JPH0326814Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、現場打ちコンクリートによる中空ス
ラブに関する。

建築構造物などにおいてはこの種の中空スラブ
が広く使用される。

［従来の技術］ 中空スラブ（ボイドスラブ）は、スラブ自重の
軽量化を図るため一般に広く実施されている。

ところで、従来の中空スラブに使用される中空
型枠は厚紙もしくは鉄板により円形断面に形成さ
れている。

［考案が解決しようとする課題］ しかし、円形断面の中空スラブは中空型枠の下
端部分等の中空スラブ周辺におけるコンクリート
の回りは良いが中空率が低いので、スラブの軽量
化があまり期待できない。

また、鉄板からなる中空型枠は重くなりやす
く、厚紙からなる中空型枠はコンクリート打設時
に浮き上がることがあり、型枠の設置および固定
が困難であつた。

さらに、中空型枠の設置直後、中空型枠の上に
過つて建築資材を置いたり、あるいはその上を歩
いたりすることにより中空型枠が簡単に変形して
しまうこともあつた。

本考案は上記従来の事情に鑑みなされたもの
で、その目的は、スラブの厚さの割りに中空率を
可能な限り確保することができ、かつ中空型枠の
設置および固定が簡単にでき、さらに中空型枠の
設置直後にその上を直接歩いたとしても変形する
おそれが全くない現場打ちコンクリートによる中
空スラブを提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために本考案は以下のよう
に構成されている。

第１図および第２図には本考案による中空スラ
ブの構成が示されている。

スラブ上端筋２とスラブ下端筋３との間には断
面矩形状の中空型枠４が設置されており、その周
辺にコンクリート８を充填して中空スラブ１が形
成されている。

中空型枠４は、その上面および下面を形成する
平板部４ａと、平板部４ａ，４ａ間の空間を横方
向に仕切り、矩形断面に形成される複数個の中空
部４ｂ…と、各中空部４ｂの中へ斜めに配置され
るブレース状の補強板部４ｃと、を有している。

そして、これらの平板部４ａ、中空部４ｂ…お
よび補強板部４ｃは、第３図および第４図に示さ
れるような一枚の剛性金網で形成される。

［実施例］ 以下、図面に基づいて本考案の好適な実施例を
説明する。

第１図および第２図には中空スラブの構成が示
されており、現場打ちコンクリートによる中空ス
ラブ１にはスラブ上端筋２、スラブ下端筋３、中
空型枠４、連結筋５が配設されている。

スラブ上端筋２およびスラブ下端筋３はスラブ
全体にわたつて格子状にそれぞれ配筋されてお
り、スラブ上端筋２とスラブ下端筋３とは複数本
の連結筋５で連結されている。

スラブ上端筋２とスラブ下端筋３との間で連結
筋５，５間に挟まれたスペースには、スラブ幅方
向へ一定間隔をおいてスラブ長手方向に沿つた中
空型枠４が設置されている。

図示されるように中空型枠４は、その上面およ
び下面を形成する平板部４ａと、平板部４ａの両
側に配置され、矩形断面を有する中空部４ｂ，４
ｂと、中空部４ｂ，４ｂの内に斜めに配置される
ブレース状の補強板部４ｃとで構成されており、
中空部４ｂ，４ｂ、補強板部４ｃも平板部４ａの
長手方向（図の前後方向）に連続している。

中空型枠４を形成する平板部４ａ、中空部４ｂ
および補強板部４ｃは、第４図に示されるような
きわめて剛性が高い一枚のラス金網を第５図のよ
うに折り曲げて形成されている。

このラス金網には幅方向または長手方向に連続
し、Ｖ字断面あるいはＵ字断面を有する補強リブ
６が多数本形成されている。

また、中空型枠４はラス金網の他にきわめて剛
性の高いワイヤラスやメタルラスあるいはパンチ
ングメタルなどで形成することもできる。

さらに、中空型枠４の断面形状は第５図、第６
図に示すような形状に形成することもできる。

中空型枠４の組立は工場においても現場におい
ても行える。

次に、中空型枠４の設置について説明する。

中空型枠４は図示しないスラブ型枠の上にスペ
ーサーを介して設置され、これにより中空型枠４
とスラブ型枠との間に必要なコンクリートかぶり
厚が確保される。

この中空型枠４はスラブ上端筋２およびスラブ
下端筋３に結束線７で緊結して固定される。

型枠組立後、中空型枠４の周辺部にコンクリー
ト８が充填され、中空型枠４はスラブ上端筋２、
スラブ下端筋３と完全に一体化される。

コンクリート８は、打設時およびバイブレータ
による締め固めの際に中空型枠４の網目から中に
漏れないよう可能な限り低スランプのものを使用
する。

また、中空型枠４に薄いビニールシートを巻き
付けてコンクリートの漏れを防止してもよい。

以上説明したように本実施例によれば、中空型
枠４は断面矩形状に形成されているので、スラブ
厚の割に中空率を最大限に確保でき、スラブの軽
量化が図れる。

また、中空型枠４は剛性金網で形成されている
ので、型枠下端の充填状態を目で確認しながらコ
ンクリート８を打設でき、このため、コンクリー
トの回りがあまり良くない矩形断面の中空型枠で
あつても中空型枠４周囲のすみずみまで確実にコ
ンクリート８を充填することが可能となる。

また、中空型枠４は剛性金網で形成されてお
り、左右の中空部４ｂにはブレース状の補強板部
４ｃが配置されているので、中空型枠４全体の剛
性が著しく高められ、その結果、中空型枠４の上
を人が歩いたり、その上に建築資材を置いたりし
ても変形するおそれは全くない。

さらに、中空型枠４は１枚の剛性金網で形成さ
れているので、製作がきわめて簡単であり、量産
化が図れる。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案によれば、中空型枠
は断面矩形状に形成されているので、スラブ厚の
割に中空率を最大限に確保でき、スラブの軽量化
が図れる。

また、中空型枠は剛性金網で形成されているの
で、型枠下端の充填状態を目で確認しながらコン
クリートを打設でき、このため、コンクリートの
回りがあまり良くない矩形断面の中空型枠であつ
ても中空型枠周囲のすみずみまで確実にコンクリ
ートを充填することが可能となる。

また、中空型枠は剛性金網で形成されており、
中空型枠内の中空部には補強板部が配置されてい
るので、中空型枠全体の剛性が著しく高められ、
その結果、中空型枠の上を人が歩いたり、その上
に建築資材を置いたりしても変形するおそれは全
くない。

さらに、中空型枠は１枚の剛性金網で形成され
ているので、製作がきわめて簡単であり、量産化
が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案による中空スラブ
の断面図、第３図および第４図はラス金網の平面
図、第５図および第６図は中空型枠の他の実施例
を示す断面図、である。 １……中空スラブ、２……スラブ上端筋、３…
…スラブ下端筋、４……中空型枠、４ａ……平板
部、４ｂ……中空部、４ｃ……補強板部、５……
連結筋、６……補強リブ、７……結束線、８……
コンクリート。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 スラブ上端筋２とスラブ下端筋３との間に断面
   矩形状の中空型枠４を設置し、その周辺にコンク
   リート８を充填してなる現場打ちコンクリートに
   よる中空スラブにおいて、 中空型枠４は、その上面および下面を形成する
   平板部４ａと、平板部４ａ，４ａ間の空間を横方
   向に仕切り、矩形断面に形成される複数個の中空
   部４ｂ…と、各中空部４ｂの中へ斜めに配置され
   るブレース状の補強板部４ｃと、を有し、 平板部４ａ、中空部４ｂ…および補強板部４ｃ
   は一枚の剛性金網で形成された、ことを特徴とす
   る現場打ちコンクリートによる中空スラブ。