JPH03541B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、割り型ケースを用いた変速機の潤滑
構造に関する。

従来、農機具等を駆動するためにトラクタに設
けられる変速機としては、例えば第１図に示すよ
うなものが知られている。

第１図において、１，２は割り型のケースであ
り、ケース１，２を合せた状態で上部にエンジン
回転を入力するドライブシヤフト３をベアリング
４を介して軸承し、ドライブシヤフト４にはギア
５が固定されている。

ケース１，２の下部には減速回転を取り出す出
力シヤフト６が同じくベアリング４を介して軸承
され、出力シヤフト６に固定されたギア７とドラ
イブシヤフト４のギア５とにダブルのチエーン７
を掛け回すことにより、ドライブシヤフト３の回
転を減速して出力シヤフト６に伝達するようにし
ている。

一方、上部に設けたドライブシヤフト４のベア
リング４に対し潤滑油を供給するため、ケース内
にケース合せにより形成される油受け９を設け、
油受け９の両側のケース内には上部よりベアリン
グ４の部分に至る潤滑穴１０が形成され、チエー
ン７及びギア５の回転で飛散した潤滑油を油受け
９で集め、潤滑穴１０を介してベアリング４の部
分に供給するようにしている。

しかしながら、このようなケース合せで形成さ
れた油受けによる潤滑では、第２図に取り出して
示すように、ケース１，２の加工のバラ付きによ
り、ケースを合せたときに油受け９の合せ部分に
段差ｄを生ずる場合があり、このように油受け９
の部分に段差を生ずると、ギア５の回転で飛散し
た潤滑油１１が図示のように低くなつているケー
ス２側の油受け９の部分に多く溜り、油受け９に
溜つた潤滑油１１は右側のベアリング４に対して
しか流れず、段差の高い左側のベアリング４に対
し充分な潤滑油の供給ができなくなるという問題
点があつた。

本発明は、このような従来の問題点に鑑みてな
されたもので、割り型ケースの加工精度を高める
ことなく簡単な構造で油受け両側のベアリングに
対して充分な潤滑油の供給が行なえるようにした
変速機の潤滑構造を提供することを目的とする。

この目的を達成するため本発明は、割り型ケー
スの合せ面に介在するパツキンを油受けの合せ部
分まで延在し、かつ油受けの合せ部分において両
側に油受けを仕切る仕切り壁を形成するように上
方に延在させ、ケース合せ部分の両側にパツキン
で仕切られた独立の油受けを個別に形成すること
でケース合せ部分に段差を生じても両側のベアリ
ング部分に対して充分に潤滑油を供給できるよう
にしたものである。

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第３図は本発明の一実施例を第１図のドライブ
シヤフト側について示した断面図である。まず、
構成を説明すると、１，２は割り型構造をもつた
ケースであり、ケース１，２の合せ面にパツキン
１２を介在した状態でのボルト締めにより締め合
されており、このケース１，２に対してはエンジ
ン回転を入力するドライブシヤフト３がケース１
側のベアリング４及びケース２側のベアリング４
によつて回転自在に軸承され、ドライブシヤフト
３にはチエーンをかけ回すギア５がスプライン嵌
合等により固着されている。また、ケース１に設
けたベアリング４の外側にはシール１３を介して
カバー１４が装着され、ケース２のベアリング４
の外側にもカバー１５が装着される。

一方、ベアリング４の上方に位置するケース
１，２の内側には油受け９を形成する張出し部１
６ａ，１６ｂが一体に形成され、張出し部１６
ａ，１６ｂの上側となる付け根部分はケース１，
２内を垂直方向に貫通している潤滑穴１０に至る
位置までくり貫かれており、油受け９をベアリン
グ４に至る潤滑穴１０に連通している。

このようなケース１，２の張出し部１６ａ，１
６ｂで形成された油受け９について、本発明では
ケース１，２の合せ面に介在したパツキン１２を
張出し部１６ａ，１６ｂの合せ部分まで延在し、
且つ油受け９を左右に仕切る大きさをもつ仕切り
部１８をパツキン１２に一体に形成している。

第４図は第３図の実施例におけるケース１の合
せ面側から見た端面図であり、ケース１の合せ面
１９には複数のボルト穴２０が設けられ、破線で
示す潤滑穴１０に相対したケース１の内側より斜
め上方に突出した一対の張出し部１６ａは、ベア
リング収納部２１の上部両側に形成されており、
張出し部１６ａの内側を油受け９としている。

第５図は第３図の実施例で用いられるパツキン
１２を取り出して示したもので、パツキン１２に
は第４図に示したボルト穴２０に対応する位置に
ボルト穴２２があけられ、且つ、第４図に示すケ
ース１の張出し部１６ａの合せ部分に介在する仕
切り部１８を一体に備え、この仕切り部１８は破
線で示す油受け９より上方に延在されており、第
３図に示すようにパツキン１２をケース１，２の
合せ面に介在させた状態で仕切り部１８により油
受け９を両側に区分けする堰を形成している。

次に本発明の実施例による作用を説明すると、
ケース１，２の加工のバラツキによりボルト締め
によりケース１，２を合せた状態で張出し部１６
ａ，１６ｂの合せ部分に段差が生じても、合せ部
分にパツキン１２の仕切り部１８が介在されるた
め、ギア５の回転により油受け９に集められた潤
滑油はパツキン１２の仕切り部１８の両側で独立
したレベルを保つようになり、油受け９を形成す
る張出し部１６ａ，１６ｂの合せ部分に段差が生
じていても仕切り部１８による両側の独立した油
受けにより潤滑穴１０を介して両側のベアリング
４に対し個別に充分な潤滑油の供給を行なうこと
ができる。

第６図は本発明の他の実施例を示した断面図で
あり、この実施例は油受けを形成するケース１，
２内の張出し部１６ａ，１６ｂを、潤滑穴１０側
に下がる傾斜面をもつた張出し形状とし、且つ、
張出し部１６ａ，１６ｂの合せ部分に油受けを両
側に仕切るパツキン１２の仕切り部１８を介在さ
せたことを特徴とする。

この第６図の実施例によれば、油受け９に集め
られた潤滑油は張出し部１６ａ，１６ｂが潤滑穴
１０側に下がる傾斜面をもつていることから、速
やかに潤滑油がベアリング４に供給され、潤滑性
能を更に向上することができる。

更に、第６図の実施例では、油受け９を左右に
仕切るパツキン１２の仕切り部１８を張出し部１
６ａ，１６ｂの合せ部分に介在させていなくと
も、張出し部１６ａ，１６ｂが潤滑穴１０側に下
がる傾斜面をもつていることから、合せ部分に段
差があつても両側のベアリング４に対しほぼ均一
に潤滑油を供給することができる。

次に本発明の効果を説明すると、割り型ケース
の合せ面に介在するパツキンをケース内に設けた
油受けの合せ部分まで延在し、且つ油受けの合せ
部分において両側の油受けを仕切る仕切り壁を形
成するように上方に延在させたため、加工のバラ
ツキにより油受けを形成するケースの合せ部分に
段差を生じても、合せ部分にパツキンが介在され
て油受けを両側に仕切ることにより油受けから両
側のベアリングに潤滑油をほぼ均一に供給するこ
とができ、油受けを形成するケース合せ部分に段
差を生じても段差が高い側のベアリングに対する
潤滑油の供給が充分に行なえなくなつてベアリン
グの焼き付き等を生ずることを確実に防止するこ
とができる。

また、パツキン形状を変えるだけで両側のベア
リングに対する潤滑油の供給が充分に行なえるた
め、構造も簡単でコスト的にも安価に実現するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の減速機の一例を示した断面図、
第２図は第１図の従来例における潤滑構造を取り
出して示した断面図、第３図は本発明の一実施例
を示した断面図、第４図は第３図における一方の
ケースの合せ面側の側面図、第５図は第３図の実
施例で用いるパツキンの説明図、第６図は本発明
の他の実施例を示した断面図である。 １，２…
…ケース、３……ドライブシヤフト、４……ベア
リング、５，７……ギア、６……出力シヤフト、
８……チエーン、９……油受け、１０……潤滑
穴、１１……潤滑油、１２……パツキン、１３…
…シール、１４，１５……カバー、１６ａ，１６
ｂ……張出し部、１８……仕切り部、１９……合
せ面、２０，２２……ボルト穴、２１……ベアリ
ング収納部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 割り型ケースにギアシヤフトをベアリングを
   介して軸承し、前記割り型ケース内にケース合せ
   で形成される油受けを設け、該油受けでギア回転
   により飛散した油を集めて前記ベアリングに供給
   する変速機の潤滑構造において、 前記割り型ケースの合せ面に介在するパツキン
   を前記油受けの合せ部分に延在し、かつ該パツキ
   ンを油受け合せ部分の上部に延在させて左右のケ
   ース側に分ける仕切り壁を形成したことを特徴と
   する変速機の潤滑構造。