JPH04317448A - 鉄筋コンクリートの錆抑止方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、既製の鉄筋コンクリ−
ト特に塩分を含む鉄筋コンクリ−トの錆抑止方法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】鉄筋コンクリ−ト工事を行うさい、塩分
を含む原料（たとえば、海砂）を配合したコンクリ−ト
混練物を用いて打設することがよく行われてきた。そこ
で問題となるのが、硬化後における塩分による鉄筋の腐
食であり、以前よりその防錆あるいは錆抑止手段として
亜硝酸塩が利用されていることはよく知られている。

【０００３】その亜硝酸塩の利用の仕方を大別すると二
つの方法が有り、一つはコンクリ−ト原料を混練するさ
い、適量の亜硝酸塩を混入し成形する方法であり、もう
一つは既製のコンクリ−ト表面に亜硝酸塩処理をし含浸
させる方法である。

【０００４】後者の場合、既製コンクリ−ト中に埋設さ
れている鉄筋は既にある程度の錆が発生しているため、
それ以上の錆の進行を抑止し、もってコンクリ−トの強
度その他の特性劣化を防ぐということになる。

【０００５】たとえば、鉄筋コンクリ−ト表面に亜硝酸
塩、炭酸塩などの無機塩類の水溶液を塗布し含浸させる
という方法である。　　さらに改良を加えた方法として
含浸させた亜硝酸塩溶液の飛散を防止するために、前記
塗布後にスチレンブタジエンゴムデイスパ−ジヨン、酢
酸ビニル系エマルジヨンなどの高分子化合物を用いたポ
リマ−セメント組成物を上塗りし硬化させる方法がある
（特開昭６０−２０４６８３）。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前記従来方法中、最後
に示した改良方法が優れているが、それでも錆抑止能は
表１にも示すとおり決して十分なものとはいえず、より
一層の錆抑止改良技術の開発が待たれていた。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、亜
硝酸塩を中心に錆の進行抑止について、より効果的な方
法を検討した結果、前記従来法で使用されていたポリマ
−セメント組成物と亜硝酸塩とを組み合わせると、予想
しえない顕著な効果を発揮することを知見して、以下に
詳述する発明を導いた。

【０００８】すなわち本発明の要旨は、既製鉄筋コンク
リ−トに亜硝酸塩溶液を塗布し、含浸させたのち、ポリ
マ−セメント組成物を上塗りする鉄筋コンクリ−トの錆
抑止方法において、該ポリマ−セメント組成物に対して
亜硝酸塩を混合してなる鉄筋コンクリ−トの錆抑止方法
である。

【０００９】以下、本発明を詳細に説明する。本発明は
、硬化した鉄筋コンクリ−ト表面に亜硝酸塩を混合した
ポリマ−セメント組成物を上塗りすることによって、内
蔵する鉄筋表面に亜硝酸塩を作用させ、錆抑止効果を向
上させた点に特徴がある。

【００１０】鉄筋コンクリ−トは設計仕様によって配筋
位置が決められており、したがって各鉄筋と上塗りされ
た亜硝酸塩混合ポリマ−セメント組成物との距離はまち
まちである。　　ところで、一般の鉄筋コンクリ−トは
、構造上最外殻（たとえば鉄筋コンクリ−ト柱を断面で
見たとき）に配された鉄筋が強度を保持する上で重要で
あることから、その鉄筋の劣化原因である錆の進行を抑
止しうる位置に該ポリマ−セメント組成物を処置する必
要がある。

【００１１】つまり鉄筋コンクリ−トのかぶり厚さが問
題となる。　　その厚さは概ね２ー３ｃｍであり、本発
明はそのような位置の鉄筋の保護を主な狙いとしたもの
である。もとより最外殻鉄筋より深奥に配された鉄筋で
あっても、適宜ポリマ−セメント組成物に混合する亜硝
酸塩濃度を高めることによって、効果的に抑止できる。

【００１２】また配されている鉄筋の形状も種々である
が、たとえ異形鉄筋が用いられた既製コンクリ−トであ
っても、亜硝酸塩は鉄筋の裏側へ回り込み、鉄筋表面全
体の錆の進行を抑止する。以上については、もとより鉄
筋コンクリ−ト表面に直接塗布・含浸させた亜硝酸塩溶
液も抑止作用を有しているが、その効果を飛躍的に向上
させたのが本発明である。

【００１３】本発明で使用する亜硝酸塩は、慣用のもの
が利用できる。塩としてはリチウム、ナトリウム、カリ
ウム、バリウム、カルシウムなどが挙げられる。　　最
も好ましい化合物は亜硝酸リチウムである。

【００１４】上記亜硝酸塩は、後述する亜硝酸塩溶液に
用いる亜硝酸塩との異同は問題ではないが、作業の進捗
からいって同一化合物を採用するのが望ましい。

【００１５】亜硝酸塩をポリマ−セメント組成物と混合
する方法は、本発明では特に限定しないが、望ましくは
それに使用される水に亜硝酸塩を予め溶解させたのち、
他の原料と混合するとよい。

【００１６】ポリマ−セメント組成物と亜硝酸塩との混
合割合は、本発明では特に限定しないが好ましくは該組
成物に対して亜硝酸塩を１．０重量％以上、特に好まし
くは２ー５重量％である。

【００１７】次にポリマ−セメント組成物について説明
する。この組成物は、原料として慣用のポリマ−、セメ
ント、骨材が採用され、水と混練して製造される。　　
具体例を挙げれば、ポリマ−としてはスチレンブタジエ
ンゴムデイスパ−ジヨン（ＳＲＢデイスパ−ジヨン）、
酢酸ビニル系エマルジヨン、アクリル樹脂系エマルジヨ
ンなどが、セメントとしてはポルトランドセメント、混
合セメントなどが示される。好ましい組み合わせは、ス
チレンブタジエンゴムデイスパ−ジヨンと普通ポルトラ
ンドセメントである。骨材は多くの場合、川砂やけい砂
が用いられるが本発明でも利用される。　　その他本発
明では石灰石粉、けい石粉、パ−ライト、焼成ひる石な
どを必要に応じて混合することもできる。

【００１８】それらの配合割合は常法にしたがって行え
ばよく、たとえばセメント基準でいえばポリマ−（固形
分）は０．５ー２５重量％、骨材は５０ー７０重量％、
水は３０ー４０重量％配合するのが好ましい。

【００１９】以上の要領でつくられた亜硝酸塩混合ポリ
マ−セメント組成物の上塗りは、鉄筋コンクリ−ト表面
に亜硝酸塩溶液を塗布・含浸させたのちいつ行ってもよ
いが、望ましくは含浸後表乾に至る前に行うのがよい。 　　そうすれば、鉄筋コンクリ−ト表面が湿潤状態にあ
り、該ポリマ−セメント組成物との接着も良好になり、
混合されている亜硝酸塩の鉄筋コンクリ−トへの拡散も
スム−ズであるので一層好ましい。　　なお上塗り方法
は刷毛塗り、吹き付け法など常法にしたがう。

【００２０】亜硝酸塩混合ポリマ−セメント組成物の上
塗り厚さは、亜硝酸塩の濃度のほか該鉄筋コンクリ−ト
の用途（たとえば装飾性を要する場合など）をも勘案し
て適宜決めることになるが、塗り欠きの生ずる恐れの無
いようにするには１ｍｍ以上の厚さに上塗りするのがよ
い。　　作業の迅速性や経済性を考慮すると２ー５ｍｍ
程度にするのが好ましい。

【００２１】本発明が対象とする既製の鉄筋コンクリ−
トは、形状、材令、配筋仕様、配合仕様等々特別な限定
はない。

【００２２】本発明は、腐食の大きい塩分を含む鉄筋コ
ンクリ−トの錆の進行抑止に特に有効な方法であるが、
塩分を含まない通常の鉄筋コンクリ−トにあっても中性
化による鉄筋の腐食があり、そのような鉄筋コンクリ−
ト、またかぶりが欠損し鉄筋が露出して錆が発生しやす
い状況にある鉄筋コンクリ−トへの利用も本発明に含ま
れる。　　なお後者の場合には露出した鉄筋に前記亜硝
酸塩溶液を塗布後、亜硝酸塩混合ポリマ−セメント組成
物を上塗りしたのち、欠損部分全体を補修用モルタル又
はコンクリ−トを用いて修復するのが好適である。

【００２３】鉄筋コンクリ−ト表面に直接塗布する亜硝
酸塩溶液は、慣用の方法で調製し、塗布・含浸させる。 　　一例を挙げれば、前述の亜硝酸塩を水に濃度１０ー
５０％に溶解し、刷毛などを用いて鉄筋コンクリ−ト表
面に亜硝酸塩が１０ー３００ｇ／ｍ２になるように塗布
したのち、しばらく放置して、該溶液を十分に含浸させ
る。　　その後は、できれば鉄筋コンクリ−トが表乾状
態に達する前に、上記説明にしたがって亜硝酸塩混合ポ
リマ−セメント組成物を上塗りするのが好ましいのは前
述したとおりである。以下、本発明を実施例に基つ゛い
て説明する。

【００２４】

【実施例】亜硝酸塩を混合又はしないポリマ−セメント
組成物をつくり、鉄筋コンクリ−ト表面に上塗りして、
錆の進行抑止効果を判断した。

【００２５】（鉄筋コンクリ−トの製造）普通ポルトラ
ンドセメント、砕石（最大寸法　　１０ｍｍ）及び海砂
（絶乾状態においてＮａＣｌ換算で　　０．２重量％）
を用い、該セメント３０３ｋｇ／ｍ３、Ｗ／Ｃ＝６０％
、ｓ／ａ＝４８％のコンクリ−ト混練物をつくった。

【００２６】一方、鉄筋はＪＩＳ　Ｇ　３１０８「みが
き棒鋼用一般鋼材」に規定された錆の発生していないみ
がき棒鋼（長さ１０×直径１ｃｍ）を準備した。

【００２７】そのみがき棒鋼２本を、内寸が深さ１０ｃ
ｍ、巾１０ｃｍ、長さ１４ｃｍの型枠の巾方向に、上面
より２．５ｃｍ、鉄筋間隔４ｃｍ、鉄筋と側壁との間が
４ｃｍの位置に配設し、固定した。

【００２８】次いで、その型枠に上記コンクリ−ト混練
物を投入し、振動成形したのち、表面をならしたのち、
湿空中に２４時間放置し、脱型した。

【００２９】得られた成形体はＪＣＩ（日本コンクリ−
ト工学協会）が定めた乾湿繰返し法（７０゜Ｃ、ＲＨ９
８％条件で３日間、１０゜Ｃ、ＲＨ５０％条件で４日間
を１サイクル）に準じて１０サイクル行ない、内蔵する
鉄筋に錆を発生させたのち、成形体上面以外の面をエポ
キシ樹脂でコ−トして、鉄筋コンクリ−ト供試体を多数
製造した。供試体の一を破壊して棒鋼を観察したところ
班点状の錆が随所に見られた。

【００３０】（亜硝酸リチウム溶液の塗布・含浸）亜硝
酸リチウムを常法にしたがって、亜硝酸リチウム２５％
溶液を調製した。その亜硝酸リチウム溶液を供試体上面
に表１に示す量塗布し、３時間放置して含浸させた。

【００３１】（亜硝酸リチウム混合ポリマ−セメント組
成物の上塗り）亜硝酸リチウム混合ポリマ−セメント組
成物は、普通ポルトランドセメントに対してスチレンブ
タジエンゴムデイスパ−ジヨン（固形分）１０重量％、
けい砂（粒径０．０２５ー０．２ｍｍ）５８重量％及び
亜硝酸リチウムがポリマ−セメント組成物に対し表１に
示す割合になるように溶解させた水３２重量％配合し、
混練してつくった。

【００３２】該組成物を、前述した亜硝酸リチウム溶液
で処理せれた供試体上面に厚さ２ｍｍ及び５ｍｍに上塗
りし、３日間湿空養生（２０゜Ｃ、ＲＨ９０％）した。

【００３３】（錆の進行とその状況）さらに上塗りされ
た供試体は、前記ＪＣＩの乾湿繰返し法（条件は同一）
にしたがって処理し、錆を進行させた。

【００３４】その後すべての供試体を破壊し、棒鋼を取
り出し、両端１ｃｍを除く８ｃｍの部分の表面（２５．
１ｃｍ２）の錆の生じている面積を測定したのち、各供
試体について棒鋼２本の錆面積率の平均値を算出し、そ
の結果を表１に併記した。以上から本発明は、鉄筋コン
クリ−トに埋設されている鉄筋の錆進行を大幅に抑止す
る効果を有していることが判明した。

【００３５】

【表　１】

【００３６】

【発明の効果】本発明にしたがえば、亜硝酸溶液を含浸
させた鉄筋コンクリ−ト表面にポリマ−セメト組成物を
単に上塗りした従来法に比して、きわめて単純な手段で
あるにかかわらず、顕著な錆抑止効果を発揮する。　　
しかも従来法で使用されていた材料をそのまま利用する
ので、実施化は容易である。その結果、塩分含有鉄筋コ
ンクリ−トはもとより一般の鉄筋コンクリ−トも含め、
それらの耐久性改善に寄与できることは大きい。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項　１】　　　鉄筋コンクリ−トに亜硝酸塩溶液
   を塗布し、含浸させたのち、ポリマ−セメント組成物を
   上塗りする鉄筋コンクリ−トの錆抑止方法において、該
   ポリマ−セメント組成物に対して亜硝酸塩を混合するこ
   とを特徴とする鉄筋コンクリ−トの錆抑止方法。