JPH034168Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案はコンパクト容器に関するもので、より
具体的には容器本体と蓋体とをそれぞれの後方部
において開閉自在に枢着してなるコンパクト容器
の蓋体の開閉機構の改良に関する。

《従来の技術》 従来、この種のコンパクト容器としては、容器
本体の凹所にプツシユピースを配設し、このプツ
シユピースを比較的硬いプラスチツク片として形
成し、このプラスチツク片の内端部に上方から下
方後部に向けて漸次降下した傾斜面を形成し、こ
の傾斜面が蓋体の前端部から垂下した爪片の下端
に当接するようにし、蓋体の閉止位置においてこ
のプツシユピースを内方に押圧すると上記傾斜面
の垂直分力が爪片に作用して蓋体を押上げて開放
するようにしたものが公知となつている。

しかしながら、従来のプツシユピースを使用し
たコンパクト容器にあつては、プツシユピースの
押込みストロークを長くすることができないため
に、両係合突起の係合を解除した後に蓋体が開放
する角度を大きくするためにはテーパー面の角度
を急にしなければならず、かかる場合にはテーパ
ー面の後方下方部が蓋体に設けた爪片の下方に入
り込みにくくなるとともに、爪片とテーパー面と
のなす角が小さいために、プツシユピースを押し
込んだ際の押圧力に対する爪片に付勢される上方
への分力が小さくなり、押しにくく蓋体を開放す
るために大きな力を要する等の問題があつた。

《考案が解決しようとする問題点》 そこで、本願出願人は実願昭60−36095号にお
いて上記した問題点を解決するために、押圧用前
壁の下方後部位置より肉薄な可撓部を介して作動
腕を後部上方へ一体的に延長形成したプツシユピ
ースを容器本体の凹所内に前後方向に移動可能に
配設し、作動腕の後端を該凹所の奥面に摺動自在
に当接し、蓋体の閉止位置にてプツシユピースの
前壁を内方へ押圧した時に作動腕が凹所の奥面に
そつて上昇し、蓋体の下面に接してこれを上方へ
押し上げるようにしたコンパクト容器を提案し
た。このコンパクト容器では、従来のものに比べ
ればプツシユピースの実質的ストロークを長くす
ることができるため操作性が向上するというメリ
ツトはあるものの、プツシユピースを収納する凹
所の奥面に係合突起を突出形成したために奥面が
面一にならず、プツシユピースの作動腕は該係合
突起近傍迄しかスムーズに移動しないので、例え
ば薄手のコンパクト容器等では充分に大きなスス
トロークを確保することが困難になり、なお満足
すべきものではなかつた。

また、この種のコンパクト容器ではプツシユピ
ースが容器本体の前方上端部まで位置しているた
めに、デザイン的にも制限がなされるという問題
もあつた。

《考案の目的》 本願考案は上記のような問題点に鑑みてなされ
たもので、その目的は構造簡単にして充分大きな
ストロークを確保でき、小さな力で簡単かつ確実
に蓋体を大きな角度開放することができるととも
に、デザイン的にも良好なコンパクト容器を提供
するにある。

《問題点を解決するための手段》 上記の目的を達成するため、本考案に係るコン
パクト容器によれば、容器本体の上面前方に第１
の凹所を形成し、第１の凹所の前面部に第１の係
合突起を形成し、蓋体の下面前方部から垂下形成
した爪片の前面に第２の係合突起を形成し、第１
の係合突起と第２の係合突起の係合によつて蓋体
が閉止位置を占めるとともに、容器本体の前面下
方部に第１の凹所と連通する第２の凹所を形成
し、第２の凹所内にプツシユピースを前後方向に
移動可能に配設し、プツシユピースには押圧用の
前壁とその下端後方位置より肉薄な可撓部を介し
て後部上方へ一体的に延長する作動腕とを形成
し、作動腕の後端を第１の凹所の奥面に鋭角的に
当接させてプツシユピースを内部後方へ押圧した
時に作動腕が奥面上を摺動して上方へ移動可能と
し、蓋体の閉止位置において作動腕の上端面に近
接して蓋体の下端面が位置するようにしてなるの
である。

《実施例》 以下に本考案の好適な実施例について添附図面
を参照にして説明する。

第１図〜第４図は本考案の第１実施例を示して
いる。同図において１０は内部に化粧料を収納す
るようにした合成樹脂製の容器本体を示し、この
容器本体１０の後端部にはピン１２を介して蓋体
１４が開閉自在に枢着されている。そして、蓋体
１４の内面には鏡１６が接着されている。

本考案にあつては、容器本体１０の上面前方に
第１の凹所１８が穿設され、この第１の凹所１８
の前面上方には第１の係合突起２０が一体的に後
方へ向けて突出形成されている。

そして容器本体１０の前端面中央下方部には第
１の凹所に比較して縦横に比較的幅広の第２の凹
所２２が形成されており、この第２の凹所２２
は、その奥面中央に透孔２４が穿設され、第１の
凹所１８と連通状態になつている。更に第２の凹
所２２の奥面下方部には段付案内孔２６が形成さ
れている。

また、蓋体１４の下面前方部には爪片２８が一
体的に垂下形成されており、爪片２８の前面下方
部には第２の係合突起３０が一体的に前方へ向け
て突出形成されている。そして、蓋体１４の閉止
位置では、爪片２８が容器本体１０の第１の凹所
１８内に挿入するとともに爪片２６の第２の係合
突起２８が第１の凹所１８内の第１の係合突起２
０を乗り越えて係合しあい閉止状態を保つように
なつている。

更に本考案にあつては、容器本体１０に設けた
第２の凹所２２内にプツシユピース３２が配設さ
れるのであるが、このプツシユピース３２は略垂
直に形成された押圧用の前壁３４と前壁３４の下
端から内部後方へ向けて水平に延長した底壁３６
と前壁３４の後面下方部から可撓部３８を介して
斜後上方に延長する作動腕４０とからなつてい
る。そして作動腕４０の上面は、第１図及び第２
図に示す蓋体１４の閉止状態で平坦面となつてお
り、またその後端は鋭角的な角部となつている。
尚、底壁３６の後端下面にはフツク状突起４２が
一体的に突設されている。

上記のように構成されたプツシユピース３２を
容器本体１０の第２の凹所２２内に組付けるに
は、その底壁３６を第２の凹所２２の奥面下方に
形成された段付案内孔２６内に押し込む。このよ
うにして、底壁３６の下端のフツク状突起４２が
一旦段付案内孔２６の下方段部を乗り越えて押し
込まれると、このプツシユピース３２は段付案内
孔２６から引き抜けないように組付けられる。こ
のようにプツシユピース３２が第２の凹所２２内
に組付けられると、その作動腕４０の後端は第２
の凹所２２の奥面の透孔２４を挿通し、第２の凹
所１８の奥面に当接し、可撓部３８とこの作動腕
４０の後端と第１の凹所１８の奥面とを結ぶこと
によつて形成される角は鋭角となつている。そし
て、蓋体１２を容器本体１０に対して閉止した状
態では、第２図に示すように、蓋体１４の爪片２
８の下端面が作動腕４０の上面に近接または当接
している。

今、第２図に示したように蓋体１４が閉止した
状態から、プツシユピース３２の前壁３４に指を
押し当ててこれを内部後方に押圧すると、作動腕
４０は第１の凹所１８の奥面上を摺動しながら上
昇して下方の可撓部３８を中心として上方へ向け
て傾動する。この傾動時、作動腕４０の上端面は
蓋体１４の爪片２８の下端面に圧接してこれを上
方へ押圧するため、爪片２８に形成した第２の係
合突起３０は第１の奥面に形成した第１の係合突
起２０から離脱し蓋体１４は解錠されるのであ
る。このとき、第１の凹所１８は奥面には係合突
起が形成されておらず、その上端縁に至るまで面
一に成形されているため、作動腕の実質ストロー
クが増大され、比較的大きな角度まで蓋体が開放
されるのである（第３図）。

第５図はこの考案の第２実施例を示す要部断面
図である。

この実施例は第１実施例と相違して、プツシユ
ピース３２に設けられる作動腕４０′が底壁３６
の前方上面部から可撓部３８′を介して形成され
ているのである。

この実施例によれば、可撓部３８′の位置が、
第１実施例よりさらに下方に位置するため、作動
腕４０′の実質的ストロークがより増大され、蓋
体１４を開放しやすく、かつ、より大きな角度ま
で開放させることができるのである。

その他の構成、並びに作用効果は第１実施例と
同様であるので説明を省略する。

尚、上記各実施例では解錠時に作動腕４０，４
０′が蓋体１４の爪片２８の下面に作用するよう
にしたが、蓋体１４のその他の下面に作用するよ
うにしても良い。

《考案の効果》 以上のように、本考案の係るコンパクト容器に
よれば、第１の凹所の奥面をその上端縁に至るま
で面一に形成したために、プツシユピースの作動
腕の後端部が該奥面の上端近傍まで移動可能とな
るので、実質的ストロークが増大され、小さな力
でもつて簡単かつ、確実に蓋体を大きな角度まで
開放することができる。また、容器本体の上面前
方に蓋体の爪片が挿入可能な第１の凹所を設ける
とともに容器本体の前面下方にプツシユピースを
収納する第２の凹所を設け、両凹所を連通させる
こととしたので、第４図に示すようにプツシユピ
ースの前壁の上方部が容器本体の前方角部を覆わ
れる。従つて、プツシユピースの上方が容器本体
につて隠れることになるのでプツシユピースに上
方から外圧がかかるおそれがなくなり、プツシユ
ピースがこわれにくくなる。また、蓋体開放時に
その上方からプツシユピースが見えないとともに
プツシユピースの露出面積が小さくなりデザイン
的効果が向上する等種々の作用効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のコンパクト容器の蓋体の閉止
状態を示す断面図、第２図は第１図のコンパクト
容器の止錠部を拡大して示す部分断面図、第３図
は第２図の状態からプツシユピースを内部後方へ
押し込んで蓋体を解錠した状態を示す部分断面
図、第４図は容器本体の前方部を示す斜視図、第
５図は、本考案の第２実施例におけるコンパクト
容器の蓋体の閉止状態を示す部分拡大断面図であ
る。 １０……容器本体、１４……蓋体、１８……第
１の凹所、２０……第１の係合突起、２２……第
２の凹所、２４……透孔、２８……爪片、３０…
…第２の係合突起、３２……前壁、３４，３４′
……前壁、３６……底壁、３８，３８′……可撓
部、４０，４０′……作動腕。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 容器本体と蓋体とをそれぞれの後方において開
   閉自在に枢着してなるコンパクト容器において、
   該容器本体の上面前方に第１の凹所を形成し、該
   第１の凹所の前面部に第１の係合突起を形成し、
   該蓋体の下面前方部から垂下形成した爪片の前面
   に第２の係合突起を形成し、該第１の係合突起と
   該第２の係合突起の係合によつて該蓋体が閉止位
   置を占めるとともに、該容器本体の前面下方部に
   該第１の凹所と連通する第２の凹所を形成し、該
   第２の凹所内にプツシユピースを前後方向に移動
   可能に配設し、該プツシユピースには押圧用の前
   壁とその下端後方位置より肉薄な可撓部を介して
   後部上方へ一体的に延長する作動腕とを形成し、
   該作動腕の後端を該第１の凹所の奥面に鋭角的に
   当接させて該プツシユピースを内部後方へ押圧し
   た時に該作動腕が該奥面上を摺動して上方へ移動
   可能とし、該蓋体の閉止位置において該作動腕の
   上端面に近接して該蓋体の下面が位置するように
   してなることを特徴とするコンパクト容器。