JPH04234981A - 枯草菌の高密度培養方法および培養装置 - Google Patents

枯草菌の高密度培養方法および培養装置

Info

Publication number
JPH04234981A
JPH04234981A JP50591A JP50591A JPH04234981A JP H04234981 A JPH04234981 A JP H04234981A JP 50591 A JP50591 A JP 50591A JP 50591 A JP50591 A JP 50591A JP H04234981 A JPH04234981 A JP H04234981A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
culture
dissolved oxygen
oxygen concentration
control
bacillus subtilis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP50591A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Yamada
明 山田
Kenichi Omura
大村 憲一
Kazunori Ando
和徳 安藤
Akira Nakayama
章 中山
Masaru Honjo
勝 本城
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Toatsu Chemicals Inc filed Critical Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority to JP50591A priority Critical patent/JPH04234981A/ja
Publication of JPH04234981A publication Critical patent/JPH04234981A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は枯草菌の高密度培養方法
に関し、更に詳しくは、枯草菌を培養する際に、培養液
中へのグルコースおよび培地成分である微量金属、リン
酸塩および消泡剤の流加時間または流加速度を調整する
ことにより溶存酸素濃度またはpH値を設定値に保持し
、あるいは、この設定値を段階的に変更することによっ
て、枯草菌を高密度に培養する方法に関するものである
【0002】枯草菌はそれ自身が高い安全性を有するだ
けでなく、プロテアーゼ、アミラーゼ等の蛋白質の高分
泌能、さらに酵素、抗生物質等の醗酵生産にみられるよ
うに工業用微生物としての豊富な使用実績など、優れた
特性があるため、枯草菌を宿主とした遺伝子組換え技術
による異種蛋白分泌生産系の確立が期待されている。こ
の場合、異種蛋白を効率良く生産するために、枯草菌の
組換え菌を高密度に培養する技術が極めて重要となる。
【0003】
【従来の技術】枯草菌を高密度に培養する技術について
の報告は例えば、Rappenら(“Bacillus
 Molecular Genetics and B
iotechnology Applications
,”Academic Press Inc.,Orl
ando and London 423pp.(19
86) )によりなされており、この中ではヒト成長ホ
ルモン(hGH)の枯草菌菌体内生産の例が報告されて
いる。但し、この方法を実施するために必要な詳細な培
養方法については、グルコース流加による溶存酸素濃度
を10〜50%の設定範囲内に保持する方法以外の記述
はない。
【0004】また、枯草菌を培養する際に、培養液中へ
のグルコースや微量金属、リン酸塩などの培地成分およ
び消泡剤の流加時間または流加速度を調整することによ
り溶存酸素濃度またはpHを所定量に保持することによ
って、枯草菌を高密度に培養する方法は、本発明者らに
よってすでに報告されており(昭和63年度日本農芸化
学会講演要旨集)、この方法は最も有効な培養方法の一
つである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した培地
成分および消泡剤の流加時間または流加速度を調整する
枯草菌の高密度培養方法の実施は、枯草菌の培養管理に
ついて豊富な知識を有する熟練した技術者の経験的な判
断に委ねられており、万人が失敗なく培養することは不
可能であった。しかも、上述した熟練した技術者につい
ても、枯草菌の培養密度のレベルおよびその再現性にお
いても問題があった。
【0006】枯草菌を高密度に培養するのに困難でかつ
重要な技術は、常時変化する培養液粘度、枯草菌の代謝
機能、さらに外乱に対し影響を受ける培養系全体につい
て、できるだけ枯草菌を増殖させて培養液中の枯草菌密
度を高め、結果として枯草菌によって分泌される有用蛋
白質をいかに多量に生産するかにある。実際上の問題と
しては、例えば流加するグルコースが枯草菌の要求量を
下回った場合には、枯草菌の培養に必要な栄養が不足す
る結果、枯草菌の増殖活性が失われるといった事態を招
く。
【0007】上述の問題を避けるために過剰のグルコー
スが供給された場合には、培養液中のグルコース濃度が
上昇する結果、未消費のグルコースが酸化し有機酸の形
で培地内に蓄積し、その結果としてpHの低下および代
謝活性の抑制を招く。
【0008】これら必要成分の不足もしくは過剰供給の
問題については、グルコースを流加する際にだけ生じる
のではなく、金属塩、リン酸塩などの培地成分、消泡剤
の流加の際にも同様に生じ、枯草菌の成育に障害をきた
す。これらの問題を解決するために、適切な目標値を定
め、実際の培養条件が目標値を満足するように、培養操
作の迅速かつ厳格な管理が重要になる。
【0009】培養の適切な管理のためには、枯草菌の活
性に重大な影響をおよぼす培養液中のグルコース濃度や
培地成分濃度などを極めて短時間に把握する必要がある
。そのためには、培養液中のグルコース濃度を測定する
ことが最も有効であるが、枯草菌の培養液中で実用的か
つ有効に機能するグルコース濃度計は現状では知られて
いない。これは枯草菌は極めて溶菌し易くグルコース濃
度計の測定部分である膜上に菌体が吸着することにより
測定障害が生じることに起因する。この理由によって、
培養液の溶存酸素濃度およびpHを制御量として一定値
に保持することによる培養管理が通常行われる。枯草菌
を最適条件で高密度培養するためには、枯草菌の増殖状
況を溶存酸素濃度またはpHより判断して、溶存酸素濃
度またはpHを制御するための操作量をグルコース流加
量だけでなく、培地成分や消泡剤の流加量に変更する必
要がある。さらに、溶存酸素濃度が設定値より低濃度の
際に、空気供給量および攪拌速度を漸次増加させる処置
も必要である。このように、常時にこの培養を最適状態
に管理かつ制御するためには、上述したような複雑な処
理を必要とするので実質上極めて困難である。
【0010】本発明はこのような、本発明者によってな
された考察に基づいてなされたものであり、その目的は
、枯草菌を培養する際に、上述の問題点を排して、枯草
菌を高密度かつ再現性良く培養する方法およびこの方法
に使用する培養装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の目
的を達成するために鋭意検討した結果、枯草菌を大量培
養する際に、以下の3種類の処理を並行して同時に実施
することにより、目的が達成されることを見出し、本発
明をなすに至った。 (1)培養液中へのグルコース、微量金属、リン酸塩な
どの培地成分および消泡剤をそれぞれ間欠的に流加し、
さらに流加時間および流加後制御判断するまでの待機時
間をコンピュータによって自動的に調整することにより
溶存酸素濃度を一定値に制御し、培養後期において溶存
酸素濃度による制御が不能となった時、pHを一定値に
制御する。 (2)溶存酸素濃度が設定値より低い場合に、空気供給
量と同時に攪拌速度を漸次所定量増加させる。 (3)培養前期において、枯草菌が増殖活性を保持する
よう、1〜6回定時に所定時間、培地成分の供給を実施
する。
【0012】このような本発明においては、(1)の処
理で示したように、流加培養の前半において溶存酸素濃
度を制御量とし、培養の後半においてはpHを制御量と
する。すなわち、まず、前半の培養操作では、溶存酸素
濃度を制御量とし、設定値を2〜10%、より好ましく
は4〜6%に設定し、溶存酸素濃度がこの設定値を維持
するよう5〜60秒、より好ましくは10〜30秒の所
定時間グルコース水溶液の流加を間欠的に繰り返す。グ
ルコース水溶液の濃度は5〜50%、より好ましくは2
0〜40%に調整する。グルコース水溶液の流加によっ
ても、溶存酸素濃度が低下しない場合は、培地成分が培
養液中に不足し、枯草菌の増殖に悪影響を及ぼしている
ため、グルコースの代替として微量のマグネシウム、マ
ンガン、鉄、カルシウムなどの金属の培地成分を含む水
溶液の流加を1〜10秒の所定時間、溶存酸素濃度を維
持するよう間欠的に繰り返すことにより、枯草菌の増殖
が継続維持される。さらに、微量金属によっても溶存酸
素濃度の制御が不可能となった場合には、リン酸カルシ
ウム、リン酸カリウムなどリン酸塩の水溶液の形でリン
を培養液に1〜10秒の所定時間、間欠的に供給する。 さらに、上述のリン酸塩によっても溶存酸素濃度の制御
が不可能になった場合には、消泡剤を培養液に間欠的に
供給する。さらに、消泡剤によっても溶存酸素濃度の制
御が不可能になった場合には、溶存酸素濃度の設定値を
2〜10%上昇させ、グルコース、金属、リン酸塩、消
泡剤の順に、上述したものと同じ処理を繰り返す。培養
の後期に溶存酸素濃度の設定値が40〜50%でも制御
不可能となった時点で、制御量を溶存酸素濃度からpH
に切り換える。pHの制御開始時のpHの設定値は6〜
8であり、より好ましくは6.5〜7.5とする。
【0013】本発明において最も重要な処理は上述の(
1)の処理であり、すなわち溶存酸素濃度あるいはpH
の制御であり、常時変化する枯草菌自体の代謝特性、ま
た培養操作上の外乱に対し影響を受ける培養系について
、枯草菌の培養であることからセンサーによる直接的計
測が困難なグルコース濃度や培地成分の濃度を、直接計
測可能な溶存酸素濃度またはpHを制御することによっ
て適切に過不足なく管理することにある。すなわち、グ
ルコースが過剰に培養液中に存在した場合には、グルコ
ースの酸化により枯草菌の増殖にとって好ましくない有
機酸の生成を招き、逆に、グルコースが不足した場合に
も枯草菌自体の失活を招くことになり、枯草菌の培養効
率を悪化させることになり、また、培地成分や消泡剤の
過不足によっても枯草菌の増殖が阻害することになるか
らである。
【0014】また、上述の(2)の処理について述べる
と、枯草菌は好気性の菌であることから、増殖に伴う酸
素消費量の増加、培養液の粘度上昇による酸素吸収効率
の低下、枯草菌自体の培養液中における液分散性を考慮
して、溶存酸素濃度が設定値より低い場合に、漸次に攪
拌速度、供給空気量を所定速度で増加させる。
【0015】さらに、上述の(3)の処理は、枯草菌の
増殖活性をできるかぎり維持するために、所定回、所定
時間の培地成分および消泡剤の供給を行うことである。
【0016】
【作用】枯草菌の培養槽において、培養初期にグルコー
ス、培地成分の流加により溶存酸素濃度を制御すると同
時に攪拌速度、空気供給量を漸増させ、さらに、培地成
分の定期的な供給を実施して、培養条件を最適値に常に
コントロールし、溶存酸素濃度を所定値に保つ。また、
培養後期において、このような溶存酸素濃度をパラメー
タとして用いた制御が限界に達した場合には、グルコー
スおよび培地成分の流加によりpHを制御することによ
って、グルコースの酸化等に起因する培養活性の阻害要
因を除去するようにする。これにより、枯草菌を高密度
にしかも再現性良く得ることができるようになる。
【0017】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図1は本発明の培養方法を実施するための
装置の一例の構成を示す図であり、図2は図1の装置に
おける制御手順を示すフローチャートである。
【0018】図1の装置は、培養槽Bと、培養液の攪拌
機Hと、培養液の温度調節用クーラーCおよびヒーター
Dと、培養槽へのグルコース水溶液供給用ポンプE1お
よびグルコース水溶液タンクG1およびフィードライン
1と、培養槽への金属水溶液供給用ポンプE2,タンク
G2,フィードライン2と、培養槽へのリン酸塩水溶液
供給用ポンプE3,タンクG3,フィードライン3と、
培養槽への消泡剤供給用ポンプE4,タンクG4,フィ
ードライン4と、培養槽への空気供給手段(コンプレッ
サ)F,フィードライン5,空気流量制御バルブ10と
、培養液の溶存酸素濃度を測定する濃度計6と、培養液
のpHを測定するpH計7と、培養液の温度を測定する
温度計8と、培養液の溶存酸素濃度またはpHを所定値
に保つように各手段を統括的に制御するコンピュータA
とを有している。
【0019】この装置における上述の(1)の処理手順
を説明する。予め、培地を入れた培養槽Bに枯草菌を植
菌し、攪拌機Hにより培養液を攪拌し、さらにライン5
より培養液中に空気を気泡状態で供給する。この場合、
空気の代わりに酸素もしくは空気と酸素とを同時に供給
してもよい。培養の進行に伴い、枯草菌がグルコースを
消費する過程で培養液中の酸素を消費し、溶存酸素濃度
が設定値より低下する(ステップ22) 。まず、この
段階で溶存酸素濃度を制御量とした制御を開始する(ス
テップ23) 。
【0020】一方、溶存酸素濃度が設定値より上昇した
時(ステップ26)、グルコース供給ポンプE1により
所定の作動時間10〜30秒間、ライン1よりグルコー
スが培養槽Bへ供給される(ステップ27)。もし、作
動時間が経過しない前に溶存酸素濃度が設定値より低下
した場合には、ポンプE1を停止し(ステップ31,3
2)、再びステップ26の状態に戻り、溶存酸素濃度が
設定値を越えるのを待つ。一方、ステップ28で作動時
間が設定時間を越えても、溶存酸素濃度が設定値より低
下しない場合は、枯草菌の代謝の遅れが原因と判断し、
ポンプを停止して(ステップ29)、設定した待機時間
1〜10秒間溶存酸素濃度が設定値より低下するまで待
機する(ステップ30,33)。設定値より低下したら
、再びステップ20の状態で溶存酸素濃度が設定値を越
えるのを待ち、上述した動作を繰り返す。もし、待機時
間内に溶存酸素濃度が設定値より低下しない場合は、も
はやグルコースのみによる枯草菌の増殖は不可能であり
、他の栄養源が不足していると判断し、ポンプE2によ
り微量金属水溶液をライン2によって供給開始する。
【0021】すなわち、微量金属の供給量を調整するこ
とにより、グルコース水溶液流加の場合と同様に、同じ
溶存酸素濃度の設定値に制御する。さらに、微量金属の
供給量調整により溶存酸素濃度の制御が不可能となった
場合は、リン酸塩水溶液により溶存酸素濃度の制御を行
う。同様に、リン酸塩水溶液による溶存酸素濃度の制御
が不能となった場合は、消泡剤による溶存酸素濃度制御
に切り換える。同じく、消泡剤による溶存酸素濃度の制
御が不可能となった場合は、もはや溶存酸素濃度設定値
のレベルを保持するのには、枯草菌の活性が不足してい
るとみなし、溶存酸素濃度設定値を高くし(ステップ3
4)、設定値が40%未満であればステップ26に戻り
、ステップ26〜ステップ35の操作を繰り返し、溶存
酸素濃度の設定値が40%を越える場合は、制御量(パ
ラメータ)を溶存酸素濃度からpHに切り換え、ステッ
プ26〜ステップ35と同じ操作を培養終了まで繰り返
す。ただし、pHによる制御の段階では、グルコース流
加による制御のみでもほぼ同等の培養結果がえられるた
め、通常、グルコース流加のみのpH制御を行う。
【0022】この時、溶存酸素濃度、pHはセンサー6
,7によりアナログ信号でコンピュータAにディジタル
変換して入力し、コンピュータA上に組み込まれた制御
用ソフトウエアのシーケンス制御機能により上記の判断
を行い、ポンプE1,E2,E3,E4を起動するディ
ジタル信号を適宜出力する。
【0023】また、上述の(2)の制御は、例えば、5
リットルのジャーファーメンタの場合には、溶存酸素濃
度による制御を開始した時点(ステップ23)より、溶
存酸素濃度が設定値よりも低い時のみ、攪拌機回転数制
御の設定値を300rpmの初期値から0.05〜1.
0rpm/min、より好ましくは0.10〜0.70
rpm/min の変化速度で連続的に増加し(ステッ
プ24)、さらに供給空気量の設定値を1リットル/m
in の初期値から0〜0.1 リットル/min 2
の変化速度、より好ましくは、0.01〜0.08リッ
トル/min 2の変化速度で連続的に増加する(ステ
ップ25)。攪拌機の制御は、攪拌機Hよりアナログ信
号11をコンピュータAに取込み、アナログ/ディジタ
ル変換処理をし、コンピュータAに組み込まれた制御用
ソフトウエアのもつフィードバック制御機能によりPI
D演算を実行し、攪拌機Hにディジタル出力信号をディ
ジタル/アナログ変換し、アナログ信号で返すことによ
り攪拌機の動力を調整して実施される。空気供給量につ
いても同様に流量計9によりアナログ信号を取込み、デ
ィジタル量に変換後、コンピュータAによりPID演算
を実行し、攪拌機の場合と同様にアナログ信号を出力し
てライン5のバルブ10を調節して実施される。この場
合のコンピュータAの制御手順が図3に示される。溶存
酸素濃度の実測値が設定値より低い場合(ステップ40
)、空気供給量と攪拌速度を増加させ(ステップ41)
 、実測値が設定値と一致するか、あるいは設定値を越
えた場合(ステップ42) に、空気供給量等を一定値
に戻す(ステップ43) 。
【0024】また、上述の(3)の処理のシーケンス制
御は、培養期間の指定した時期に、所定回数、所定時間
、コンピュータAからのディジタル信号出力によりポン
プE2、E3、E4を起動し、それぞれライン2,3,
4によって培地成分および消泡剤の追加供給を行い、枯
草菌の増殖活性を高める。この場合の制御手順の一例を
図4に示す。この制御は、コンピュータAに予め複数の
命令セットをプログラムしておき、この命令セットをシ
ーケンシャルに実行させることによって行う。1つの命
令セットには、動作させるべきポンプの番号と、制御を
開始した後、どれだけの時間経過後にポンプを動作させ
るかを示す動作開始時間と、そのポンプの作動時間と、
後続する命令セットの有無を示すフラグとが設けられて
おり、初期状態において任意にプログラム可能となって
いる。図示される例では、まず命令セット1が実行され
(ステップ50) 、続いて命令セット2が実行され(
ステップ51) 、続いて命令セット3が実行される(
ステップ52) 。なお、時間カウントは、コンピュー
タAの内部タイマ(例えば、所定回数のクロックをカウ
ントすると割り込みをかけるソフトタイマ)を用いて行
う。
【0025】枯草菌の高密度培養は、上述の制御を並行
して実施することで達成される。以下、実施例により本
発明の方法を具体的に説明する。
【0026】実施例1 5リットルの培養槽に4×LB培地および、枯草菌を植
菌し、300rpmで培養液の攪拌および1.0 リッ
トル/min の流量で培養液中に空気供給を開始した
。このときの溶存酸素濃度は30%であったが、次第に
低下し、5%以下になったときに0.02リットル/m
in の流量で30%グルコース水溶液を20秒間、間
欠的に流加する溶存酸素濃度の制御を行った。
【0027】培養開始10.2時間後、グルコース水溶
液を供給しても溶存酸素濃度が設定値の5%より低下し
なくなったので、グルコース水溶液の代わりに100 
mM塩化マンガン水溶液を供給することにより、溶存酸
素濃度は5%以下となり、塩化マンガン水溶液による溶
存酸素濃度の制御が可能となった。その後、再びグルコ
ース水溶液流加による制御を行ったが、13.5時間後
、グルコース水溶液流加による制御が不可能になったた
め、再び、塩化マンガン水溶液流加による制御に移行し
た。しかしながら、今回は塩化マンガン水溶液を供給し
ても溶存酸素濃度が設定値の5%より低下しなくなった
ので、塩化マンガン水溶液の代わりに1.0 Mリン酸
カリウム水溶液を供給することにより、溶存酸素濃度は
5%以下となり、リン酸カリウム水溶液による溶存酸素
濃度の制御が可能となった。
【0028】その後、再びグルコース水溶液流加による
制御を行ったが、15.4時間後、グルコース水溶液流
加による制御が不可能になったので、再び塩化マンガン
水溶液流加による制御に移行した。しかしながら、今回
は塩化マンガン水溶液による制御も不可能であり、続く
リン酸カリウム水溶液を供給しても溶存酸素濃度が設定
値の5%より低下しなくなったので、リン酸カリウム水
溶液の代わりに、消泡剤アデカノール(旭電化製)を供
給することにより溶存酸素濃度は5%以下となり、上述
した消泡剤による溶存酸素濃度の制御が可能となった。
【0029】その後、再びグルコース水溶液流加による
制御を行ったが、18.1時間後、グルコース水溶液流
加による制御が不可能になったので、再び塩化マンガン
水溶液流加による制御に移行した。しかしながら、今回
は塩化マンガン水溶液による制御、続くリン酸カリウム
水溶液による制御、消泡剤による制御によっても溶存酸
素濃度が設定値の5%より低下しなくなったため、設定
値を10%に上げて再びグルコースによる制御を可能と
した。
【0030】上述の操作を設定値を段階的に上げて繰り
返したところ、培養開始後24時間目に設定値が40%
でも制御不可能となったので、制御量を溶存酸素濃度か
らpH(設定値7.0)に変更して、溶存酸素濃度によ
る制御と同様、グルコース、塩化マンガン、リン酸カリ
ウム各々の水溶液の流加量を交互に操作量とすることに
より培養を行った。24時間後、570 nmにおける
OD(光学密度)が105 になり、培養液をサンプリ
ングし、実測したところ、乾燥菌体重量ベースで35.
3g/リットルの枯草菌が得られた。これらの制御は、
すべてコンピュータにより実施した。また、この間、溶
存酸素濃度が設定値より低い場合、攪拌速度を0.10
〜0.65rpm/min の範囲内で増加し、空気量
を0.015 〜0.065 リットル/min2で増
加させる処理を並行して実施した。また、この間、塩化
マンガン水溶液を制御開始から5時間目に3秒間供給し
、リン酸水溶液を5時間目と10時間目にそれぞれ3秒
間供給し、消泡剤を5,8,10,12時間目にそれぞ
れ、5秒間供給する処理も並行して実施した。
【0031】実施例2 実施例1と同じ培養を再度繰り返したところ、最終的に
得られた培養液の570nm におけるOD(光学密度
)が105 になり、培養液をサンプリングして実測し
たところ、乾燥菌体重量ベースで34.7g/リットル
の枯草菌が得られており、再現性のある結果が得られた
【0032】比較例1 5リットルの培養槽に4×LB培地および、枯草菌を植
菌し、攪拌および空気供給を開始した。このときの溶存
酸素濃度は30%であり、グルコース10g、消泡剤(
培養液中に100ppm)を予め供給しておいた。培養
開始後は、グルコース、培地成分、消泡剤の流加は一切
行わなかった。また、攪拌回転数および空気供給量はそ
れぞれ300rpm、2.0 リットル/min で培
養期間巾一定とした。培養開始24時間後、570 n
mにおけるOD(光学密度)が20になり、培養液をサ
ンプリングして実測したところ、乾燥菌体重量ベースで
10.8g/リットルの枯草菌が得られた。
【0033】比較例2 実施例1において、すべて手動で制御したところ、結果
としてグルコースおよび培地成分等の供給過剰や供給不
足を生じ、図3に示すように実施例1の場合と比較して
、溶存酸素濃度の変動が大きくなり、最終的に得られた
培養液の570nmにおけるOD(光学密度)が40に
なり、培養液をサンプリングして実測したところ、乾燥
菌体重量ベースで17g/リットルの枯草菌が得られて
いた。
【0034】図3から、本発明の培養装置を用いた間欠
的なグルコース供給等の制御によれば、溶存酸素濃度が
規則的に変化し、かつその変化振幅は十分に小さく、グ
ルコース等が過不足なく与えられて枯草菌の順調な培養
が可能であることがわかる。
【0035】比較例3 比較例2と同じ培養を繰り返したところ、最終的に得ら
れた培養液の570 nmにおけるOD(光学密度)が
32になり、培養液をサンプリングして実測したところ
、乾燥菌体重量ベースで12g/リットルの枯草菌が得
られており、再現性のある結果が得られなかった。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、枯
草菌の培養槽において、培養初期にグルコース、培地成
分の流加により溶存酸素濃度を制御すると同時に攪拌速
度、空気供給量を漸増させ、さらに、培地成分の定期的
な供給を実施し、一方、培養後期にはグルコースおよび
培地成分の流加によりpHを制御することによって、枯
草菌を高密度にしかも再現性良く得ることができるよう
になり、枯草菌の生産性の向上、安定化が可能となった
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の枯草菌の培養方法を実施するための装
置の構成例を示す図である。
【図2】図1の装置における、第1の処理(培養液中へ
のグルコース、微量金属、リン酸塩等の流加処理)の制
御手順を示すフローチャートである。
【図3】図1の装置における、第2の処理(空気供給量
と攪拌速度の漸次増加処理)の制御手順を示すフローチ
ャートである。
【図4】図1の装置における、第3の処理(所定回、所
定時間の培地成分および消泡剤の供給処理)の制御手順
を説明するための図である。
【図5】本発明の実施例および比較例における溶存酸素
の変化を示す図である。
【符号の説明】
1  グルコース水溶液フィードライン2  金属水溶
液フィードライン 3  リン酸塩水溶液フィードライン 4  消泡剤フィードライン 5  空気フィードライン 6  培養液溶存酸素濃度計 7  培養液pH計 8  培養液温度計 9  フィード空気流量計 10  フィード空気流量制御用バルブ11  攪拌機
回転計 A  コンピュータ B  培養槽 C  クーラー D  ヒーター E1,E2,E3,E4  ポンプ F  コンプレッサ G1  グルコース水溶液タンク G2  金属水溶液タンク G3  リン酸塩水溶液タンク G4  消泡剤フィードライン H  攪拌機 DO2  溶存酸素 [DO2]  溶存酸素の測定値 [DO2]S  溶存酸素の設定値

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  培養液中の溶存酸素濃度またはpHを
    特定の値に保持するように、培養槽へのグルコース、培
    地成分などの栄養源の流加時間または流加速度、培養液
    への空気の供給量、および培養液の攪拌速度を調整する
    枯草菌の高密度培養方法であって、溶存酸素濃度または
    pHを制御パラメータとして用いて、コンピュータ制御
    により、流加する栄養源の選択、栄養源の供給時間およ
    び供給空気量、攪拌速度の制御を行うことを特徴とする
    枯草菌の高密度培養方法。
  2. 【請求項2】  以下の第1,第2,第3の処理を並行
    して実施することを特徴とする請求項1記載の枯草菌の
    高密度培養方法。 第1の処理:培養液中へのグルコース、微量金属、リン
    酸塩などの培地成分および消泡剤をそれぞれ間欠的に流
    加し、さらに流加時間および流加後制御判断するまでの
    待機時間をコンピュータによって自動的に調整すること
    により溶存酸素濃度を一定値に制御する。 第2の処理: 溶存酸素濃度が設定値より低い場合に、空気供給量と同
    時に攪拌速度を漸次所定量増加させる。 第3の処理: 培養前期において、枯草菌が増殖活性を保持するよう、
    所定回、所定時間の培地成分および消泡剤の供給を実施
    する。
  3. 【請求項3】  第1の処理において、培養後期におい
    て溶存酸素濃度による制御が不能となった時、pHを一
    定値に制御する処理を行う請求項2記載の枯草菌の高密
    度培養方法。
  4. 【請求項4】  第1の処理において、まず、グルコー
    ス供給による溶存酸素濃度の制御を行い、このグルコー
    スによる制御では不十分となった場合には微量金属供給
    による制御を行い、微量金属供給による制御では不十分
    となった場合にはリン酸塩供給による溶存酸素濃度の制
    御を行い、このリン酸塩供給による制御では不十分とな
    った場合には消泡剤供給による溶存酸素濃度の制御を行
    い、この後、溶存酸素濃度の目標値を変更して同様の処
    理を繰り返すことを特徴とする請求項2記載の枯草菌の
    高密度培養方法。
  5. 【請求項5】  培養槽(B)と、培養液の攪拌手段(
    H)と、培養液の温度調節手段(C,D)と、培養槽へ
    のグルコース水溶液供給手段(E1,G1,1)と、培
    養槽への金属水溶液供給手段(E2,G2,2)と、培
    養槽へのリン酸塩水溶液供給手段(E3,G3,3)と
    、培養槽への消泡剤供給手段(E4,G4,4)と、培
    養槽への空気供給手段(F,5,10)と、培養液の溶
    存酸素濃度を測定する濃度測定手段(6)と、培養液の
    pHを測定するpH測定手段(7)と、培養液の温度を
    測定する温度測定手段(8)と、培養液の溶存酸素濃度
    またはpHを所定値に保つように各手段を統括的に制御
    する制御手段(A)とを有することを特徴とする培養装
    置。
JP50591A 1991-01-08 1991-01-08 枯草菌の高密度培養方法および培養装置 Pending JPH04234981A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP50591A JPH04234981A (ja) 1991-01-08 1991-01-08 枯草菌の高密度培養方法および培養装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP50591A JPH04234981A (ja) 1991-01-08 1991-01-08 枯草菌の高密度培養方法および培養装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH04234981A true JPH04234981A (ja) 1992-08-24

Family

ID=11475626

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP50591A Pending JPH04234981A (ja) 1991-01-08 1991-01-08 枯草菌の高密度培養方法および培養装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH04234981A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001145480A (ja) * 1999-10-11 2001-05-29 F Hoffmann La Roche Ag 連続発酵工程
WO2004044183A3 (en) * 2002-11-12 2004-07-29 Akzo Nobel Nv Feeding processes for fermentation
JP2006034235A (ja) * 2004-07-29 2006-02-09 Fukuoka Prefecture Shoyu Jozo Kyodo Kumiai 高分子化合物を生産する微生物の培養装置及び培養方法
JP2007236286A (ja) * 2006-03-08 2007-09-20 Nippon Soda Co Ltd バチルス属細菌の芽胞形成方法
CN109055272A (zh) * 2018-09-07 2018-12-21 安徽瑞邦生物科技有限公司 一种高密度培养枯草芽孢杆菌的方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001145480A (ja) * 1999-10-11 2001-05-29 F Hoffmann La Roche Ag 連続発酵工程
WO2004044183A3 (en) * 2002-11-12 2004-07-29 Akzo Nobel Nv Feeding processes for fermentation
JP2006034235A (ja) * 2004-07-29 2006-02-09 Fukuoka Prefecture Shoyu Jozo Kyodo Kumiai 高分子化合物を生産する微生物の培養装置及び培養方法
JP2007236286A (ja) * 2006-03-08 2007-09-20 Nippon Soda Co Ltd バチルス属細菌の芽胞形成方法
CN109055272A (zh) * 2018-09-07 2018-12-21 安徽瑞邦生物科技有限公司 一种高密度培养枯草芽孢杆菌的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Neubauer et al. Influence of substrate oscillations on acetate formation and growth yield in Escherichia coli glucose limited fed‐batch cultivations
US7521203B2 (en) Feeding processes for fermentation
US5912113A (en) Method and apparatus for controlling carbon source concentration in aerobic cultivation of a microorganism
AU702567B2 (en) Fermentation control
US20060275858A1 (en) Optimization of Process Variables in Oxygen Enriched Fermentors Through Process Controls
Yamane et al. Fed‐batch culture automated by uses of continuously measured cell concentration and culture volume
CN116224806A (zh) 基于数字孪生技术发酵操作变量优化控制方法
JPH04234981A (ja) 枯草菌の高密度培養方法および培養装置
CN116540533A (zh) 一种基于数字孪生技术发酵溶解氧浓度优化控制方法
CN101522883A (zh) 增加发酵生产力和经济性的溶解氧图谱
JPH06261741A (ja) 微生物増殖方法
CN1041534C (zh) 在微生物通气培养过程中控制碳源浓度的方法和装置
Oh et al. Interactive dual control of glucose and glutamine feeding in hybridoma cultivation
CN103509883A (zh) 新颖的适用于多种微生物发酵的补料调控工艺
Schwabe et al. Improving an on-line feeding strategy for fed-batch cultures of hybridoma cells by dialysis andNutrient-Split'-feeding
De León et al. Two useful dimensionless parameters that combine physiological, operational and bioreactor design parameters for improved control of dissolved oxygen
Hibino et al. Three automated feeding strategies of natural complex nutrients utilizing on-line turbidity values in fed-batch culture: A case study on the cultivation of a marine microorganism
CN112746030B (zh) 一种硝化细菌的培养方法
SU1288660A1 (ru) Способ автоматического управлени процессом культивировани микроорганизмов
JPH0361439B2 (ja)
CN107129934B (zh) 快速筛选好氧微生物最适pH调节剂及确定最适生长pH值的方法
JPH0368670B2 (ja)
JP2772152B2 (ja) 二次代謝産物の培養生産方法
De Coninck et al. Modeling Tetrahymena thermophila growth and protease production
SU907072A1 (ru) Способ получени лимонной кислоты