ねじ杆１３を逆転させて、支持アーム９，９を
拡開させ、基台５を、第１図の想像線で示す位置
なで降下させると、観覧席１８は、段床１内に収
納可能となる。

観覧席１８を収納してから蓋板３を閉じると、
段床１の上面をフロアとして使用できる。

観覧席１８の昇降を、回動手段１７により手動
で行う代わりに、モーター等の駆動手段で、自動
式に行わせることができる。

このようにした本考案の第２実施例を、第３図
及び第４図に基いて説明する。なお、第１実施例
と同じ部品には、同じ符号を付して、説明を省略
する。

２１は、駆動手段であるモーターで、基台５の
下面右端寄りに、左右方向へ向けて取付けられ、
その出力軸２１ａには、左右を向くねじ杆２２が
固着されている。

２３は、ナツトで、前記ねじ杆２２に螺合さ
れ、かつ前後の支持アーム９，９の右側の上端部
を連結する前記支軸１１に固着されている。

モータ２１とナツト２３及びねじ杆２２によ
り、回動手段２４が構成されている。

２５は、支持アーム９，９の下端部を閉じる方
向に付勢する付勢手段としてのコイルばねで、そ
の右方の脚片２５ａは、前後の支持アーム９，９
の右側下端同士を連結する前記支軸１１に掛止さ
れ、左方の脚片２５ｂは、台枠７の中央部におけ
る前後方向の連結杆２６に掛止されている。

モーター２１を正転させると、支持アーム９，
９は閉じて、第３図に示すように、観覧席１８は
上昇して使用位置となる。モーター２１を逆転さ
せると、支持アーム９，９は開いて、観覧席１８
は段床１内に収容される。

上述の第１実施例における回動手段１７のねじ
杆１３を、手動に代つて、動力により自動的に昇
降させることができる。

また、第２実施例におけるモーターの代わり
に、手でねじ杆２２を回すようにしてもよい。

（考案の効果） Ｘ形に重ねた１対の支持アームからなる平行移
動機構により観覧席を支承し、この支持アームを
回動手段で回動させるようにしたため、昇降機構
の設置スペースが小さくて済み、かつ施工が容易
となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の第１実施例を示す縦断正面
図、第２図は、第１図の−線における縦断側
面図、第３図は、本考案の第２実施例を示す縦断
正面図、第４図は、第３図の−線における横
断面図である。 １……段床、２……開口、３……蓋板、４……
床板、５……基台、５ａ，５ｂ……溝材、５ｃ…
…連結杆、５ｄ……摺動杆、６……カバープレー
ト、７……台枠、８……平行移動機構、９……支
持アーム、１０……水平軸、１１……支軸、１２
……車輪、１３……ねじ杆、１４……軸受、１６
……固定ナツト、１７……回動手段、１８……観
覧席、１９……フレーム、２０……椅子、２１…
…モーター、２２……ねじ杆、２３……ナツト、
２４……回動手段、２５……コイルばね（付勢手
段）、２６……連結杆。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 上面に開口を有する中空横長箱状の段床と、
   該段床内に昇降自在に設けられた基台と、Ｘ形
   に交差し、中央部同士を水平軸で枢支した前後
   １対の支持アームの上端部で、前記基台を平行
   に昇降させうるようにして支承する平行移動機
   構と、該平行移動機構における前記支持アーム
   を前記水平軸まわりに回動させる回動手段と、
   前記基台上に載置され、使用時には段床上に突
   出し、かつ不使用時には段床内に沈下しうる観
   覧席とを備えることを特徴とする平行移動機構
   を備える移動観覧席。 (2) 回動手段が、支持アームに枢着されたナツト
   と、段床あるいは基台のいずれか一方に回転自
   在に装置され、かつ前記ナツトと螺合されたね
   じ杆とからなる実用新案登録請求の範囲第(1)項
   に記載の平行移動機構を備える移動観覧席。 (3) ナツトが、支持アームの上端部に枢支されて
   いる実用新案登録請求の範囲第(2)項に記載の平
   行移動機構を備える移動観覧席。 (4) ナツトが、支持アームを枢支する水平軸に枢
   着されている実用新案登録請求の範囲第(2)項に
   記載の平行移動機構を備える移動観覧席。