JPH0334121B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、簡易音響再生機に関し、特に、定
トルクスプリングモータで駆動される、複の録音
溝を有するレコード盤を有し、前記録音溝を逐次
再生するために、ターンテーブルとレコード盤と
を、摩擦によつて固定してある程度の力によつて
回転方向に相互のずれを生じるように組付け、ピ
ツクアツプに針圧をかけている音伝体には、これ
が定トルクスプリングモータを巻上げる巻上げ紐
を引いたときのその張力によつて持ち上げられた
ときに、前記レコード盤の裏面に接合してその回
転を止める係止体を形成し、以つて、定トルクス
プリングモータの巻上げの際に、ターンテーブル
の回転角度とレコード盤の回転角度とをずらし
て、先に再生した録音溝の後の録音溝の導入部
を、再生始点に復帰しているピツクアツプの下に
位置せしめるようにした。

一般に、複数本の録音溝を有するレコード盤の
逐次再生をする場合は、その録音溝の数に相当す
る選択杆をケーシングの外部に出し、この選択杆
の操作に相応して作動するカムを有する制御輪を
必要とする等、かなり複雑な構造とならざるを得
なかつた（特公昭51−19763号公報参照）。

このような従来の簡易音響再生機においては、
正確に必要な録音溝を選択することができるが、
それなりに複雑な構造であり、従つて、作動の円
滑性を確保するために十分な配慮が必であり、ま
た、部品点数が多くなり、製作のコストも嵩む等
の問題があつた。

この発明は、従来のこの種簡易音響再生機にお
けるかかる問題を解決するものであり、その目的
は、複数の録音溝を有するレコード盤の逐次再生
ができる音響再生機を提供することにあり、ま
た、その目的は、レコード盤の複数の録音溝を、
部品点数が少なく簡単な構造の手段で選択できる
ようにすることにあり、更にその目的は、定トル
クスプリングモータの巻上げのみによつて、複数
の録音溝の逐次選択ができるようにすることにあ
る。

すなわち、この発明は、例えば図示する実施例
の如く、ケーシング１と、このケーシング１の中
で定トルクスプリングモータ２によつて駆動され
るターンテーブル３と、回転方向に別れて導入部
が配置された複数の録音溝４を有しており、しか
も前記ターンテーブル３上に載置されて回転する
レコード盤５と、ピツクアツプ６を有し、このピ
ツクアツプ６が前記レコード盤５の録音面の上の
再生始点７と再生終点８との間を往復し、且つ常
時前記再生始点７の方向と前記録音面から離れる
方向とに付勢されているトーンアーム９と、前記
ピツクアツプ６の上に、前記レコード盤３の録音
面に対して、近接離隔揺動できるように延設され
た音伝体１０と、この音伝体１０に取付けられた
スピーカコーン１１と、前記音伝体１０を介して
前記ピツクアツプ６に針圧を付与する針圧ばね１
２と、前記ターンテーブル３の軸部１３に巻付け
られ、これを引くことによつて前記定トルクスプ
リングモータ２を巻上げるとともに、その時の張
力によつて前記針圧ばね１２の付勢に抗して音伝
体１０を持ち上げピツクアツプ６の針圧を解除す
るようにした巻上げ紐１４とを有する簡易音響再
生機において、前記ターンテーブル３とレコード
盤５とは、摩擦によつて固定されていてある程度
の力によつて回転方向に相互のずれを生じるよう
に組付けてあり、前記音伝体１０には、前記巻上
げ紐１４によつて持ち上げられたときに前記レコ
ード盤５の裏面に接合してその回転を止める係止
体１５を形成したことを特徴とする構造に係る。

この発明は、定トルクスプリングモータで駆動
される、複数の録音溝を有するレコード盤のため
の簡易音響再生機に関するものである。而して、
前記録音溝を逐次再生するために、ターンテーブ
ルとレコード盤とを、摩擦によつて固定してある
程度の力によつて回転方向に相互のずれを生じる
ように組付けた。そして、ピツクアツプに針圧を
かけている音伝体には、定トルクスプリングモー
タを巻上げる巻上げ紐を引いたときのその張力に
よつて持ち上げられたときに、前記レコード盤の
裏面に接合してその回転を止めるための、係止体
を形成した。従つて、定トルクスプリングモータ
の巻上げの際に、ターンテーブルの回転角度とレ
コード盤の回転角度とをずらして、先に再生した
録音溝の後の録音溝の導入部を、再生始点に復帰
しているピツクアツプが吻合できる位置せしめ
る。

かくして、この発明によれば、複数の録音溝を
有するレコード盤は、巻上げ紐を引くという簡単
な操作だけで、逐次選択再生ができる。また、そ
のための部品点数が少なく簡単な構造となつた。

実施例 第１図において、ケーシング１は、シヤシ１ａ
の部分とハウジング１ｂの部分とからなり、ハウ
ジング１ｂは、シヤシ１ａの上に伏せて結合して
ある。

また、定トルクスプリングモータ２は、一つの
ユニツトとしてシヤシ１ａの底部内に固定されて
いる。この定トルクスプリング２は、出力軸１６
を有し、これが、ターンテーブル３のセンターピ
ンとなつて上方に突出している。

ターンテーブル３は、その中心部に軸部１３を
有し、その下部が巻上げ紐１４を巻き取るための
リールとなつている。そして、その上部には、レ
コード盤４を摩擦固定するための環状の保持溝１
７が形成されている。而して、このターンテーブ
ル３は、その軸部１３の部分において、前記定ト
ルクスプリングモータ２の出力軸１６に、回転方
向と軸方向とに一体となるように取り付けられて
いる。

このターンテーブル３の上には、レコード盤５
が、前記環状の保持溝１７に嵌め込んで保持され
ている。この保持溝１７は、その幅がねじによつ
て調節自在に構成してある。

また、ターンテーブル３の上面には、少し凹陥
した環状の部分１８を有し、ここに粘性のある材
料（例えば粘性の高いグリース等）を充填してお
き、レコード盤５との回転方向へのある程度の一
体性とずれとを同時に保障するようにしてある。

レコード盤５の上部には、ピツクアツプ６が再
生始点７と再生終点８との間を往復できるように
架設されている。このピツクアツプ６は、第２図
に示すように、ケーシング１の側板に突設した棚
状部１９に後端部を枢着したトーンアーム９の先
端に形成されている。そして、その枢着部には、
復帰ばね２１が取付けられ、これによつて、ピツ
クアツプ６は、常時、レコード盤５の再生始点７
の方向と、レコード盤４から離れる方向とに付勢
される。

第１図及び第２図に見る如く、レコード盤５の
録音面に対面して、しかもピツクアツプ６が往復
する再生始点７と再生終点８との間に延在するよ
うに、音伝体１０が架設されている。この音伝体
１０は、特に、第２図に見る通り、平面Ｙ字形を
なし、そのＹ字形に開いた２本の腕の先端部分
が、ケーシング１の側板に突設した棚状部２０に
枢支され、ピツクアツプ６の上に架かる部分は、
レコード盤４の録音面に対して近接及び離隔がで
きるようにピツクアツプ６の上面に接合して支え
られている。この音伝体１０は、その上面に、ス
ピーカコーン１１が固定され、また、ピツクアツ
プ６の上に延在する部分の先端部は、前記ターン
テーブル３の軸部１３におけるリール状に形成さ
れた部分より下の方に曲がつて延出して立上り部
２２を形成している。そして、この立上り部２２
の先部には、紐孔２３が開設され、ここにリール
状部に巻かれた巻上げ紐１４が通されている。な
お、この巻上げ紐１４は、ケーシング１の側板
の、前記リール状部の高さに開設した紐孔２４を
通つて外部に導出されている。

また、この立上り部２２の前記紐孔２３より少
し上部に、レコード盤４の下面に掛かるように、
係止体１５を一体に突設してある。

音伝体１０は、その上面とハウジング１ｂの裏
面との間に縮設した針圧ばね１２によつて、常
時、レコード盤５の録音面の方向に付勢されてい
る。

この実施例は、次のように作動する。

すなわち、第１図の状態は、再生中であり、ピ
ツクアツプ６は、再生始点７と再生終点８との中
間にある。ピツクアツプ６が、破線で示すように
軸部に近い再生終点８に至ると、定トルクスプリ
ングモータ２が解きほぐれ、ターンテーブル３レ
とレコード盤５とは、回転を停止する。そこで、
巻上げ紐１４を引いて軸部１３を回転させると、
定トルクスプリングモータ２は、巻上げられ、同
時に、ターンテーブル３も回転する。しかし、こ
のとき、巻上げ紐１４の張力によつて、音伝体１
０が、針圧ばねの針圧に抗して、持ち上げられ、
ピツクアツプ６への針圧は解除され、ピツクアツ
プ６は、破線で示すように再生始点７に復帰す
る。

そして、この操作によつて、音伝体１０が持ち
上げられるので、その立上り部２２に突設した係
止体１５が、レコード盤５の裏面に接合してその
回転を止め、ターンテーブル３の回転に対する空
回りの状態によつて、その回転角度にずれを生じ
せしめる。而して、ピツクアツプ５は、その再生
始点に復帰したときには、先に再生した録音溝と
は別の録音溝の導入部が、ピツクアツプ６と吻合
するように配置される。ここで、巻上げ紐１４を
離すと、音伝体６は、針圧ばねによつて降下し、
再びピツクアツプ６に針圧をかけるとともに、定
トルクスプリングモータ２が作動して、ターンテ
ーブル３とレコード盤５とを回転せしめる。

この実施例においては、レコード盤５とターン
テーブル３との間に、粘着物が介在しているの
で、ピツクアツプ６が再生始点７の近くにあると
きは、大きな力のモメントがかかり、ターンテー
ブル３とレコード盤５とのずれの発生に貢献す
る。

かくして、この実施例においては、先に再生し
た録音溝とは確実に異なる録音溝が次の再生には
選択される。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明の係る音響再生機の中央縦
断面図、第２図は、同部分省略平断面図、第３図
は、レコード盤の平面図である。 図中、１はケーシング、２は定トルクスプリン
グモータ、３はターンテーブル、４は録音溝、５
はレコード盤、６はピツクアツプ、７は再生始
点、８は再生終点、９はトーンアーム、１０は音
伝体、１１はスピーカコーン１２は針圧ばね、１
３はターンテーブル３の軸部、１４は巻上げ紐、
１５は係止体である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ケーシングと、このケーシングの中で定トル
   クスプリングモータによつて駆動されるターンテ
   ーブルと、回転方向に別れて導入部が配置された
   複数の録音溝を有しており、しかも前記ターンテ
   ーブル上に載置されて回転するレコード盤と、ピ
   ツクアツプを有し、このピツクアツプが前記レコ
   ード盤の録音面の上の再生始点と再生終点との間
   を往復し、且つ常時前記再生始点の方向と前記録
   音面から離れる方向とに付勢されているトーンア
   ームと、前記ピツクアツプの上に、前記レコード
   盤の録音面に対して、近接離隔揺動できるように
   延設された音伝体と、この音伝体に取付けられた
   スピーカコーンと、前記音伝体を介して前記ピツ
   クアツプに針圧を付与する針圧ばねと、前記ター
   ンテーブルの軸部に巻付けられ、これを引くこと
   によつて前記定トルクスプリングモータを巻上げ
   るとともに、その時の張力によつて前記針圧ばね
   の付勢に抗して音伝体を持ち上げピツクアツプの
   針圧を解除するようにした巻上げ紐とを有する簡
   易音響再生機において、前記ターンテーブルとレ
   コード盤とは、摩擦によつて固定されていてある
   程度の力によつて回転方向に相互のずれを生じる
   ように組付けてあり、前記音伝体には、前記巻上
   げ紐によつて持ち上げられたときに前記レコード
   盤の裏面に接合してその回転を止める係止体を形
   成したことを特徴とする構造。 ２ 前記レコード盤は、前記ターンテーブルに対
   して、そのターンテーブルの中心部に形成した環
   状の保持溝によつて挟まれて組付けられている、
   特許請求の範囲第１項記載の簡易音響再生機の構
   造。