JPH034656Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、たとえば道路や鉄道沿いの倉庫、工
場、大型店舗等のように、外壁の意匠性（外観の
美しさ）が重視される建物の外壁として好適に用
いられる横貼外装板の接続構造、詳しくは左右方
向に延びる山部及び谷部が折曲形成された金属製
の横貼外装板を左右方向に対向して縦目地を形成
するようにした接続構造に関する。

比較的大きな山部と谷部が形成された横貼外装
板としては、スレート製のものが既に知られてい
る。そして、そのスレート製横貼外装板の左右方
向での接続部は、次のような構造になつていた。

即ち、第７図イ，ロに示すように、左右の横貼
外装板ａを、それらの端面同士を突き合わせた状
態に配置し、それらの裏側には横貼外装板ａと同
一の断面形状に形成されたスレート製の水切板ｂ
を重ね合わせて、各横貼外装板ａと水切板ｂとを
ビス止めすると共に、左右の横貼外装板ａ間の前
記突合せ間隙にコーキング材ｃを施していた。

この従来構造では、コーキング材ｃが外部に露
出しているため、コーキング材ｃの変質ひび割れ
等が早期に現われて雨水の漏水が生じやすいのみ
ならず、コーキング材ｃの退色、ひび割れ等によ
つて接続部（縦目地）の見栄えが悪くなり、殊に
突合せ部分の間隙が数ミリメートルにもなると尚
更コーキング材ｃの劣化等による欠陥が生じやす
くなり、しかも、スレート製横貼外装板の１枚あ
たりの寸法は、材質の強度面からの制約により、
最長のものでも約２ｍといつた比較的小さなもの
となつていて、壁面あたりの縦目地の数が多くこ
れらによつて意匠性が阻害されると共に漏水も多
発するという欠点があつた。

本考案は、これらの従来欠点を一掃せんとする
ものである。

即ち、本考案による横貼外装板の接続構造は、
左右方向に対向して接続する横貼外装板の端部
を、縦胴縁等の下地材の外側に形成されている縦
目地用の水切板に、前記横貼外装板の端部同士間
に縦目地を形成するように所望間隙をあけて取り
付け、前記横貼外装板の各山部の端部と前記水切
板との間隙を防水面戸で閉塞することを特徴とす
るものである。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

図において、１は現場打ちコンクリート又はコ
ンクリートブロツクと仕上げモルタルとによつて
築造された布基礎であり、その上面には、横貼外
装板を取り付ける下地材例えば２個の断面Ｃ型の
軽量型鋼を背中合せに固着してなる縦胴縁２…が
所定間隔おきに立設され、縦胴縁２…間には、同
様なＣ型軽量型鋼等よりなる横胴縁３…が架設さ
れている。４は上部の横胴縁３に沿つて設けられ
た鉄骨梁、５は笠木、６は雨樋、７は折版屋根、
８は腰水切、９は縦目地用の水切板で、両側部９
ａ，９ｂを外側に折返して断面〓型としている。
１０は横貼外装板、１１は外壁の出隅部に配置さ
れた出隅材、１２は外壁の入隅部に配置された入
隅材である。

前記笠木５、雨樋６、折版屋根７、腰水切８、
水切板９、横貼外装板１０、出隅材１１、入隅材
１２はいずれも塗装鋼板製である。

前記横貼外装板１０には、第１図及び第４図に
示すように、左右方向に延びる山部１０ａ…及び
谷部１０ｂ…が折曲形成され、上下両端には谷部
１０ｂ…から立ち上つた短寸の、つまり山部１０
ａの高さｈよりも立上り量の小さい立上がり片１
０ｃ…が折曲形成されている。

尚、１枚の横貼外装板１０の上下幅は約70cm、
山部１０ａの高さｈは約6.6cmである。横貼外装
板１０の長さ（左右方向での長さ）は、塗装鋼板
製のため強度面から制約を受けず、任意に設定し
得るが、作業者２名で施工する場合には、約６ｍ
以内にとどめることが施工上望ましい。

前記横貼外装板１０は、上下方向においては下
段の横貼外装板１０における上端側の谷部１０ｂ
の外側に、上段の横貼外装板１０における下端側
の谷部１０ｂが重なる状態に、順次下から上へと
接続されるものであり、左右方向においては、次
の如き構造によつて左右の横貼外装板１０…の山
部１０ａ…同士及び谷部１０ｂ…同士が夫々相対
向する状態に、つまり、水平かつ直線状に並んだ
状態に、しかも横貼外装板１０…の端部間に所望
間隙をあけた状態に接続されるものである。

次に、横貼外装板１０の接続部の構造を、施工
手順に従つて説明する。

全体が上下方向において平坦に形成されてい
る平板状の水切板９を横貼外装板１０の接続部
（縦目地）に来る縦胴縁２に所要本数のタツピ
ングビス１３…により取り付ける。これらのタ
ツピングビス１３…による取付けは、横貼外装
板１０の山部１０ａに対応する位置、つまり、
山部１０ａの内側に来る位置において行なわれ
る。また、水切板９の下端部は第１図、第２図
に示すように、前記腰水切８の垂直板部８ａの
外側に重ね合わせてある。

一方、各横貼外装板１０の左右両端部には、
第４図に示すように谷部１０ｂ…にビス孔１４
…を穿設すると共に、上端側の立上り片１０ｃ
の左右両端部には、後述する防水面戸１５の取
付用板部１５ａよりもわずかに幅の広い切欠１
０ｄを形成しておく。これは、現場作業によつ
て行なわれるが、予め工場加工しておいてもよ
い。

そして、各横貼外装板１０の左右両端部に
は、塗装鋼板製の防水面戸１５を取り付けると
共に、防水面戸１５と横貼外装板１０との重な
り合い部分には、コーキングを施す。この工程
は工場で行なつてもよいが、多数枚の横貼外装
板１０を積み重ねて運搬できるようにするため
には、現場作業によつて行なうことが望まし
い。

防水面戸１５の具体的な構造及び防水面戸１
５と横貼外装板１０の取付構造の一例を以下に
説明する。

防水面戸１５は、第４図に示すように平坦な
取付用板部１５ａとそれから外側へ直角に折り
曲げられた２個の面戸部１５ｂ…と各面戸部１
５ｂ…の端縁から面戸部折曲げ方向と同方向へ
直角に折り曲げられたフランジ部１５ｃ…とを
有し、前記取付用板部１５ａには、前述したビ
ス孔１４…に対応する取付用孔１６…を形成し
てある。これらの取付用孔１６…はバーリング
加工により形成されたもので、第５図に示す如
く、各取付用孔１６の周囲には取付用板部１５
ａの表面よりも外方へ突出した筒状の立上り部
１６ａが形成されている。

そして、第５図に示す如く、防水面戸１５の
横貼外装板１０と重なり合う部分、つまり、取
付用板部１５ａの一部とフランジ部１５ｃ…と
にコーキング材１７を付着させた後、横貼外装
板１０と防水面戸１５とを重ね合わせ、かつ、
前記取付用孔１６…の立上り部１６ａ…を横貼
外装板１０のビス孔１４…に挿入すると共に、
その突出先端部をハンマーで打撃する等して、
第６図に示す如くハトメ状にカカシメ止めをす
ることにより、防水面戸１５と横貼外装板１０
とを結合し一体化する。尚図示にように、フラ
ンジ部１５ｃ…同士の隙間やフランジ部１５ｃ
と取付用板部１５ａの隙間にも、フランジ部１
５ｃの裏側からコーキングを施しておくことが
望ましい。

しかる後、第４図、第５図に示すように、防
水面戸１５の取付用板部１５ａに、両面粘着性
としたブチルゴム製のシールテープ１８を、取
付用板部１５ａの上下方向全長にわたつて貼り
付ける。１９は離型紙である。

次に、離型紙１９を剥がし、防水面戸１５付
き横貼外装板１０の端部を水切板９の所定位置
に、前記シールテープ１８にて貼り付け、この
状態でタツピングビス２０…を前記ビス孔１４
…及び取付用孔１６に通して、縦胴縁２…にね
じ込む。これによつて左右の横貼外装板１０…
が、水切板９の外側に重なり、かつ、左右の横
貼外装板１０…間に適当幅（たとえば30mm程
度）、縦目地Ｓをあけた状態に、縦胴縁２…に
取り付けられる。

尚、各横貼外装板１０における上端側の立上
り片１０ｃの左右両端部には、切欠１０ｄ…を
形成してあるので、この切欠１０ｄ…に上段の
横貼外装板１０に結合されている防水面戸１５
における取付用板部１５ａ…を嵌め込むことに
より、上、下段の横貼外装板１０…の谷部１０
０ｂ…同士が重なり合つた状態に、順次下から
上へと横貼外装板１０…を接続できるのであ
る。

上記の実施例によれば水切板９を、横貼外装
板１０の断面形状に合わせるのではなく、上下
方向において平坦な形状とし、横貼外装板１０
の山部１０ａと水切板９との間隙を防水面戸１
５で閉塞し、防水面戸１５と横貼外装板１０と
の重なり合い部分にコーキングを施してあるた
め、コーキング材１７が横貼外装板１０で隠蔽
され、外部に露出しない。

従つて、コーキング材１７の変質、ひび割れ
等の発生が長期間防止されて、コーキング材１
７による止水性能が長期にわたつて維持される
のみならず、たとえコーキング材１７に退色、
ひび割れ等が発生しても、横貼外装板１０の縦
目地が外観上見苦しくなる虞れがない。

しかも、防水面戸１５によつて横貼外装板１
０の各山部１０ａの端部と水切板９との間隙を
閉塞するので、左右に対向する横貼外装板１０
…の端部同士間に、コーキングとは無関係に幅
広な隙間（縦目地Ｓ）を形成することが可能で
ある。

従つて横貼外装板１０の左右長さを大にして
縦目地の数を減少する一方、各々の縦目地を幅
広にして視覚的アクセントを付けることによつ
て、外壁に特異な意匠性を持たせることができ
るのである。

また、横貼外装板１０の端部に取に付けた防
水面戸１５の取付用板部１５ａに両面粘着性の
シールテープ１８を貼着し、このシールテープ
１８を介して、防水面戸１５付き横貼外装板１
０の端部を水切板９の所定位置にタツピングビ
ス２０にて取り付けるため、水切板９と防水面
戸１５との界面は水密的にシールされる。

また、横貼外装板１０が金属製であるため、
１枚あたりの長さを大にして、接続箇所を減少
することが可能であり、しかも、防水面戸１５
を、１つの取付用板部１５ａに対して複数の面
戸部１５ｂが折曲形成された形状とし、かつ、
タツピングビス２０が挿入される取付用孔１６
の立上り部１６ａを横貼外装板１０のビス孔１
４にカシメ止めして、防水面戸１５と横貼外装
板１０を一体化する構造としたため、両者１
５，１０を一体化するための専用のビス及びビ
ス孔の加工が不要であり、これらによつて、施
工性を向上することが可能である。

尚、上記の実施例では防水面戸１５を横貼外
装板１０に取付けた後、それらを水切板９上に
取り付けているが、予め水切板９上に防水面戸
１５を取り付け、しかる後、横貼外装板１０を
取り付けるように構成して実施することも可能
である。

また、図示の水切板９は、全体が、つまり左
右方向の全幅が上下方向において平坦に形成さ
れているが、少なくとも左右の横貼外装板１０
…と重なる部分が上下方向において平坦に形成
されている水切板であれば、上述した作用、効
果の全てを奏し得るものであり、たとえば左右
の横貼外装板１０と重なる部分のみを上下方向
において平坦とし、左右の横貼外装板１０の間
に位置する部分に、凹凸模様を形成した水切板
を採用することが可能である。

図示しないがコーキング材１７に代え、両面
粘着性としたブチルゴム製のシールテープ等を
用いて実施することも可能である。

以上のように、本考案によれば左右方向に対
向して接続する横貼外装板の端部を、縦胴縁等
の下地材の外側に形成されている縦目地用の水
切板に、前記横貼外装板の端部同士間に縦目地
を形成するように所望間隙をあけて取り付け、
前記横貼外装板の各山部の端部と前記水切板と
の間隙を防水面戸で閉塞するため、縦目地、つ
まり、左右方向に対向する横貼外装板の端部同
士間の間隙が視覚的アクセントとなつて、外壁
の意匠性を向上でき、しかも、横貼外装板の各
山部の端部と水切板との間隙が防水面戸で閉塞
されるため、前記間隙からの雨水の浸入を防止
でき、また防水面戸と横貼外装板との重なり合
い部分にコーキングを施せば、コーキング材が
外部に露出せず、コーキング材の劣化による漏
水の発生やコーキング材の退色、ひび割れ等に
より外観が見苦しくなることを長期にわたつて
防止できるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第６図は本考案の実施例を説明する
ためのものであつて、第１図は外壁の一部切欠斜
視図、第２図は要部の縦断側面図、第３図は要部
の横断平面図、第４図は横貼外装板と防水面戸の
分解斜視図、第５図は防水面戸と横貼外装板との
重なり合い部分を示す要部斜視図、第６図は防水
面戸と横貼外装板との取付部を示す断面図であ
る。第７図イ，ロは従来例を示す斜視図と横断平
面図である。 ２……縦胴縁、９……水切板、１０……横貼外
装板、１０ａ……山部、１０ｂ……谷部、１５…
…防水面戸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 左右方向に延びる山部及び谷部が折曲形成され
   た金属製の横貼外装板を左右方向に対向して接続
   する構造であつて、前記左右方向に対向して接続
   する横貼外装板の端部を、縦胴縁等の下地材の外
   側に形成されている縦目地用の水切板に、前記横
   貼外装板の端部同士間に縦目地を形成するように
   所望間隙をあけて取り付け、前記横貼外装板の各
   山部の端部と前記水切板との間隙を防水面戸で閉
   塞することを特徴とする横貼外装板の接続構造。