JPH04218368A - プラスミノーゲン・アクチベーター前駆体の製造法 - Google Patents

プラスミノーゲン・アクチベーター前駆体の製造法

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JPH04218368A
JPH04218368A JP29294090A JP29294090A JPH04218368A JP H04218368 A JPH04218368 A JP H04218368A JP 29294090 A JP29294090 A JP 29294090A JP 29294090 A JP29294090 A JP 29294090A JP H04218368 A JPH04218368 A JP H04218368A
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俊二 笠井
Hirobumi Arimura
有村 博文
Tatsukage Mori
森 樹蔭
Masayuki Nishida
正行 西田
Tadakazu Suyama
須山 忠和
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、プラスミノーゲン・アクチベーター前駆体の
製造法に関する。
〔従来技術・発明が解決しようとする課題〕プラスミノ
ーゲン・アクチベーターは、プラスミノーゲンを、繊維
素溶解能を有する活性なプラスミンに変換する活性化因
子である。
従来、プラスミノーゲン・アクチベーターとしては、ウ
ロキナーゼが著名である。このものは人尿および人腎細
胞の培養液から精製されており、主として分子量3万と
、分子量5万の2種からなる。このウロキナーゼは、高
分子のものが活性も高く最も医薬品として有用である。
そしてその分子構造は、H鎖(分子量3万)、L鎖(分
子量2万)の2本の鎖かジスルフィド結合によってのみ
連結されている。それ故、還元処理によって容易に低分
子化される性質を持っていた。
本発明者は、上記知見を認識し、よりすぐれたプラスミ
ノーゲン活性化能をもつプラスミノーゲン・アクチベー
ター前駆体(以下「チモゲン」ともいう。)を得るべく
研究を重ねた。その結果、既知分子型のウロキナーゼに
比して、フィブリンへの親和性の高いチモゲンを分離精
製することができる方法を知見し、本発明を完成するに
至った。
〔課題を解決するための手段〕
即ち、本発明は、プラスミノーゲン・アクチベーター前
駆体の製造法であって、少なくとも以下の(a)〜(d
)の工程を順次行うことを特徴とするものである。
(a)本前駆体を産生する細胞培養上清をpH4.5〜
6.5の条件下で陽イオン交換体に接触させて、本前駆
体を吸着させる。
(b)pH7.5〜9.5の条件下で、本前駆体を該陽
イオン交換体より溶出させる。
(c)溶出画分をpH6〜8の条件下で、本前駆体抗体
カラムに接触させて、本前駆体を吸着させる。
(d)pH2〜4の条件下で、本前駆体を該抗体カラム
より溶出させる。
また、特に本前駆体を産生する細胞が人腎細胞である場
合には、本発明法により以下の性質を有するチモゲンを
製造することができる。
(ア)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により
測定した分子量が約5万ダルトンである。
(イ)還元剤処理によって低分子化が起こらない。
(ウ)チモゲン自体は酵素活性を示さない。
(エ)プラスミン処理により酵素活性を発現し、その際
の比活性が少なくとも80,000IU/mgである。
本発明法を実施するに際して、プラスミノーゲン・アク
チベーター前駆体を産生する細胞は以下のようにして調
整、培養される。
<細胞の調製> 細胞としては、プラスミノーゲン・アクチベーター前駆
体を産生する細胞であれば特に制限されないが、好まし
くは人腎細胞が用いられる。この人腎細胞は、例えば人
胎児腎より得られるPrimaryculture又は
dipioid cellsを入手し、これを継代培養
し、本チモゲン産生細胞を分離したものが利用される。
例えば細胞を2〜20×104cells/mlの数で
植え込み、3日間ほど培養を続け、細胞数が植え込み数
の約3倍になった時点でトリプシン−EDTA混液を添
加し、単層の幼若な細胞を回収して得たものが使われる
<培養条件> 培養培地としては、例えば、Waymouthの培地、
Dulbecco’s modified MEM培地
などが用いられ、前培養時には、前記該培地中に熱不活
化牛脂児血清を5%添加し、本チモゲン産生時には無血
清培地、好ましくは、ヒト血清アルブミンを添加した無
血清培地を用いて培養する。無血清培地にはヒトまたは
ウシアルブミン、ラクトアルブミン水解物、トランスフ
ェリン、各種アミノ酸、各種脂肪酸、インシュリン等の
ホルモンなどを添加してもよい。培養培地は2〜3日程
度ごとに交換する。
この培地中に本チモゲンが産生され得る。
産生された本チモゲンは、以下のようにして回収(分離
、精製)される。
<本チモゲンの回収> 培地からの本チモゲンの回収は、例えば、当該培地を遠
心分離、減圧濃縮、塩析分画、ゲル濾過、濃縮、イオン
交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラ
フィー等を、適宜組み合わせることによって行なわれる
より具体的には、例えば次のごとき方法によって回収さ
れる。すなわち、まず培地を遠心分離し、上清を回収す
る。この回収液をイオン交換クロマトグラフィーにより
部分精製する。担体としては、弱酸性陽イオン交換体が
最適であり、例えばCM−交換体、あるいはDuoli
te等が例示される。担体をpH4.5〜6.5、より
好ましくはpH5〜6に調整した後、回収液を展開して
担体に吸着させる。
上記の緩衝液で洗浄した後に、pH7.5〜9.5、よ
り好ましくはpH8〜9の緩衝液で本チモゲンを溶出す
る。緩衝液としては、リン酸緩衝液等が例示される。さ
らに、この溶出液をアフィニティークロマトグラフィー
により高度精製する。担体としては、ポリクローナル抗
体カラム、モノクローナル抗体カラムのどちらを用いて
もよい。
ポリクローナル法の場合、抗本チモゲン抗体は、高度に
精製した本チモゲンを動物に免疫して得られた血清から
回収・精製することによって得られる。
当該抗血清の製造は公知の方法にて行なえばよく、例え
ば高度精製本チモゲンとフロインドの完全アジュバント
の混合乳液を作り、動物の皮内に2〜3回注射し、最終
免疫の数日後採血を行ない、室温で凝固せしめた後、4
℃で一夜放置し、3,000rpm、20分間の遠心分
離により当該抗血清が得られる。
免疫に用いる動物としては、特に特定の動物種を選ぶ必
要はなく、例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヤギ、ウ
マ等が挙げられる。当該抗血清の精製は、例えば、J.
Am.Chem.Soc.、62.3386(1940
)、Fed.Proc.、17.1161(1958)
に記載の方法にて行われる。
モノクローナル法の場合、細胞融合法により抗本チモゲ
ンを得る。細胞融合法は自体既知の手段にて行なわれ、
その一例は増殖性を持った細胞と目的とする抗体を産生
しているリンパ球とをポリエチレングリコールの存在下
で反応せしめることにより、増殖性と抗体産生能とを同
時に兼ねそなえた細胞を製するもので、この細胞の産生
する抗体は一個の抗原決定基に対してのみ反応する単一
の抗体である。
本発明では増殖性を持つ細胞としてマウスミエローマ細
胞を、抗体産生リンパ球として本チモゲンで免疫された
マウス脾臓細胞(B細胞)を用いて融合させ、さらに目
的とする抗体を産生している細胞をスクリーニングして
、本チモゲンのモノクローナル抗体を得る。
また、このようにして得られた抗本チモゲン抗体を、そ
の活性を失うことなく固定化する方法としては、以下の
不溶性マトリックスを応用することができる。アミノ酸
のコポリマー(J.Biol.Chem.、236、1
970(1961))、セルロース(Nature、1
89、576(1961))、アガロースあるいはセフ
ァデックス(Nature、215、1491(196
7)、Nature、245、3059(1970))
、ポリアクリルアミド(Bio−chem.、8.40
74(1966))。これらの方法により抗本チモゲン
抗体を効率良く固定化しうる。また、このようにして得
られた吸着剤を用いることにより、収率良く、しかも高
純度の本チモゲンを得ることができる。
本チモゲンのアフィニティークロマトグラフィーは以下
の通りである。陽イオン交換体により部分精製した本チ
モゲンを、pH6〜8の緩衝液で平衡化した抗本チモゲ
ン抗体カラムと接触、吸着させる。吸着後、該カラムを
洗浄し、pH2〜4の水溶液で溶出を行う。
なお、上記の回収法は、本発明法の一例を示したにすぎ
ず、もちろん他の方法を追加することによって回収して
もよい。例えば、抗原性が一致することから、抗ウロキ
ナーゼ抗体を固定した担体を本チモゲンの精製に同様に
利用できる。かくして得られた本チモゲンは、化学用、
薬学用、医学用の試薬として用いてもよく、又医薬品と
して用いる場合には、医薬品の製造の通例技術にしたが
って、要すれば加熱処理、除菌濾過、凍結乾燥、分注、
製剤化を行なえばよい。又、精製工程中または精製後、
溶液中に安定化剤として、アルブミンまたは非イオン性
界面活性剤、例えばトリトンX−100、Tween8
0等を添加することが好ましい。
かくして有用な本ブラスミノーゲン・アクチベーター前
駆体を含有する医薬が提供される。
本発明法により得られるブラスミノーゲン・アクチベー
ター前駆体の一例(後述の実施例)について、その特性
を以下に示す。
<本チモゲンの特性> ■分子量 SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(Natu
re.227.680−685(1970))を用いて
、本発明法により得られた本チモゲンの分子量を測定し
たところ、約5万ダルトンであった。なお分子量は分子
量既知の標準蛋白との比較によって決定し、また前処理
として、37℃、2時間または100℃、2分間、1%
2−メルカプトエタノールによる還元処理を各々行なっ
た。
■酵素感受性 J.Biol.Chem.、257.3276−328
3(1980)に準じて、プラスミンに対する感受性実
験を行なった。その結果、本チモゲンはそれ自身はプラ
スミノーゲンアクチベーター活性を示さなかった。しか
し、プラスミン処理をすることにより活性が発現し、そ
の活性発現の程度はプラスミン処理の濃度(表1)、お
よびその処理時間(表2)に依存していた。活性測定法
は後記の通りである。
前者の実験は、本チモゲン蛋白量として、1.3μg/
m■を調製し、これに各濃度のプラスミンによって約6
0分間の前処理を行なった後に発現される酵素活性を測
定した。
後者の実験は、プラスミンを0.1μg/m■および本
チモゲン蛋白量として1.3μg/m■を調製し、プラ
スミンによる処理時間による効果を経時的に測定した。
このことから、本プラスミノーゲン・アクチベーター前
駆体は、チモゲンの一種であることが判明した。
また、本チモゲンを、プラスミン処理した後還元処理し
、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行なった
ところ、分子量約3万と、約2万の断片に分解されてい
た。よって、このプラスミン処理後の生成物は、従来の
人尿由来ウロキナーゼと同一物と推定される。
(以下余白) ■還元剤処理 1%SDS、1%2−メルカプトエタノール、37℃・
2時間、もしくは、100℃・2分間の処理に対する本
チモゲンの抵抗性を分子量側定法に準じて調べた。その
結果、未処理本チモゲンと処理後本チモゲンとは、同じ
一本の帯の電気泳動パターンを示し、この本チモゲンが
一本鎖であることを確認した。
■活性測定法 合成基質法(クリーソンらHaemostasis..
776(1978))、もしくは平板法(アストラップ
らArch.Biochem.Biophys..40
,346−351(1952))によって活性を測定で
きた。フィブリノーゲンはMiles社のbovine
.fibrinogen.Fr.I(微量のプラスミン
を含む)を使用した。
■アミノ酸組成および配列 本発明者らは、既に、ヒトウロキナーゼをコードするm
RNAを、本発明に用いたのと同じ人腎細胞から分離し
、そのcDNAの塩基配列を決定した(特願昭59−3
7119号)。一方、本チモゲンをCNBrを用いた化
学的切断、lysyl endopepti−dase
を用いた酵素的切断により得られた各フラグメントにつ
いて、アブライドバイオシステムズ社のGas−Pha
se Protein Sequencer Mode
l 470Aを使用した自動Edman分解法により、
350アミノ酸残基の領域(全構造の85%)について
アミノ酸配列を決定し、それを第1図に示した。その結
果、ヒトウロキナーゼ前駆体をコードするcDNAから
予想されるアミノ酸配列と本チモゲンのアミノ酸配列と
は完全に一致した。
さらに、本チモゲンを加水分解し、そのアミノ酸組成を
調べた(表3)。アミノ酸組成についても両者は一致し
た。
これらの知見から本チモゲンは、ヒトウロキナーゼ前駆
体(ヒトUK前駆体)をコードするcDNAから推定さ
れたウロキナーゼ前駆体そのものに相当することが強く
支持された。
■その他の性状について 活性中心:ウロキナーゼのセリン活性部位に結合するp
−アミノベンズアミジンを固定したセファローズゲルに
、本チモゲンを接触させたが、吸着しなかった。このこ
とから、本チモゲンのセリン活性部位は分子内部にはい
っており、従来のウロキナーゼとは高次構造が異なって
いるものと推定される。
二次構造:本チモゲンを円偏光二色性によってα−ヘリ
ックス含量を調べたところ、従来の人尿由来ウロキナー
ゼに比較して、α−ヘリックス含量が高かった。このこ
とから、本チモゲンと、従来の人尿由来ウロキナーゼと
は、二次構造が異なっていることが示された。
フィブリン親和性:本チモゲン(酵素量として5U)を
フィブリノーゲン2mg/mlを含む反応混合物(例え
ば血漿など)に添加した。この検体をトロンビンにより
凝固させた後、37℃で15分間インキュベーションし
た。凝塊と上清を遠心分離し、上清のプラスミノーゲン
活性を測定した。この値を非結合量とし、全体量から引
いた値をフィブリンの結合量として算出した(表4)。
本チモゲンはフィブリンへの親和性が強く、組織プラス
ミノーゲン・アクチベーター類似の性質を有する。この
ことは血栓溶解療法において重要な意味を持つ。即ち、
従来のウロキナーゼではプラスミンの失活が早いために
大量投与しなければならず、そのために出血傾向などの
重篤な副作用が惹起される。ところが、本チモゲンはフ
ィブリンへの親和性か高いために固相(フィブリン)上
に限定した線溶現象を惹起させることができ、血栓溶解
療法にとって理想的な医薬を提供するものである。
フィブリノーゲンへの影響:従来の人尿由来ウロキナー
ゼは、血栓部位のフィブリン以外に、血漿中のフィブリ
ノーゲン、凝固因子(第V因子、第VIII因子、第X
III因子)をも分解し、出血傾向増大の副作用が問題
となる。そこで、本チモゲンによる血漿中のフィブリノ
ーゲン分解を調べた。
125Iでラベルしたフィブリノーゲンを人血漿中に前
もって添加しておき、本チモゲン(500U/ml)又
は従来の人尿由来ウロキナーゼ(1,500IU/ml
)を加え、37℃下、2分、10分、60分、120分
、180分後にサンプリングし、SDS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動とオートラジオグラフィーにより、
125I−フィブリノーゲンの分解の程度を経時的に測
定した。
分子量330,000のフィブリノーゲンは、プラスミ
ンにより、分子量240,000、155,000、8
5,000、50,000の断片、およびその他の小さ
な断片に分解されるが、本チモゲンは、血漿中に180
分間存在させてもフィブリノーゲンをほとんど分解しな
かった。一方、従来の人尿由来ウロキナーゼを作用させ
た場合、10分間でかなり多くのフィブリノーゲンが分
解され、さらに分解は進んでいった。
すなわち、本チモゲンは、フィブリンへの親和性が高く
、フィブリン溶解能は高いが、血漿中のフィブリノーゲ
ンを分解しないことより、血栓部位のフィブリンのみを
分解し、ウロキナーゼ大量投与の際に問題となる副作用
である血中フィブリノーゲン減少に伴う出血傾向の増大
を引き起こし難いといえる。
血栓溶解能:ヒト血漿から作成したフィブリン血栓に対
する溶解能を調べた。125Iでラベルしたフィブリン
血栓を、本チモゲンまたは、従来の人尿由来ウロキナー
ゼ含有血漿中で37℃、3時間放置し、溶解したフィブ
リンの放射活性を測定した。その結果を、表5に示す。
この結果より本チモゲンの血栓溶解能は、従来の人尿由
来ウロキナーゼのそれより、約3倍優れていることが判
明した。
血漿中での安定性:血漿中での本チモゲンの分子量、及
び一本鎖の構造を調べることにより、安定性を検討した
。125Iでラベルした本チモゲン(500U/ml)
を37℃の人血漿中で放置し、1時間、2時間、3時間
後にサンプリングし、それを二分した。一方は、1%S
DSで変性し、他方は、1%SDS及び1%2−メルカ
プトエタノールで還元処理した。これらのSDS−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動およびオートラジオグラフ
ィーを行なった結果、3時間後においても、非還元およ
び還元処理ともに0時間と同じ泳動パターンを示し、分
子量約5万の1本の帯を示した。よって、本チモゲンの
分子量および一本鎖の構造は、血漿中では安定といえる
前記合成基質法により、本チモゲンの血漿中でのウロキ
ナーゼ活性を測定したが、活性は発現しなかった。
以上のことより、本チモゲンは、酵素前駆体として血漿
中で安定であると言える。
抗ウロキナーゼ抗体および抗ヒトメラノーマ由来TPA
(組織プラスミノーゲン・アクチベーター)抗体による
酵素活性の中和:本チモゲンの活性をプラスミンにより
発現させた。さらに、抗ウロキナーゼ抗体、もしくは抗
ヒトメラノーマ由来TPA抗体を添加し、37℃、90
分間放置後、残存酵素活性を前記合成基質法、もしくは
平板法で測定したところ、プラスミン処理によって発現
する本チモゲンの酵素活性は、抗ウロキナーゼ抗体によ
って阻害されたが、抗TPA抗体によっては阻害されな
かった。
以上のことより、本チモゲンは、ウロキナーゼの前駆物
質であり、フィブリン親和性において、TPAと類似の
性質を示すが、TPAや、その前駆物質とは異なる物質
である。
血栓溶解の機序:以上の本チモゲンの性質から、この酵
素は従来の人尿由来ウロキナーゼとは血栓溶解機構が異
なっているものと思われる。
人尿由来ウロキナーゼは、血漿中および血栓上のプラス
ミノーゲンに直接的に作用してプラスミンを生成し、こ
のプラスミンがフィブリノーゲンやフィブリンを分解す
る。
一方、本チモゲンは血漿中ではプラスミノーゲン・アク
チベーター活性を示さず、フィブリンとの親和性が高い
故、血栓部位に到達しやすく、フィブリンに結合し、血
栓中に含まれる微量のプラスミンにより血栓上でウロキ
ナーゼ活性を発現すると思われる。そして、フィブリン
分子に結合しているプラスミノーゲンをプラスミンに変
換し、フィブリンを分解すると思われる。
このように、本チモゲンを使用した場合、フィブリン(
血栓)という固相上のみに限定した線溶現象を期待する
ことができ、新しいタイプの線維素溶解剤として大いに
期待できる。
以下に本発明にかかるプラスミノーゲン・アクチベータ
ー前駆体の製造法の一実施例を示す。
〔実施例〕
培養人腎細胞を、0.1%ヒト血清アルブミン添加無血
清培養液に3日間培養し、培養液を遠心分離し、その上
清を凍結して保存した。プールした培養上清をpH5.
5に調整した後、CM−SephadexC−50に接
触させた。0.16Mリン酸緩衝液(pH5.5)でカ
ラムを洗浄した後、0.16Mリン酸緩衝液(pH8.
5)を用いて、カラムに吸着した本チモゲンを溶出させ
た。
一方、本チモゲンで予め免疫しておいたマウスBALB
/cの脾臓細胞とマウスミエローマ細胞とをポリエチレ
ングリコールにより融合させたハイプリドーマのうち、
本チモゲンに対する抗体産生の高いクローンを選択した
。この融合細胞の培養液から、抗本チモゲンモノクロー
ナル抗体を回収した。このモノクローナル抗体を、CN
Br活性化合物Sepharose 4B(Pharm
acia社)に固定した。
0.4MNaCl含有0.1Mリン酸緩衝液(pH7.
0)を用いて、このモノクローナル抗体カラムを平衡化
し、これに前記の本チモゲンを含有する溶出液を接触さ
せた。0.4MNaCl含有0.1Mリン酸緩衝液(p
H7.0)でカラムを洗浄した後、カラムに吸着した本
チモゲンを0.5MNaCl含有0.2Mグリシン−H
Cl水溶液(pH2.5)で溶出させた。溶出液を除菌
濾過した後、凍結乾燥して、比活性が少なくとも80,
000U/mgの高度に精製された本チモゲンを得た。
なお、この精製品はSDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動法により、分子量5万の1本の帯を示した。
〔発明の効果〕
本発明にかかるプラスミノーゲン・アクチベーター前駆
体の製造法により、繊溶活性の高いプラスミノーゲン・
アクチベーターに変換し得るチモゲンを製造(分離、精
製)することができる。
また、特にチモゲンを産生する細胞が人腎細胞である場
合には、本発明法により比活性が少なくとも80,00
0IU/mgであるチモゲンを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ヒトウロキナーゼ前駆体をコードするcDN
Aから予想されるアミノ酸配列と、本チモゲンのアミノ
酸配列分析から同定された領域とを示す。 図中、実線部分はアミノ酸配列分析がなされ同定された
領域を、他方破線部分は未同定領域を示す。Cm−P、
C1〜8、L1〜12はそれぞれ還元アルキル化本チモ
ゲン、そのCNBr分解ペプチドおよびリジルエンドペ
プチダーゼ分解ペプチドを示す。CPaseA(←)は
カルボキシルペプチダーゼAを用いてC末端側から同定
された領域を示す。 特許出願人 株式会社 ミドリ十字 復代理人 弁理士 高島一

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも以下の(a) ̄(d)の工程を
    順次行うことを特徴とするプラスミノーゲン・アクチベ
    ーター前駆体の製造法。 (a)本前駆体を産生する細胞培養上清をpH4.5〜
    6.5の条件下で陽イオン交換体に接触させて、本前駆
    体を吸着させる。 (b)pH7.5〜9.5の条件下で、本前駆体を該陽
    イオン交換体より溶出させる。 (c)溶出画分をpH6〜8の条件下で、本前駆体抗体
    カラムに接触させて、本前駆体を吸着させる。 (d)pH2〜4の条件下で、本前駆体を該抗体カラム
    より溶出させる。
  2. 【請求項2】人腎細胞の培養培地より回収しうる蛋白質
    であり、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によ
    り測定した分子量が約5万ダルトンであり、還元剤処理
    によって低分子化が起こらず、またそれ自体は酵素活性
    を示さないが、プラスミン処理により酵素活性を発現し
    、その際の比活性が少なくとも80,000IU/mg
    であるチモゲンの一種であるプラスミノーゲン・アクチ
    ベーター前駆体を得ること特徴とする特許請求の範囲(
    1)記載の製造法。
JP2292940A 1990-10-29 1990-10-29 プラスミノーゲン・アクチベーター前駆体の製造法 Expired - Lifetime JPH0612991B2 (ja)

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JP2292940A Expired - Lifetime JPH0612991B2 (ja) 1990-10-29 1990-10-29 プラスミノーゲン・アクチベーター前駆体の製造法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007105033A (ja) * 2005-09-13 2007-04-26 Takara Bio Inc レトロウィルス産生用無血清培地

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Title
BIOCHIMICA ET BIOPHYSICA ACTA=1977 *
J.BIOL.CHEM=1982 *

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JPH0612991B2 (ja) 1994-02-23

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