JPH0327757Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は180度反転機に関する。

（従来の技術とその問題点） 大型部品類を加工するような場合、金型合せ、
金型のメンテナンス、被加工物の清掃や切粉の除
去等のため、上型やこれに取付けた被加工物を
180度反転する作業が必要となる。

このような180度反転手段として、従来ではク
レーンやチエーンブロツクに類するものしかな
く、煩雑な玉掛け作業を必要としたり、反転中に
誤つて被加工物や上型を落下させやすいなどの問
題があつた。

そこで本考案者は、昭和58年実用新案登録願第
175804号においてベツド両側にアツプライトを設
け、このアツプライト間に昇降自在なテーブルを
設け、テーブルを180度反転し得るようにした大
型180゜反転機を提案し、さきの問題を解決した。

しかし、上記180゜反転機では、反転用テーブル
両側のスライドテーブルに、シリンダ駆動方式あ
るいは油圧（ないし電動機）方式の反転駆動機構
を設け、反転用テーブルの昇降と反転とを各別の
駆動源により行うようにしていたので、製作コス
ト、逆転コストが高くなり、しかも、反転作動の
終了時にテーブル下降を行い、上昇後に反転作動
を行う構造となつていたため、金型や加工物の切
粉などが高いレベルからベツド側に落下する不具
合があるばかりでなく、反転サイクル時間が長く
なり、ひいてはプレス作動のサイクルタイムが長
くなるという問題があつた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は前記したような問題点を解決するため
研究して考案されたもので、反転用の特別な駆動
源を要さずに180゜反転を行うことができ、しかも
反転動作が昇降と併行して行われるうえに、反転
昇降だけでなく、良好な平衡度を保持しての非反
転昇降、あるいは昇降の一方が反転、他方が非反
転というような金型等の仕上げ、組み立て解体、
保守点検、清掃、型合わせなどの各種目的に即し
たバライテイに富む動きを簡易に得ることができ
る安価な180度反転機を提供することを目的とす
る。

上記目的を達成するため本考案は、下部テーブ
ルと上部フレーム間に配され昇降機構で上下動さ
れる左右一対のスライドフレームと、前記スライ
ドフレーム間に配された反転フレームを備え、前
記反転フレームの中央部には軸受を介して支軸が
横架され、その支軸はスライドフレームに延び軸
受により支承されるとともに、反転フレーム内に
は反転フレームと支軸の結合を接離するためのク
ラツチ機構が設けられ、スライドフレーム内の支
軸端部には歯車が固着され、その歯車は、スライ
ドフレームを貫き下部テーブルと上部フレーム間
に縦架されたラツクと噛み合つており、かつ、ス
ライドフレームと反転フレームとはロツク部材と
これを進退する手段を有するロツク機構により結
合・分離自在となつている構成としている。

（実施例） 以下本考案に係る180度反転機の実施例を添付
図面に基いて説明する。

第１図ないし第７図は本考案の一実施例を示
し、第８図ないし第１１図は本考案の別の実施例
を示す。

第１図ないし第３図および第８図と第９図にお
いて、１は基床に据付けられた下部テーブル（ベ
ツド）であり、ムービングボルスタ２１が載置さ
れるようになつていると共に、少なくとも前側に
はムービングボルスタ２１の移動路２０が延設さ
れている。

２は上部フレームで、前記下部テーブル１の隅
部に縦設された複数組の支柱２２，２２に固架さ
れている。

３，３は左右一対からなるスライドフレーム
で、前記下部テーブル１と上部フレーム２間に配
され、支柱２２，２２に貫挿されるこにより案内
されるようになつている。

４，４は前記スライドフレーム３，３を支柱２
２，２２にそつて上下動させるための昇降機構で
あり、下部テーブル１両側の支柱２２，２２間に
相当する位置に配置されている。前記昇降機構
４，４は、第１図ないし第７図の実施例では油圧
シリンダとして構成されており、下部テーブル側
に固設されたシリンダ４０，４０と、これから伸
びるピストンロツド４１，４１を有し、ピストン
ロツド４１，４１はスライドフレーム３，３のブ
ラケツト３１，３１に連結されている。

第８図ないし第１１図の実施例において、昇降
機構４，４は、ねじ軸方式として構成されてお
り、下部テーブル１から上部フレーム２にかけて
立設されたねじ軸４３，４３と、このねじ軸４
３，４３と歯車機構４４，４４を介して接続した
駆動軸４５と、この駆動軸４５を正逆回転する駆
動モータ４６とを備え、ねじ軸４３，４３はスラ
イドフレーム３，３に設けためねじ３２，３２に
螺通している。なお、図示するものでは駆動軸４
５や駆動モータ４６を上部フレーム２に設けてい
るが、場合によつては下部テーブル側に設けても
よい。

５は前記スライドフレーム３，３間に配設され
た反転フレームで、上型や被加工物を取付けるた
めの台盤５１が設けられている。

前記反転フレーム５は、第４図ないし第７図お
よび第１０図と第１１図のように、中心部に軸受
７，７を介して支軸６が横設され、この支軸６の
両端は左右のスライドフレーム３，３に延び、軸
受７′，７′により支承されている。

スライドフレーム３，３には、前記昇降機構
４，４の昇降力を利用してこれを前記支軸６の回
転力に変換伝達する機構が設けられている。この
機構は具体的には、前記支軸６の両端部分に固着
した歯車８，８と、この歯車８，８と係合するラ
ツク９，９とからなつており、前記ラツク９，９
はスライドフレーム３，３を貫くようにして下部
テーブル１と上部フレーム２間に縦設されてい
る。

そして、型合せを行う場合など反転フレーム５
を反転させることなく平衡度を保たせて上下動さ
せるため、反転フレーム５とスライドフレーム
３，３を結合・分離するロツク機構Ａを設けてい
る。

このロツク機構Ａは、反転フレーム５に配さ
れ、スライドフレーム３，３の一部と係脱するロ
ツク部材とこれを進退させる手段からなつてい
る。この実施例では、第４図と第６図のように、
反転フレーム５の中央部に支軸と直交する方向に
設けられた電動機または手動ハンドルで回動され
る駆動ギヤ１０と、この駆動ギヤ１０に噛合う被
動歯車１１，１１′を備えたスクリユー軸１２，
１２′と該スクリユー軸１２，１２′にめねじをも
つて螺合するロツクピン１３，１３′とからなつ
ており、反転フレーム５の両端部とサイドフレー
ム３，３にはロツクピン１３，１３′を摺動可能
に外嵌するブシユ１４，１４′が設けられている。

さらに、反転フレーム５の反転と反転上下動の
切換えのため、支軸６と反転フレーム５との結合
を接離するクラツチ機構Ｂが設けられている。

第１図ないし第７図の実施例においては、支軸
６に第６図と第７図に示すような角軸部６１が設
けられ、これに対し、駆動ギヤ１０に先端に雄ね
じ１６を有する延出軸１５が連設されると共に、
支軸６の近傍にはガイドメタル１７，１７が固定
され、それらガイドメタル１７，１７間に、前記
雄ねじ１６を螺通したロツクブロツク１８が配さ
れ、ロツク機構Ａが罷動状態にあるときに、ロツ
クブロツク１８が前進して角軸部６１と係合する
関係に構成されている。

これに対し、第８図ないし第１１図では、クラ
ツチ機構Ｂとして、支軸６を、反転フレームに固
定された固定軸６ａと、スライドフレーム３，３
に延びる回転軸６ｂ，６ｂとに分割し、それら固
定軸６ａと回転軸６ｂ，６ｂ間を電磁式などのク
ラツチ１９，１９により連結している。

なお、反転フレーム５は180度反転した状態で
下限位置の下部テーブル上に到るような寸法に設
定されている。

（作用） 本考案は上記のような構成からなるので、金型
合せなどの作業にあたつては、移動路２０にムー
ビングボルスタ２１を位置させて、これの上に上
下の組合せ金型類をセツトし、次いでムービング
ボルスタ２１を下部テーブル１に引込む。

下部テーブル１の定位置に到つたところで、予
め上方に待機させてあつた反転テーブル５を下降
させる。この下降は昇降機構４，４により左右の
スライドフレーム３，３を介して行われる。

第１図ないし第７図の実施例の場合、第６図と
第７図のように、ロツクピン１３，１３′がスラ
イドフレーム３，３のブシユ１４，１４′に嵌入
する一方、ロツクブロツク１８が角軸部６１から
離間する位置まで後退するため、反転テーブル５
を貫通する支軸６はフリーな状態におかれる。

そのため、昇降機構４，４によりスライドフレ
ーム３，３が下降すれば、ラツク９，９により歯
車８，８が回転し、これにより支軸６が回転する
が、さきのように、支軸６は反転フレーム５とフ
リーとなつており、ロツクピン１３，１３′がス
ライドフレーム３，３に嵌入されているため、ス
ライドフレーム３，３と反転フレーム５は一体と
なつて下降し、反転フレーム５の平行精度が正し
く維持される。

また第８図ないし第１１図の実施例において
は、クラツチ１９，１９をオフの状態しておくも
ので、スライドフレーム３，３が上下動してラツ
ク９，９と歯車８，８により回転軸６ｂ，６ｂが
回転しても固定軸６ａとは互いに切離された状態
にあるため反転フレーム５は回転しない。

上記のようにして反転フレーム５が下降したな
らば、上型を反転フレーム５に固定し、昇降機構
４，４を再び作動させるもので、上型は反転フレ
ーム５により上昇する。次いで、再び昇降機構
４，４により反転フレーム５を下降させることに
より、型合せが行われる。

型修正等のため反転を行う場合には、まず、ム
ービングボルスタ２１により下型を下部テーブル
１から移動路２０へと送出し、上昇限位置にある
反転フレーム５の反転ロツク機構を解除すると共
に、反転フレーム５と支軸６とを結合関係にす
る。すなわち、第４図と第５図では、電動機又は
手動ハンドルにより駆動ギヤ１０を回転させるも
のであり、これにより被動歯車１１，１１′によ
りスクリユー軸１２，１２′が回転し、ロツクピ
ン１３，１３′がスライドフレーム３，３のブシ
ユ１４，１４′から抜け出し、ロツクが解除され
る。それと同時に延出軸１５が回転するため、ロ
ツクブロツク１８が前進して支軸６の角軸部６１
と係合し、支軸６を反転フレーム５に対して固定
する。

また、第１０図と第１１図においては、駆動ギ
ヤ１０を回転すると共にクラツチ１９，１９をオ
ンの状態にするもので、これにより反転フレーム
５とスライドフレーム３，３との一体関係が解か
れると共に、固定軸６ａと回転軸６ｂ，６ｂとが
連結され、支軸６と反転フレーム５とが一体化さ
れる。

この状態で主シリンダ４０，４０または駆動モ
ータ４６を作動させれば、スライドフレーム３，
３が下降し、このスライドフレーム３，３に貫通
しているラツク９，９と噛合う歯車８，８が回転
する。この歯車８，８の回転により支軸６が回転
し、支軸６が反転フレーム５と結合しているた
め、反転フレーム５は下降しながら逐次反転し、
180度反転したところで下部テーブル上に到る。
また、スライドフレーム３，３を上昇させてゆけ
ば、反転フレーム５は下降時と逆方向に反転しな
がら上昇する。上記反転は中心反転のため反転ト
ルクを大きくとることができ、長期間精度保持が
可能である。

また、上下に組み合わされている金型の上型を
分離し、加工、修理等を行う場合には、まず、ロ
ツク機構Ａを作動させ、クラツチ機構Ｂを罷動さ
せて昇降機構４を作動させれるもので、反転フレ
ーム５は平衡度を保たれつつ下降する。そこで上
型を固定したのち、昇降機構４を作動させて反転
フレーム５を平衡上昇させ、その間に下型を下部
テーブル外に搬出する。そして次にロツク機構Ａ
を罷動させ、クラツチ機構Ｂを作動させ、昇降機
構４を作動させればよく、これで反転フレーム５
と上型は降下しつつ180度反転し、上型は上向き
状態で下型とほぼ同レベルに位置される。上記反
転フレーム５の動作切換えは反転フレーム５独自
で行うものであるから、非常に簡単、迅速に行え
る。

〔考案の効果〕

以上説明した本考案によるときには、下部テー
ブル１と上部フレーム２間に配され昇降機構４で
上下動される左右一対のスライドフレーム３，３
間に反転フレーム５を配し、反転フレーム５の中
央部には軸受を介して支軸６が横架され、その支
軸６がスライドフレーム３，３に延び軸受７，７
により支承れるとともに、反転フレーム５内のク
ラツチ機構Ｂで反転フレーム５と支軸６の結合が
接離自在であり、スライドフレーム３，３内の支
軸端部の歯車８，８がスライドフレーム３，３を
貫き下部テーブル１と上部フレーム２間に縦架さ
れたラツク９と噛み合い、かつ、スライドフレー
ム３，３と反転フレーム５とがロツク部材とこれ
を進退する手段を有するロツク機構Ａにより結
合・分離自在となつているため、反転用の専用駆
動源を要さずに反転フレーム５を反転しながら上
昇又は／及び下降させることができるのは勿論、
プレススライドのような特別な昇降体を要さず
に、簡単な切換え操作だけで、反転フレーム５を
良好な平衡度を保ちながら、またねじれを防止し
ながらに非反転で上昇又は／及び下降を行うこと
ができ、したがつて、金型の分解を加味した保守
点検、加工、さらには型合わせなど各種使用目的
に応じたバライテイに富む機能を発揮させること
ができる。また、プレススライドのような特別な
昇降体を用いずに非反転昇降を行え、ラツク９が
スライドフレーム３，３を貫通して下部テーブル
１と上部フレーム２間に縦架固定され、ピツト掘
り等の特別な工事を要さないこと等により性能の
割にコストを安価にし得るなどのすぐれた効果が
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る180度反転機の一実施例
を示す側面図、第２図は同じくその正面図、第３
図は同じくその平面図、第４図第１図における反
転フレームとスライドフレームの取合いを示す横
断面図、第５図は第４図−線にそう断面図、
第６図は非反転昇降時の反転フレームとスライド
フレームの取合いを示す横断面図、第７図は第６
図−線にそう断面図、第８図は本考案の別の
実施例を示す部分切欠正面図、第９図は同じくそ
の側面図、第１０図は第８図の実施例における反
転フレームとスライドフレームの取合いを示す横
断面図、第１１図は第１０図XI−XI線にそう断面
図である。 １……下部テーブル、２……上部フレーム、
３，３……スライドフレーム、４，４……昇降機
構、５……反転フレーム、６……支軸、７，７…
…軸受、８，８……歯車、９，９……ラツク、Ａ
……ロツク機構、Ｂ……クラツチ機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 下部テーブル１と上部フレーム２間に配され昇
   降機構４で上下動される左右一対のスライドフレ
   ーム３，３と、前記スライドフレーム３，３間に
   配された反転フレーム５を備え、前記反転フレー
   ム５の中央部には軸受を介して支軸６が横架さ
   れ、その支軸６はスライドフレーム３，３に延び
   軸受７，７により支承されるとともに、反転フレ
   ーム５内には反転フレーム５と支軸６の結合を接
   離するためのクラツチ機構Ｂが設けられ、スライ
   ドフレーム３，３内の支軸端部には歯車８，８が
   固着され、その歯車は、スライドフレーム３，３
   を貫き下部テーブル１と上部フレーム２間に縦架
   されたラツク９と噛み合つており、かつ、スライ
   ドフレーム３，３と反転フレーム５とはロツク部
   材とこれを進退する手段を有するロツク機構Ａに
   より結合・分離自在となつていることを特徴とす
   る180度反転機。