JPH0331839Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、建物の窓等に配置するブラインドに
関する。

〔従来の技術〕

ブラインドはカーテンと並んで日射遮蔽物の代
表的なものであり、周知のごとく上下方向あるい
は水平方向にひもで、スラツトを取付角度変更可
能に並列させたものであるが、このスラツト自体
が、日射により熱せられると、その表面から室内
に向けて長波放射が行なわれ、日射遮蔽効果の減
退をきたすおそれがある。

これに対して、例えば太陽光が入射する側面に
反射率を高めるアルミ箔等の部材を設けることな
どが考えられている。

しかし、かかる方法でも太陽熱の一部がスラツ
ト内に吸収され、スラツト自体の温度上昇を生じ
ることは防止できず、その結果、室内側への放射
熱の量が多くなつていた。また、このように反射
率を高めようとするには可視光線までも遮断しな
ければならず、ブラインドは完全に閉じられた状
態となり、室内から外が見えないので重苦しい雰
囲気となる。

これに対して、実開昭56−167195号公報では、
スラツトの一面に太陽エネルギー選択吸収膜が形
成され、他面に太陽光反射性および赤外線反射性
を有する膜が形成されたブラインドが示されてい
る。

〔考案が解決しようとする課題〕

前記実開昭56−167195号公報に使用される選択
吸収膜は、短波長を吸収し、長波長を反射するも
ので、スラツトに一部吸収された熱が室内側に放
射するのを抑制するが、この選択吸収膜は可視光
を透過する性質はなく、仮にスラツト基盤を透明
な材質で構成してもこの選択吸収膜を設けること
により全閉時には室内から外部を見ることができ
なくなる。

本考案の目的は前記従来例の不都合を解消し、
室外側で日射を反射できるのみならず、スラツト
からでる室内への熱放射を抑制して日射遮蔽効果
が増大できるのみならず、室内からのみ外の景色
を眺められて窓は明るさ、眺望という居住者にと
つて重要な居住性能要素を確保できるブラインド
を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案のブラインドは前記目的を達成するた
め、スラツトの外側面を可視光透過性のある日射
反射率の大きい熱線反射膜で覆い、内側面を可視
光は透過させ、かつ放射率が0.3以下の選択透過
膜で覆つたことを要旨とするものである。

〔作用〕

本考案によれば、スラツトの外側面を覆う日射
反射率の大きい熱線反射膜で入射する太陽光線中
の熱線（近赤外線）のほとんどを反射し、スラツ
トの内側面を覆う選択透過膜でスラツトに一部吸
収された熱線の室内側への放射熱の量を減少させ
るものである。

また、スラツトを構成する基盤は透明であり、
外側の熱線反射膜や内側の選択透過膜も被膜厚が
極薄で可視光透過性のあるものなので、外から室
内は反射光で見えにくいが、室内からは外の景色
が自由に眺められる。

〔実施例〕

以下、図面について本考案の実施例を詳細に説
明する。

第１図は本考案のブラインドの実施例を示す横
型ブラインドの縦断側面図で、図中１は通常のブ
ラインドのスラツトであり、このスラツト１の外
側面、すなわち日射入射面は日射反射率の大きい
熱線反射膜２で覆つてある。

該反射膜２は、例えばポリエステルフイルムに
アルミニウムを真空半蒸着し、さらにその上にポ
リエステル層を重ねた反射フイルム（商標名サン
シエード）を接着剤を用いたり、熱溶着等でスラ
ツト１の表面に接着加工する。

前記スラツト１の内側面、すなわち室内側は選
択膜として長波長放射率の小さい選択透過膜を有
する被膜３で覆う。

該被膜３の選択透過膜は、(1)真空蒸着やスパツ
タリングによりMgF₂のような低屈折率の誘電体
を反射防止膜としてコーテイングする方法、(2)ガ
ラスなどの表面を選択エツチングし、低屈折率の
表面層を作る方法、(3)赤外域で反射率の大きい金
属薄膜を誘電体で挟んで可視域の透過率を上げる
方法、(4)可視域で透明であるに十分なバンドキヤ
ツプ（3eV以上）をもつ半導体（例えばSnO₂，
In₂O₃，Cd₂SnO₄など）中の自由キヤリアのプラ
ズマ振動によるカツトオフを利用する「Drude
Mirror」法などによりスラツト１の表面に施さ
れる。

次に使用法及び作用について説明すると、ブラ
インドのスラツト１に入射する日射の大部分は反
射膜２によつて外側に反射されるが、一部はスラ
ツト１に吸収されその温度を上昇させる。その結
果、スラツト１の室内側面から室内に向けて放射
熱４が放出されるが、スラツト１の室内側面を覆
つている被覆３は放射率が小さいので室内側へ向
けての放射熱４の放出が抑制され、こうして夏は
太陽の熱線や屋外の熱気のほとんどが室内へ侵入
することはない。

また、逆に室内の暖気は被膜３で反射され再び
室内に戻されるから、冬は室内の暖房熱が窓から
屋外に流出することがない。

ところで反射膜２として前記サンシエード（商
標名）を利用すると、第２図に示すように赤外線
を70〜80％反射する。なお、図中破線はガラスの
場合を示す。また、被膜３としてポリエステルフ
イルムに透明熱線反射層を蒸着したフイルム（商
標名ルミソーラ）を利用した場合、第３図に示す
ように可視光線の透過率が約70％である一方、熱
線の反射率は約70％である。

透過率（Ｔ）＋反射率（Ｒ）＋吸収率（Ａ）＝100
％であり、ちなみに、第３図における近赤外線の
個所（2μm）では、Ｔ＝15、Ｒ＝65で、Ａは80％
となるので、選択透過膜である被膜３の放射率が
0.3以下のものとなる。

なお、これらの反射膜２、選択透過性を有する
被膜３の被膜厚を極薄に形成しておけば、反射
率、放射率特性を確保しつつ可視光線を透過でき
るから、スラツト１等の基盤を透明なものとし、
該透明基盤上に前記反射膜２、被膜３を施すこと
により室内側から室外を見ることができ、視界が
さえぎられることがない。

また、反射膜２、被膜３は前記のごとく可視光
透過率が大きいから、スラツト１が着色されてい
てもその色を損うことがないものである。

そして、かかるブラインドを窓ガラスの内側に
配設した場合は、ブラインドのスラツト１に一部
吸収された熱は、前記のごとく室内へ向けての放
熱は抑制されるが、外側に向けて放熱されるため
に、ガラスとブラインドとの間の空気の温度が上
昇することとなるので、この部分の空気をフアン
等で室外に排出することが望まれる。

以上はブラインドについて説明したが、これに
限定されるものではなく、ガラスにも適用可能で
ある。

〔効果〕

以上述べたように本考案のブラインドは、室外
側で太陽熱線を反射できるのみならず室内側への
熱放射を抑制できるから、日射遮蔽効果が増大で
きて夏は室内が涼しく、しかも室内の暖気を再び
室内側へ反射するから冬は暖かいものである。

しかも、室内側からのみ外の景色が眺められて
窓は明るさ、眺望という居住者にとつて重要な居
住性能要素を確保できる。

また、スラツトの表裏面に被膜を設けるだけで
すむので容易かつ安価に製作でき、取扱いも簡単
なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のブラインドの実施例を示す縦
断側面図、第２図は反射膜の光の透過率の一例を
示すグラフ、第３図は被膜の光の透過率と反射率
の一例を示すグラフである。 １……スラツト、２……反射膜、３……被膜、
４……放射熱。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スラツト基盤を透明なものとし、スラツトの外
   側面を可視光透過性のある日射反射率の大きい熱
   線反射膜で覆い、内側面を可視光は透過させ、か
   つ放射率が0.3以下の選択透過膜で覆つたことを
   特徴とするブラインド。