JPH042730Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、工作機械に使用される工具保持用ア
ーバー装置に関する。

（従来の技術） 工作機械の主軸の取付孔に着脱自在に挿入され
て固定される工具保持用アーバーには、主軸の回
転中心と工具の回転中心とを高性能に一致させる
求心性と、重切削でもビビリが生じない高い結合
剛性が要求される。

従来の汎用フライス盤では、工具保持用アーバ
ーを引つ張りネジで強固に引つ張り、アーバーの
シヤンク部のテーパー面と、主軸取付孔のテーパ
ー面とを強固に密着固定させていたので、求心性
も結合剛性も良好であつた。

しかし、自動工具交換装置を備えたマシニング
センター等においては、前記引つ張りネジの張力
が、従来の汎用フライス盤の1/10程度であり、十
分な求心性と結合剛性を得ることが困難になつて
いた。

そこで、アーバーのフランジ部端面を主軸の端
面に密着させて、結合剛性を高めようとしたが、
テーパー嵌合に於いてフランジ部端面を密着させ
ることは、きわめて困難であつた。

即ち、フランジ端面と主軸端面とを密着させよ
うと思うと、テーパー嵌合が緩くなり、求心性が
悪くなり、逆に、テーパー嵌合をきつくするとフ
ランジ端面と主軸端面との密着性が悪くなり、結
合剛性が悪くなると云う問題があつた。

そこで、アーバーのシヤンク部と主軸の取付孔
との間に、テーパースリーブを介在させ、このテ
ーパースリーブで求心性の向上を図り、且つ、フ
ランジ端面と主軸端面とを強固に密着させるよう
にしたものが既に提案されている。（例えば、実
公昭47−5197号公報、実開昭60−143628号公報参
照）。

（考案が解決しようとする課題） 前記従来のテーパースリーブ式のものにおいて
は、テーパースリーブをシヤンク部の全長、また
は、主軸のテーパー孔の全長にわたる長いものに
することができなかつた。

即ち、テーパースリーブは、内周または外周の
何れか一方が、テーパー面で、他方がストレート
面であるため、シヤンク部の全長または主軸テー
パー孔の全長にわたる長いものに形成すると、内
外周面の芯出し精度を高精度に確保することが困
難であつた。更に、テーパースリーブの長さを長
くすると、該スリーブの一端部の肉厚が厚くな
り、スリーブの直径の拡縮が困難になる。又、例
えば、スリーブの内面側がストレート面の場合、
スリーブの長さを長くすると、シヤンク部の径が
小さくなり、剛性が低下し、逆にスリーブの外面
側がストレート面の場合、主軸の取付孔の肉圧が
薄くなり、主軸の剛性が低下するなどの問題があ
つた。（例えば、実開昭61−141034号公報参照）。

そこで、従来のテーパースリーブ式のものは、
前記問題点を解消するために、スリーブの長さを
短くし、シヤンク部と主軸の取付孔の接合部で
は、主として求心性の向上を図り、フランジ端面
と主軸端面との密着部において、結合剛性の向上
を図つていた。

従つて、シヤンク部と主軸取付孔との接合部で
の結合剛性の向上が今一つであつたので、全体的
な結合剛性の向上が十分でなく、ビビリ等が発生
していた。

そこで、本考案は、主軸の取付孔と、シヤンク
部との接合部においても、結合剛性の向上が図れ
るようにした、工具保持用アーバー装置を提供す
ることを目的とする。

（課題を解決するための手段） 前記目的を達成するために、本考案は、次の手
段を講じた。即ち、本考案の特徴とするところ
は、工作機械の主軸先端部に形成されたアーバー
取り付け用テーパー孔に挿入されるシヤンク部
と、前記主軸先端面に当接する端面を有するフラ
ンジ部と、工具を取り付ける工具取付部とを夫々
具備したアーバーと、 該アーバーのシヤンク部に外嵌され、且つ、前
記テーパー孔にテーパー嵌合したスリーブと、 該スリーブと前記テーパー孔との嵌合がきつく
なる方向に該スリーブを付勢すべく前記シヤンク
部に設けられた弾性部材とから構成された工具保
持用アーバー装置に於いて、 前記シヤンク部は前記テーパー孔と略同角度の
テーパー面に形成され、且つ、該テーパー面の大
端部及び小端部においてストレート部に形成さ
れ、 前記スリーブは前記シヤンク部の略全長を覆う
長さとされると共に、その肉厚は略同一とされ、
且つ、該スリーブの両端部内面は前記シヤンク部
のストレート部に外嵌するストレート面に形成さ
れ、前記ストレート面に挟まれた中間部のスリー
ブの内周面とシヤンク部のテーパー面との間に、
遊び間隙が形成されている点にある。

（作用） 本考案によれば、アーバーのシヤンク部は、ス
リーブを介して主軸のテーパー孔に嵌合する。ア
ーバーは引張手段によつて主軸の奥側に引き込ま
れる。スリーブは、弾性手段によつてテーパー嵌
合がきつくなるよう押し込まれ、アーバーと主軸
との芯出しが高精度に行われる。そして、スリー
ブ内面とアーバーのシヤンク部とはストレート面
で嵌合しているので、アーバーが引張手段で主軸
の奥側に引き込まれることで、フランジ部の端面
と主軸の端面とが強固に密着する。

このとき、スリーブはシヤンク部の全長にわた
る長いものであり、スリーブの外面は、主軸のテ
ーパー孔にテーパー嵌合し、且つシヤンク部とは
その両端部に於いて嵌合しているため、結合剛性
が向上する。

スリーブの内外面がほぼ同じ角度のテーパー面
であるから、シヤンク部の径が細くなつたり、主
軸の取付孔部の肉圧が薄くなつたりすることがな
く、剛性の低下が防止される。

シヤンク部はスリーブの両端部においてストレ
ート嵌合するので、スリーブの全長にわたつて嵌
合するものに比べ、加工が容易になり、嵌合精度
の向上が図れる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を、図面に基づき説明す
る。

第１図において、１は主軸で、この主軸１は、
工作機械、例えば、マニシングセンター等の自動
工具交換式工作機械に備えられている。

前記主軸１は中空状で、その先端面２からテー
パー孔３が軸心方向に形成されている。 ４は、
工具保持用アーバー装置であり、該アーバー装置
４は、前記主軸１のテーパー孔３に着脱自在に装
着される。

前記アーバー装置４は、アーバー５と、テーパ
ースリーブ６と、弾性部材７と、引張りボルト８
と、シールリング９とを有する。

前記アーバー５は、前記主軸１のテーパー孔３
に挿入されるシヤンク部１０と、主軸１の先端面
２に当接する端面１１を有するフランジ部１２
と、工具を取り付ける工具取付部１３とを一体的
に有して成る。

前記シヤンク部１０は、主軸１のテーパー孔３
のテーパー角度と略同じテーパー角度でテーパー
面１４に形成されている。そして、そのテーパー
面１４の大端部と小端部に、ストレート部１５，
１６が形成されている。

前記テーパースリーブ６は、シヤンク部１０に
外嵌され、その全長はシヤンク部１０のほぼ全長
にわたるものである。そして、テーパースリーブ
６の外周面は、前記主軸１のテーパー孔３に密着
状にテーパー嵌合するテーパー面１７に形成され
ている。このテーパースリーブ６の内周面の両端
部は、シヤンク部１０のストレート部１５，１６
に軸方向摺動自在に嵌合するストレート部１８，
１９に形成されている。そして、このストレート
部１８，１９に挟まれたテーパースリーブ６の内
周面は、前記シヤンク部１０のテーパー面１４に
接触しない遊び面２０に形成されている。

前記引張りボルト８は、シヤンク部１０の先端
に螺合され、該ボルト８のフランジ部２１が、シ
ヤンク部１０の小径ストレート部１６の外周より
外方に突出して、前記テーパースリーブ６の抜け
止めを行なつている。

前記弾性部材７は、皿バネから構成され、アー
バー５のフランジ部１２の端面１１に形成された
凹溝２２に収納され、前記テーパースリーブ６を
引張ボルト８側に押圧している。

前記シールリング９は、シヤンク部１０の中途
部に形成されたリング溝２３に収納され、テーパ
ースリーブ６の内面の遊び面２０に弾接してい
る。

前記本考案の実施例によれば、アーバー装置４
を主軸１のテーパー孔３に挿入し、引張りボルト
８を引張り手段（図示省略）で引張り、アーバー
装置４をテーパー孔３の奥側に引張る。

このとき、アーバー５が主軸１のテーパー孔３
の奥側に引張られると、アーバー５のフランジ部
１２により弾性部材７を介してテーパースリーブ
６がテーパー孔３の奥側に押圧される。

これにより、テーパースリーブ６は、主軸１の
テーパー孔３内面に沿つて奥側に移動し乍ら、径
方向内方に縮小して、アーバー５のシヤンク部１
０のストレート部１５，１６を締付固定し、アー
バー５を主軸に対して高精度で芯合せすると共
に、剛強に固定する。

しかも、アーバー５とテーパースリーブ６は、
シヤンク部１０のストレート部１５，１６と、ス
リーブ内面のストレート部１８，１９とが嵌合し
ているため、軸方向には相対移動が容易となり、
アーバー５のフランジ部１２の端面１１が、主軸
１の先端面２に強固に圧接し、結合剛性を高めて
いる。

第２図に示すものは、本考案の第２実施例であ
り、フランジ部１２の端面１１と、主軸１の先端
面２との間に、弾性体２４が介在されている。

尚、この実施例では、この弾性体２４と前記テ
ーパースリーブ６を押圧する弾性部材７は、共に
ゴム環で形成されている。

尚、本考案は、前記実施例に限定されるもので
はない。

（考案の効果） 本考案によれば、テーパースリーブがアーバー
のシヤンク部のほぼ全長にわたる長さを有する長
いものであるため、結合剛性の向上が図れるもの
である。

また、スリーブの内外面がほぼ同じ角度のテー
パー面であるから、シヤンク部の径が細くなつた
り、主軸の取付孔部の肉圧が薄くなつたりするこ
とがなく、剛性の低下が防止される。

シヤンク部はスリーブの両端部に於いてストレ
ート嵌合するので、スリーブの全長にわたつて嵌
合するものに比べ、加工が容易になり、嵌合精度
の向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す断面図、第２図
は本考案の他の実施例を示す要部断面図である。 １……主軸、２……先端面、３……テーパー
孔、４……工具保持用アーバー装置、５……アー
バー、６……テーパースリーブ、７……弾性部
材、１０……シヤンク部、１１……端面、１２…
…フランジ部、１３……工具取付部、１５，１
６，１８，１９……ストレート部、２０……遊び
面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 工作機械の主軸１先端部に形成されたアーバー
   取り付け用テーパー孔３に挿入されるシヤンク部
   １０と、前記主軸１先端面に当接する端面を有す
   るフランジ部１２と、工具を取り付ける工具取付
   部１３とを夫々具備したアーバー５と、 該アーバー５のシヤンク部１０に外嵌され、且
   つ、前記テーパー孔３にテーパー嵌合したスリー
   ブ６と、 該スリーブ６と前記テーパー孔３との嵌合がき
   つくなる方向に該スリーブ６を付勢すべく前記シ
   ヤンク部１０に設けられた弾性部材７とから構成
   された工具保持用アーバー装置に於いて、 前記シヤンク部１０は、前記テーパー孔３と略
   同角度のテーパー面１４に形成され、且つ、該テ
   ーパー面１４の大端部及び小端部においてストレ
   ート部１５，１６に形成され、 前記スリーブ６
   は、前記シヤンク部１０の略全長を覆う長さとさ
   れると共に、その肉厚は略同一とされ、且つ、該
   スリーブ６の両端部内面は前記シヤンク部１０の
   ストレート部１５，１６に外嵌するストレート面
   １８，１９に形成され、 前記両端のストレート面１８，１９に挟まれた
   中間部のスリーブ６の内周面とシヤンク部１０の
   テーパー面１４との間に、遊び間隙が形成されて
   いることを特徴とする工具保持用アーバー組立
   体。