JPH0419135Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、コンクリートブロツク（以下ブロツ
クともいう）内に鉄板を配設させ、且つブロツク
内で鉄筋横設用の切欠溝を形成させたもので、ブ
ロツク自身及び該ブロツク積込みにより構築され
るブロツク壁面を強度増強等なさしめたコンクリ
ートブロツクに関するものである。

〔従来の技術〕

従来のコンクリートブロツク１′は、第６図に
示す如く、一定間隔を有してなる２枚の壁面板
２′及び該２枚の壁面板２′間に接続された接続板
３′からなるものであり、当該ブロツクを上下、
左右に連接させて各種建物の間仕切り、門、塀等
としての利用、或いは空洞６′に鉄筋を配しコン
クリートを流し込み、補強コンクリートブロツク
として低層建物の構造壁体として利用されている
ものである。

そして、ブロツク製造に際しては、通常金型か
らなる成形用型枠をセツトし、該型枠内にコンク
リートを注入し固め脱型後、養生固化されて製品
となるものである。

〔考案が解決しようとする問題点〕

前述した従来のコンクリートブロツクは、この
ブロツク自身の強度に限界を有するもので、過大
な重量が掛かる場合或いは壁体が過大な強度を要
求される場合、例えば中層、高層での建造物に於
ける構造壁体としては、ブロツクを鉄筋にて補強
しても強度上問題点を有するものであつた。建造
物壁体を形成させるためのブロツクの利用は、ブ
ロツク組積によつて容易に成され、本質枠体によ
る仮枠組等の現場施工手間が省略される等、多く
の長所を有しており、強度のある構造体としての
ブロツクの出現が期待されていた。

また、従来のコンクリートブロツクの製造段階
に於ける成形用型枠のセツト及び脱型に於いて
も、特にブロツクの内方に存する空洞部の形成に
於いては、空洞部を形成するがための中枠が外し
難い等ブロツク量産上の問題も有していた。

さらに図示しないが、横筋配筋用の凹部を有す
るコンクリートブロツクであつても複数本の鉄筋
の配筋作業に際しては、その配設位置の特定及び
間隔距離の設定に際しては多大の苦労を要し、不
能率な作業工程を余儀なくされた。

本考案は、前述した従来のコンクリートブロツ
クの問題点を解決するがためになされたもので、
ブロツク内に鉄板を配設するとともに、特に本考
案にあつては接続板に鉄筋横設用の切欠溝を形成
したことにより、ブロツク積込み時には必要に応
じて縦方向の鉄筋は勿論のこと特に横方向の鉄筋
が極めて確実かつ容易に所定位置に配設可能と
し、またコンクリート充填時は横方向の連結性も
一層確実強固なものとなり、ブロツク自身に於い
て著しく強度増強され、ブロツク組積公報の簡略
化がなされ、且つ構築されたブロツク壁面が強靱
なものとなり、ブロツク構造壁体の応用面を拡げ
るとともに、ブロツクの量産製造段階に於ける型
枠、型枠セツト、脱型工程を簡略化ならしめるコ
ンクリートブロツクを提供することを目的とする
ものである。

〔問題点を解決するための手段〕

前述した問題点は、一定間隔を有してなる２枚
の壁面板、該壁面板間に接続された１枚若しくは
複数枚の接続板からなるコンクリートブロツクに
於いて、前記接続板に鉄筋横設用の切欠溝が形成
され、前記接続板の裏面及び前記接続板周面に鉄
板が配設されたことを特徴とするコンクリートブ
ロツクによつて解決されるものである。

〔実施例〕

以下、本考案の構成を実施例に基づいて詳述す
る。

第１図は本考案のコンクリートブロツクの一実
施例を示す斜視図であり、コンクリートブロツク
１には、２枚（１枚若しくは２枚以上の複数であ
つても良い）のコンクリート、モルタル等の水硬
性物質からなる接続板３がコンクリート、モルタ
ル等の水硬性物質からなる壁面板２間に一体的に
接続され、壁面板２は、一定間隔を有してほぼ平
行に対向し、これによりコンクリートブロツク１
に空洞６が形成される。接続壁３には、ブロツク
１の積込み時に水平方向に補強用鉄筋を容易に配
すことを可能とすべく、少なくとも該鉄筋の太さ
に相当する巾を有する鉄筋横設用の切欠溝４が、
形成されている。この切欠溝４は、第１図に於い
ては接続板３の上下に各２ケ所に形成されている
が、上方のみ若しくは下方のみに形成されても良
く、またその数は２ケ所に限定されるものではな
く、１ケ所若しくは３ケ所等複数であつても良
い。

そして、コンクリートブロツク１には壁面板２
の裏面及び接続板３の外周面に鉄板５が配設さ
れ、これによりコンクリートブロツク１に空胴６
が形成される。鉄板５は、あらかじめ形鋼、引抜
鋼管或いは薄状鉄板等をプレス成形若しくは板金
加工等の手段にて製作されたものであり、コンク
リートブロツク成形段階では鉄板５が型枠内にセ
ツトされ、然る後コンクリートと鉄板５が一体と
なつてコンクリートブロツク１が完成されるもの
である。

第２図は、本考案のコンクリートブロツク１の
他の実施例を示す斜視図であり、第３図は第２図
の側面図である。接続板３の上端３ａが壁面板２
の上端２ａより凸設され、且つ接続板３の下端３
ｂが壁面板２の下端２ｂより凹設されており、こ
の接続板の下端３ｂの凹設深さは、接続板３の上
端３ａが壁面板２の上端２ａより凸設した高さに
等しいか若しくはその高さを少し上回る高さにな
されるものである。然して第４図に示す如く、ブ
ロツク積込み時には、下方に位置するブロツクの
凸設した接続板３の上端３ａが上方に位置するブ
ロツクの凹設した接続板３の下端３ｂに嵌合さ
れ、ブロツク積込み時のブロツクの位置ずれが防
止されるとともに、ブロツク組積み工程が堅固に
且つ正確に且つ作業効率の向上を伴つてなされる
ものである。

尚、第４図は鉄筋１１を切欠部４に横設した上
で中詰めコンクリートが、空洞５及び切欠部４を
介して縦横に連結されている状態を示すものであ
る。さらに、第５図は接続板３に中空部５が形成
された実施例を示すものであり、第６図は第５図
の側面図である。

第４図は、本考案のコンクリートブロツク１の
他の実施例を示す斜視図であり、２枚の壁面板２
の上縁にブロツク積込み接続用の段部７を内方に
設けたもので、この段部７の奥行きは壁面板２の
下端２ｂの厚さにほぼ等しく、且つ前記段部７の
高さに相当して接続板３の下端３ｂが壁面板２の
下端より凹設されている。

然して、ブロツク積込み時には第５図に示す如
く、下方に位置するブロツクの上端の段部７に、
上方に位置するブロツクの下端２ｂが嵌合され、
第２図の実施例の場合以上に、ブロツク積込み時
のブロツクの位置ずれが防止されるとともにブロ
ツクを空積みした後、一括して中詰めコンクリー
ト、モルタル等を流し込むことも可能となり、ブ
ロツク組積み工程が堅固に且つ正確に且つ作業効
率の向上を伴つてなされるものである。加えて、
段部７によりブロツク接合時の横目地モルタルは
要しないものとなり、且つ雨水等のブロツク内部
への侵入も防止されるものである。

尚、第５図に於いては、鉄筋１０が切欠溝４に
配設され且つ中詰めコンクリートが注入されてい
る状態を示している。

また、本考案のコンクリートブロツクに於いて
第２図に併記した如く、１枚若しくは２枚の壁面
板２の表面に曲線状、直線状、図形状等若しくは
表面の凹凸等による装飾用模様８を形成させた
り、或いは第４図に併記した如く、タイル、石材
等の装飾用外装部材９を添設させれば、ブロツク
積込み工事終了とともに外観美装された堅固なブ
ロツク構造壁面が完成されるものである。

尚、本考案のコンクリートブロツクの壁面板の
寸法は、JIS規格寸法（長さ390mm×高さ190mm）
であつても良いし、さらに大寸法のものであつて
も良い。大型のコンクリートブロツクであれば、
ブロツク壁面構築上、組積みされるブロツク数が
減じ、施工手間が減少する等の利点を生ずるもの
である。

〔考案の作用及び効果〕

上記構成に係る本考案のコンクリートブロツク
は、コンクリートブロツクの壁面板の裏面及び接
続板の周面に高強度を有する鉄板が配設されてい
るから、ブロツク自身が従来のブロツクに比して
著しい高強度を有するとともに、ブロツク積込み
による壁体構築に於いては、ブロツクの空胴部に
コンクリートを流し込まむことで当該鉄板が鉄筋
の役目を果たし、従来のブロツクに配筋を施した
場合と比較して、同等若しくはそれ以上の強度を
有するブロツク壁体を構築することができ、本考
案のコンクリートブロツクの応用性は著しく拡が
るものである。

即ち、本考案のコンクリートブロツクは、各種
建物の間仕切り、門、塀等としての利用に於いて
は、従来に比して著しく補強されたブロツク壁面
を構築でき且つ配筋作業を略し作業効率が向上し
得るものとなり、さらに本考案のブロツクに中詰
めコンクリートの注入に加えて鉄筋を配する際に
は、接続板に鉄筋横設用の切欠溝が形成されてい
るから、横筋を該切欠溝に嵌め込むことで、該横
筋が位置移動することなく且つ何れのブロツクに
於いても画一的に定められた位置に横筋が配され
るもので、横筋の配設作業が極めて容易に然も作
業者の熟練度に関わりなく、最良の状態で横筋の
配設が可能となるものである。そして、切欠溝を
介してのコンクリートの横方向の連結性は勿論の
こと、この横筋の配設により横方向のブロツクは
強固に一体的に連結され、ブロツクの空胴に注入
された中詰めコンクリート或いは必要に応じて当
該空洞に縦方向の鉄筋が加えられて、積込みされ
たブロツク壁は、縦方向及び横方向に連結され強
靱さを発揮するものである。斯様なことから、本
考案のコンクリートブロツクは、低層建物は述べ
るまでもなく、中層、高層建物の構造壁体として
その他高強度を要求される壁体の構造体として使
用できるものである。

さらに、本考案のコンクリートブロツクの製造
に於いては、成形用型枠の中の中枠として本考案
のコンクリートブロツクの鉄板が利用することが
でき中枠を省略して良いし、或いは例え中枠を要
しても該中枠は極めて簡略化されたもので済むの
で、型枠の簡略化に伴う型枠代の軽減、脱型工程
の簡略化、ブロツク生産効率の上昇等の利点が発
揮されるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のコンクリートブロツクの一実
施例を示す斜視図、第２図は本考案のコンクリー
トブロツクの他の実施例を示す斜視図、第３図は
第２図の側面図、第４図は本考案のコンクリート
ブロツクの他の実施例を示す斜視図、第５図は第
４図の実施例によるコンクリートブロツクの積込
み状態を示す縦断面図、第６図は従来のコンクリ
ートブロツクの斜視図である。 １……コンクリートブロツク、２……壁面板、
３……接続板、４……切欠溝、５……鉄板、６…
…空胴、７……段部、８……装飾用模様、９……
装飾用外装部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 一定間隔を有してなる２枚の壁面板、該壁面
   板間に接続された１枚若しくは複数枚の接続板
   からなるコンクリートブロツクに於いて、前記
   接続板に鉄筋横設用の切欠溝が形成され、前記
   接続板の裏面及び前記接続板周面に鉄板が配設
   されたことを特徴とするコンクリートブロツ
   ク。 (2) 接続板の上端が壁面板上端より凸設され、且
   つ少なくとも前記接続板の上端が壁面板上面よ
   り凸設した高さに相当して前記接続板の下端が
   前記壁面板の下端より凹設されたことを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第１項記載のコン
   クリートブロツク。 (3) 壁面板の上縁にブロツク積込み接続用の段部
   が内方に形成され、前記段部の奥行きは前記壁
   面板の下端の厚さにほぼ等しくなされ、且つ少
   なくとも前記段部の高さに相当して接続板の下
   端が前記壁面板の下端より凹設されたことを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   コンクリートブロツク。 (4) 壁面板の表面に装飾用模様が形成されてなる
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項又は第２項又は第３項記載のコンクリートブ
   ロツク。 (5) 壁面板の表面に装飾用外装部材を添設させた
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項又は第２項又は第３項記載のコンクリートブ
   ロツク。