JPH0318771Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は自動車のチエンジケーブル組付構造に
係り、詳しくは、自動車における自動変速機とシ
フトレバーとを安定に連結できるチエンジケーブ
ルの組付構造に関する。

〔従来技術〕

従来より、自動変速機とシフトレバーとは、リ
ンク機構を介して遊びのないように連結され、シ
フトレバーの動きに連係して自動変速機の変速動
作および各種スイツチの動作が正確に行われるよ
うにしている。ところが、自動変速機とシフトレ
バー間にリンク機構を配置することが構造上困難
な場合などには、例えば実開昭59−172628号公報
に記載されているように、両者がフレキシブルな
チエンジケーブルで連結される。

チエンジケーブルは、長手方向には伸縮しない
がある程度屈曲させることができるアウターケー
ブル内に、フレキシブルなワイヤよりなるインナ
ーケーブルが挿通されたものである。そして、こ
のアウターケーブルの両端部を各取付部に固定し
て取付け、インナーケーブルの両端を自動変速機
とシフトレバーのそれぞれの可動部に連結し、シ
フトレバーの押し引き操作により、自動変速機が
連係動作されるようになつている。このようなチ
エンジケーブルは自在に屈折させて配線できるの
で、自動変速機とシフトレバー間の構造が複雑な
場合にしばしば採用される。

〔考案が解決しようとする問題点〕

チエンジケーブルは、上記したように、屈曲さ
せて用いられる場合が多いので、アウターケーブ
ルとインナーケーブル間には、若干隙間が設けら
れている。したがつて、チエンジケーブルが湾曲
されて配線されると、上記の隙間のためにいわゆ
る遊びが生じる。その結果、例えば、インナーケ
ーブルを引張方向から圧縮方向に操作する時に
は、上記遊びの長さだけアウターケーブルに対し
てインナーケーブルを押し込んだ後のシフトレバ
ーの操作量のみが、実際に自動変速機側に伝達さ
れる操作量となる。そのため、自動変速機とシフ
トレバーとを連結する組付作業にあつては、この
遊びが充分考慮されなければ、正確な連係動作が
得られず、誤動作が発生するようなことになる。
そこで、自動変速機およびシフトレバーが各シフ
ト位置にあるときに、両者をインナーケーブルの
遊びの中間位置で連結されるように組付ければ、
シフトレバーのいずれの方向への操作においても
遊びは等しく小さな量だけに設定され、操作は確
実になされて誤動作の発生は避けられる。

しかるに、従来においては、上記シフトレバー
と自動変速機とをチエンジケーブルによつて連結
するための組付け時の調整は、作業者の熟練に基
づく勘に頼つていたことから、必ずしも常に安定
した正確な接続状態が得られるとは限らなかつ
た。

本考案はこのような事情を考慮してなされたも
ので、作業者の熟練を要することなく、容易に安
定した正確な接続状態を得ることのできる自動車
のチエンジケーブル組付構造を提供することを目
的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の目的を達成するための本考案の手段は、
シフト方向に揺動自在に支持されたシフトレバー
と自動変速機とを連結し、固定されたアウターケ
ーブルとそのアウターケーブル内を摺動すると共
に所定の長さの遊びが設けられるインナーケーブ
ルとで構成されるプツシユプル式チエンジケーブ
ルがあり、上記インナーケーブルの一端をシフト
レバーに連結するジヨイント部材と、シフトレバ
ーを各レンジのシフト位置に節度を持たせて停止
させるデイテント機構と、このデイテント機構に
よる停止位置から上記ジヨイント部材がインナー
ケーブルの遊びの略1/2の距離だけ移動した位置
にシフトレバーの揺動を規制するストツパー機構
と、上記ジヨイント部材に対してインナーケーブ
ルを圧縮方向もしくは引張方向に付勢するスプリ
ングとを備えてなり、上記スプリングによつてイ
ンナーケーブルが付勢され、シフトレバーが遊び
の略1/2の距離だけスプリングの付勢方向と同方
向に揺動された状態でインナーケーブルがジヨイ
ント部材に連結されていることである。

〔作用〕

固定されたアウターケーブル内で所定の長さの
遊びが設けられて摺動するインナーケーブルの一
端は、ジヨイント部材を介してシフト方向に揺動
自在に支持されたシフトレバーに仮連結され、そ
の他端が自動変速機に連結固定される。そして、
シフトレバーを、各レンジのシフト位置に節度を
持たせて停止させるデイテント機構による停止位
置から、ストツパー機構により規制される位置ま
で傾倒させる。シフトレバーは、上記ジヨイント
部材に対して圧縮方向もしくは引張方向に付勢さ
れるインナーケーブルの遊びの略1/2の距離だけ
移動し、その位置でシフトレバーのそれ以上の揺
動が阻止される。したがつて、インナーケーブル
の一端が、シフトレバーの遊びの略1/2の距離だ
けスプリングの付勢方向と同方向に揺動されたこ
とになり、その状態でインナーケーブルの一端が
ジヨイント部材に連結固定されると、チエンジケ
ーブルの組付けが完了する。

〔考案の効果〕

本考案によれば、シフトレバーと自動変速機と
をプツシユプル式チエンジケーブルで連結し、デ
イテント機構による停止位置から上記ジヨイント
部材が上記インナーケーブルの遊びの略1/2の距
離だけ移動した位置にシフトレバーの揺動を規制
するストツパー機構が設けられ、かつ上記ジヨイ
ント部材に対してインナーケーブルを圧縮方向も
しくは引張方向に付勢するスプリングが設けられ
ているので、上記スプリングによつてインナーケ
ーブルが付勢され、シフトレバーが遊びの略1/2
の距離だけスプリングの付勢方向と同方向に揺動
された状態でインナーケーブルをジヨイント部材
に連結することができる。したがつて、チエンジ
ケーブルの組付作業に熟練を要することなく、常
に安定した精度でシフトレバーと自動変速機とを
チエンジケーブルで連結できる。

〔実施例〕

以下、本考案をその実施例に基づいて詳細に説
明する。本実施例の自動車のチエンジケーブル組
付構造は、第１図および第２図に示すように、シ
フトレバー１と自動変速機２とがチエンジケーブ
ル３によつて接続され、シフトレバー１をシフト
操作することにより、自動変速機２が所定の変速
動作を行うようになつている。

上記シフトレバー１は、その下端部の軸部１ａ
が車体フロア４に対して固着されたベースプレー
ト５の下部の軸受部５ａに軸支されて、揺動自在
に支持される。上記シフトレバー１にはブラケツ
ト６が固着され、このブラケツト６の側面には、
ジヨイント部材７が取付けられている。このジヨ
イント部材７には、前記チエンジケーブル３のア
ウターケーブル３ａ内を摺動するインナーケーブ
ル３ｂの一端部が連結される。アウターケーブル
３ａは、一端部が上記ベースプレート５すなわち
車体フロア４に固定され、他端部が自動変速機２
に固着された取付具８に固定され、シフトレバー
１のシフト揺動に応じて、アウターケーブル３ａ
内をインナーケーブル３ｂが摺動し、このインナ
ーケーブル３ｂの他端部が接続された自動変速機
２の変速レバー９が回動されるようになつてい
る。

前記シフトレバー１に対するインナーケーブル
３ｂの先端部は、上記ジヨイント部材７の貫通孔
に摺動可能に嵌挿される。そのジヨイント部材７
にはインナーケーブル３ｂを仮止めする固定ボル
ト１０が設けられ、このジヨイント部材７の両側
にはそれぞれ左右のロツクナツト１１，１２がイ
ンナーケーブル３ｂに螺合される。さらに、アウ
ターケーブル３ａ側の左ロツクナツト１１とジヨ
イント部材７との間には筒状のスペーサ１３が介
装され、このスペーサ１３の外周には左ロツクナ
ツト１１とジヨイント部材７の端面との間にスプ
リング１４が縮装され、上記左右のロツクナツト
１１，１２の締付けによつてインナーケーブル３
ｂをジヨイント部材７に固定するようになつてい
る。上記スプリング１４の付勢力は、インナーケ
ーブル３ｂをアウターケーブル３ａ内に没入させ
る圧縮方向すなわち自動変速機２側に作用してい
る。

上記ベースプレート５の上面には、シフトレバ
ー１の揺動方向に沿つて側方にカムプレート１６
が立設されている。このカムプレート１６の上縁
には複数のデイテント用凹部１７が並設される一
方、シフトレバー１のブラケツト６の上部には、
先端部に上記凹部１７に係合するローラ１８を備
えた板ばね部材１９が取付けられ、両者の係合に
より、シフトレバー１を各シフト位置に節度を持
たせて停止するデイテント機構２０が構成されて
いる。なお、第１図の場合は、シフトレバー１が
最前倒時のＰレンジにシフトされた状態にあり、
この位置からシフトレバー１が後倒するに従い、
Ｒ−Ｎ−Ｄ−２−１の各レンジの順にシフト位置
が変更され、順次デイテント用凹部１７にローラ
１８が係合して停止するようになつている。

一方、第２図に示すように、前記のカムプレー
ト１６の前方側の端縁部１６ａは、図の手前側に
直角に屈曲され、ブラケツト６の前方端を巻き込
むようにしてその端縁６ａを当接させ、シフトレ
バー１の前倒方向の停止位置を規制するようにし
たストツパー機構３１が形成されている。つま
り、このストツパー機構３１は、デイテント機構
２０によるシフトレバー１の停止位置からジヨイ
ント部材７がインナーケーブル３ｂの遊びの略1/
２の距離だけ移動した位置にシフトレバー１の揺
動を規制するように設けられる。

なお、上記ベースプレート５の内部にはポジシ
ヨン規制溝２１が形成される一方、シフトレバー
１には上記規制溝２１と係合するピン２２が設け
られ、両者の係合により各操作レンジ間のシフト
レバー１の揺動を規制する揺動規制機構２３が構
成されている。すなわち、シフトレバー１内には
軸方向に移動可能なロツド２４〔第２図参照〕が
設けられ、それに対して直行する方向に突出して
上記ピン２２が設けられ、そのピン２２はシフト
レバー１から側方にカムプレート１６側に突出し
て前記規制溝２１に係合する。このピン２２は下
部に縮装されたスプリング２５によつて規制溝２
１の上縁に当接するように上方に付勢される一
方、シフトレバー１の上端のプツシユボタン２６
の操作によつて下方へ移動される。

そして、上記規制溝２１とピン２２との係合
は、前記デイテント機構２０の凹部１７とローラ
１８の係合位置に対応して形成され、Ｎレンジか
らＲレンジおよびＰレンジへのシフト時、Ｐレン
ジからＲレンジへのシフト時、さらにＤレンジか
ら２レンジおよび１レンジへのシフト時には、上
記プツシユボタン２６の操作を行わないとシフト
レバー１が揺動しないようになつている。

さらに、シフトレバー１がインナーケーブル３
ｂを最も押し込む最前倒状態に揺動されてＰレン
ジに入れられ、前記デイテント機構２０の凹部１
７とローラ１８の係合によつて停止している際
に、シフトレバー１がさらに前倒してオーバース
トローク可能となるよう、ピン２２と係合するＰ
レンジ規制溝２１の幅が、ピン２２の径よりやや
大きく形成されている。

上記の構造において、シフトレバー１のジヨイ
ント部材７とチエンジケーブル３のインナーケー
ブル３ｂとを連結する組付作業は、アウターケー
ブル３ａの両端を車体側に固定し、インナーケー
ブル３ｂの他端を自動変速機２のＰレンジに操作
されている変速レバー９に連結し、さらに、シフ
トレバー１を最前倒のＰレンジに操作した状態で
行われる。このような状態で、前記したように、
ブラケツト６の端縁６ａをストツパー機構３１で
ある端縁部１６ａに当接させる。デイテント機構
２０によるシフトレバー１の停止位置からジヨイ
ント部材７が、インナーケーブル３ｂの遊びの略
１／２の距離だけ移動することになる。その時点で
シフトレバー１の前倒がストツパー機構３１で規
制され、ジヨイント部材７はインナーケーブル３
ｂの遊びの略1/2の距離以上移動することはない。

一方、インナーケーブル３ｂの先端部は、左ロ
ツクナツト１１、スペーサ１３、スプリング１４
を取付けた状態でジヨイント部材７に挿通され、
最先端部に右ロツクナツト１２が仮の位置に止め
られる。固定ボルト１０を緩めておくことによ
り、ジヨイント部材７に対してインナーケーブル
３ｂが移動可能であり、スプリング１４の付勢力
によつてインナーケーブル３ｂは圧縮方向すなわ
ちアウターケーブル３ａ内に押し込まれるように
付勢され、遊びＬがアウターケーブル３ａ内にあ
る。上記状態から第１図に示すように、シフトレ
バー１をオーバーストローク状態に揺動させる。
そうすると、上記したように、ストツパー機構３
１によつてブラケツト６の端縁６ａが規制され、
ジヨイント部材７は前記インナーケーブル３ｂの
遊びＬの略1/2の距離だけスプリング１４を圧縮
した位置に停止させられる。しかる後、ボルト１
０を締めてインナーケーブル３ｂをジヨイント部
材７に仮止めする。その後、左右のロツクナツト
１１，１２を締め付けてインナーケーブル３ｂを
ジヨイント部材７に固定する。この状態において
は、スペーサ１３がジヨイント部材７と左ロツク
ナツト１１とに圧接して、スプリング１４は伸縮
動作をしないようになる。

上記のようにインナーケーブル３ｂとジヨイン
ト部材７とを連結すると、シフトレバー１がオー
バーストローク状態から後方端位置に戻つて、デ
イテント機構２０によつてＰレンジに停止した場
合には、スプリング１４によつて遊びＬの長さだ
けアウターケーブル３ａ内に押し込まれていたイ
ンナーケーブル３ｂが、シフトレバー１のオーバ
ーストロークによつて上記遊びＬの略1/2の長さ
だけ移動して結合される。この遊びＬの略1/2の
長さだけインナーケーブル３ｂがアウターケーブ
ル３ａから引出された状態で、シフトレバー１は
デイテント機構２０によつて停止されることにな
る。したがつて、停止状態においては、シフトレ
バー１の揺動に対して圧縮方向および引張方向に
それぞれ約Ｌ／２の遊びがあり、最適の状態でチ
エンジケーブル３とシフトレバー１とが連結され
た組付状態となる。

上記実施例においては、スプリング１４によつ
てインナーケーブル３ｂをアウターケーブル３ａ
内に最も遊びがある状態に押し込み、シフトレバ
ー１を同様に押し込み方向にオーバーストローク
して遊びの略中央で組み付けるようにしている
が、上記スプリング１４の付勢方向とシフトレバ
ー１のオーバーストローク方向を上記実施例とは
それぞれ逆の方向に設定し、スプリングによつて
インナーケーブル３ｂをアウターケーブル３ａ内
に遊びがない状態に引張り、シフトレバー１をオ
ーバーストロークして同様に遊びの略中央で組み
付けるようにしてもよい。

第３図および第４図は異なる実施例で、ストツ
パー機構３２および３３を設けた自動車のチエン
ジケーブル組付構造である。前者は、Ｐレンジに
シフトレバー１が位置するときにローラ１８が係
合するカムプレート１６の凹部１７の前方側に山
形状凸部１６ｂを設け、この凸部１６ｂにローラ
１８を制止させるようにしたストツパー機構３２
を形成させている。後者は、ベースプレート５上
に取付けブラケツト２７を固着し、これにネジ式
の寸法調整可能なストツパー２８を設け、これを
シフトレバー１に取付けられたブラケツト６の前
方下端６ｂに当接させるようにしたストツパー機
構３３である。いずれも、先に述べた実施例のも
のと同様に、その隙間はインナーケーブル３ｂの
遊びの略1/2の距離だけ移動した位置にシフトレ
バー１の揺動を規制するように設けられている。
その結果、上記と同様な作用効果を発揮させるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の自動車のチエンジケーブル組
付構造の一実施例の要部正面図、第２図は全体斜
視図、第３図および第４図は異なる実施例の要部
正面図である。 １……シフトレバー、２……自動変速機、３…
…プツシユプル式チエンジケーブル、３ａ……ア
ウターケーブル、３ｂ……インナーケーブル、７
……ジヨイント部材、１４……スプリング、３
１，３２，３３……ストツパー機構、２０……デ
イテント機構。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シフト方向に揺動自在に支持されたシフトレバ
   ーと自動変速機とを連結し、固定されたアウター
   ケーブルと、そのアウターケーブル内を摺動する
   と共に所定の長さの遊びが設けられるインナーケ
   ーブルと、で構成されるプツシユプル式チエンジ
   ケーブルと、 上記インナーケーブルの一端をシフトレバーに
   連結するジヨイント部材と、 シフトレバーを各レンジのシフト位置に節度を
   持たせて停止させるデイテント機構と、 このデイテント機構による停止位置から、上記
   ジヨイント部材がインナーケーブルの遊びの略1/
   ２の距離だけ移動した位置に、シフトレバーの揺
   動を規制するストツパー機構と、 上記ジヨイント部材に対してインナーケーブル
   を圧縮方向もしくは引張方向に付勢するスプリン
   グと、 を備えてなり、上記スプリングによつてインナー
   ケーブルが付勢され、シフトレバーが遊びの略1/
   ２の距離だけスプリングの付勢方向と同方向に揺
   動された状態でインナーケーブルがジヨイント部
   材に連結されていることを特徴とする自動車のチ
   エンジケーブル組付構造。