JPH0347475Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は収穫機において、原動側と駆動装置で
駆動連結されて往復動することにより穀稈の根元
部を刈取る刈刃を備えた穀稈刈取装置に関するも
のである。

圃場の穀稈を刈取つて脱穀したり結束したりす
る収穫機は、穀稈を引起してその根元部を刈取つ
たのち脱穀機または結束機へ搬送する刈取機を備
えており、この刈取機の穀稈刈取装置は、地面に
近接する箇所に機台の進行方向と直交して延設さ
れた刈刃とその駆動装置とで構成されている。す
なわち、刈刃は固定刃と移動刃とでバリカン状に
形成されていて、そのうちの移動刃は刈取機の後
部下端に設けたギアケース内の駆動軸との間を駆
動機構で連結されており、駆動軸を回転させるこ
とにより駆動機構を介し移動刃が固定刃上で長手
方向に往復動し、穀稈を刈取るように構成されて
いる。

しかしながら、従来は刈刃駆動機構が地面に近
接する箇所に露呈して設けられているので、刈取
機が上昇し切つていない状態で路上走行したり凹
凸や障害物のある圃場や道路を走行したりする
と、この駆動機構が地面の凸部や障害物に衝突し
て損傷するおそれがあつた。

本考案は以上のような点に鑑みなされたもの
で、刈取機下部の伝導フレームから地面方向へ突
出する刈刃駆動機構の機幅方向両側と下方とを、
伝導フレームの両側に接合されて機幅方向へ延び
る左右一対の引起し駆動フレームを連結する保護
部材で覆うことにより、刈刃駆動機構が地面の凹
凸や障害物へ衝突して損傷するのを防止するよう
に構成した収穫機の穀稈刈取装置を提供するもの
である。以下、本考案の実施例を図面に基いて詳
細に説明する。

第１図ないし第３図は本考案に係る穀稈刈取装
置の実施例を示し、第１図はこれを実施したコン
バインの側面図、第２図は同じく穀稈刈取装置を
除いて示す刈取機の斜め上方から見た平面図、第
３図は同じく側面図である。図において、コンバ
イン１の左右の走行クローラ２を支持する走行フ
レーム３上には、脱穀装置と選別装置等を備えた
脱穀機４が搭載されており、その斜め前方には、
運転者が着座する操縦席５と、各種の操作レバー
や計器類を備えた操作ボツクス６とが配設されて
いる。７はエンジンの回転を走行クローラ２等に
伝達する変速伝導装置が内部に収納されたギアボ
ツクスであつて、走行フレーム３に支持されて脱
穀機４の下端前方に配設されている。

脱穀機４の前端上部には、原動側から回転駆動
される刈取駆動軸を内部に貫通軸支させた刈取ギ
アボツクス８が機幅方向に延設されており、その
中央部に設けられた枢支部９には、斜め下方へ延
びるパイプ状の刈取後フレーム１０が回動自在に
枢支されている。刈取後フレーム１０はその下端
部と走行フレーム３との間を図示しない油圧シリ
ンダで連結されており、操席５からの操作で油圧
シリンダを作動させることにより枢支部９を中心
にして回動するように構成されている。また、刈
取後フレーム１０の内部には、刈取ギアボツクス
８内の刈取駆動軸との間を枢支部９内で駆動連結
された伝導軸が貫通軸支されている。符号１１で
示すものは、刈取後フレーム１０の下端部にこれ
と直交してフランジ接合された伝導フレームであ
つて、その左右両端部には、機幅方向へ延びる左
右一対の引起し駆動フレーム１２，１３がフラン
ジ接合されており、これら一連のフレーム１２，
１１，１３内には、刈取後フレーム１０内の伝導
軸とベベルギアで駆動連結された駆動軸１４が軸
支されている。左右の引起し駆動フレーム１２，
１３の外端部から前方へ突設された分草杆ステー
１５には、横パイプ１６ａと複数個の縦パイプ１
６ｂとで一体形成された分草杆１６が支持されて
おり、各縦パイプ１６ｂの先端部には、機台の進
行とともに圃場の穀稈を掻き分ける分草体１７が
固定されている。１８は多数のラグ１８ａを有し
てチエーンケース１８ｂ内で走行する引起しチエ
ーン１８ｃを備えた複数の引起し装置であつて、
前記各フレーム１２，１１，１３から斜め上方へ
突出する引起しパイプ１９と縦パイプ１６ｂから
突出する支持杆２０とで上下両端部を支持されて
おり、倒伏した穀稈の穂先部を場上搬送して穀稈
を起立させるように構成されている。なお、引起
し装置１８は、駆動軸１４との間を各フレーム１
２，１１，１３内で駆動連結されて引起しパイプ
１９内を貫通する伝導軸によつて駆動されてい
る。

符号２１で示すものは、縦パイプ１６ｂの中央
部に支持されて機幅方向に延び多数の三角刃を有
する固定刃２１ａと、その上面に機幅方向へ往復
動自在に摺接されて多数の三角刃を有する移動刃
２１ｂとでバリカン状に形成された刈刃であつ
て、地面に近接して架設されており、全体を符号
２２で示す駆動機構によつて移動刃２１ｂの往復
動を駆動されている。すなわち、駆動機構２２
は、前記駆動軸１４とベベルギアで駆動連結され
伝導フレーム１１に軸支されて地面へ向つて突出
するレバー軸２３を備えており、このレバー軸２
３の突出端部には、クランクレバー２４が固定さ
れている。一方、前記分草杆１６の横パイプ１６
ａには、くの字状に形成されたレバー２５がブラ
ケツト２６を介して枢支されており、クランクレ
バー２４の遊端部とレバー２５の一方の遊端部と
は、ロツド２７によつて連結されている。そし
て、レバー２５の他方の遊端部が移動刃２１ｂに
固定されたブラケツト２８に回動自在に枢着され
ていることにより、レバー軸２３が原動側から駆
動されて回転すると、クランクレバー２４、ロツ
ド２６、レバー２５、ブラケツト２８を介して移
動刃２１ｂが往復動するように構成されている。
符号２９で示すものは、パイプ材により横長のＵ
字状に形成された保護部材であつて、左右の脚端
に一体形成された平板を左右の引起し駆動フレー
ム１２，１３にそれぞれ固定されてこれらを連結
しており、駆動機構２２の要部であるレバー軸２
３、クランクレバー２４およびロツド２７の枢着
部を、下方と機幅両側方とから覆つて地面との間
を遮断している。また、フレーム１１，１２と横
パイプ１６ａとの間の空間部で往復動するロツド
２７と、揺動するレバー２５との下方は、フレー
ム１１，１２と横パイプ１６ａとに両端を固定さ
れた板状のカバー３０で覆われて地面との間を遮
断されており、前記保護部材２９は、このカバー
３０で全長のほゞ半分を覆われている。

さらに刈刃２１の上方には起立した穀稈の根元
部を刈刃２１による刈取位置へ搬送する掻込ベル
ト３１と、刈取穀稈を搬送する穀稈搬送装置
（前）３２とが、伝導フレーム１１側から回転駆
動されて配設されており、さらにこの穀稈搬送装
置（前）３２の斜め上方には、これから引継いだ
穀稈を脱穀機４へ向つて搬送する穀稈搬送装置
（後）３３が、前記刈取ギアボツクス８上の支持
杆３４に枢支されかつその内部の伝導軸側から回
転駆動されて配設されている。そして、刈取後フ
レーム１０から穀稈搬送装置（後）３３に至る全
体を刈取機３５と総称している。

以上のように構成されたコンバインの動作を、
３条刈りを例にとつて説明する。機台が前進する
と、圃場に植立する３条の穀稈は、隣接する縦パ
イプ１６ｂ間へ分草体１７によつて掻込まれ、そ
のうちの２条は第２図に矢印Ａで示す引起し径路
を対向する引起し装置１８，１８によつて引起さ
れて起立する。また残りの１条は第２図に矢印Ｂ
で示す引起し径路を一端の引起し装置１８で引起
されて起立する。起立した穀稈は根元部を掻込ベ
ルト３１で搬送されたのち刈刃２１で刈取られ、
また穂先部の引起し装置１８から解放されて左右
の穀稈搬送装置３２により２条と１条とに分かれ
て捕捉され搬送される。搬送された２条と１条と
の穀稈は搬送終端部で合流されて穀稈搬送装置
（後）３３に引継かれ、脱穀機４へ搬送されて脱
穀される。

このような収穫作業において、刈刃２１は伝導
フレーム１１から地面へ向つて突出するレバー軸
２３の回転で、駆動機構２２のクランクレバー２
４、ロツド２７、レバー２５、ブラケツト２８を
介し移動刃２１ｂが固定刃２１ａ上で往復動する
ことにより穀稈を刈取るものであつて、その駆動
機構２２は地面に近接して配設されているので、
常に地上の凹凸や障害物に衝突する危険性にさら
されている。しかしながら、本装置においては、
回転部であるレバー軸２３とクランクレバー２４
およびロツド２７の一部が保護部材２９によつて
地面との間を遮断されているので、衝突するおそ
れがない。また、本実施例においては、空間部内
で往復動するロツド２７と揺動するレバー２５と
が、地面との間をカバー３０によつて遮断されて
いるので、これらも障害物などと衝突するおそれ
がない。

なお、本実施例においては本考案を３〜４条刈
りコンバインの刈取機に実施した例を示したが、
２条刈りの小形コンバインおよび４〜５条刈りの
大形コンバインの刈取機にも同様に実施すること
ができ、また結束機を備えたバインダの刈取機に
も同様に実施することができる。

以上の説明により明らかなように、本考案によ
れば刈取機の穀稈刈取装置において、刈取機３５
下部の伝導フレーム１１から地面方向へ突出する
刈取駆動機構２２の機幅方向両側と下方とを、伝
導フレーム１１の両側に接合されて機幅方向へ延
びる左右一対の引起し駆動フレーム１２，１３を
連結する保護部材２９で覆うことにより、刈取駆
動機構２２が地面と遮断されるので、凹凸地や障
害物のある土地を走行しても刈取駆動機構２２が
これらに衝突するおそれがなく、その損傷を防止
することができる。また、左右の引起し駆動フレ
ーム１２，１３が保護部材２９で連結されている
ので、保護部材２９が補強部材としての役目を果
し、各フレーム１１，１２，１３の耐用性が向上
する。さらに、刈取機３５は、格納や保守などの
ためにこれを本機から取外すことがあるが、この
場合、保護部材２９がスタンドの役目を果すの
で、刈取機３５の地上への据付けが安定する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案に係る刈取機の穀
稈刈取装置の実施例を示し、第１図はこれを実施
したコンバインの側面図、第２図は同じく穀稈搬
送装置を除いて示す刈取機の斜め上方から見た平
面図、第３図は同じく側面図である。 １１……伝導フレーム、１２，１３……引起し
駆動フレーム、１４……駆動軸、２１……刈刃、
２２……刈取駆動機構、２３……レバー軸、２４
……クランクレバー、２７……ロツド、２９……
保護部材、３５……刈取機。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 刈取機下部の伝導フレームとその両側に接合さ
   れて機幅方向へ延びる左右一対の引起し駆動フレ
   ームとを備えた収穫機において、前記伝導フレー
   ム内で原動側と駆動連結されてこの伝導フレーム
   から地面方向へ突出する刈刃駆動機構の機幅方向
   両側と下方とを、前記左右の引起し駆動フレーム
   を連結する保護部材で覆つたことを特徴とする収
   穫機の穀稈刈取装置。