JPH04129589U - 抵抗溶接用偏心電極チツプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電極研磨装置により自動研磨をすることがで
き、研磨しても溶接の安定性が損なわれることのない電
極チップを提供する。 【構成】 ほぼ円柱形の電極チップ本体10a と適宜な円
弧を母線とした回転面の一部からなる電極面10bとによ
り構成されており、該電極面10bの電極先端部10cは上記
回転面の回転軸上にあって、電極チップ本体10a の中心
から偏倚した位置にある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、スポット溶接等の抵抗溶接をする際に使用する電極チップに関す る。

【０００２】

【従来の技術】

自動車等の工業製品を製造する際には、作業が容易で仕上りが美しい抵抗溶接 、特にスポット溶接が多用される。このスポット溶接では、材料同士が電極で挟 持されて通電され、通電による抵抗熱で融解した材料が電極で加圧されて溶接さ れる。そして、これら電極が材料に接触する部分には電極チップが用いられ、一 般的にこの電極チップの先端部はほぼ半球形状とされている。

【０００３】 ところで、電極チップが長時間使用されると腐食により摩耗が生じて溶接の確 実性や安定性が低下するおそれがあるので、その先端部の研磨が必要となる。例 えば、先端部が半球形状の電極チップを研磨するには、図７に示すように、ほぼ 半円形の刃面2aを有する研磨刃２を該半円形の中心線Ｃを中心に高速回転させ、 該刃面2aに電極チップ１の先端部1aを当接して研磨している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、溶接箇所の形状や状況によっては、図８に示すように、電極先端面4a が電極チップ本体4bに対し偏倚した形状の偏心電極チップ４が使用される場合が ある。この偏心電極チップ４は回転対称形ではないので、前述の回転する研磨刃 により研磨することができず、手作業で研磨しなければならない。また、研磨に より電極先端面4aが広がってしまうと、確実な溶接が行なわれなくなるおそれが ある。

【０００５】 そこで、本考案は、電極研磨装置により自動研磨をすることができ、研磨して も溶接の確実性や安定性が損なわれることのない偏心電極チップを提供すること を目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上述した目的を達成するため、本考案に係る抵抗溶接用偏心電極チップは、抵 抗溶接用の電極チップであって、電極面のうちの最も突出した位置である電極先 端部が電極チップ本体の中央から偏倚した位置にある偏心電極チップにおいて、 上記電極面の形状を、円弧を該円弧の中心から適宜に偏倚した位置を通る該円弧 の半径の方向を軸として回転させた回転面の、該円弧の両端部を通り上記回転軸 と平行な直線を含む適宜な面により制限された部分で形成し、上記回転軸を上記 電極先端部に一致させた形状としたことを特徴とする。

【０００７】

【作用】

前記電極チップ本体は溶接機のガンアームに取り付けられており、この偏心電 極チップと他の電極とが材料を挟持した状態で通電される。この通電により発生 した抵抗熱で材料が融解し、該材料が上記偏心電極チップと他の電極とにより加 圧され溶着される。

【０００８】

【実施例】

以下、図示した実施例に基づいて本考案に係る抵抗溶接用偏心電極チップを説 明する。

【０００９】 図１に示すように、偏心電極チップ10は、ほぼ円柱形の電極チップ本体10a と 適宜な形状の電極面10bとにより構成されており、該電極面10bの頂点に位置した 電極先端部10cは電極チップ本体10aの中心線から適宜に偏倚した位置にある。す なわち、上記電極面10b は、図５に示すように、円弧30を、その中心から適宜に 偏倚した位置を通る半径を回転軸Ｓとして回転させた回転面の一部であって、円 弧30の両端部を通り回転軸Ｓに平行な直線を含む円柱で制限された部分によって 形成されており、該円柱の一部で上記電極チップ本体10a を形成してある。 従って、図１及び図６（ａ）上想像線で示すように等高線が形成され、上記回転 軸Ｓが電極先端部10c を通過することになる。なお、図５上に想像線によって円 柱で制限されない状態の回転面を併記してある。

【００１０】 また、この偏心電極チップ10は、図３及び図４に示すように、図示しない溶接 機のガンアーム14に取り付けられる。なお、図３及び図４の符号16は通常の電極 チップで、偏心電極チップ10と同様にガンアーム14に取り付けられ、これら偏心 電極チップ10と電極チップ16との間に材料20が挾持される。

【００１１】 次に、上述した偏心電極チップ10を研磨するための研磨刃の形状と研磨の方法 とを、以下に説明する。

【００１２】 図２及び図３に示すように、研磨刃12の上端面12aと下端面12bとは共通の中心 軸Ｃを有する適宜な円弧形状となっており、これらの面12a、12bには刃面が形成 されている。これらの刃面は、中心軸Ｃ付近を挟んで刃の向きを逆にして構成さ れている。そして、この研磨刃12は図示しないチップドレッサに取り付けられて いる。

【００１３】 前記偏心電極チップ10を研磨するには、チップドレッサにより上記研磨刃12を その中心軸Ｃで矢印Ｐ方向に高速回転させて、該中心軸Ｃに偏心電極チップ10の 電極面10bの電極先端部10cを合致させて、該電極面10b を上記研磨刃12の上端面 12a に当接させて研磨する。このため、研磨された電極チップは、図１及び図５ に示すように、電極先端部10cが電極チップ本体10aの中心から偏倚して位置した 偏心電極チップ10となる。

【００１４】 ところで、ガンアーム14に取り付けられた偏心電極チップ10に対向して他の電 極チップ16が支持されている場合、偏心電極チップ10を研磨刃12の上端面12a に 、電極チップ16を研磨刃12の下端面12b にそれぞれ当接させて同時に研磨するこ ともできる。

【００１５】 以上に述べた本実施例に係る抵抗溶接用偏心電極チップの作用を説明する。

【００１６】 図４に示すように、ガンアーム14の先端部に取り付けられた偏心電極チップ10 を材料20の狭い部分18に差し入れて、対向する他の電極チップ16と共に該材料20 を挟持して通電する。そして、材料20は抵抗熱により挟持された部分が融解し、 電極10、16同士が加圧することにより融解した部分が溶接される。

【００１７】 上述の場合のように材料20の折曲部に近接した位置を溶接する場合、図４上想 像線で示すような回転対称形の電極チップ22では、その側端部が材料20に接触し てしまうので溶接できない。ところが、本実施例に係る抵抗溶接用偏心電極チッ プ10を用いると側端部が材料20に接触することがないので、容易に溶接すること ができる。

【００１８】 なお、本実施例では、電極面10b を制限する部分を円柱として説明したが、円 弧30の端部を通り軸Ｓに平行な直線を含む面であれば、図６（ｂ）または図６（ ｃ）に示すように、適宜な円弧や平面、その他の面であっても構わない。

【００１９】

【考案の効果】

上述したように、本考案に係る抵抗溶接用偏心電極チップは、電極チップの先 端部の形状を、円弧を母線とした回転面の一部で形成したので、研磨刃等を回転 させるチップドレッサ等を用いて研磨することができる。このため、偏心電極チ ップの研磨の自動化を図ることができ、研磨のための作業時間が減少する。

【００２０】 また、従来の研磨刃及びチップドレッサ等で偏心電極チップを研磨することが できるので、既存の設備を利用でき、コストを上昇させることがない。

【００２１】 さらに、回転する研磨刃等を用いて研磨することができるので、研磨した後の 偏心電極チップの形状はほぼ同一形状となる。このため、この偏心電極チップを 用いた溶接の安定性を確実にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】抵抗溶接用偏心電極チップを示す斜視図であ
る。

【図２】抵抗溶接用電極チップを研磨するための研磨刃
を示す斜視図である。

【図３】抵抗溶接用電極チップを研磨するための研磨刃
を示す正面図である。

【図４】抵抗溶接用偏心電極チップの使用例を示す正面
図である。

【図５】電極偏心チップの形状を説明するための図で、
図６（ａ）、（ｂ）、（ｃ）のそれぞれにおけるイ−イ
線、ロ−ロ線、ハ−ハ線に沿って切断した断面図であ
る。

【図６】電極偏心チップの電極面を臨んだ平面図であ
る。

【図７】従来の抵抗溶接用電極チップを研磨するための
研磨刃を示す正面図で、図３に相当する。

【図８】従来の抵抗溶接用偏心電極チップを示す斜視図
で、図１に相当する。

【符号の説明】

10 偏心電極チップ 10a 電極チップ本体 10b 電極面 10c 電極先端部 12 研磨刃

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 抵抗溶接用の電極チップであって、電極
   面のうちの最も突出した位置である電極先端部が電極チ
   ップ本体の中心から偏倚した位置にある偏心電極チップ
   において、上記電極面の形状を、円弧を該円弧の中央か
   ら適宜に偏倚した位置を通る該円弧の半径の方向を軸と
   して回転させた回転面の、該円弧の両端部を通り上記回
   転軸と平行な直線を含む適宜な面により制限された部分
   で形成し、上記回転軸を上記電極先端部に一致させた形
   状としたことを特徴とする抵抗溶接用偏心電極チップ。