JPH0334639Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、各種の金属粉末等を成形するために
使用される静水圧加圧装置の電極装置に係り、よ
り具体的には、静水圧加圧装置の高圧容器内のヒ
ータ、コイル、熱電対等の電気装置に配線するた
めに、高圧容器を貫通して設けられる電極装置に
関する。

（従来の技術） 各種の金属粉末、その他の粉末材料を高圧高温
下で焼結成形する静水圧加圧装置の高圧高温炉と
して、例えば、特公昭55−8753号公報に記載のも
のが公知である。

この高温高圧炉は、両端開口の筒状の高圧容器
本体と、該本体の両端開口を密封する上・下蓋体
とで高圧室を形成し、該高圧室内に加熱ヒータを
内蔵して成るものである。この加熱ヒータに配線
するために、上蓋に電極挿通孔が貫通して設けら
れ、該挿通孔に電極が挿通されている。

上記電極は、高圧室内の高圧によつて挿通孔か
ら外側に抜け落ちないよう、挿通孔とテーパ嵌合
している。そして、電極と挿通孔のテーパ嵌合部
には、高圧室内の圧力媒体が外部に漏洩しないよ
う０リングが嵌着されている。

また、電極の外端部にはナツトが螺着され、電
極が高圧室内側に抜け落ちるのを防止している。

（考案が解決しようとする問題点） 上記従来の電極装置では、初期シールとして０
リングを用いているので面圧が非常に高く、０リ
ングの損傷が激しくなり、シール性能に問題があ
つた。

そこで、第５図に示すように、挿通孔のテーパ
孔１１と電極のテーパ部１３間に円錐状パツキン
１８を介在すれば、パツキン１８に作用する面圧
を低下させることができる。すなわち、パツキン
１８に加わる圧力P₁は、内圧をP₀、テーパ孔１
１の大径部の直径をD₁、小径部の直径をD₂とす
ると、 π／４D₁ ²P₀ ²≒π／４（D₁ ²−D₁ ²）P₁となり、 P₁＝D₁ ²／D₁ ²−D₂ ²P₀となる。

しかし、この円錐状パツキン１８であつても、
面圧P₁により圧縮されるので、その厚みは薄く
なり、長時間の使用によつて細つてゆき、また、
第５図の点線で示す如く、ストレート孔１２側に
押し出されてくる。

このように、パツキン１８が消耗して細つてき
たり、またはストレート孔１２側に押されると、
ナツトの締付力が弛み、初期シール圧が低下し、
初期シール時（０圧から昇圧初期）、微小隙間よ
り漏れが発生する問題があつた。

そこで、本考案は、パツキンが細つてきても常
に一定の初期シール面圧を与えることができ、ま
た、高圧使用時にはパツキンがストレート孔側に
押し出されるのを防止して初期シール面圧の低下
を防止することができる静水圧加圧装置の電極装
置を提供することを目的とする。

（問題点を解消するための手段） 上記目的を達成するための本考案の特徴とする
処は、静水圧加圧装置の高圧容器の蓋体に電極挿
通孔が貫設され、該挿通孔の内端側は内端拡開の
テーパ孔に形成され、同孔の外端側はストレート
孔に形成され、前記テーパ孔にテーパ嵌合するテ
ーパ部と、前記ストレート孔に遊嵌するストレー
ト部とを具備した電極が前記挿通孔に挿通され、
前記テーパ孔とテーパ部間に円錐状パツキンが介
在され、該パツキンが内圧によりストレート孔側
に押し出されるのを防止するバツクアツプ材がス
トレート孔とストレート部間の間隙に介在され、
前記ストレート孔から外方へ突出するストレート
部の外端に締付ナツトが螺合され、該ナツトと蓋
体間にはナツトの締付力を弾支する弾性部材が介
在されている点にある。

（作用） 本考案によれば、電極挿通孔と電極間のシール
材は、円錐状パツキンであるから、該パツキンに
作用する面圧は、従来の０リングに比べ低下す
る。従つて、パツキンの消耗による細り現象が防
止され、パツキンの長寿命化が図れる。

更に、挿通孔のストレート孔部にバツクアツプ
材が介在されているので、高圧使用時、パツキン
をストレート孔側に押し出すことが防止される。

このように、パツキンの細り、及びストレート
孔側への押し出し移動が防止されるので、初期シ
ール圧は長時間一定値を保つことができる。

また、パツキンの細りやストレート孔側への移
動が生じても、締付ナツトと蓋体間に締付力を弾
支する弾性部材が介在されているので、締付力の
低下は弾性部材で吸収され、初期シール圧の急激
な低下が防止される。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づき詳述す
る。

第１図に示すものは、熱間静水圧加圧装置の高
圧高温炉の断面図である。同図において、１は高
圧容器であり、該容器１は両端開口の筒状本体２
と、該本体２の両端開口部を密封する上蓋３及び
下蓋４とからなる。この上・下蓋３，４はプレス
フレーム５により挟持され、筒状本体２の内部に
高圧室６が形成される。この高圧室６内にヒータ
７が内蔵され、該高圧室６内は、高温かつ高圧と
される。

上記ヒータ７に外部から電気を供給するため
に、下蓋４に電極装置８が設けられている。すな
わち、下蓋４には電極挿通孔９が貫通して設けら
れ、該挿通孔９に電極１０が挿通固定されてい
る。

上記電極挿通孔９の内端側（高圧室６側）は内
端拡開のテーパ孔１１に形成され、外端側はスト
レート孔１２に形成されている。電極１０は、前
記テーパ孔１１にテーパ嵌合するテーパ部１３
と、ストレート孔１２に遊嵌状に挿通されるスト
レート部１４とを具備し、ストレート部１４の外
端はストレート孔１２から突出し、その突出部に
絶縁ワツシヤ１５及びブスバー１６が套嵌され、
更に締付ナツト１７が螺着されている。上記絶縁
ワツシヤ１５は、ナツト１７の締付力を弾支する
弾性部材から成形されている。

上記テーパ孔１１とテーパ部１３のテーパ角度
は30〜90゜に成形され、両者のテーパ嵌合は、円
錐状パツキン１８を介して行われている。このパ
ツキン１８はポリエーテルサルフオン等の高分子
材料、又は、フエノール樹脂、エポキシ樹脂等の
高分子材料から成形され、絶縁とシールとを兼用
している。

ストレート孔１２とストレート部１４との間隙
に絶縁材兼バツクアツプ材１９が介在されてい
る。このバツクアツプ材１９はテフロンチユーブ
等から成形され、そのバツクアツプ材１９の上端
はパツキン１８の下端に当接し、同下端は絶縁縁
ワツシヤ１５の上面に当接している。

上記電極１０はナツト１７を締付けることによ
り挿通孔９に固定されるが、このナツト１７の締
付力は絶縁ワツシヤ１５の弾性力を介してパツキ
ン１８の圧縮力として作用し、円錐状パツキン１
８に初期シール圧を付与する。

尚、電極１０のテーパ部１３の内端面にはビス
２０を介してヒータ７の端子２１が固定されてい
る。

第２図に示すものは、本考案の他の実施例であ
り、円錐状パツキン１８は上・下に２分割され、
その間に０リング２２が介在されている。このよ
うに円錐状パツキン１８に加え０リング２２を付
与することにより、シール性能がより向上する。

第３図に示すものは、本考案の他の実施例であ
り、絶縁ワツシヤ１５と下蓋４間にスプリング２
３を介在し、締付ナツト１７の締付力をスプリン
グ２３により弾支させたものである。このように
コイルスプリング２３を介在させることにより、
円錐状パツキン１８の細りによる初期シール圧の
低下をより有効に補償することができる。

第４図に示すものは、本考案の他の実施例であ
り、圧力室６内の圧力が大きな高圧容器１に用い
られる構造を示し、バツクアツプ材１９を高耐力
絶縁材料で成形したものである。また、電極１０
自体も弾性部材として構成されており、ナツト１
７の締付力は、電極１０の弾性によつても弾支さ
れている。

尚、本考案は、上記各実施例に限定されるもの
ではなく、各実施例をそれぞれ組合せたものであ
つてもよい。

（考案の効果） 本考案によれば、円錐状パツキンが細つてきて
も常に一定の初期シール面圧を与えることができ
圧力媒体の漏洩を有効に防止することができる。
更に、バツクアツプ材が介在されているので、円
錐状パツキンの押し出しが防止され、初期シール
圧の低下が有効に防止される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す断面図、第２〜
４図は本考案の各種の実施例を示す要部断面図、
第５図は本考案の比較例を示す断面図である。 １……高圧容器、４……下蓋、８……電極装
置、９……挿通孔、１０……電極、１１……テー
パ孔、１２……ストレート孔、１３……テーパ
部、１４……ストレート部、１５……ワツシヤ、
１８……パツキン、１９……バツクアツプ材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 静水圧加圧装置の高圧容器の蓋体に電極挿通孔
   が貫設され、該挿通孔の内端側は内端拡開のテー
   パ孔に形成され、同孔の外端側はストレート孔に
   形成され、前記テーパ孔にテーパ嵌合するテーパ
   部と、前記ストレート孔に遊嵌するストレート部
   とを具備した電極が前記挿通孔に挿通され、前記
   テーパ孔とテーパ部間に円錐状パツキンが介在さ
   れ、該パツキンが内圧によりストレート孔側に押
   し出されるのを防止するバツクアツプ材がストレ
   ート孔とストレート部間の間隙に介在され、前記
   ストレート孔から外方へ突出するストレート部の
   外端に締付ナツトが螺合され、該ナツトと蓋体間
   にはナツトの締付力を弾支する弾性部材が介在さ
   れていることを特徴とする静水圧加圧装置の電極
   装置。