JPH04132796U - 無指向性スピーカシステム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 同軸構造の低音及び高音スピーカユニットと
音響抵抗物質を終端又は充填した筒状キャビネットを用
いて点音源で音波の乱れや共振、共鳴に無い再生出力
と、筒状キャビネット底部の脚部からの低音再生出力の
効率の良い無指向性スピーカシステムを構築することを
目的としたものである。 【構成】 低音スピーカの磁気回路部のヨーク部の中心
に高音スピーカを取り付けた同軸構造の同相駆動する低
音及び高音スピーカユニットと、円筒状断面又は多角形
断面を有する筒状キャビネットと、この筒状キャビネッ
トの底部に開口部と脚部とを備え、上記筒状キャビネッ
トの一方の端部に上記低音及び高音スピーカユニットを
取り付け、他方端部に音響抵抗物質を終端又は充填して
構成したものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は低音及び高音スピーカユニットを備えた無指向性スピーカシステム に係り、特に点音源の再生効率の良い無指向性スピーカシステムに関する。

【０００２】

【従来技術】

従来の無指向性スピーカシステムは図３乃至図６に示す斜視図のものが多く提 供されていた。図において、20は高音スピーカのトゥイータを取り付けた球形キ ャビネット、21は低音スピーカのウーファーを取り付けた円筒形キャビネット、 22はトゥイータ、23はウーファー、24はトゥイータ22及びウーファー23を取り付 けた球形キャビネット、25はトゥイータ22及びウーファー23を取り付けた円筒形 キャビネット、26はウーファー23などを取り付けた角型キャビネットである。

【０００３】 無指向性スピーカシステムを形成するため、複数の低音及び高音スピーカのト ゥイータ22やウーファー23を球形キャビネット20,24 又は円筒形キャビネット21 ,25 又は角型キャビネット26に取り付け、水平面全周 360度に一様な音圧特性を 出力していた。

【０００４】 例えば、図３の球形キャビネット20と円筒形キャビネット21とを組み合わせた 無指向性スピーカシステム（テレフンケン製モニター・スピーカ）は、上記球形 キャビネット20に10cmのトゥイータ22を12個取り付け、更に下部に位置した円筒 形キャビネット21に30cmのウーファー23を４面の方向に４個取り付けて構成した ものである。

【０００５】 同様に、図４（ビクター製 GB-1D形）や図５（ソニー製 SS-9500形）及び図６ （オームＦ形ウォルシュ・ドライバー）で示した無指向性スピーカシステムも複 数のトゥイータ22とウーファー23とを水平面全周方向に取り付け、水平面全周に 一様な音圧特性を出力するよう形成したものである。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記した従来の無指向性スピーカシステムは複数のトゥイータ22やウ ーファー23をキャビネットの所定位置に取り付けるため、生産コストが増大し非 効率的であるという欠点があった。

【０００７】 また、低音スピーカと高音スピーカとが離れて取り付けられているため、低音 及び高音の再生音源上距離があり聴感上の音源に分散を生じて良好な無指向性の 音場が得られ無いという欠点もあった。

【０００８】 この考案は上記した点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは 従来例の欠点を解消し、同軸構造の低音及び高音スピーカユニットと筒状キャビ ネットを用いて点音源の効率の良い無指向性スピーカシステムを提供するところ にある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

この考案の無指向性スピーカシステムは水平面全周に一様な音圧特性を出力す る複数のスピーカで構成した無指向性スピーカシステムにおいて、低音スピーカ の磁気回路部のヨーク部の中心に高音スピーカを取り付けた同軸構造の同相駆動 する低音及び高音スピーカユニットと、円筒状断面を有する筒状キャビネットと を備え、上記筒状キャビネットの一方の端部に上記低音及び高音スピーカユニッ トを取り付けて構成したものである。

【００１０】 また、上記円筒状断面を有する筒状キャビネットが多角形断面を有する筒状キ ャビネットで構成しても良い。

【００１１】 上記筒状キャビネットの底部に設けた開口部と、この筒状キャビネット底部に 設けた脚部とを備え、低音再生の効率化を良くしたものである。

【００１２】 更に、上記低音及び高音スピーカユニットを取り付けた筒状キャビネットの他 方端部を音響抵抗物質で終端し、筒状キャビネットの音波の乱れを削減するよう 構成しても良い。また、上記筒状キャビネット内部に音響抵抗物質を充填し、筒 状キャビネットの共振や共鳴を無くすよう構成しても良い。

【００１３】

【作用】

この考案によれば、低音用コーン型振動板を有した低音スピーカの磁気回路部 のヨーク部の中心に、高音用ドーム型振動板を有した高音スピーカを取付部材を 用いて取り付け、この低音及び高音スピーカユニットが同軸構造を形成して同相 駆動することができる。

【００１４】 この低音及び高音スピーカユニットを円筒状断面を有する筒状キャビネットの 一方の端部に低音スピーカのフレームを取り付けることにより、低音スピーカか らの短波長音波は上記取付部材で拡散されて円周方向に放射され、長波長音波は 水平面全周に一様な音波となって放射される。

【００１５】 一方、低音スピーカと同軸構造の高音スピーカは高音用ドーム型振動板と対向 したホーンを有し、このホーン間の音道の面積を指数関数となるよう形成するこ とにより、高音スピーカからの高音成分は音道を介して水平面全周に一様な音圧 特性を出力することができる。

【００１６】 この様に、同軸構造に構成した低音及び高音スピーカユニットからの出力音圧 特性が水平面全周に放射され良好な無指向性スピーカシステムを形成することが できる。

【００１７】 また、上記円筒状断面を有する筒状キャビネットが多角形断面を有する筒状キ ャビネットで構成しても同様の良好な無指向性スピーカシステムを構築すること ができる。

【００１８】 上記、筒状キャビネットの底部に開口部を設け、更に、この筒状キャビネット の底部に脚部を設けることにより、長波長音波の低音再生成分が上記開口部と脚 部を介して筒状キャビネットの底部から効率良く再生することができる。

【００１９】 更に、上記低音及び高音スピーカユニットを取り付けた円筒状断面又は多角形 断面を有する筒状キャビネットの他方端部を音響抵抗物質で終端、又は筒状キャ ビネットの約１／２部分を充填することにより、音波の乱れを無くし筒状キャビ ネットの共振や共鳴を無くして定在波の影響を無くすことができる。

【００２０】 この様に、同軸構造の低音及び高音スピーカユニットからの再生音が点音源と して水平面全周に一様な音波を効率良く出力することができる。

【００２１】

【実施例】

この考案に係る無指向性スピーカシステムの実施例を図１の断面図及び図２の スピーカ出力の水平面指向特性図に基づいて説明する。

【００２２】 図において、１は高音スピーカの高音用ドーム型振動板、２は高音用ドーム型 振動板１と対向して取り付けられたホーン、３は高音用ドーム型振動板１とホー ン２間に形成した音道、４は低音スピーカの低音用コーン型振動板、５は低音ス ピーカの磁気回路部、６は磁気回路部５のヨーク部、７はヨーク部６の中心に高 音スピーカを取り付ける取付部材、８は低音スピーカのフレーム、９は円筒状断 面を有する筒状キャビネット、9aは筒状キャビネット９の底部に設けた開口部、 10は筒状キャビネット９の底部に設けた脚部、11は筒状キャビネット９内部に充 填した音響抵抗物質である。

【００２３】 この考案の低音及び高音スピーカユニットは、高音スピーカが高音用ドーム型 振動板１と対向して同相駆動するホーン２を設け、この高音用ドーム型振動板１ とホーン２間の音道３の面積が指数関数となるよう構成したものであり、一方、 低音スピーカは低音用コーン型振動板４を駆動する磁気回路部５から構成され、 上記、高音スピーカは取付部材７を介して低音スピーカのヨーク部６の中心に保 持した同軸構造の同軸無指向性スピーカである。

【００２４】 この同軸無指向性スピーカの高音スピーカからの音響出力は指数関数特性を有 した音道３から水平面全周に一様な高音成分の音波を放射し、一方、低音スピー カの短波長音波は上記取付部材７で拡散して円周方向に放射され、低音音波の長 波長音波は長波長のため水平面全周に可聴周波数に亙って一様な音波を放射する ことができる。

【００２５】 この様に構成した同軸無指向性低音及び高音スピーカユニットは、図１の断面 図に示すように低音スピーカのフレーム８で円筒状断面又は多角形断面を有する 筒状キャビネット９の一方の端部に固定される。

【００２６】 一方、筒状キャビネット９の他方端部は開口部9aによって開放され、この他方 端部を、例えば多孔質発砲ウレタン及び吸音材の音響抵抗物質11で終端し、また は筒状キャビネット９全長の約 1/2長を音響抵抗物質11で充填し、低音音波の放 射を床と筒状キャビネット９の底部に設けた脚部10との間隙より出力することが できる。

【００２７】 この様に筒状キャビネット９の一方の端部に同軸無指向性スピーカを取り付け 、他方端部を音響抵抗物質11で終端又は充填することにより、スピーカより出力 する音波の反射を極小にすることができ、音波放射の指向特性が乱れ無いという 利点が生れる。

【００２８】 即ち、筒状キャビネット９底部に設けた開口部9a（開管）を音響抵抗物質11で 終端することにより、筒状キャビネット９内部の共鳴周波数(f1)は、f1=C/(2*L) となる。ここでＣは音速、Ｌはキャビネット長である。

【００２９】 一方、筒状キャビネット９が閉管時の共鳴周波数f2は、f2=C/(4*L)であるため 、開管時の共鳴周波数f1は閉管時の共鳴周波数f2より２倍の高い周波数で共鳴す ることになり、開管共鳴は閉管共鳴に比べて吸音処理がし易く筒状キャビネット ９の共振や共鳴を低減することができる。

【００３０】 また、筒状キャビネット９底部から筒状キャビネット９全長の約 1/2長を多孔 質発砲ウレタン及び吸音材の音響抵抗物質11で充填することにより、筒状キャビ ネット９内部の管共鳴を無くすことができる。

【００３１】 今、例えば口径16cmの低音用コーン型振動板４を有した低音スピーカと、2.5c m のチタンドーム型振動板１の高音スピーカとを前述のように同軸構造に構成し 、音道３を2000Hzのホーン２に形成して同相駆動した同軸無指向性スピーカを内 容積11リットルの直径18cmの筒状キャビネット９に取り付け、この筒状キャビネ ット９内部に多孔質発砲ウレタンを音響部材（吸音材）として約 1/2長充填して 無指向性スピーカシステムを構築すると、この無指向性スピーカシステムの水平 面指向特性は図２に示す指向特性曲線を得ることができる。

【００３２】 図２の特性曲線は上記無指向性スピーカシステムの再生周波数が500Hz,5kHz,1 0kHzの水平面音圧出力の水平座標軸特性曲線を示したものであり、水平面の全周 360 度に亙って一様な音圧特性の良好な無指向特性を実現することができる。

【００３３】 この様に、上記実験においても分かるように、同軸構造の低音及び高音スピー カユニットと音響抵抗物質11で終端又は充填した筒状キャビネット９による無指 向性スピーカシステムは、優れた無指向特性を形成することができ、しかも低音 及び高音スピーカユニットが近接して同軸に位置して固定されているため、点音 源として音響出力するでき、明確な音源及び音場を再生することができる。

【００３４】

【考案の効果】

この考案に係る無指向性スピーカシステムは前述のように、筒状キャビネット の一方の端部に同軸構造で同相駆動する低音及び高音スピーカユニットを取り付 け、他方端部に音響抵抗物質を終端又は約 1/2長充填することによりスピーカ出 力音波の乱れを低減することができ、更に、筒状キャビネット内部に発生する共 振や共鳴を阻止することができ、定在波の影響の無い音響再生を出力することが できるという効果がある。

【００３５】 特に、床と筒状キャビネットの脚部との間隙より低音再生ができ効率の良い再 生が可能となり、低音及び高音スピーカユニットの同軸構造による同相駆動する ため、点音源として明確な音源及び定位の良い音場が再生され、特に、ステレオ 再生時のステレオ効果に優れた無指向性スピーカシステムを構築することができ るという効果がある。

【００３６】 しかも、構造が簡単であって、また、安価に構成することができるため実施 も容易であるなどの優れた特長を有している。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る無指向性スピーカシステムの実
施例を示した断面図である。

【図２】図１の無指向性スピーカシステムの音響出力の
水平座標指向特性図である。

【図３】従来例の球形及び円筒形無指向性スピーカシス
テムを示した斜視図である。

【図４】従来例の球形無指向性スピーカシステムを示し
た斜視図である。

【図５】従来例の円筒形無指向性スピーカシステムを示
した斜視図である。

【図６】従来例の角型無指向性スピーカシステムを示し
た斜視図である。

【符号の説明】

１ 高音スピーカの高音用ドーム型振動板 ２ 高音スピーカのホーン ３ 高音スピーカの音道 ４ 低音スピーカの低音用コーン型振動板 ５ 低音スピーカの磁気回路部 ６ 低音スピーカのヨーク部 ７ ヨーク部に高音スピーカを取り付ける取付部材 ８ 低音スピーカのフレーム ９ 筒状キャビネット 9a 筒状キャビネット底部に設けた開口部 10 筒状キャビネット底部の脚部 11 多孔質部材又は吸音材などの音響抵抗物質

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 水平面全周に一様な音圧特性を出力する
   複数のスピーカで構成した無指向性スピーカシステムに
   おいて、低音スピーカの磁気回路部のヨーク部の中心に
   高音スピーカを取り付けた同軸構造の同相駆動する低音
   及び高音スピーカユニットと、円筒状断面を有する筒状
   キャビネットとを備え、上記筒状キャビネットの一方の
   端部に上記低音及び高音スピーカユニットを取り付けた
   ことを特徴とする無指向性スピーカシステム。
2. 【請求項２】 上記円筒状断面を有する筒状キャビネッ
   トが多角形断面を有する筒状キャビネットで構成したこ
   とを特徴とする請求項１記載の無指向性スピーカシステ
   ム。
3. 【請求項３】 上記筒状キャビネットの底部に設けた開
   口部と、この筒状キャビネット底部に設けた脚部とを備
   え、低音再生の効率化を良くしたことを特徴とする請求
   項１又は２記載の無指向性スピーカシステム。
4. 【請求項４】 上記低音及び高音スピーカユニットを取
   り付けた筒状キャビネットの他方端部を音響抵抗物質で
   終端し、筒状キャビネットの音波の乱れを削減するよう
   構成したことを特徴とする請求項１又は２又は３記載の
   無指向性スピーカシステム。
5. 【請求項５】 上記筒状キャビネット内部に音響抵抗物
   質を充填し、筒状キャビネットの共振や共鳴を無くすよ
   う構成したことを特徴とする請求項１又は２又は３又は
   ４記載の無指向性スピーカシステム。