JPH0342970Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は軽量気泡コンクリート等の半可塑性体
を切断する際に使用されるワイヤー、細糸等の切
断線を切断線取付部材に取付固定する際に用いら
れる把持構造に関するものである。

〈従来の技術〉 軽量気泡コンクリート等の半可塑性体をワイヤ
ー等の切断線で切断する装置は例えば特公昭40−
28107号公報、実開昭59−91807号公報によつて公
知であるが、これ等の切断装置に切断線を取り付
けるに当たつては切断線に局部的な曲げ応力が掛
からない様にする必要があつた。しかるに従来の
半可塑性体を切断する切断線を切断線取付部材に
取り付ける把持構造は一般的に第４図に示す如き
構造が実施されていた。

即ち、第４図に於いて、軸方向中心部に穴１を
有する金属製円筒状ニツプル２を用い、このニツ
プル２に切断線であるワイヤー３を挿通し、かつ
末端から露出したワイヤー３の端部４をつぶして
穴１から抜け出さないように偏平状に大きくし、
次に今度はニツプル２に水平方向の圧力を掛けて
全体をつぶして変形させ、これによつてワイヤー
３をニツプル２の穴１に密着させて両者を強く固
定し、切断線取付装置５の穴６よりワイヤー３が
脱落しないように構成していた。

〈考案が解決しようとする問題点〉 しかるに前述の従来の把持構造に於いては、切
断線であるワイヤー３がニツプル２の穴６の全長
に亘つて完全に密着されて構成されるので、半可
塑性体をワイヤー３で切断する際に、引張力を受
けたワイヤー３がニツプル２の出口部で曲げ応力
を集中的に受けて破断され、従つてワイヤー３の
寿命が著しく短くなる欠点があつた。

例えば直径が0.7mm未満のワイヤー３を使用し
た様な場合には特に寿命が短くなるので、0.8mm
以上の太いワイヤー３を使用しなければならなか
つたが、この太いワイヤー３を使用した場合には
切断したブロツクの切断面が粗くなり、平滑度が
得られない欠点があつた。

本考案に係る把持構造は従来のこれ等の欠点に
鑑み開発された新規な技術であつて、特にワイヤ
ー等の切断線の一部に曲げ応力が集中的に掛かる
ことを防止可能とした全く新規な把持構造を提供
しようとするものである。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案は切断線の端部を固定し、かつ該切断線
を切断線取付部材に固定された円筒体の外周面に
沿つて巻き付けて該切断線を前記切断線取付部材
の取付穴に挿通して構成したことを特徴とした半
可塑性ブロツク体切断線の把持構造である。

〈作用〉 本考案に係る把持構造は上述の如く、端部が固
定された切断線を切断線取付部材に固定された円
筒体の外周面に巻き付けるように構成したので、
従来の如く、切断線がニツプルの先端入口部に直
接接触することが無く、従つて切断線に局部的な
曲げ応力が掛かることを防止出来、これによつて
切断線の破損、摩耗等を少なくしてその寿命を大
巾に延長させることが出来る。

〈実施例〉 図により本考案に係る把持構造の一実施例を具
体的に説明すると、第１図及び第２図に於いて、
７は直径10mmの鉄製のニツプルであつて、その軸
心には0.8mmの穴８が穿孔されている。３は切断
線であり、0.5mmの直径を持つたピアノ線よりな
るワイヤーであつて、該ニツプル７の穴８に挿通
された後、その露出端部４は偏平状につぶされて
ニツプル７から抜け落ちないように構成されてい
る。５は切断線取付部材であつて、所定の間隔を
保つて２個の取付穴６が穿孔されている。１０は
10φの円周を持つた金属製の円筒体である。

本考案の構造体の組立構成に当たつては第１図
及び第２図に示す如く、切断線であるワイヤー３
を部材５の一方の穴６に挿通した後、部材５の裏
面に設けられた円筒体１０の周りにワイヤー３を
巻き付け、更にこのワイヤー３を部材５の他方の
穴６より引き出すことによつて構成することが出
来る。

上記実施例に於ける構造は更に第５図に示す如
く改良することが出来る。即ち第５図に於いて、
ワイヤー３の先端部及びニツプル７をニツプル保
持板１１に固定し、かつコイルスプリング１２を
介して保持板１１に対峠して設けられたストツパ
ー板１３にワイヤー３を挿通した後このワイヤー
３を円筒体１０に巻き付けて引き出し、前記保持
板１１を取付部材５の中空部５ａ内で摺動し得る
如く構成することも可能である。

本考案に係る把持構造を使用した場合の切断距
離Ｗを測定し、従来のものと比較した処、次の様
な結果が得られた。即ち第３図イ，ロに示す如き
高さ600mmのALCモルタルブロツク９をワイヤー
３によつて切断した処、従来の構造のものでは平
均して65ｍしか切断出来ずに、ワイヤー３が破断
したのに対し、本考案の構造を使用した処、平均
して150ｍの切断（切断距離Ｗ）が可能であつた。

〈考案の効果〉 本考案に係る把持構造は上述の如き構造と作用
とを有するので、切断線で半可塑性体を切断する
際にこの切断線に局部的な曲げ応力が掛かること
がないので、切断線の折損、磨耗による破断等を
著しく少なくし、その寿命を大幅に延長させるこ
とが出来、又これによつて直径の小さい切断線の
使用を可能とし、切断面の美しい半可塑性ブロツ
クを簡単確実に得ることが出来る等の特徴を有す
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本願の構造を示す正面図、第２図はそ
の斜視図、第３図イは切断距離を示す説明図、第
３図ロは使用状態を示す説明図、第４図は従来例
を示す説明図、第５図は他例の実施例を示す説明
図である。 ３は切断線、４は切断線の端部、５は切断線取
付部材、６は取付穴、９はブロツク、１０は円筒
体である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 切断線の端部を固定し、かつ該切断線を切断線
   取付部材に固定された円筒体の外周面に沿つて巻
   き付けて該切断線を前記切断線取付部材の取付穴
   に挿通して構成したことを特徴とした半可塑性ブ
   ロツク体切断線の把持構造。