JPH0329588B2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPH0329588B2
JPH0329588B2 JP58111884A JP11188483A JPH0329588B2 JP H0329588 B2 JPH0329588 B2 JP H0329588B2 JP 58111884 A JP58111884 A JP 58111884A JP 11188483 A JP11188483 A JP 11188483A JP H0329588 B2 JPH0329588 B2 JP H0329588B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polypropylene
steel pipe
temperature
adhesive
coated steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP58111884A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS604054A (ja
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed filed Critical
Priority to JP11188483A priority Critical patent/JPS604054A/ja
Priority to US06/621,097 priority patent/US4606953A/en
Priority to DE3422920A priority patent/DE3422920C2/de
Priority to IT2157784A priority patent/IT1196164B/it
Publication of JPS604054A publication Critical patent/JPS604054A/ja
Publication of JPH0329588B2 publication Critical patent/JPH0329588B2/ja
Granted legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Protection Of Pipes Against Damage, Friction, And Corrosion (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は−30℃から120℃までの広い温度範囲
において使用される外面プラスチツク被覆鋼管に
関するものである。 現在、外面プラスチツク被覆鋼管としてはポリ
エチレン被覆鋼管が広く使用されている。ポリエ
チレンは安価で化学的に安定であり、かつ低温に
おける機械的特性(耐衝撃性、柔軟性など)が良
いので鋼管被覆用として優れた材料であるが、軟
化点が低いので一般に80℃を越える温度における
使用は不適とされている。近年、パイプラインの
高圧操業や重質原油の輸送が行われるようにな
り、従来のポリエチレン被覆鋼管に替るより高温
に耐えるプラスチツク被覆鋼管が要求されるに至
つている。また、寒冷地においては−30℃程度の
気温においても埋設工事が行なわれるので、この
ような低温においても優れた耐衝撃性および柔軟
性を有することも必須条件である。 ポリプロピレンはポリエチレンよりも軟化温度
が高く、かつ安価で化学的にも安定であるので高
温用被覆鋼管の被覆材料として有望であるが、従
来のポリプロピレンは低温における機械的特性が
ポリエチレンよりも劣るため、鋼管被覆への適用
は非常に限られていた。 本発明者らはプロピレンとエチレンのブロツク
コポリマーでエチレンの含有量を適正範囲に調整
したポリプロピレンが、高い軟化温度を保ちなが
ら低温における機械的特性も改善されることをす
でに見出している(土屋、他:第4回鋼管塗覆装
国際会議予稿集、307頁、1981)。本発明者らはさ
らにこのようなポリプロピレンを被覆鋼管に適用
すべく検討を行つたところ、高温においても良好
な接着力が得られる接着剤は変性ポリオレフイン
系接着剤のみであるが、従来の変性ポリオレフイ
ン系接着剤では被覆鋼管の被覆層にASTMG14
に示された方法で衝撃を加えると−20℃以下では
被覆層に割れを生じ、寒冷地において要求される
−30℃における耐衝撃性を満足しないことが明ら
かになつた。また、前処理として従来のエポキシ
プライマー層を形成させても鋼管に陰極電位をか
けて電気防食を行つた場合の被覆層の剥離(以
下、陰極剥離と略称する)が高温になるとともに
著しく大きくなることが明らかになつた。 本発明は上述の難点を解決すべく被覆材料、接
着剤およびプライマー塗料などの前処理方法を
種々検討し、−30℃から120℃程度までの広い温度
範囲において使用可能な外面プラスチツク被覆鋼
管を提供しようとするものである。すなわち本発
明は、 (1) 第1図に示すように鋼管1の外面に前処理を
施した後接着剤層2を介してポリプロピレンを
被覆3した鋼管において、ポリプロピレンとし
て結晶性エチレン−プロピレンブロツクコポリ
マーを主成分とし、その低温脆化温度が0℃以
下であり、かつ120℃における押込深さが0.3mm
以下の樹脂を用いると共に、接着剤として低温
脆化温度が−20℃以下の無水マレイン酸変性ポ
リプロピレン系接着剤を用いることを特徴とす
るポリプロピレン被覆鋼管。 (2) 前処理として鋼管外面をプラスト処理などで
清浄にした後、第2図に示すように鋼管1と接
着剤層2との間にガラス転移温度が80℃以上の
エポキシプライマー層4を形成させたことを特
徴とする特許請求の範囲第1項記載のポリプロ
ピレン被覆鋼管。 (3) 前処理として鋼管外面をブラスト処理などで
清浄にした後、第3図に示すように鋼管1と接
着剤層2との間にクロム酸系の化成処理5を施
したことを特徴とする特許請求の範囲第1項記
載のポリプロピレン被覆鋼管。 (4) 前処理として、鋼管外面をブラスト処理など
で清浄にした後、第4図に示すように、鋼管1
と接着剤層2との間にクロム酸系の化成処理5
を行い、しかる後にガラス転移温度が80℃以上
のエポキシプライマー層4を形成させたことを
特徴とする特許請求の範囲第1項記載のポリプ
ロピレン被覆鋼管である。 なお、低温脆化温度はASTM規格D746に従つ
て衝撃面に幅方向に深さ0.1mmのノツチを入れた
厚さ2mmの試験片を用いて測定した値であり、ま
た押込深さはDIN規格30670に従つて測定した値
である。 本発明におけるポリプロピレン被覆層3の材料
としては、結晶性エチレンープロピレンブロツク
コポリマーを主成分とし、その低温脆化温度が0
℃以下であり、かつ120℃における押込深さが0.3
mm以下のポリプロピレンが使用できる。この場
合、ポリプロピレンとしてはプロピレンとエチレ
ンとの結晶性ブロツクコポリマーのみならず、前
記コポリマーに密度0.93g/cm3以上のポリエチレ
ン(エチレンの単独重合体およびエチレンとコポ
リマー中の含有量が約15重量%以下のプロピレ
ン、ブテン−1、ペンテン、ヘキセン、ヘプテ
ン、オクテンなどのα−オレフインとのエチレン
−α−オレフインコポリマーを含む)およびポリ
オレフインラバー(エチレン−プロピレン共重合
体ラバー、エチレン−プロピレン−非共役ジエン
三成分共重合体ラバー、エチレン−プロピレン−
ブテン−1三成分共重合体ラドー、ポリイソブチ
レン、1,2−ポリブタジエン)やエチレン−酢
酸ビニル共重合体ポリマーラバーを混合したもの
を使用することができる。これらのうちでも、プ
ロピレンとエチレンとの多段重合もしくはFCM
などの混練機によつてプロピレンとエチレンとの
ブロツク共重合体とポリエチレンおよび/または
ポリオレフインラバーとを注意深く混練すること
によつて得られる下記(A)乃至(C)の各成分からな
り、各成分の割合が(A)常温パラキシレン不溶のポ
リプロピレン成分95〜55重量%、B常温パラキシ
レン不溶のポリエチレン成分2〜40重量%(C)常温
パラキシレン可溶分3〜20重量%であるポリプロ
ピレンが好ましい。 これらのポリプロピレンはメルトフローレイト
(MFR)が0.05乃至5g/10分であるものが好まし
い。なお、これらのポリプロピレンには必要に応
じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料などの添加
剤を添加することが好ましい。 上記成分(C)を合算した割合が過大であると、
120℃の押込深さが大きくなつて0.3mm以下という
要求値を越えてしまい、また同割合が過小である
と低温脆化温度が上昇して0℃以下という要求値
を達成できないのでいずれも好ましくない。 本発明における接着剤層2の材料としては、低
温脆化温度が−20℃以下の変性結晶性ポリプロピ
レンと未変性の結晶性ポリプロピレンとポリオレ
フインラバーとからなり、これらの各成分の合計
100重量%中のポリオレフインラバーの割合が5
乃至40重量%である変性ポリオレフイン系接着剤
が好ましい。 前記の無水マレイン酸変性結晶性ポリプロピレ
ンは、結晶性ポリプロピレンと無水マレイン酸化
合物とのラジカル反応開始剤の存在下におけるそ
れ自体公知の加熱反応、たとえば結晶性ポリプロ
ピレンとマレイン酸類化合物とのラジカル反応開
始剤の存在下における溶融反応により得ることが
できる。 前記の結晶性ポリプロピレンとしては、結晶性
プロピレンホモポリマー、エチレンとプロピレン
との結晶性ブロツクコポリマー、エチレンとプロ
ピレンとの、あるいはエチレンとプロピレンと他
のα−オレフイン(ブテン、ヘキセン、オクテン
など)との結晶性ランダムコポリマーが挙げられ
る。結晶性ポリプロピレンはメルトフローレイト
(MFR)0.1乃至20g/10分のものが好ましい。 なお、結晶性ポリプロピレンへの無水マレイン
酸化合物の導入量、すなわち無水マレイン酸化合
物のグラフト率は結晶性ポリプロピレン1gに対
して1×10-7乃至1×10-3モルの範囲にあること
が好ましく、さらには1×10-6乃至5×10-4モル
の範囲にあることが特に好ましい。 前記未変性の結晶性ポリプロピレンとしては、
結晶性プロピレンホモポリマー、エチレンとプロ
ピレンとの結晶性ブロツクコポリマー、エチレン
とプロピレンとのあるいはエチレンとプロピレン
と他のα−オレフイン(ブテン、ヘキセン、オク
テンなど)との結晶性ランダムコポリマー、また
はこれら結晶性ポリプロピレンの30重量%以下を
ポリエチレン(高密度、中密度、低密度、線状底
密度)で置換したものが挙げられる。未変性の結
晶性ポリプロピレンはメルトフローレイト
(MFR)が0.1乃至50g/10分のものが好ましい。 前記ポリオレフインラバーとしては、エチレン
−プロピレン共重合体ラバー、エチレン−プロピ
レン−非共役ジエン三成分共重合体ラバー、エチ
レン−プロピレン−ブテン−1三成分共重合体ラ
バー、ポリイソブチレン、1,2−ポリブタジエ
ンなどが挙げられる。これらのうちでもエチレン
−プロピレン共重合体ラバーまたはエチレン−プ
ロピレン−非共役ジエン三成分共重合体ラバーが
好ましい。ポリオレフインラバーの一部をスチレ
ン−ブタジエン共重合体ラバー、ブタジエン−ス
チレン−アクリロニトリル共重合体ラバー、シス
−1,4−ポリブタジエン、天然ゴム、ポリウレ
タンラバー、エチレン−酢酸ビニル共重合体ラバ
ーなどのラバーで置換したものもポリオレフイン
ラバーとして使用できる。 本発明におけるエポキシプライマー層4の材料
としては、エポキシ当量170−3000のビスフエノ
ールA型エポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹
脂と、該エポキシ樹脂と常温で反応して硬化する
アミン系硬化剤とさらには無機顔料を中心とする
顔料を含む塗料が使用できる。 ここにおいてビスフエノールA型エポキシ樹脂
に添加すべき他種のエポキシ樹脂の例としては、
水素添加ビスフエノールAジグリシジルエーテル
樹脂、 ビスフエノールA側鎖型ジグリシジルエーテル
樹脂、 臭素化ビスフエノールA型エポキシ樹脂、 ノボラツク型エポキシ樹脂、 ウレタン変型エポキシ樹脂、 レゾルシングリシジルエーテルエポキシ樹脂、 グリシジルエステル型エポキシ樹脂、 脂環族型エポキシ樹脂、 グリシジルアミンエポキシ樹脂、 などを挙げることができる。添加するエポキシ樹
脂はビスフエノールA型エポキシ樹脂100重量部
当り、0〜50重量部が好ましく、各種添加エポキ
シ樹脂の中でもノボラツク型エポキシ樹脂を5〜
30重量部添加するのが、耐温水性および耐高温陰
極剥離性の面から特に好ましい。また、このエポ
キシ樹脂のエポキシ当量は170〜3000、好ましく
はエポキシ当量190〜1925のものが耐温水性、耐
高温陰極剥離性並びに塗装作業性の面から選定さ
れる。 またアミン系硬化剤の例としては、 複素環式変性ジアミン硬化剤、 変性脂肪酸ポリアミン硬化剤、 変性芳香族ポリアミン硬化剤、 変性ポリアミドアミン硬化剤 などを挙げることができる。前記硬化剤の中で
は、耐温水性および耐高温陰極剥離性の面から、
複素環式変性ジアミン硬化剤および変性芳香族ポ
リアミン硬化剤が特に好ましい。エポキシ樹脂と
硬化剤の使用量比には特に限定はなく、使用する
エポキシ樹脂のエポキシ当量に従つて従前通り決
定することができる。 そして、この塗料に添加する顔料としては酸化
チタン、マイカ、硫酸バリウム、タルク、炭酸カ
ルシウム、クレー、ストロンチウムクロメート、
ジルコニウムシリケート、マピコ、カーボンブラ
ツクならびにシリカなどが好ましく、これらの顔
料は1種あるいは2種以上の混合物として、エポ
キシ樹脂とアミン系硬化剤の合計量100重量部に
対して5〜50重量部、好ましくは5〜25重量部の
ものが塗装作業性の面から選定される。なお、5
重量部未満では耐高温陰極剥離性の改良効果が認
められない。 本発明におけるクロム酸系の化成処理層5の材
料としては、6価の酸化クロムを一部還元して得
られる6価の酸化クロムと3価のクロムの複合酸
化物の水溶液あるいはこれらに還元促進のための
グリセリン、ポリビニルアルコールなどの物質、
あるいは被覆層との密着性を向上させるためのシ
リカゾルを加えた水溶液などが使用できる。 本発明において、ポリプロピレンとして結晶性
エチレン−プロピレンブロツクコポリマーを主成
分とするポリプロピレンと限定したのは、普通の
結晶性エチレン−プロピレンランダムコポリマー
はホモポリプロピレンに比べて低温機械的特性が
それほど改善されないにもかかわらず高温機械的
特性が大幅に低下するが、結晶性エチレン−プロ
ピレンブロツクコポリマーの場合は第5図に示す
ように、ポリプロピレン相6とポリエチレン相8
が相溶せずに独立の領域を形成し、その間にエチ
レン−プロピレンラバー相7が形成されているた
めに、高温における機械的強度をほとんど損なう
ことなく良好な耐衝撃性および低温機械的特性を
得ることができるからである。すなわち、ポリプ
ロピレンの連続相が存在するために、結晶性エチ
レン−プロピレンブロツクコポリマーの融点およ
び高温機械特性はホモポリプロピレンとほとんど
変らない。一方、ポリプロピレン相の中にポリエ
チレン相およびエチレン−プロピレンラバー相が
島状に存在し、これが衝撃エネルギーを吸収する
ので、全体として結晶性エチレン−プロピレンブ
ロツクコポリマーはホモポリプロピレンよりもは
るかに優れた耐衝撃性および低温機械的特性を有
している。なお、第5図は結晶性エチレン−プロ
ピレンブロツクコポリマーのポリプロピレン相、
ポリエチレン相およびエチレン−プロピレンラバ
ー相の構成を示した模式図である。 次に、結晶性エチレン−プロピレンブロツクコ
ポリマーを主成分とするポリプロピレン被覆層の
低温脆化温度を0℃以下とし、接着剤の低温脆化
温度を−20℃以下と限定した理由は、本発明者ら
が種々検討した結果、ポリプロピレン被覆鋼管の
耐衝撃性はポリプロピレン被覆層の低温脆化温度
だけでなく接着剤の低温脆化温度にも大きく影響
を受け、ASTM規格G14に従つて行つた衝撃試
験において、被覆層に亀裂が発生しない最低の温
度を−30℃以下にするには、ポリプロピレン被覆
層と接着剤層の低温脆化温度を、本発明における
特許請求の範囲内にすることが必要であることが
判明したからである。すなわち、ポリプロピレン
被覆層と接着剤の低温脆化温度が第6図において
斜線で示した領域9に存在すれば、このポリプロ
ピレン被覆鋼管はASTM規格G14に従つて被覆
層に衝撃を加えても−30℃でも亀裂が生じない。
なお、第6図は横軸にポリプロピレン被覆層の低
温脆化温度、縦軸に接着剤の低温脆化温度をとつ
たときの−30℃における衝撃試験で、被覆層に亀
裂が生じない領域9を斜線で示した図である。 次に、ポリプロピレン被覆層の押込み深さを
120℃で0.3mm以下と限定したのは、もし押込み深
さが0.3mmを超えれば、このポリプロピレン被覆
鋼管が地下に埋設されて120℃で使用された場合
に、周囲の小石などが被覆層に食い込んで長年月
の間には貫通傷を生じる恐れがあるからである。 そして、鋼管と接着剤層との間にクロム酸系の
化成処理層もしくはエポキシプライマー層もしく
はその両方を形成させるのは、これらの化成処理
層およびプライマー層が陰極剥離、塗膜下腐食お
よび被覆層端面から接着界面への水浸入を防止す
るのに顕著な効果があるからである。そして、化
成処理層とプライマー層の両方を形成させれば、
より確実な防止効果が得られる。そしてエポキシ
プライマー層のガラス転移温度を80℃以上と規定
したのは、もしエポキシプライマー層のガラス転
移温度が80℃未満である場合、このエポキシプラ
イマー層が高温で軟化するために、高温における
被覆層の陰極剥離、塗膜下腐食などを防止する十
分な効果が期待できないからである。 以上に詳述したように、本発明によるポリプロ
ピレン被覆鋼管は押込み深さが120℃で0.3mm以下
の結晶性エチレン−プロピレンブロツクコポリマ
ーを被覆層に使用しているので、地下に埋設され
た状態で120℃で使用されても周囲の小石の食い
込みによつて被覆層に長年月の間に貫通傷が生ず
るという恐れが無い。そして、被覆層の結晶性エ
チレン−プロピレンブロツクコポリマーの低温脆
化温度が0℃以下であり、かつ接着剤の低温脆化
温度が−20℃以下であるので、被覆層が大きな衝
撃を受けても−30℃においても亀裂が生ずること
が無い。また、必要に応じて鋼管と接着剤層の間
にクロム酸系の化成処理層もしくはガラス転移温
度が80℃以上のエポキシプライマー層もしくはそ
の両方も形成させているので、この場合には被覆
層は陰極剥離、塗膜下腐食などに対して特に高温
において優れた耐久性を有している。従つて、本
発明によるポリプロピレン被覆鋼管は、120℃と
いう高温環境から−30℃という低温環境まで広い
温度範囲において優れた被覆層の耐久性および防
食性能を有しているので、寒冷地における天然ガ
スの高圧操業パイプラインや重質油高温輸送パイ
プラインのような従来の技術では有効な防食手段
が無かつた分野にも適用可能になり、工業上きわ
めて有意義なものである。 以下実施例により本発明の効果をさらに詳しく
説明する。 (実施例 1) シヨツトブラスト処理した鋼管(SGP,400A)
を180℃に予熱し、その表面に低温脆化温度が−
30℃でメルトフローインデツクスが2.8g/10分、
密度0.890g/cm3の無水マレイン酸変性ポリプロ
ピレン系接着剤を丸ダイにて溶融押出被覆を行つ
て、厚さ200μの接着剤層を形成させた。これに
引続いてただちに低温脆化温度が−10℃で120℃
における押込み深さが0.27mm、メルトフローイン
デツクスが0.41g/10分、密度が0.921g/cm3
カーボンブラツク濃度0.5%の結晶性エチレン−
プロピレンブロツクコポリマー(酸化防止剤およ
び紫外線吸収剤を添加)を、丸ダイで溶融押出し
て鋼管表面に厚さ3mmのポリプロピレン被覆層を
形成させてポリプロピレン被覆鋼管を得た。 このポリプロピレン被覆鋼管について所定温度
における押込深さ測定(DIN規格30670による)
落錘衝撃試験(ASTM規格G14)、陰極剥離試験
(ASTM規格G8、電圧:−1.5Vv.s.S.C.E.,期
間:30日間)および温水浸漬試験を行つた。温水
浸漬試験は90℃の温水に1000時間浸漬後幅10mmの
被覆層についてインストロン引張試験機を用い、
23℃にて剥離速度50mm/分で90度剥離を行ない、
ビール接着強度を求めた。これらの試験結果をま
とめて第1表に示す。 (実施例 2) シヨツトブラスト処理した鋼管(SGP,400A)
を210℃に予熱し、その表面に低温脆化温度が−
35℃でメルトフローインデツクスが3.9g/cm2
よび密度が0.888g/cm3の粉末状の無水マレイン
酸変性ポリプロピレン系接着剤を塗布し、鋼管表
面で溶融せしめて厚さ130μの接着剤層を形成さ
せた。これに引続いてただちに低温脆化温度が−
13℃で、120℃における押込み深さが0.29mm、メ
ルトフローインデツクスが0.37g/10分、密度が
0.920g/cm3、カーボンブラツク濃度が0.5%の結
晶性エチレン−プロピレンブロツクコポリマー
(酸化防止剤および紫外線吸収剤を添加)をTダ
イで溶融押出して鋼管表面にらせん状に巻きつけ
ることによつて厚さ3mmのポリプロピレン被覆鋼
管を得た。 このポリプロピレン被覆鋼管について実施例1
と同様にして性能試験を行つた。その結果をまと
めて第1表に示す。 (実施例 3) シヨツトブラスト処理した鋼管(SGP,400A)
を210℃に予熱した後その表面に熱硬化性エポキ
シ塗料(二液硬化型、エポキシ当量が190のビス
フエノールA型エポキシ樹脂100部に硬化剤とし
て芳香族アミンを40部および願料として酸化チタ
ンを25部混合させたもの)をスプレー法で塗布
し、硬化せしめて厚さ30μのエポキシプライマー
層を形成させた。このとき、硬化塗膜のガラス転
移温度は94℃であつた。その後ただちに実施例2
と全く同様に接着剤の塗布およびポリプロピレン
の被覆を行つて、得られたポリプロピレン被覆鋼
管について性能試験を行つた。その結果を第1表
に示す。 (実施例 4) シヨツトブラスト処理した鋼管(SGP,400A)
の表面に塗布型のクロメート処理剤を塗布して全
クロム付着量が600mg/m2のクロメート皮膜を形
成させた。その後実施例2と全く同様に予熱、接
着剤の塗布およびポリプロピレンの被覆を行つて
得られたポリプロピレン被覆鋼管について性能試
験を行つた。その結果を第1表に示す。 (実施例 5) シヨツトブラスト処理した鋼管(SGP,400A)
の表面に塗布型クロメート処理剤を塗布して全ク
ロム付着量が550mg/m2のクロメート皮膜を形成
させた。その後、鋼管を210℃に予熱し、その表
面に実施例3と同じエポキシ塗料をスプレー法で
塗布し、硬化せしめて厚さ30μのエポキシプライ
マー層を形成させた。その後ただちに実施例2と
全く同様に接着剤の塗布およびポリプロピレンの
被覆を行つて得られたポリプロピレン被覆鋼管に
ついて性能試験を行つた。その結果を第1表に示
す。 (実施例 6) シヨツトブラスト処理した鋼管(SGP,400A)
を210℃に予熱した後、その表面に熱硬化性エポ
キシ塗料(二液硬化型、エポキシ当量が190のビ
スフエノールA型エポキシ樹脂100部に硬化剤と
して複素環式アミンを50部および顔料として酸化
チタン2部混合させたもの)をスプレー法で塗布
し、硬化せしめて厚さ30μのエポキシプライマー
層を形成させた。このとき、硬化塗膜のガラス転
移温度は74℃であつた。その後ただちに実施例2
と全く同様に接着剤の塗布およびポリプロピレン
の被覆を行つて、得られたポリプロピレン被覆鋼
管について性能試験を行つた。その結果を第1表
に示す。 次に、本発明以外の方法による比較例を示す。 (比較例 1) シヨツトブラスト処理した鋼管(SGP,400A)
を210℃に予熱し、その表面に低温脆化温度が−
5℃でメルトフローインデツクスが4.5g/10分
および密度が0.896g/cm3の粉末状のマレイン酸
変性ポリプロピレン系接着剤を塗布し、鋼管表面
で溶融せしめて厚さ130μの接着剤層を形成させ
た。これに引続いてただちに実施例2と全く同様
にポリプロピレン被覆層の被覆を行つて得られた
ポリプロピレン被覆鋼管について性能試験を行つ
た。その結果を第1表に示す。 (比較例 2) シヨツトブラスト処理した鋼管(SGP,400A)
を210℃に予熱し、その表面に低温脆化温度が+
14℃でメルトフローインデツクスが6.2g/cm3
および密度が0.888g/cm3の粉末状のマレイン酸
変性ポリプロピレン系接着剤を塗布し鋼管表面で
溶融せしめて厚さ130μの接着剤層を形成させた。
これに引続いてただちに低温脆化温度が30℃以上
で120℃における押込み深さが0.10mm、メルトフ
ローインデツクスが0.89g/10分、密度が0.918
g/cm3、カーボンブラツク濃度が0.5%のホモポ
リプロピレン(酸化防止剤および紫外線吸収剤を
添加)をTダイで溶融押出して鋼管表面にらせん
状に巻きつけることによつて厚さ3mmのポリプロ
ピレン被覆鋼管を得た。 このポリプロピレン被覆鋼管について実施例1
と同様にして性能試験を行つた。その結果をまと
めて第1表に示す。
【表】 第1表から明らかなように、本発明によるポリ
プロピレン被覆鋼管は押込深さが120℃で0.3mm以
下であり、また−30℃という低温において被覆層
に強い衝撃が加わつても亀裂が生じないので、該
被覆層は−30℃から120℃という広い範囲におい
て優れた機械的特性を有している。なお、第1表
の中の本発明以外の比較例の試験値から明らかな
ように、被覆層にホモポリプロピレンを使用した
被覆鋼管や、被覆層に結晶性エチレン−プロピレ
ンブロツクコポリマーを使用しても、被覆層と接
着剤層の低温脆化温度が本発明の特許請求範囲の
記載外にある場合は、温度が−30℃以上において
強い衝撃によつて被覆層に亀裂が生じるので−30
℃における使用に耐えられない。 また、被覆鋼管に対して電気防食が施される場
合および被覆鋼管が湿潤環境で使用される場合
は、陰極剥離試験や温水浸漬試験の値が重要にな
るが、このような場合、清浄処理が行なわれた
後、直接接着剤を塗布したポリプロピレン被覆鋼
管は実施例1,2および比較例に示したように陰
極剥離試験で大きな剥離を示し、また温水浸漬試
験後の被覆層の接着力が小さい値しか示さない
が、接着剤塗布前に実施例3のようにエポキシブ
ライマーを塗布した被覆鋼管および実施例4のよ
うにクロム酸系の化成処理を施した被覆鋼管は陰
極剥離試験における剥離距離が大幅に減少し、温
水浸漬試験後の被覆層の接着力も著しく向上す
る。そして接着剤塗布前にクロム酸系の化成処理
とエポキシプライマーの塗布の両者を行つた被覆
鋼管は、この効果がさらに大きくなる。 なお、エポキシプライマーを塗布した被覆鋼管
の場合、実施例3と実施例6を比較すれば明らか
なように、軸化塗膜のガラス転移温度が高いエポ
キシプライマーを塗布した被覆鋼管の方が80℃に
おける陰極剥離試験における剥離距離が小さくま
た90℃の温水浸漬試験後の被覆層の接着力が大き
いので好ましい。 以上に詳述したように、本発明はポリプロピレ
ン被覆層および接着剤層に用いる材料の分子構造
および物性を特定することにより高温における被
覆層の良好な機械的強度を保ちながら低温におけ
る耐衝撃性も優れた被覆層を得ることを可能なら
しめた点、および必要な場合には鋼管表面と接着
剤層との間にクロメート系の化成処理層もしくは
高いガラス転移温度を有するエポキシプライマー
層もしくはその両方を形成させることにより優れ
た高温における耐陰極剥離性および耐温水性を付
与せしめた点で、従来に無い画期的な発明であ
り、工業上きわめて有意義なものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明によるポリプロピレン被覆鋼管
の断面図、第2図は鋼管と接着剤層との間にガラ
ス転移温度が80℃以上のエポキシプライマー層を
形成させたポリプロピレン被覆鋼管の断面の一
部、第3図は鋼管と接着剤層との間にクロム酸系
の化成処理を施したポリプロピレン被覆鋼管の断
面の一部、そして第4図は鋼管と接着剤層との間
にクロム酸系の化成処理を行い、その後にガラス
転移温度が80℃以上のエポキシプライマー層を形
成させたポリプロピレン被覆鋼管の断面の一部を
示す。第5図は結晶性エチレン−プロピレンブロ
ツクコポリマーのポリプロピレン相とポリエチレ
ン相の構成を示す。また第6図はポリプロピレン
被覆層の低温脆化温度と接着剤の低温脆化温度の
適当な組み合わせを斜線で示したものである。 1……鋼管、2……接着剤層、3……ポリプロ
ピレン被覆層、4……クロム酸系の化成処理層、
5……エポキシプライマー、6……ポリプロピレ
ン相、7……エチレン−プロピレンラバー相、8
……ポリエチレン相、9……ポリプロピレン被覆
層と接着剤層の低温脆化温度の適正範囲。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 鋼管の外面に前処理を施した後接着剤を介し
    てポリプロピレンを被覆した鋼管において、ポリ
    プロピレンとして結晶性エチレンープロピレンブ
    ロツクコポリマーを主成分としその低温脆化温度
    が0℃以下でありかつ120℃における押込深さが
    0.3mm以下の樹脂を用い、かつ接着剤として低温
    脆化温度が−20℃以下の無水マレイン酸変性ポリ
    プロピレン系接着剤を用いることを特徴とするポ
    リプロピレン被覆鋼管。 2 前処理として鋼管表面をプラスト処理などで
    清浄にした後、ガラス転移温度が80℃以上のエポ
    キシプライマー層を形成させたことを特徴とする
    特許請求の範囲第1項記載のポリプロピレン被覆
    鋼管。 3 前処理として鋼管表面をプラスト処理などで
    清浄にした後、クロム酸系の化成処理を施したこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のポリ
    プロピレン被覆鋼管。 4 前処理として鋼管表面をプラスト処理などで
    清浄にした後クロム酸系の化成処理を行い、しか
    る後にガラス転移温度が80℃以上のエポキシプラ
    イマー層を形成させたことを特徴とする特許請求
    の範囲第1項記載のポリプロピレン被覆鋼管。
JP11188483A 1983-06-23 1983-06-23 ポリプロピレン被覆鋼管 Granted JPS604054A (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11188483A JPS604054A (ja) 1983-06-23 1983-06-23 ポリプロピレン被覆鋼管
US06/621,097 US4606953A (en) 1983-06-23 1984-06-15 Polypropylene coated steel pipe
DE3422920A DE3422920C2 (de) 1983-06-23 1984-06-20 Mit einem Propylenpolymerisat beschichtetes Stahlrohr
IT2157784A IT1196164B (it) 1983-06-23 1984-06-22 Tubo di acciaio rivestito con polipropilene

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11188483A JPS604054A (ja) 1983-06-23 1983-06-23 ポリプロピレン被覆鋼管

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS604054A JPS604054A (ja) 1985-01-10
JPH0329588B2 true JPH0329588B2 (ja) 1991-04-24

Family

ID=14572560

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11188483A Granted JPS604054A (ja) 1983-06-23 1983-06-23 ポリプロピレン被覆鋼管

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPS604054A (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5225788B2 (ja) * 2008-08-25 2013-07-03 株式会社アオイ パラレルコントロールチューブ
JP6443321B2 (ja) * 2015-12-24 2018-12-26 株式会社オートネットワーク技術研究所 電線保護部材及びワイヤーハーネス

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5290588A (en) * 1976-10-23 1977-07-29 Asahi Chem Ind Co Ltd Metal-synthetic resin laminates
JPS5340074A (en) * 1976-09-24 1978-04-12 Nippon Paint Co Ltd Method of adhesion of polyolefine to metal
JPS5413358A (en) * 1977-07-01 1979-01-31 Sony Corp Stereoscopic image viewer
JPS5537350A (en) * 1978-09-11 1980-03-15 Toyo Seikan Kaisha Ltd Laminated body and method of producing same

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5340074A (en) * 1976-09-24 1978-04-12 Nippon Paint Co Ltd Method of adhesion of polyolefine to metal
JPS5290588A (en) * 1976-10-23 1977-07-29 Asahi Chem Ind Co Ltd Metal-synthetic resin laminates
JPS5413358A (en) * 1977-07-01 1979-01-31 Sony Corp Stereoscopic image viewer
JPS5537350A (en) * 1978-09-11 1980-03-15 Toyo Seikan Kaisha Ltd Laminated body and method of producing same

Also Published As

Publication number Publication date
JPS604054A (ja) 1985-01-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4606953A (en) Polypropylene coated steel pipe
CN102107176B (zh) 一种管道三层结构防腐层涂装工艺
JP4295216B2 (ja) 樹脂ライニング鋼管およびその製造方法
JP3878348B2 (ja) ポリオレフィン被覆鋼材
JP2003293160A (ja) ポリオレフィン被覆鋼材
JPH0329588B2 (ja)
KR100533359B1 (ko) 분말 융착식 다층 강관 피복용 에폭시 분체도료 조성물과이를 이용한 다층 강관 피복방법
JPH0136784B2 (ja)
JP4733874B2 (ja) ポリオレフィン被覆鋼材
JP2014069400A (ja) ポリエチレン被覆鋼材、及びエポキシ樹脂プライマー層形成材料
JPH0373340A (ja) 耐熱塩水性に優れたポリオレフィン被覆鋼材
JP3168904B2 (ja) 外面ポリエチレン被覆鋼管
JP3787047B2 (ja) 鋼材用防食塗料組成物
JP2003294174A (ja) 樹脂ライニング鋼管およびその製造方法
JPS59150575A (ja) 金属表面の被覆方法
JP4665151B2 (ja) 鋼材用防食塗料組成物およびそれを塗装した鋼材
JP3111908B2 (ja) ポリエチレン樹脂被覆鋼材
JP3163908B2 (ja) ポリオレフィン樹脂被覆鋼材
JPH11279481A (ja) 鋼材用防食塗料組成物
JPH08294996A (ja) 塗覆装鋼管
JPH07268306A (ja) ポリオレフィンと金属との積層用接着剤
JPS6282022A (ja) 鋼材の防食方法
JP2020192774A (ja) 2層接着剤を有するポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法
KR20010071105A (ko) 폴리올레핀 피복 3겹강관 하도용 프라이머 도료조성물
JPH08336931A (ja) 金属箔を含むポリオレフィン被覆鋼材