JPH0349562Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は車輌用シート又は家具用椅子などの
エアーサポート装置に使用するエアーバツクに関
するものである。

（技術背景） 従来、エアーバツク本体内部の対向面間にわた
つて吊り布を設け、エアーバツク本体の断面形状
を任意の形状に保形するエアーバツクは第１０図
及び第１１図に示す如き構成のものである。

このエアーバツクＢは、帯状に切断した２枚の
熱可塑性軟質ウレタンシートを重ねた上で、片側
の縁部同士を熱溶着して吊り布３２を形成し、該
吊り布３２の両縁部をウレタンシートから成るエ
アーバツク本体３１内部の対向面３１ａ，３１ｂ
にそれぞれ熱溶着したもので、エアーバツクＢを
収縮せしめた際に吊り布が中央部の折曲部３２ａ
から半折する様にしたものである。

上記エアーバツク本体３１は、膨張させた際に
吊り布によつて本体３１内部における対向面間３
１ａ，３１ｂの間隔を均一に保持されることによ
り、本体３１の表面及び裏面が平担に保形される
ものであつて、その保形効果は吊り布３２の数に
伴なつて高まるものである。

また、上記した吊り布３２をエアーバツク本体
３１の対向面３１ａ，３１ｂに熱溶着する際に
は、吊り布３２の一方の縁部を本体３１一方の対
向面３１ａの溶着位置に重ねた上で、同縁部とエ
アーバツク本体３１とを熱溶着用電極Ｃ，Ｃで挾
持して熱溶着し、さらに吊り布３２の他方の縁を
もう一方の対向面３１ｂに同様に熱溶着してい
る。

しかし、吊り布３２の縁部をエアーバツク本体
内面の溶着位置に重ね、さらに両者を手で押さえ
た状態のままで両電極Ｃ，Ｃにて挾持して熱溶着
する作業が難かしく、多くの作業時間を要してい
た。

（技術的課題） 本考案が解決しようとする技術的課題は、エア
ーバツク本体内部の対向面間にわたつて吊り布を
設けたエアーバツクに、保形性を高め且つ吊り布
の熱溶着作業を容易に成す手段を具備させること
である。

（技術的課題を解決する為の手段） 本考案が上記した課題を解決する為に講ずる手
段は、エアーバツク本体内部の対向面間にわたつ
て吊り布を設けたエアーサポート装置用エアーバ
ツクにおいて、前記吊り布を管状に形成すると共
に、該吊り布周面における対向する２カ所の部分
を前記対向面にそれぞれ固着し、且つ該固着部の
吊り布円周方向の固着幅を所定幅確保したもので
ある。

（作 用） 上記手段によれば、吊り布の２カ所の固着部を
挾む両側部分は、エアーバツク本体内部の対向面
間に固着幅の距離を置いて並設される。これによ
り膨張時において、前記吊り布の両側部分はそれ
ぞれに独立する２枚の吊り布となり、本体内部に
おける対向面間を均一に保持する。

また、管状に形成した吊り布は、棒状電極の外
側に嵌挿して保持することを可能に成し、同吊り
布をエアーバツク本体内の対向面における所定位
置に熱溶着する作業を容易に成す。

（効 果） 本考案は以上の如き構成のものであるから、エ
アーバツク本体を膨張せた際には、吊り布の両側
部が固着幅の距離を置き、それぞれ独立して本体
対向面間を均一に保持するものであるから、一枚
の吊り布でありながら、２枚の吊り布を固着幅の
距離を置いて並設した場合と同じ保形効果を奏す
ると共に溶着部が線状で中間に非溶着部を設けて
なるから、所定幅全面に溶着したものに比して柔
軟性があり、なじみの良いものとなる。

また、吊り布を管状に形成したので、吊り布を
本体内部における対向面に固着する際に、吊り布
を棒状の電極に嵌挿保持させることができるの
で、熱溶着作業を容易に行なうことができるもの
である。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

エアーバツクＡは第１図に示す如く、エアーバ
ツク本体１内部の対向面１ａ，１ｂ間にわたつて
管状の吊り布２を設けたものである。

上記エアーバツクＡを製造する際には、先ずエ
アーバツク本体１を形成する熱可塑性軟質ウレタ
ン樹脂製で且つ透明な表シートｂ及び裏シートａ
を重ね合わせ、次いで両シートａ，ｂの対向面に
おける所定位置に吊り布２を熱溶着し、しかる後
に前記両シートの全周縁を熱溶着して平面矩形状
に形成するものである。

前記吊り布２はエアーバツク本体１と同じ材質
を用いて管状に形成したものであつて、エアーバ
ツク本体１の対向面１ａ，１ｂ間の中央部に長辺
方向へ延ばして配置し、同吊り布２周面における
上記対向面１ａ，１ｂとの接触部である最上部及
び最下部の２カ所を同対向面１ａ，１ｂに所定幅
にて熱溶着して固着せしめる。（第２図） 前記した如く、吊り布２周面の最上部及び最下
部を対向面１ａ，１ｂに所定幅にて固着するに
は、第１図及び第２図に示す様に吊り布２周面に
おける固着幅の両側部の２カ所を吊り布２全長に
わたり線状に熱溶着し、中間部分に非溶着部を設
けるものであり、第８図に示す様に、吊り布２周
面の所定幅を全面に熱溶着するのは好ましくない
ものである。

前者の方法で実際に吊り布２を対向面１ａ，１
ｂに熱溶着する工程を図面に基づいて説明する。

第４図に示す如く、棒状の下電極C₁に吊り布
２を嵌挿して保持し、この吊り布２の上に裏シー
トａを載置して位置決め後、上電極C₂を裏シー
トａの上に圧接させて下電極C₁とで吊り布２の
最上部と裏シートａとを挾持し、両電極C₁，C₂
に通電して熱溶着する。次いで、下電極C₁を宛
てがう位置を吊り布２円周方向へ所定の固着幅だ
けずらし（第６図）、両電極C₁，C₂で吊り布２と
裏シートａを挾んだ後に熱溶着する。（第７図） 上記の様に吊り布２と裏シートａとを熱溶着し
た後、吊り布２を下電極C₁に嵌挿させたままで
半回転させ、前記の如く熱溶着した吊り布２固着
部と正反対の吊り布２周面を上に向け、同部を表
シートｂの固着位置に裏シートａと同じ要領で熱
溶着し、吊り布２を両シートａ，ｂ間にわたらせ
る。

吊り布２は管状であるから棒状の下電極C₁に
嵌挿すれば同電極C₁の圧着面が自然に吊り布２
内面の最上部に宛てがわれた状態で保持されるの
で、吊り布２の溶着部を下電極C₁に合わせる手
間と、この状態で保持する手間が不要となるの
で、上記状態で保持される吊り布２の上に裏シー
トａを両手で定置し、上電極C₂で挾持して上下
両電極C₁，C₂に通電させる簡単でやり易い作業
にて熱溶着できる。

吊り布２を熱溶着した裏表両シートａとｂと
は、その全周縁同士を熱溶着して平面矩形状のエ
アーバツク本体１を形成し、且つ同本体１の裏面
には給排口４を設ける。この際、吊り布２の両端
部をシートａ，ｂの間に挾んで一緒に熱溶着す
る。

これによつて吊り布２はその両端を本体１収縮
方向へ漬され、同吊り布２全体も平たく漬れた状
態で保たれる。而して、エアーバツクＡを収縮さ
せた際に上記吊り布２はエアーバツク本体１と共
に薄く漬れた状態となり、本体１表面に無駄な凸
起を生じることがない。（第３図） また、吊り布２周面における上下固着部を挾む
両側面部２ａ，２ｂは、エアーバツクＡを膨張さ
せた際にエアーバツク本体１の張力によつて膨張
方向へ張られて第２図に示す様に断面矩形に変形
するものである。然るに、本体１の膨張、収縮に
伴つて変形する吊り布２内に本体１内の空気が出
入りする様に、吊り布２の周面には空気の通孔２
ｃを開設し、吊り布２の変形を自由に成す。

尚、吊り布２周縁の折曲部２ｄには予め折りぐ
せを付けて、吊り布２を漬れ易くしても良く、且
又吊り布２の長さをエアーバツク本体１の長辺よ
り若干短くして本体１の気室を吊り布２で仕切る
ことなく単一に維持してもよい。この際には吊り
布２に前記通孔２ｃは設けなくともよい。

以上の様な本実施例のエアーバツクは、エアー
バツク本体１内へその給排口４より空気を供給す
ると、吊り布２の両側面部２ａ，２ｂは共に膨張
方向へ張られて緊張し、本体１の対向面１ａ，１
ｂの間隔を均一に保持する。この時吊り布２の両
側面部２ａ，２ｂは互いに固着幅の距離を置いて
緊張するので、２枚の吊り布を上記距離を置いて
並設したものと同じ保形効果を発揮するもので、
エアーバツク本体１の対向面１ａ，１ｂを２カ所
にて均一に保持し、その断面形状を一枚ものの吊
り布に比してより正確な矩形に保持し、本体１の
表裏面を平坦面に近い形状に成す。

尚、前記実施例において吊り布の数を複数枚例
えば２枚乃至３枚とし、それら吊り布をエアーバ
ツク本体の短辺方向へ並列させて配置することは
勿論任意である。この様に吊り布を複数枚設けれ
ば、エアーバツク本体の保形効果がより高まるも
のである。

次に、第９図に示した第２実施例について説明
する。

この第２実施例のエアーバツクA′は、エアー
バツク本体１′の対向面間に２枚の帯状シートを
重ね合わせ、このシートの両縁同士を熱溶着し
て、管状に成した吊り布２′の上下面をそれぞれ
所定の固着幅にて熱溶着したものであり、エアー
バツクA′を収縮した際に吊り布２′が薄く折り畳
める様にしたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のエアーバツクを示す一部切欠
斜視図、第２図は同縦断面図、第３図は収縮状態
を示す本体縦断面図、第４図〜第７図は表裏両シ
ートに吊り布を熱溶着する工程を示す斜視図及び
その縦断面図、第８図は吊り布を固着全面にわた
つて熱溶着したエアーバツクの縦断面図、第９図
は第２実施例のエアーバツクの縦断面図、第１０
図及び第１１図は従来の吊り布を用いたエアーバ
ツクを示す一部切欠斜視図とその縦断面図であ
る。 図中、Ａ……エアーバツク、１……エアーバツ
ク本体、２……吊り布。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エアーバツク本体内部の対向間にわたつて管状
   の吊り布を熱溶着せしめたエアーサポート装置用
   エアーバツクにおいて、該溶着部を吊り布円周方
   向に所定幅間隔をおいて線状に溶着し、中間に非
   溶着部を設けたエアーサポート装置用エアーバツ
   ク。