JPH0418201Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は石英発光管を具備する高圧金属蒸気放
電灯に関する。

（従来の技術） 一般に石英発光管を具備する高圧金属蒸気放電
灯たとえば高圧水銀ランプにおいては、発光管の
封止部にモリブデン等からなる気密封着用の金属
箔と、この金属箔にそれぞれ溶着して接続された
主電極、補助電極および外部導線とを封止して構
成され、各外部導線の先端は、封止部の端面から
導出されている。そして、少なくとも一方の封止
部においては、主電極に補助電極が隣接して封止
されており、このためこれ等に通じる外部導線も
また、封止部の端面から隣接して導出されてい
る。

ところで、このような発光管封止部を形成する
場合には、発光管バルブの端部を加熱軟化させ、
この内部に予め主電極、補助電極、金属箔および
外部導線を接続した組立体を配置し、上記軟化部
分を圧潰する方法がとられるが、この際発光管バ
ルブの端部は1400〜1600℃にも加熱されるので、
上記外部導線も当然高温に加熱され、その発光管
封止部からの導出部の表面にはその材料金属の酸
化物たとえば酸化モリブデンが生成する。

このような発光管を外管内に収容してなるラン
プを点灯すると、発光管の管壁温度は数百℃にも
達するため、外部導線も同様に高温に加熱され、
外部導線の表面に生成した上記金属酸化物は飛散
して封止部の端面にも付着する。この場合、封止
部から主電極および補助電極にそれぞれ通じてい
る２本の外部導線が導出していると、上記飛散し
た金属酸化物がこれ等両外部導線間の封止部端面
に付着し、上記金属酸化物は導電性であることか
ら外部導線相互が短絡状態となり、このためラン
プ始動時に両外部導線間に電圧を印加しても、主
電極と補助電極間にグロー放電が起きにくく、ラ
ンプの始動性が低下する等の不都合があつた。

このような事態に対処して、封止が完了した外
部導線の導出部分にサンドブラスト加工等を施し
て、表面の金属酸化物を除去したり、あるいは少
なくとも一方の外部導線の導出部を被覆材で覆う
ことによつて、金属酸化物の露出部を少なくして
点灯時のその飛散量を減少させる等の手段が知ら
れているが、前者は金属酸化物の除去が困難であ
り、また後者については作業のなお一層の簡略化
が望まれていた。

（考案が解決しようとする問題点） 上記したように従来の高圧金属蒸気放電灯は、
発光管封止部から導出される主電極と補助電極に
それぞれ通じる外部導線の導出部に生成する金属
酸化物が原因となつて、両外部導線間が短絡状態
となり、ランプの始動性を低下させるという問題
があつた。

本考案は上記従来の問題点を解決するもので、
上記両外部導線間の短絡を防止することによつ
て、始動性の低下を防止でき、しかも製造時に格
別の工程を必要としない高圧金属蒸気放電灯を提
供することを目的とする。

〔考案の構成〕

（問題点を解決するための手段） 本考案の高圧金属蒸気放電灯では、主電極およ
び補助電極にそれぞれ通じる各外部導線が導出さ
れる側の発光管封止部の端部に空胴部を設けると
共に、空胴部は上記各外部導線を離隔する仕切部
によつて分割するように構成される。

（作用） 本考案の高圧金属蒸気放電灯においては、点灯
時に上記各外部導線が高温に加熱され、それ等の
表面に存在する導電性の金属酸化物が飛散して両
外部導線間方向に飛来しても、両外部導線間には
仕切部が存在するので、両外部導線間の距離つま
り沿面距離は仕切部の表面長さ分だけ長くなるか
ら短絡は生じにくくなる。しかも上記仕切部は誘
電率の低い封止部ガラスつまり石英ガラスからな
るので、両外部導線間の電界強度は低下し、外部
導線表面の金属酸化物の飛散方向は広がる結果、
両外部導線方向への金属酸化物の飛散量は減少す
るという好ましい傾向を示す。さらに上記仕切部
は、石英ガラス製発光管バルブ端部を加熱軟化し
て圧潰封止する際のピンチヤー構造の変更によつ
て容易に形成することができるので、特別の他の
部材や工程を必要とすることもない。

（実施例） 以下、図面に示した実施例に基づいて本考案を
詳細に説明する。

第１図は本考案の400W高圧水銀ランプの構成
説明図を示し、１は硬質ガラス製外管で、その開
口部はステム２で封止され、口金３が嵌着されて
いる。ステム２にはリード線４Ａ，４Ｂが気密に
貫通されると共に支持線５が植設されている。

また、一方のリード線４Ａと支持線５には給電
線を兼ねるサポート６が固着支持され、このサポ
ート６にはホルダー７Ａ，７Ｂを介して発光管８
が支持されている。発光管８は石英ガラスからな
る発光管バルブ９を備え、その両端を加熱圧潰し
て形成された封止部１０Ａ，１０Ｂが上記ホルダ
ー７Ａ，７Ｂによつて挟持されている。上記封止
部１０Ａ，１０Ｂにはたとえばモリブデンからな
る金属箔１３Ａ，１３Ｂおよび１４が気密に封止
され、金属箔１３Ａ，１３Ｂの各一端にはそれぞ
れ主電極１５Ａ，１５Ｂが、また金属箔１４の一
端には始動用の補助電極１６が接続され、かつ上
記各金属箔１３Ａ，１３Ｂ，１４の他端にはモリ
ブデンからなる外部導線１７Ａ，１７Ｂおよび１
８が接続されている。さらに、上記外部導線１７
Ａと１８とはサポート６に、また外部導線１７Ｂ
はリード線４Ｂに接続され、このリード線４Ｂと
上記サポート６を支持する他方のリード線４Ａと
はステム２を貫通して外管１の外部へ導出されて
口金３に接続されている。

さらに、本考案の要部につき第２図を参照して
説明する。

第２図は発光管８の一端側の縦断面図を示し、
一方の主電極１５Ｂに通じる外部導線１７Ｂと補
助電極１６に通じる外部導線１８とが導出される
封止部１０Ｂの端部には上記各外部導線１７Ｂ，
１８とは密着しない空胴部が設けられ、この空胴
部は、上記各外部導線１７Ｂ，１８を離隔する封
止部ガラスからなる仕切部１９によつて２つの空
胴部２０Ａ，２０Ｂに分割されている。このよう
な仕切部１９によつて分割された空胴部２０Ａ，
２０Ｂを設けた封止部１０Ｂの形成は、この封止
部１０Ｂを圧潰形成する際に使用するピンチヤー
（図示しない。）の構造を変更することによつて容
易になすことができる。なお、この封止工程にお
いて上記各外部導線１７Ｂ，１８の露出部分の表
面は酸化してその材料金属たとえばモリブデンの
酸化物２１が生成することは避けられない。

このような構成のランプを点灯すると、点灯時
間の経過につれて発光管８は昇温し上記封止部１
０Ｂの温度は約500〜600℃の高温となり、封止部
１０Ｂに封着されている外部導線１７Ｂ，１８も
また熱伝導によつて昇温する。

この結果、外部導線１７Ａ，１８の表面の導線
性の金属酸化物２１は加熱されて飛散する。この
飛散方向は通常は両外部導線１７Ｂ，１８の間に
生じる電界の作用によつて、一方の外部導線１７
Ｂ表面の金属酸化物２１は他方の外部導線１８方
向へ、また他方の外部導線１８表面の金属酸化物
２１は一方の外部導線１７Ｂ方向へと飛散しよう
とするが、上記実施例においては両外部導線１７
Ｂ，１８の間には誘電率の低い石英ガラス（封止
部ガラス）からなる仕切部１９が存在するので、
上記電界強度は低下し、金属酸化物２１は両外部
導線１７Ｂ，１８間以外の方向へも飛散するよう
になり、したがつて、上記導電性金属酸化物２１
を介しての両外部導線１７Ｂ，１８間の短絡のお
それは減少する。しかも、両外部導線１７Ｂ，１
８間の距離は、仕切部１９の表面長さに相当する
部分だけ長くなるので、上記短絡のおそれは一層
減少する。したがつて、主電極１５Ｂと補助電極
１６間には所定の電圧が印加され、容易にグロー
放電を生じてランプを始動させることができる。

なお、本考案は上記実施例に限られるものでは
なく、補助電極を各主電極にそれぞれ隣接して設
けても良く、また高圧水銀ランプに限らず、石英
発光管を具備するたとえばメタルハライドランプ
のような他の高圧金属蒸気放電灯にも適用でき
る。

〔考案の効果〕

以上述べたように本考案の構成によれば、簡単
な構造にも拘わらず、主電極と補助電極とにそれ
ぞれ通じる各外部導線の表面に生成される金属酸
化物のランプ点灯時における飛散に基づく上記両
外部導線間の短絡事故は防止でき、ランプ寿命中
を通じて確実に始動させることができる高圧金属
蒸気放電灯を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例のランプ全体の構成
説明図、第２図は同ランプの要部の拡大断面図を
示す。 １……外管、８……発光管、９……発光管バル
ブ、１０Ａ，１０Ｂ……封止部、１３Ａ，１３
Ｂ，１４……金属箔、１５Ａ，１５Ｂ……主電
極、１６……補助電極、１７Ａ，１７Ｂ，１８…
…外部導線、１９……仕切部、２０Ａ，２０Ｂ…
…空胴部、２１……金属酸化物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 石英ガラス製発光管バルブの両端封止部にそれ
   ぞれ一対の主電極を対設し、かつ少なくとも一方
   の主電極に隣接して補助電極を設け、上記主電極
   および補助電極は封着用金属箔を介して外部導線
   に接続してなる発光管を具備する高圧金属蒸気放
   電灯において、上記主電極および補助電極に通じ
   る各外部導線が導出される側の発光管封止部は、
   端部に空胴部を設けると共に、空胴部は上記各外
   部導線を離隔する仕切部によつて分割するように
   構成されていることを特徴とする高圧金属蒸気放
   電灯。