JPH043148Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は自動車の手動変速機におけるシフトレ
バー装置、とりわけ、シフトレバーの揺動自在な
支承構造に関するものである。

［従来の技術］ 自動車の変速機は、走行速度の切り替えを行う
ために、シフトレバー装置を操作して変速機のギ
ヤチエンジをなすものである。手動変速機のシフ
トレバー装置は、一般に、第５図に示したごと
く、シフトレバー１に設けた球状または半球状の
チエンジボール２を、車体の床面に固定したリテ
ーナ３に揺動可能に嵌合して支承させ、シフトレ
バー１の下端部に形成した球状突起４を、リテー
ナ３の下部に固定したエクステンシヨンハウジン
グ５内でチエンジレバー６にピン７で固定したハ
ウジング８に挿入し、ハウジング８内で樹脂など
のベアリング９を介して係合させてなり、シフト
レバー１の上端部を握りシフトまたはセレクト方
向に回動操作するものである。上記チエンジボー
ル２を支承するリテーナ３は、ゴムなどの弾性体
９を介在して樹脂などのリテーナベアリング１１
を保持してなり、そのリテーナベアリング１１は
チエンジボール２の球面に沿う球面座１２を有す
る。球面座１２は多くは二つ割りの構成で、第６
図に示した如くチエンジボール２を左右両側から
挟持するようになつている。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、上記従来のシフトレバー装置に
よれば、チエンジボール２はリテーナベアリング
１１の球面座１２に嵌合して締結されているが、
製造上、チエンジボール２を真球に近い形に造り
出すのは難かしく、チエンジボール２および球面
座１２は楕となり易い。したがつて、シフトレバ
ー１の一方向の摺動抵抗が軽い反面、他方向の摺
動抵抗が重いという現象が生じやすいから、シフ
トレバー１の操作フイーリングが好ましくないこ
とがある。

そこで本考案は上記事情に鑑みて、シフトレバ
ーの操作フイーリングを向上させるため、シフト
レバー装置の改良を目的として為されたものであ
る。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は上記問題の解決を図るべく、車体の床
面に固定されたリテーナに、チエンジボールを介
してシフトレバーが揺動可能に支承され、該シフ
トレバーの下端部にチエンジレバーが係合してな
る車両用手動変速機のシフトレバー装置におい
て、前記チエンジボールを、シフトレバーと連結
する球状体と該球状体を包む球状殻体とからなる
二重構造とするとともに、球状体と球状殻体との
間、および球状殻体とこれを嵌合するリテーナベ
アリングの球面座との間に、それぞれシフトレバ
ーの前後または左右のいずれか一方で直径方向の
相接部を設けてなる車両用手動変速機のシフトレ
バー装置を構成したものである。

［作用］ 本考案の上記構成によると、チエンジボールは
内外二重構造であつて、シフトレバーのシフトお
よびセレクト方向の動きをそれぞれ球状体と球状
殻体とに分担せしめるから、チエンジボールをリ
テーナベアリングが締め付けることによる、チエ
ンジボールの摺動抵抗は少なくなり、シフトレバ
ーの操作フイーリングは良好となる。

［実施例］ 次に本考案の実施例を図面に基づき説明する。
第１図は第５図に相当するシフトレバー装置の縦
断面図で、シフトレバー１がチエンジボール２を
支承するリテーナベアリング１１を介してリテー
ナ３に揺動可能に支承されている。シフトレバー
１の上端部は車室内で操作ノブ１３を有する一
方、下端部はリテーナ３の下部に固定されたエク
ステンシヨンハウジング５の内部において球状突
起４を有し、その球状突起４はチエンジレバー６
の端部に固定されたハウジング８のベアリング９
に揺動可能に係合している。１４はリテーナ３の
上部を被覆して異物が内部に侵入するのを防止す
るためのゴムカバーである。

上記チエンジボール２は、シフトレバー１と一
体に形成された球状体２０と、該球状体２０を包
む球状殻体２１とからなり、リテーナベアリング
１１の球面座１２に支承されている。第２図に示
したように、球状体２０は真円球体であるが、球
状殻体２１は、略楕円球体であり、またリテーナ
ベアリング１１の球面座１２は略真円球面であ
る。したがつて、球状体２０と球状殻体２１とは
シフトレバー１のシフト方向の動きを許容するた
めの、直径方向で相対向する一対の接触部２２を
有し、また球状殻体２１と球面座１２とはシフト
レバー１のセレクト方向の動きを許容するため
の、直径方向で相対向し、かつ、前記接触部２２
と直交位置にある一対の接触部２２を有する。

なお、上記実施例において、球状体２０はシフ
トレバー１と一体に形成したが、シフトレバー１
が球状体２０を貫通する別体構成であつてもよ
く、また、接触部２２，２３の位置関係は全く逆
の配置構成としてもよい。

次に、第３図に示した他の実施例について説明
すると、この例では、前記実施例における球状殻
体２位置を真円球状となすとともに、球状殻体２
１の内外両面にそれぞれ、直径方向で一対であつ
て、しかも、シフトレバー１のシフト方向および
セレクト方向の直交位置に存する突起部２４，２
４、２５，２５を形成してある。そして、これら
の突起部２４，２５は、球状体２０と球面座１２
の間において、それぞれシフトレバー１のシフト
方向またはセレクト方向の動きを許容するよう
に、突起部２４，２４は球状体２０の外周面に直
径方向で接触する一方、突起部２５，２５は球面
座１２の内周面に直径方向で接触して突起部２
４，２４と直交する位置において、シフトレバー
１のシフト方向の動きを可能にしている。なお、
この実施例にあつても、上記突起部２４，２５の
位置関係は全く逆の配置構成としてもよいことは
言うまでもない。

更に、第４図に示した第３の実施例について説
明すると、この例では、球状殻体２１と球面座１
２のそれぞれにおける内周面に直径方向で一対
の、かつ、互いに直交する配置で、突起部２４，
２６を形成したものであり、球状殻体２１の外周
面には突起部を形成していない。突起部２４，２
４はシフトレバー１のセレクト方向の動きを許容
し、また、突起部２６はシフトレバー１のシフト
方向の動きを許容するものである。なお、この実
施例にあつても、上記突起２４，２６の配置関係
は全く逆の配置構成であつてもよいことはいうま
でもない。

上述した各実施例の作用について述べると。シ
フトレバー１をシフト方向Ｘに揺動すると、第２
図の例では球状体２０と球状殻体２１との接触部
２２を中心として球状体２０が前後方向に回動
し、このとき、球状殻体２１は球面座１２に対し
て接触部２３が抵抗を生じて回動しない。第３図
および第４図の例では、突起部２５，２６を中心
として球状殻体２１が前後方向に回動する。そし
て、シフトレバー１をセレクト方向Ｙに揺動する
と、第２図の例では球状体２０はその接触部２２
が球状殻体２１の抵抗を生じて回動せず、その反
面、球状殻体２１はその接触部２２を中心として
左右方向に回動する。第３図および第４図の例で
は、突起部２４を中心として球状体２０が左右方
向に回動する。上述のように、本考案において、
接触部２２，２３および突起部２４，２５，２６
は球状体２０、球状殻体２１およびリテーナベア
リング１１の相接部を形成するものである。

［考案の効果］ 以上説明したごとく、本考案はチエンジレバー
のチエンジボールを球状体と球状殻体からなる内
外二重構造として、球状体と球状殻体とのそれぞ
れにシフトレバーのシフト方向またはセレクト方
向のいずれかの動きを許容する相接部を設けたの
で、チエンジボールがその組み付け構造において
リテーナベアリングにより締め付けられることが
あつても、その締め付け方向の摺動抵抗が障害と
なることなく、シフトレバーのスムーズなシフト
方向並びにセレクト方向の揺動を為すことができ
るので、シフトレバーの操作フイーリングが向上
する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１の実施例を示すシフトレ
バー装置の要部縦断面図、第２図は第１図のＡ−
Ａ線断面図、第３図および第４図は他の実施例を
示す第２図に相当する断面図、第５図は従来例を
示す要部縦断面図、第６図は第５図Ｂ−Ｂ線断面
図である。 １……シフトレバー、２……チエンジボール、
３……リテーナ、６……チエンジレバー、１１…
…リテーナベアリング、１２……球面座、２０…
…球状体、２１……球状殻体、２２，２３……接
触部、２４，２５，２６……突起部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体の床面に固定されたリテーナに、チエンジ
   ボールを介してシフトレバーが揺動可能に支承さ
   れ、該シフトレバーの下端部にチエンジレバーが
   係合してなる車両用手動変速機のシフトレバー装
   置において、前記チエンジボールを、シフトレバ
   ーと連結する球状体と、該球状体を包む球状殻体
   とからなる二重構造とするとともに、球状体と球
   状殻体との間、および球状殻体とこれを嵌合する
   リテーナベアリングの球面座との間に、それぞれ
   シフトレバーの前後または左右のいずれか一方で
   直径方向の相接部を設けてなることを特徴とする
   車両用手動変速機のシフトレバー装置。