JPH04111501U - 蒸気タービンのサーマルシールド装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 蒸気タービン高圧車室において，中圧入口部
（１０）からサーマルシールド内部空間（１１）へ高温
蒸気が逆流するのを防止し，外車室（４）の円周方向温
度アンバランスをなくすこと。 【構成】 サーマルシールド内部空間（１１）内に円周
方向に沿って複数の旋回羽根（１６）を設ける。これに
より，サーマルシールド内部空間（１１）内に旋回流を
生じさせ，圧力を均一化して，蒸気の円周方向移動を阻
止する。こうして空間（１１）内の圧力を常に中圧入口
部（１０）よりも高くし，高温蒸気の逆流を防ぐ。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は蒸気タービン高圧車室のサーマルシールド装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図３は従来の蒸気タービン高圧車室の一例を示す縦断側面図，図４は図３のIV 部（サーマルシールド部）拡大図，図５は同じくサーマルシールド部の横断面図 である。

【０００３】 蒸気は高圧入口管１から調速段２へ流入し，高圧部翼列３へ導かれる。高圧部 翼列３を流出した蒸気は，外車室４の外に導かれて再熱された後，中圧入口管５ から中圧部翼列６に流入する。

【０００４】 また高圧部翼列３を流出した蒸気の一部は，高圧内車室７と外車室４の間隙８ を通過し，高圧内車室７に設けたノズル９を経て，中圧入口部１０に隣接したシ ールド内部空間１１へ流入する。この流入蒸気は，外車室４とサーマルシールド 板１２の間に設けたスリット１３を経て中圧入口部１０へ合流し，再熱蒸気とと もに中圧部翼列６を通過した後，排気室１４から車室外へ流出する。

【０００５】 サーマルシールド板１２は，高圧部翼列３を流出した蒸気が再熱蒸気よりも温 度が低いことを利用し，外車室４の温度上昇を防止するために設けられているも のである。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

外車室４とサーマルシールド板１２との間のスリット１３の面積は，負荷遮断 時に中圧入口部１０が低圧になった場合に冷却蒸気の残留圧が降下し易いように ，大きくとってあるので，シールド内部空間１１と中圧入口部１０の差圧は大変 小さくなる。さらに中圧入口管５が下車側にあるため，その流入蒸気の動圧の影 響で，中圧入口部１０の圧力は上車側の方が下車側よりも若干高い。したがって 図５に示すように，タービン上車側では中圧入口部１０からシールド内部空間１ １へ向かう逆流１５が生じ，これが内部空間１１内を円周方向へ移動して下車側 から流出するというフローパターンとなる。その結果，外車室４の温度が高くな り，円周方向に温度アンバランスが生じて外車室４の熱変形の原因となる。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は，前記従来の課題を解決するために，蒸気タービン高圧車室の中圧入 口サーマルシールド部において，シールド板と外車室との間に，複数の旋回羽根 を円周方向に沿って配設したことを特徴とする蒸気タービンのサーマルシールド 装置を提案するものである。

【０００８】

【作用】

本考案においては，シールド板と外車室との間（サーマルシールド内部空間） に複数の旋回羽根が円周方向に沿って配設されているので，その空間内の圧力が 均一化され，蒸気がその空間内を円周方向へ移動することがなくなる。したがっ て，中圧入口部の圧力が円周方向に不均一になったとしても，サーマルシールド 内部空間の圧力は常に中圧入口部の圧力よりも高く保たれるから，ノズルからの 冷却空気は必ず中圧入口部へ流出し，上車側での高温蒸気の逆流を防止できる。

【０００９】

【実施例】

図１は本考案の一実施例のサーマルシールド部を示す縦断側面図（前記図４に 対応），図２は図１のII−II矢視水平断面図である。本実施例では，サーマルシ ールド板１２上に旋回羽根１６を円周方向に沿って複数個配置し，溶接などによ り固定している。この場合，熱延びを考慮して旋回羽根１６と外車室４との間に 若干のクリアランス１７を設ける。

【００１０】 このように本実施例では，サーマルシールド内部空間１１に円周方向複数個の 旋回羽根を設けることにより，円周方向の流れを生じさせてサーマルシールド内 部空間１１の圧力を均一化し，蒸気の円周方向への移動を阻止する。その結果， たとい中圧入口部１０に円周方向の圧力アンバランスが生じても，サーマルシー ルド内部空間１１は常に中圧入口部１０よりも圧力が高く，ノズル９からの冷却 蒸気は必ず中圧入口部１０へ流出することになる。したがって上車側で高温蒸気 がサーマルシールド内部空間１１に逆流するのを防止できる。

【００１１】

【考案の効果】

本考案においては，サーマルシールド板と外車室との間の空間に円周方向複数 個の旋回羽根を設け，シールド内部空間に旋回流を与えて圧力を均一化すること により，シールド内部空間で冷却蒸気が円周方向へ移動することがなくなり，ノ ズルからの冷却蒸気を中圧入口部へ確実に流出させることができる。したがって ，外車室の円周方向の温度アンバランスが無くなり，外車室の熱変形を防止する 効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案の一実施例のサーマルシールド部
を示す縦断側面図である。

【図２】図２は図１のII−II矢視水平断面図である。

【図３】図３は従来の蒸気タービン高圧車室の一例を示
す縦断側面図である。

【図４】図４は図３のIV部（サーマルシールド部）の拡
大図である。

【図５】図５は従来のサーマルシールド部の横断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 高圧入口管 ２ 調速段 ３ 高圧部翼列 ４ 外車室 ５ 中圧入口管 ６ 中圧部翼列 ７ 高圧内車室 ８ 高圧内外車間隙 ９ ノズル １０ 中圧入口部 １１ シールド内部空間 １２ サーマルシールド板 １３ スリット １４ 排気室 １５ 逆流再熱蒸気 １６ 旋回羽根 １７ クリアランス

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 蒸気タービン高圧車室の中圧入口サーマ
   ルシールド部において，シールド板と外車室との間に，
   複数の旋回羽根を円周方向に沿って配設したことを特徴
   とする蒸気タービンのサーマルシールド装置。