JPH0370337B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明はテレビジヨン受像機用の糸巻型ラス
タ歪補正方式に関し、特に、受像機の偏向ヨーク
の外部磁界を改変する糸巻歪補正装置に関する。

（発明の背景） テレビジヨン受像機の通常の映像管の前面パネ
ルの形状では、偏向電子ビームの移動距離が表示
面の両側より４隅までの方が長い。このため、ビ
ームの走査するラスタが糸巻型すなわち４辺が各
頂点より内側に湾曲した形になる。

この歪の補正は、偏向電流を時間的に変えて電
子ビームをそのラスタ歪を補正するように偏向さ
せる電子回路により行うことができる。例えば、
水平偏向電流を垂直偏向周波数で変えて表示面両
側の糸巻歪を補正することができる。しかし、こ
のような補正回路は受像機の価格と複雑さを増す
上、その消費電力を増すことがある。

カラーテレビジヨン受像機は一般に、水平に並
んだ３本の電子ビームを生成する電子銃構体と、
その電子ビームを動的集中回路を要せずに表示面
上に集中する偏向ヨークを持つ映像管を備えた自
己集中型表示方式を含んでいる。また、偏向ヨー
クはその集中を行うために不均一偏向磁界を電子
ビーム偏向領域に生成するような巻線分布を持つ
水平、垂直の偏向コイルを有する。適正なビーム
集中には、水平偏向コイルが（映像管の長手軸方
向に見て）糸巻型の磁界を生じ、垂直偏向コイル
が樽型の磁界を生ずる必要があることが知られて
おり、また、偏向磁界の不均一度を映像管の長手
軸方向に局部的に変えると、ある形式のラスタ歪
の補正が助けられることも知られている。偏向ヨ
ーク前端すなわちビームの出口近傍の局部的糸巻
型垂直偏向磁界は上述の側方糸巻型ラスタ歪の補
正を助ける。この糸巻型磁界は垂直コイルの巻線
分布を局部的に変える（すなわち、コイルの各巻
回を偏らせる）ことにより生成することができる
が、ビームを集中するために、各コイルは全体と
して正味樽型の磁界を形成する必要があり、糸巻
型ラスタ歪の補正の上に適正なビームの集中を行
うコイルを、能率よく経済的に製造することは困
難なことがある。

米国特許第4257023号明細書には、側方糸巻型
ラスタ歪を補正するためにヨークの前端近傍に透
磁性構体を取付けたものが開示されている。この
構体は垂直偏向コイルからの漏洩磁束に対する低
磁気抵抗の磁路を形成する。漏洩磁束はヨークの
前の足状部材に導かれ、その足状部材間に糸巻型
磁界が形成されて、これが側方糸巻歪を補正する
働らきをする。

この「十字腕」構体は、それだけでは不十分で
必要な糸巻歪補正のできないことがあるが、この
場合、垂直コイルの巻線分布の変更を要し、これ
によつて偏向ヨークの価格と複雑度が無用に上昇
することがある。

（発明の概要） この発明は、糸巻歪の補正量を前記米国特許記
載の構体に比して改善し、これによつて垂直偏向
コイルの巻線分布の変更の必要を減じ、または全
くなくする糸巻型ラスタ歪補正装置を指向するも
のである。

この発明による、テレビジヨン表示方式は、ネ
ツク部と、そのネツク部内に設けられて電子ビー
ムを生成する電子銃構体と、表示面と、ネツク部
と表示面の間に設けられたフアンネル部とを有す
る映像管を含む。この映像管のネツク部に取付け
られた偏向ヨークは、偏向信号源に接続するとヨ
ーク内部に偏向磁界、ヨーク外部に漂遊磁界を生
ずる水平および垂直の偏向コイル含んでいる。

磁界整形装置は、漂遊磁界の領域内でヨークの
両側に設けられた透磁性磁束収集部材を含み、漂
遊磁界の磁束に低磁気抵抗の磁路を与える。映像
管のフアンネル部の表面に沿い、これに隣接して
磁束指向部材が延び、ヨークの両側においてその
磁束指向部材間に磁界を形成する。磁束収集部材
と磁束指向部材の間には磁束案内部材が接続さ
れ、その両部材間に低磁気抵抗の磁路を形成して
いる。磁束案内部材の一部は映像管の長手軸に平
行に配置され、他の一部はその軸に直角に配置さ
れて映像管のフアンネル部の方に延び、各磁束指
向部材間に形成された磁界を強化する。

（詳細な説明） 第１図はテレビジヨン映像管の前面パネル８を
示すが、その表示面にはその映像管のネツク部内
に設けられた電子銃構体から発した１本またはそ
れ以上の電子ビームによつて走査されたラスタ９
の輪郭が示されている。この映像管の前面パネル
の曲率半径は電子ビームの偏向中心から表示面ま
での距離より大きいため、電子ビームは表示面の
上下および両側の中心までより、表示面の４隅ま
で長い距離を移動する。このため走査されたラス
タ９は内側に湾曲したいわゆる糸巻型になり、表
示された画像に歪を生ずる。

前述のように、ヨークの前端近傍に（Ｘ−Ｙ座
標面内で）糸巻型の偏向磁界を設けることによ
り、この糸巻歪を補正することができる。上下の
糸巻歪は水平偏向磁界の不均一度を変えて補正す
ることができ、また側方糸巻歪は主として垂直偏
向磁界の不均一度を変えて補正される。

前述のように、適正なビーム集中のためには、
水平偏向磁界が全体として正味の糸巻型または不
均一性を持つ必要があり、そのため上下糸巻歪の
補正は水平偏向コイルの巻線分布により比較的容
易にできるが、これに対しビーム集中のため全体
として正味樽型の偏向磁界を生成する必要のある
垂直コイルは、側方糸巻歪補正のためそう簡単に
変えられない。

垂直偏向コイルは一般に透磁性磁心にトロイド
状に巻かれているが、この型の巻線はヨークの外
側に沿つて大量の漂遊磁束すなわち漏洩磁束を生
ずる。この漂遊磁束を望みの形に再分布させる前
記米国特許第4257023号開示のような外部磁界変
更装置を用いて側方糸巻歪を補正することもでき
る。しかしこの米国特許記載の装置それ自体では
磁界に十分な不均一度を与えられない、すなわち
生じた磁界の強度が、受像機に回路を追加したり
ヨークを改造したりすることなく、必要量の側方
糸巻歪補正を与えるには不十分なことがある。

第２図はこの発明の見地によつて回路の追加ま
たはヨークの改造の必要なく側方糸巻型ラスタ歪
の補正を行う外部磁界変更装置を備えたテレビジ
ヨン表示方式の一部を示す。

第２図および第３図において、テレビジヨン映
像管１０はネツク部１１とフアンネル部１２を有
する。映像管１０にはそのネツク部１１とフアン
ネル部１２の間の遷移領域の近傍に締め具１８と
調節用くさび１９（その１つを図示）により偏向
ヨーク１３が取付けられている。この偏向ヨーク
１３は、透磁性磁心１５の両半部にそれぞれトロ
イド状に巻かれた１対の垂直偏向コイル１４を有
する。ヨーク１３はまた映像管１０に隣接して１
対の鞍型水平偏向コイル１６（第３図）を有す
る。垂直、水平の両偏向コイルはプラスチツク製
の絶縁材１７で互いに分離され、またこれによつ
て説明を略するコイルおよび磁心用の整合支持構
体が与えられる。絶縁材１７の構対２８はヨーク
用の電気端子コネクタの取付け手段を与える。

外部磁界変更装置は、偏向ヨークの前面近傍に
設けられた１対の磁界形成部材を含んでいる。こ
の磁界形成部材は、その一方２１だけが第２図に
示されているが、偏向ヨーク１３の両側に設けら
れている。磁界形成部材２１は垂直偏向コイル１
４の生成する外部漂遊または漏洩磁界内に設けら
れた磁束収集部材を含み、またこれは高透磁率の
材料で好ましくはシリコン鋼板のような１枚の金
属板で製せられ、垂直漂遊または漏洩磁界の磁束
に低磁気抵抗の磁路を与える。磁束収集部材２２
はこれに大量の漏洩磁束が流れるように磁心１５
に近接配置することが望ましい。第２図では、磁
束収集部材２２が磁心１５の両半部を橋絡してい
るように示されている。

磁束収集部材２２から偏向ヨーク１３の前面に
向つて１対の磁束案内部材２３，２４が延びてい
る。ヨーク１３の反対側の磁界形成部材の対応す
る磁束案内部材２５，２６は第３図に示されてい
る。この磁束案内部材２３，２４は最初偏向ヨー
ク１３のコイル１４から斜めに離れ、その映像管
の長手軸すなわちＺ軸に実質的に平行な部分３
０，３１が、水平偏向コイル１６の末端帰還巻線
を包囲するヨーク絶縁体１７の拡大した前端部を
通過し得るようになつている。磁束案内部材２
３，２４の部分３２，３３は磁束案内部分３０，
３１の端から映像管の長手軸すなわちＺ軸に直角
な方向にフアンネル部１２に向つて延びている。
磁束案内部材２５，２６の対応する直交磁束案内
部分３４，３５は第３図に示されている。磁束案
内部分３２，３３，３４，３５はそれぞれフアン
ネル部１２に隣接して終つている。

磁束指向部材３６，３７はそれぞれ磁束案内部
分３２，３３の端からフアンネル部１２の表面輪
郭に沿つて延び、これに対応して、磁束指向部材
４０，４１はそれぞれ磁束案内部分３４，３５の
端から延びている。磁束案内部材２３，２４，２
５，２６はそれに関連する磁束収集部材（２２
等）から磁束指向部材３６，３７，４０，４１に
磁束を導く導管の働きをする。各磁束指向部材内
の磁束は磁束指向部材３６，４０間および３７，
４１間を通つて、第３図に示すように、映像管１
０内に磁界を形成する。この磁界は、磁力線４２
で示すように、所定の瞬間ヨークの一側から他側
に延び、Ｘ−Ｙ座標面に前述のように所要の側方
糸巻歪補正を行う糸巻型不均一度を有する。

磁束形成部材２１等の各磁束形成部材、特に磁
束案内部２３，２４，２５，２６の直交部分３
２，３３，３４，３５の独特の構造により、磁束
指向部材３６，３７，４０，４１が映像管１０の
フアンネル部１２にできるだけ近付けられ、その
ため各部材３６，４０と３７，４１が互いにでき
るだけ接近する利点がある。これは前記米国特許
第4257023号開示のような直交磁束案内部分のな
い磁束形成構体に比して、映像管１０内に生ずる
磁界の強度を著しく増大する。この磁界強度の増
大によつて、得られる糸巻歪補正量が増大する。

磁束指向部材３６，３７，４０，４１の寸法形
状は、例えば第２図に示すように、発生された糸
巻歪補正用磁界の特性をラスタのすべての点で最
適の補正が得られるように仕立てるようにすれば
よい。例えば、磁心長さ約27.94mm程度の90度偏
向ヨークでは、磁束案内部分３０，３１の長さが
約10.16mm程度、磁束案内部分３２，３３，３４，
３５の長さがそれぞれ約4.572mm程度、磁束指向
部材３６，３７，４０，４１の長さがそれぞれ約
19.05mm程度である。

各磁束形成部材は接着剤かその部材に形成した
凹溝または開孔に係合するようにヨークの絶縁体
の一部として形成されたピンまたは突片によつて
その絶縁体に取付けることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はラスタの輪郭を示す表示面の正面図、
第２図はこの発明によつて構成された磁束整形装
置を用いたテレビジヨン表示方式の側面図、第３
図は磁束整形装置の生成する磁力線を示す第２図
のテレビジヨン表示方式の線３−３に沿う断面正
面図である。 ８……表示面、１０……映像管、１１……ネツ
ク部、１２……フアンネル部、１３……偏向ヨー
ク、１４……垂直偏向コイル、１６……水平偏向
コイル、２１……磁界整形装置、２２……磁束収
集部材、２３〜２６……磁束案内部材、３６，３
７，４０，４１……磁束指向部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ネツク部と、このネツク部内に設けられて、
   電子ビームを生成する電子銃構体と、表示面と、
   上記ネツク部と表示面の間に設けられたフアンネ
   ル部とを含む映像管と、 上記映像管の上記ネツク部に取付けられ、偏向
   信号源に結合されて、内部に、電子ビームを偏向
   させ上記表示面にラスタを形成するための偏向磁
   界を形成すると共に、外部に、漂遊磁界を形成す
   る水平、垂直の偏向コイルを有する偏向ヨーク
   と、 この偏向ヨークの両側において上記漂遊磁界の
   領域内に設けられ、その漂遊磁界の磁束に低磁気
   抵抗の磁路を与える透磁性磁束収集部材と、上記
   映像管の上記フアンネル部の表面に沿い、これに
   隣接して延び、その映像管の内部においてそれぞ
   れの間に磁界を形成し、上記電子ビームの運動に
   影響を及ぼす透磁性磁束指向部材と、上記磁束収
   集部材と上記磁束指向部材の間に結合されて、そ
   の磁束収集部材から磁束指向部材へ低磁気抵抗の
   磁路を形成する透磁性磁束案内部材とを含む磁界
   整形装置とを具備し、 上記各磁束案内部材が、ほぼ上記映像管の長手
   軸に沿つて延びる第１の部分と、その映像管の長
   手軸にほぼ直角に延びる横行部分を有し、その横
   行部分が上記映像管に向つて内側に延び、その映
   像管の上記フアンネル部に隣接して成端し、上記
   各磁束指向部材間の上記映像管内部に形成された
   上記磁界を強化するようになつていることを特徴
   とするテレビジヨン表示方式。