JPH0352491Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 １ 産業上の利用分野 歯科領域において頭蓋の発達の研究や歯科矯正
の診断などに用いられる頭部Ｘ線規格写真を１対
のＸ線源によつて撮影するいわゆるセフアロ撮影
装置の改良に関する。

２ 従来技術 被検者頭部の正・側面または45゜斜位側面のＸ
線規格写真（以下セフアロと記す）を１対のＸ線
源を用いて撮影するセフアロ撮影装置は、従来一
般にＸ線フイルムを収めた個別のカセツテを１対
のＸ線源にそれぞれ対向せしめた同じく１対のカ
セツテホルダに装填して、正面および側面（斜位
側面を含む）のセフアロを撮影するのが通例であ
る。第１図は従来のセフアロ撮影装置の平面概略
図で、被検者頭部１は頭部固定装置２の１対のイ
ヤーロツト３，３′を両外耳孔に挿入し、図示し
ない眼点指標によつて外耳孔上縁と眼窩点が水平
になるよう固定される。上記イヤーロツト３，
３′中心を結ぶセフアロ基準線４と正中矢状平面
５との交点Ｐから後方・側方に通常150cmの位置
にそれぞれ焦点６，７を有するＸ線源８，９が設
置されている。これらのＸ線焦点６，７に頭部１
をはさんで対向し、かつ焦点・フイルム間距離を
通常165cmとして配置されるのが１対のカセツテ
１０，１１をそれぞれ保持するカセツテホルダ１
２，１３である。この構成においては正面セフア
ロ撮影時の散乱Ｘ線による未撮影フイルムに対す
る干渉を防止するには、側面用カセツテ１１をカ
セツテホルダ１３から抜いておくか、またはＸ線
しや蔽板（図示せず）を装着するかしなければな
らず、このためつぎの側面セフアロ撮影時には上
記カセツテ１１の装填、またはＸ線しや蔽板の取
外しの操作を要し、さらにこのとき撮影済みの正
面用カセツテ１０の上記干渉防止のためカセツテ
ホルダ１２を矢印ａ方向に180゜回動させて１２′
の位置に待避させねばならない。これら撮影切換
えのカセツテの着脱などの操作のため被検者の拘
束時間が永びき、不快感を与えるだけでなく、上
記着脱時にカセツテホルダにシヨツクが加わり、
それにより振動が生じ、これが静止するまでに撮
影が行われると、撮像にブレが生じ、診断精度が
低下する欠点があつた。この欠点を解消するため
筆者らが考案し、出願した実願昭58第089393号
「Ｘ線撮影装置」のカセツテホルダはＸ線しや蔽
部材を中仕切りとし、それをはさんで表・裏に１
対のカセツテ１０，１１が装填できる１体形カセ
ツテホルダ１５であり、その平面概略図を第２図
に示す。このカセツテホルダ１５を正面撮影時実
線位置に、側面撮影時にはカセツテホルダの支軸
１６を回転中心として矢印ｂ方向に270゜回動さ
せ、２点鎖線１５′に待避させることによつて従
来装置の欠点が完全に除去できるのである。しか
るに第２図で示す装置においてもカセツテホルダ
１５に装填するカセツテ１０，１１は正・側面用
各１枚であり、患者の頭部を拘束したままで、正
面または側面セフアロを複数枚撮影するには、カ
セツテの入替えを余儀なくされ、さらにカセツテ
ホルダの回動位置決めなどの操作が加わるので時
間がかかり、患者に与える不快感が大きく、ため
に頭部を固定した状態で複数枚のセフアロ撮影は
行われていないのが実情である。しかしながら近
年歯科医療界においては、診断上患者の正面セフ
アロ１枚に対し側面セフアロを複数枚必要とする
ばあい、または多数の患者を短時間で行う高能率
診断などに対応し、現に消化器系Ｘ線撮影に欠く
ことの出来ないカセツテレス速写撮影装置（以下
フイルムチエンジヤと記す）すなわちＸ線フイル
ムを自動搬送し、連続的に多数枚の撮影ができる
装置を組込んだセフアロ撮影装置の出現を強く要
望している現況である。

３ 目的 この考案は上記の現況に鑑みてなされたもので
あり、Ｘ線フイルムをカセツテに収める従来装置
の欠点を除去し、正面および側面セフアロを任意
の複数枚連続的に速写でき、ブレなどの全くない
診断能の高いＸ線写真が容易な操作で得られるセ
フアロ撮影装置の提供を目的とする。

４ 構成 この考案にかかるセフアロ撮影装置が従来装置
と構成を異にする点は、その第一は、カセツテお
よびカセツテホルダの代りに、Ｘ線フイルムを多
数枚収容した１台のカセツテレス速写撮影装置を
Ｘ線フイルム保持体とした点であり、第二には、
たとえば患者用椅子の台座と床面との間に設けた
回動機構に、被検者の両外耳孔を結ぶセフアロ基
準線と正中矢状平面との交点の鉛直線上の中心軸
を設け、この軸を回転中心とする回動アームなら
びにこの回動アームに樹設した支柱によつて上記
速写装置のＸ線フイルム面を被検者頭部に対向す
る所定位置に保持せしめるとともに、たとえば電
動機を駆動源とし、切換え的に正面および側面そ
れぞれの撮影位置に位置決めするＸ線フイルム回
動位置決め装置を設けた点である。

５ 実施例 以下図面を用いてこの考案の実施例を説明す
る。第３図はこの考案にかかる実施例をセフアロ
撮影装置の側面外観図、第４図はその平面外観図
であり、ともに患者の正面セフアロ撮影時を示
す、第３図において患者が坐る椅子１８はその台
座１９に設けた足踏または電動式の昇降機構によ
つて、昇降自在であり、上記台座に係合した固定
アーム２０上に樹設された頭部固定装置２の先端
のイヤーロツト３，３′が外耳孔に挿入しうる規
定の高さ、すなわち１対のＸ線焦点６，７の床上
高さＨに患者の座高に応じて昇降させる。２１は
床面であり２２は昇降操作用の足踏レバーまたは
フートスイツチである。この装置におけるＸ線フ
イルム保持体であるフイルムチエンジヤー２３は
たとえばＸ線フイルムの六切判および四切判をそ
れぞれ50枚マガジンに収容し、それを目的に応じ
て選択して連続的に撮影しうる装置であるが、公
知のものであり、詳細は省略する。上記Ｘ線フイ
ルム２４が撮影位置に送りこまれたとき、イヤー
ロツト３，３′を結ぶセフアロ基準線４からの距
離l₁が15cmに、かつ上記規定高さＨがＸ線フイル
ム２４のほぼ中心になるようにフイルムチエンジ
ヤー２３を支承し位置決めするのが、つぎに述べ
るＸ線フイルム回動位置決め装置２５である。こ
の装置２５は床面２１に固定的に設置され、患者
用椅子の台座１９を載設する回動機構本体部２６
と、この本体部内の中心の主軸３０を回転中心と
して90゜回動する水平アーム部２７と、水平アー
ム部先端に樹設されフイルムチエンジヤー２３の
支台２８を昇降可能に支承する支柱部２９とで構
成されている。回動機構本体部２６の内部構造は
第５図で示すが、水平アーム部２７の回転中心と
なる主軸３０の軸心３０ｃは第４図で示す患者頭
部１の正中矢状平面５と上記セフアロ基準線４と
の交点Ｐの鉛直線と完全に一致させてあり、患者
用椅子１８の中心軸心１８ｃとは必ずしも一致さ
せる必要はなく、椅子の構造などによつて図のよ
うにΔlのずれが生じてもよい。アーム部２７は
その一端を上記本体内の主軸に回転自在に軸支さ
れるとともに、他端を外方に突出させている。そ
の突出部の両側面の１対の支軸３１に揺動自在に
軸支された回動モータ部３２によつて水平アーム
部２７は第４図で示す90゜の範囲を可逆に回動す
る。すなわちフイルムチエンジヤー２３の実線位
置が正面セフアロ撮影位置であり、２点鎖線で示
す２３′の位置が側面セフアロ撮影位置である。
図示しないＸ線源８，９は矢印８，９の方向に上
記交点Ｐからいずれも150cmの位置に焦点がある
ように設置されている。支柱部２９はたとえば第
５図に示すように内・外筒とも角筒部材で構成さ
れ、その内筒３４の下端に固定した筒状ナツトに
螺合するねじ軸をモータ３３にて回転せしめるこ
とおよび内筒３４の上端部のたとえばピツチ２mm
のねじ螺合部の調節によつて据付設置時などのフ
イルムチエンジヤーの高さを調整する。つぎに第
５図によつてＸ線フイルム回動位置決め装置２５
の内部構造を説明する。図は第４図の矢印Ｃ方向
から見た装置２５の外観斜視図であり、第３、第
４図と同記号のものは説明を簡略または省略す
る。回動機構本体部２６は基板３５と、外壁板３
６と、内壁板３７と、天板３８とでなり、前述し
た主軸３０は基板３５上に樹設され、その軸心３
０ｃが第４図で示した交点Ｐの鉛直線と正しく合
致するように天板３８上の椅子の台座固定用のボ
ルト孔またはねじ孔３９の位置を定めて穿設して
ある。外壁板３６および内壁板３７は水平アーム
部２７の非回動部を閉鎖するとともに、外・内壁
板の両端部をそれぞれつなぐ１対の内部壁板４０
を設けている。この内部壁板４０には水平アーム
部の左右に突設したキヤスタアーム４２が入り込
むくぐり穴４３ならびに水平アーム構体の当接に
よりその回動を停止させるたとえばマイクロスイ
ツチ４４を設ける。水平アーム部２７はその一端
を上記主軸３０にたとえば上下１対の主軸受４５
を介して回転自在に軸支されるとともに、アーム
の左右に突設した上記１対のキヤスタアーム４２
に回転自在に軸支した同じく１対のキヤスタ４６
によつて回動自在に支承されている。回動モータ
部３２のモータ４７はその出力軸に摩擦軸４８を
設けており、この摩擦輪４８を上記天板３８の周
壁に圧接させる引張ばね４９が水平アーム構体
と、前述した支軸３１にて揺動可能に軸支された
１点鎖線で示す回動モータ部枠体５０との間に張
架してある。支柱部２９は前述したように内筒３
４外筒５１とでなり上端の支台２８を支承すると
ともに、昇降用モータ３３の作動を介してフイル
ムチエンジヤー２３を上下方向に大きく移動さ
せ、さらに支台２８に中心からの半径Ｒを等しく
設けたフイルムチエンジヤー取付孔５２、４個を
活用すれば0.5mm単位で高さの微調整が可能とな
る。回動を駆動するモータ４７をたとえば速度制
御型とし、始動・回動・停止をそれぞれ適切に制
御することによつて、正・側面セフアロ撮影位置
への回動位置決めはフイルムチエンジヤーにいさ
さかの衝撃も与えず、しかも円滑軽快にたとえば
5Sec位の短時間に行いうるものである。以上が
この考案にかかる実施例の説明であるが、つぎに
第６図によつてＸ線フイルム回動位置決め装置２
５の別の実施例を説明する。第６図は第５図と同
方向から見た外観斜視図であり、図中第５図と同
記号のものは詳説を省く。第５図の実施例と異な
る点は水平アーム部２７のキヤスタアーム５３を
水平アーム部の先端に設け、かつアームが長く点
線で示す１対のキヤスタ５４の間隔を長くした点
であり、これに対応してキヤスタ５４のころがる
面を平坦にするため回動機構本体部２６の基板を
扇状に大きく拡げた扇形基板５５とするととも
に、たとえばステンレス板で作つたキヤスタレー
ル５６を付設している。また１対の内部壁板４
０′にはマイクロスイツチ４４は設けるがくぐり
穴４３は不要である。以上の構成によるＸ線フイ
ルム回動位置決め装置２５′は上記実施例に比し、
主軸部の主軸受４５およびキヤスタ４６，５４に
かかる荷重方向に若干の違いが生じるが大差はな
く回動位置決め機能は全く同一である。なお第
１・第２の実施例装置によつて45゜斜位側面セフ
アロを撮影するばあいは患者用椅子を45゜回動さ
せて行うことは従来装置と同一である。

以上がこの考案の実施例であるが、この考案は
図示や説明に限定されず、要は被検者のセフアロ
基準線と正中矢状平面との交点の鉛直線を回転中
心として正・側面撮影位置に切換え的に回動位置
決めしうるものであればよく、たとえばフイルム
チエンジヤーが第４図で示す側面の反対側すなわ
ち被検者の左側面に回動させ、右側面のセフアロ
を撮影する装置でもよく、またフイルムチエンジ
ヤーは単一のフイルムサイズ式のものでもよい。
さらに支柱部は円筒状でもよく、その昇降も電動
式に限らない。同じく水平アーム部回動も必ずし
も摩擦駆動に限らず、その駆動源も電動式でなく
てもよい。また回動機構を天井に設けてフイルム
チエンジヤーを吊下して回動させる装置もこの考
案の範ちゆうに属するものである。

６ 効果 この考案は以上のように構成されているので、
カセツテを用いる従来のセフアロ撮影装置の欠点
や問題点を解消し、正面および側面（斜位側面を
含む）セフアロを術者の意のままに複数枚連続的
に速写でき、操作が容易で、しかもブレなどの全
くない診断精度のすぐれたＸ線写真が能率良く得
られる便宜な装置を提供しえたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のセフアロ撮影装置の平面概略
図、第２図は実願昭58第089393号のセフアロ撮影
装置の平面概略図、第３図はこの考案にかかる実
施例セフアロ撮影装置の側面図、第４図は上記装
置の平面図、第５図は上記装置のＸ線フイルム回
動位置決め装置の外観斜視図（１部内部機構を示
す）、第６図は上記装置のＸ線フイルム回動位置
決め装置の別の実施例の外観斜視図（１部内部機
構を示す）である。 １……被検者の頭部、２……頭部固定装置、
３，３′……１対のイヤーロツト、４……両外耳
孔を結ぶ基準線、５……正中矢状平面、Ｐ……４
の基準線と５の平面との交点、６，７……１対の
Ｘ線焦点、８，９……６，７の焦点をもつＸ線管
装置、１８……患者用椅子、１９……椅子台座、
２１……床面、１２，１３，１５，２３……Ｘ線
フイルム保持体、Ｈ……床面から４の基準線まで
の規定の高さ、２５……Ｘ線フイルム回動位置決
め装置、２６……上記２５の回動機構本体部、２
７……上記２５の水平アーム部、２９……上記２
５の支柱部、３０……回動機構の主軸、３０ｃ…
…上記３０の軸心（上記Ｐの鉛直線と合致するも
の）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 被検者の頭部を規定位置に固定する頭部固定
   装置と、前記固定された頭部の後方向ならびに
   一側面方向に所定の距離を設けてそれぞれ配設
   したＸ線管装置と、これらのＸ線焦点に対し前
   記頭部をはさんで対向し、かつＸ線焦点および
   頭部との相対位置を一定に配設したＸ線フイル
   ム保持体とからなり、被検者頭部の正面および
   側面の規格写真を撮影するようにした装置にお
   いて、前記Ｘ線フイルム保持体をＸ線フイルム
   を自動搬送するカセツテレス速写装置で構成す
   るとともに、速写装置のＸ線フイルム面を所定
   の高さに保持し、被検者の両外耳孔を結ぶ基準
   線と正中矢状平面との交点の鉛直線を回転中心
   として頭部回りを回動せしめ、切換え的に正面
   および側面それぞれの撮影位置に位置決めする
   ようにしたＸ線フイルム回動位置決め装置を設
   けたことを特徴とする頭部Ｘ線規格写真撮影装
   置。 ２ Ｘ線フイルム回動位置決め装置の回動機構を
   患者用椅子の台座と床面との間に形成してなる
   実用新案登録請求の範囲第１項記載の頭部Ｘ線
   規格写真撮影装置。