JPH0337777Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、圧延鋼板等の帯板の表面に形成され
たスケールの除去あるいは前記帯板の形状の矯正
等に際して使用されるテンシヨンレベラに関する
もので、さらに詳しくは、ブライドルロールと前
記帯板とにおけるスリツプの防止を図つたテンシ
ヨンレベラに関するものである。

＜従来の技術＞ 従来、圧延鋼板等の帯板は、通常、圧延過程で
表面にスケールが付着したり、部分伸びや反り等
の形状不良を伴うことが多い。このため、テンシ
ヨンレベラが使用されるが、以下は、主としてス
ケールブレーカに使用するテンシヨンレベラに関
して述べる。

従来のテンシヨンレベラは第２図に示す如く、
基台１上に配置したハウジング２内に、上下一対
のロールチヨツク３，４が上下方向に摺動可能に
収納されており、該ロールチヨツク３，４は、前
後１組のデイスタンスピース５を介して連結さ
れ、上側のロールチヨツク３はシリンダ６でハウ
ジング２に吊り下げられ、下側のロールチヨツク
４はジヤツキ７を介してハウジング２から持ち上
げられている。また、ロールチヨツク３，４に
は、ハウジング２の入口側および出口側にそれぞ
れ設けられた一対のブライドルロール（図示省
略）によりテンシヨンが加えられた状態の帯板８
に繰り返し曲げ力を与えてスケール層に多数の亀
裂を生じさせることにより後工程の酸洗タンクで
のスケール除去を容易とするための複数個の小径
ワークロール９と、該ワークロール９をバツクア
ツプするバツクアツプロール１０と、複数個のデ
フレクタロール１１とがそれぞれ装着されている
と共に、前記帯板８の繰り返し曲げによつて剥離
されたスケールの洗滌除去とロール冷却とのため
に帯板８の表面に水等の液体を散布するための複
数個のスプレーノズル１２が装着されている。

一方、ハウジング２の帯板８の出口側には、ネ
オプレン等のゴム状弾性体のライニングを有する
上下一対のリンガロール１３，１４が、ハウジン
グ２に取付けられたフレーム１５内に帯板８を挾
んで収納されると共に該フレーム１５の案内１５
ａに沿つて昇降自在なロールチヨツク１６，１７
により回転自在にその両端部が支持されている。
さらに、上ロールチヨツク１６はフレーム１５の
上部に設けたチヨツク昇降駆動装置である油圧シ
リンダ１８を介してフレーム１５に対して懸吊さ
れ、下ロールチヨツク１７はフレーム１５の下部
に設けたチヨツク昇降駆動装置であるエアジヤツ
キ１９を介してフレーム１５に対して持ち上げら
れている。

したがつて、テンシヨンレベラの運転時は、ロ
ールチヨツク１６，１７がそれぞれの上昇端位置
になるように油圧シリンダ１８とエアジヤツキ１
９を作動し、帯板８を上下のリンガロール１３，
１４で挾圧することにより、帯板８の表面に付着
してハウジング２の出口側へ流出する水滴等を拭
い去り、出口側のブライドルロール（図示省略）
と帯板８との間の水滴等の巻き込みに起因する該
ブライドルロールと帯板８とにおけるスリツプを
防止している。

一方、ロール交換は、上下ロールチヨツク３，
４を、それぞれシリンダ６およびジヤツキ７を作
動してハウジング２に固定したレール２０および
レール２１上へ車輪２２および車輪２３を介して
搭載する如く降下させ、これらのロールチヨツク
３，４をロール軸線方向へ引き出す如くして行
う。この場合、第３図に示す如く帯板８のパスラ
インＸを下降させないと上ロールチヨツク３側の
ワークロール９およびデフレクタロール１１が帯
板８に当接し、該ロール９，１１等がハウジング
２から引き出せない。このため、パスラインＸを
下方へ変位させる必要があるが、この場合はエア
ジヤツキ１９により下リンガロール１４を下降端
へ降下させた後、油圧シリンダ１８を作動させて
上リンガロール１３を下降端へ降下させ帯板８を
押し下げることにより、パスラインＸを第３図に
示す如く二点鎖線X′の如く傾斜させて変位させ
る。これにより、上下のワークロール９および上
下のデフレクタロール１１は帯板８より離れる。
なお、第３図に示す矢印Ｚは帯板８の進行方向を
示している。

ところで、上記した如きテンシヨンレベラを組
み込んだ帯板処理ライン、例えば、連続酸洗ライ
ン等においては、運転中に、例えば、帯板８の切
断事故等により急にラインの運転を停止したり、
あるいは、サイドクリツピング等のライン途中に
おける諸作業のためしばしばライン速度（通板速
度）を減速する必要が生じる。

＜考案が解決しようとする問題点＞ しかしながら、従来におけるテンシヨンレベラ
においては、帯板８に散布するスプレーノズル１
２への供給液は、設定ライン速度並びに帯板８の
性状に合せて所定の流量に予め設定されており、
前記した如きラインの停止、あるいは、ライン速
度を減速する場合には、これに即応してスプレー
液量のコントロールができない。このため、スプ
レー液がテンシヨンレベラの帯板の入口側へ逆流
する現象が生じ、入口側のブライドルロールと帯
板８との間に水滴等が巻き込まれてブライドルロ
ールのスリツプがしばしば発生し運転不能とな
る。この結果、ブライドルロールの水滴等を除去
するため、多くの時間と労力とを必要とし、生産
能率の低下を来すという問題がある。

本考案は、かかる現状に鑑みてなされたもので
あり、スプレー液の逆流による入口側のブライド
ルロールと帯板との間におけるスリツプを防止し
て生産能率向上に寄与することができるテンシヨ
ンレベラを提供することを目的とするものであ
る。

＜問題を解決するための手段＞ 上記目的を達成させるため、本考案の構成は、
テンシヨンが付加された状態の帯板に繰り返し曲
げを与える複数個の小径のワークロールとデフレ
クタロールおよび前記帯板に液体を散布する複数
個のスプレーノズルが、ハウジング内に昇降可能
に配設された上下一対のロールチヨツクにそれぞ
れ装着されて成るテンシヨンレベラにおいて、前
記帯板を挾んで対向して配設された一対のリンガ
ロールと、該リンガロールをそれぞれ回転自在に
支持した一対のロールチヨツクと、該ロールチヨ
ツクを上下方向に摺動自在に収納したフレーム
と、該フレームに取付けた一対のチヨツク昇降駆
動装置とから成る一対のリンガロール装置を、前
記ハウジングにおける前記帯板の入口側および出
口側にそれぞれ配置したことを特徴としている。

＜作用＞ 上記構成とすることにより、ハウジングにおけ
る帯板の入口側と出口側とのいずれにも、帯板を
挾圧する上下一対のリンガロールを具えたリンガ
ロール装置を設置したので、ラインの停止時ある
いはライン速度の減速時等におけるスプレー液の
ハウジング外への流出が防止され、ブライドルロ
ールと帯板とにおけるスリツプが防止されること
となる。

＜実施例＞ 以下、本考案の一実施例を概略正面図である第
１図に基づいて説明する。

第１図において、第２図に示した従来例と同一
構成要素のものには同一の符号を付し、それらの
重複する説明は省略すると共に、それらの符号を
適宜に用いて説明することとする。

すなわち、帯板８の入口側のハウジング２の端
面には、第２図に示したテンシヨンレベラの帯板
８の出口側のハウジング２の端面に取付けた前記
帯板８を挾圧すると共に該帯板８のパスラインの
変更機能を併せ持つ上下一対のリンガロール１
３，１４を具えたリンガロール装置３０が取付け
られている。

したがつて、テンシヨンレベラの運転時におい
ては、ロールチヨツク１６，１７が、それぞれの
上昇端に位置するように油圧シリンダ１８および
エアジヤツキ１９を作動し、帯板８を上下のリン
ガロール１３，１４で挾圧することにより、帯板
８の表面に付着した水滴等をテンシヨンレベラに
おける帯板８の入口側と出口側とで拭い去るた
め、運転中に帯板８の通板を停止したり、あるい
は通板速度を急に減速したりする場合が生じて
も、スプレーノズル１２から散布される水等のス
プレー液がテンシヨンレベラの入口側へ逆流する
ことが防止でき、そこにはブライドルロールと帯
板８とにおけるスリツプは生じない。また、ワー
クロール９等の交換の場合には、テンシヨンレベ
ラの入口側と出口側のそれぞれのリンガロール１
３，１４を油圧シリンダ１８とエアジヤツキ１９
とを作動させて下降させれば、帯板８のパスライ
ンは水平のまま下方に変位し、上部のワークロー
ル９およびデフレクタロール１１は帯板８との当
接が解除されるので、該ロール９，１１等が装着
された上下のロールチヨツク３，４は各ロールの
軸線方向に沿つてハウジング２から円滑に引き出
すことができる。

＜考案の効果＞ 以上述べた如く、本考案によれば、テンシヨン
レベラのハウジングにおける帯板の出口側に設置
していたリンガロール装置を該ハウジングにおけ
る帯板の入口側にも設置したので、水等のスプレ
ー液の前記入口側への逆流が阻止できて入口側の
ブライドルロールと帯板とのスリツプが防止で
き、従来におけるが如きブライドルロールでの水
滴等の除去に際しての多大の労力と作業時間とが
不要となり、大幅な生産能率の向上が達成でき
る。また、テンシヨンレベラの入口側および出口
側のそれぞれのリンガロールを使用して帯板のパ
スラインを水平状態のまま変位できるので、従来
のような傾斜させて変位させる場合に比較して上
リンガロールの最大降下ストロークを小さくする
ことができ、これがため、上部のチヨツク昇降駆
動装置をコンパクトとすることができて経済的で
あるという効果も奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る一実施例の概略正面図、
第２図は従来例の概略正面図、第３図は帯板の従
来のパスラインの変更を示す機構概念図である。 また、図中の符号で、２……ハウジング、３…
…上ロールチヨツク、４……下ロールチヨツク、
８……帯板、９……ワークロール、１１……デフ
レクタロール、１２……スプレーノズル、１３…
…上リンガロール、１４……下リンガロール、１
５……フレーム、１６……上ロールチヨツク、１
７……下ロールチヨツク、１８……油圧シリン
ダ、１９……エアジヤツキ、３０……リンガロー
ル装置である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. テンシヨンが付加された状態の帯板に繰り返し
   曲げを与える複数個の小径のワークロールとデフ
   レクタロールおよび前記帯板に液体を散布する複
   数個のスプレーノズルが、ハウジング内に昇降可
   能に配設された上下一対のロールチヨツクにそれ
   ぞれ装着されて成るテンシヨンレベラにおいて、
   前記帯板を挾んで対向して配設された一対のリン
   ガロールと、該リンガロールをそれぞれ回転自在
   に支持した一対のロールチヨツクと、該ロールチ
   ヨツクを上下方向に摺動自在に収納したフレーム
   と、該フレームに取付けた一対のチヨツク昇降駆
   動装置とから成る一対のリンガロール装置を、前
   記ハウジングにおける前記帯板の入口側および出
   口側にそれぞれ配置したことを特徴とするテンシ
   ヨンレベラ。